2011年10月24日

<馬橋法律事務所 中野仁先生>

photo_nakano (2)中野仁先生にインタビューをさせて頂きました。

Q1.弁護士になろうと思ったきっかけを教えてください。
A1. 将来を考えるときに、高校の頃は国家公務員I種の試験を受けようと思っていました。国家公務員になれば、国の裏側を知ることができ面白そうだという単純な理由でした。その後大学は法学部に進学し、そこで実務家である弁護士の方々のお話を聞く機会があり、弁護士の仕事は色んな分野の出来事に関わることができて面白そうだと思ったことと、どうせなら最難関といわれる司法試験を受けてやろうと思ったというのがきっかけですね。
検察官も考えましたが、やはり就職活動や司法修習を通じて、法曹の中でも特に弁護士の仕事が幅広く活躍出来ると感じ、また、自分の性にも合っていると感じたことから、最終的には弁護士になることにしました。



Q2.弁護士になって特に印象に残っている案件(事件)を教えてください。
A2.弁護士になりたての頃にやった民事保全の仮処分の執行が印象に残っています。許諾を受けないで著作物を利用している店の鍵を勝手に開けて中に入り、その機械をネットとかでぐるぐる巻きにし、使えなくするという手続だったのですが、周りの家から不審がられ、せっかく秘密裡にやってるのに本人が怒鳴りこんできたりとか、色々とスリリングな経験でした。
 また、勤務している事務所が自治体の顧問をやっている関係で、日常の業務では、自治体からの相談や自治体が当事者となる訴訟に関わることが多いのですが、自治体の相談や訴訟の対象となっている事柄というのは自分が生活していく上で身近なトピックが多いので、大変興味深く、面白いと感じることが多いです。


Q3.弁護士のお仕事のなかで嬉しかったことは何ですか。
A3. 月並みですが、その人の人生の分岐点に関わることができ、微力ながらときに自分の力で良い方向になったと感じられるときは嬉しいですね。
後は、自分の仕事を評価されたときは嬉しいです。依頼者の方に「ありがとう」と言って頂くことはもちろん嬉しいですが。例えば、負けた裁判で、依頼者に「ここまでやってくれたんだから、負けても悔いはない」と言われたときに、しっかり自分のやってきたことが評価され嬉しかったです。
以前依頼された方にまた依頼されたり、その依頼者からの紹介で新たな依頼者のご相談を受けるということも、依頼者が自分の仕事を評価されているということなので嬉しいですね。また、破産管財事件などの依頼があり、裁判所から信頼されていると感じる瞬間も嬉しいです。


Q4.弁護士になって一番大変だと感じることは何ですか。
A4. 一番大変だと思うのは、「代えがきかない」ということです。例えば緊急の用事があったり、病気になったりしたときでも、休むことができません。刑事弁護はもちろん他の人に行ってもらうわけにはいかないし、民事訴訟でも基本的に他の人に頼むことはできません。訴訟以外の日々の職務にしても、大規模事務所のように何人かでチームを組んでやっていればともかく、私のような事務所で執務している場合は代わりにやってくれる人もいません。そのため、まとまった休みがとりにくい状況にあります。
 後は、依頼者との関係ですね。弁護士といえどサービス業であるし、依頼者との信頼関係は非常に重要だと思います。信頼は築き上げるのは難しいですが、崩れるのは一瞬なので、常に緊張感をもって仕事に臨んでおります。


Q5.休日はどのようにお過ごしですか。
A5.少し前までは休日は必ず遠出していたのですが、最近は人を自宅に呼んで酒を飲んだり、誰かの家に遊びに行ったりすることが多くなってきました。少し歳をとったせいでしょうか。
 後は、映画を見るのが好きです。一番最近みたのは「探偵はBARにいる」という映画で、大泉洋がはまり役で面白かったです。
 
Q6.弁護士としてお仕事をする上での信条・ポリシーを教えてください。
A6. 弁護士の仕事の多くは書面を書くことと訴訟や交渉の場で話をし、話を聞くことです。書面については、だらだらと長くなるのことに気を付けて、簡潔に、とにかく分かりやすい書面を書くこと、訴状や最終準備書面についてはその事件に関係ない人が書面を見ても事件がよく分かるような書面を書くことを心がけています。
 話をするときも分かりやすく、決して強い口調にならないように、変に相手の感情を逆なですることのないよう穏やかに話すことを気を付けています。
それから、依頼者は悩みを抱えて相談にくるので、少し関係のない話でも出来る限り聞くようにし、親身になって相談に乗ることを心がけています。


Q7.ご依頼者様に対して特に気を付けていることは何ですか。
A7. Q6で述べた以外でいうと、弁護士が入ることで争いごとがより大きくなり解決が大幅に遅れるというのは考えものだと思うときがあります。いくら正当な権利主張だとしても、依頼者が何年もストレスを抱えながら争うことが、必ずしも依頼者にとってプラスになるとは限りません。なので、場合によっては代理人として表にたたず、裏からアドバイスすることもあります。
 また、交渉事では、弁護士が依頼者の意向を相手方にただ伝えているだけでは争いが解決しない場合も多いので、依頼者の利益を最優先に考えつつも、依頼者から独立した立場で考え、アドバイスするという視点は忘れないようにしたいと思っております。


Q8.弁護士として特に関心のある分野は何ですか。
A8.今後も今までやってきた、いわゆる一般民事・家事事件、売買から離婚までの事件は関心を持ってやっていきたいですが、先に述べたとおり行政に関わる仕事は興味深いものがあったので、今後も行政に関係する仕事に関わっていきたいと思っています。
 また、最近興味が出てきたのは、都市計画やまちづくりの分野で、もともと街歩きが好きなので、街の造られ方に興味があり、今後自分も何らかの形で関わっていければと思います。


Q9.今後の弁護士業界の動向はどうなるとお考えでしょうか。
A9.弁護士増員時代を迎え、専門性が必要、とよく言われています。その通りであると思うのですが、私のような田舎の弁護士で雑多な事件をこなしている人間からすれば、ひとつの分野だけに特化する、というのは正直想像がつかない部分もあります。
確かにいろいろやっていく中でこちらのほうが得意というのはあると思いますが、一般民事の弁護士をやるならばでは広く色々なことを経験することが大切だと思います。
それから、今後は「強い弁護士」「強く、はっきりものを言う弁護士」が求められる時代になるのではないでしょうか。企業の法務部に勤めていてアメリカに転勤になった友人が言っていたのですが、日本の弁護士はなかなかはっきり答えを出してくれないが、アメリカの弁護士ははっきり回答を出すといっていました。我々も相談を受けたときに色々な可能性がある、という回答をすることがままありますが、それは決して依頼者の望んでいる答えではありません。依頼者は判断に迷って相談に来ているのだから、これについて明確な回答を与えることがベストです。もちろんリスクは伴うことなのですが、大量増員時代においてはそのような「強い弁護士」に依頼者がつくのではないでしょうか。
いずれにせよ、弁護士増員時代を迎え、今後は競争が激しくなることは間違いないと思いますが、その中でも、先に述べたとおり依頼者から独立した立場で依頼者の利益を考えていくことは決して忘れていけないと思います。


Q10.先生の今後のビジョンを教えてください。
A10.数カ月後に独立し、事務所を経営していくので、まずは事務所の経営を安定させたいと思っています。それから、専門性が叫ばれている時代の流れに逆行するようですが、むしろ分からない分野を出来る限りなくしたいと思っています。自分にとって守りたいと思える人から相談されて「それ専門じゃなくて分からないからほかの弁護士さんに相談した方がいいよ」と回答するのは切ない感じがします。
 
Q11.ページを見ている方々に対してメッセージをお願いします。
A11.日々仕事に関わっていて、もっとはやく相談してくれれば何とかできたのに、ということはよくあります。迷ったら早目に法律の専門家に相談することをおすすめします。
 弁護士というと料金が高いイメージがありますが、今は法テラスの無料相談なんかもありますし、市町村も無料相談をやっていますよ。


Q12.ページを見ている法曹界を目指している方に向けてメッセージをお願いします。
A12. 散々弁護士は大変だと愚痴ってきましたが、やはり非常に素晴らしい仕事だと思っています。弁護士になったことを後悔したことは一度もありません。今は合格率はあがってもロースクールにいかなければならなかったり、3振制度ができたりと、大変な部分はあります。それでも大変な思いをしてなっただけのことはある仕事だと思います。
法曹になったら、大きい事務所に就職しようが結局最後は個人個人がどれだけできるか、個の力の勝負になります。その個の力は法曹になったからといっていきなり身に付くものではなく、やはり司法試験の勉強で身に付くものだと思いますので、今の頑張りは必ず将来につながっているはずです。
それから、一般に、最近の若手は昔よりレベルが落ちたなどといわれ内心悔しい思いをしております。実務家となった皆さんと一緒に実力を磨き、ベテランの先生方をぎゃふんと言わせたいと思っておりますので、一緒に頑張っていきましょう。


<取材学生からのコメント>
 中野先生は埼玉で弁護士活動を行われているということで、埼玉の先生ならではのお話をお伺いすることができました。インタビューも弁護士の魅力だけを述べるのではなくきちんと厳しさ大変さも正直に教えて頂きました。法曹界を目指す方に向けて大変勉強になる記事になったと思います。
 中野先生、お忙しいところ取材にご協力頂きましてありがとうございました。大変楽しく勉強になる時間でした。

専修大学法学部4年 田村菜里美





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