2011年12月09日

<鳳法律事務所 林大悟先生>

photo_hayashi林大悟先生にインタビューをさせて頂きました。


Q1.弁護士になろうと思ったきっかけを教えてください。
A1. たまたまテレビで大型詐欺事件を扱った番組をやっていて、そこに被害者のために奔走する弁護士の姿を見ました。誇れる結果を出していても力不足だったと被害者に謝る姿を見て、正義の味方だと思いました。そのときに漠然と私も同じ道を目指し、人の力になりたいと思ったのがきっかけです。



Q2.弁護士になって特に印象に残っている案件(事件)を教えてください。
A2.クレプトマニアの案件です。クレプトマニアとは常習的な万引き・窃盗行為を主症状とする精神障害です。DSM-IV-TR(医者のマニュアルのようなもの)中には「他のどこにも分類されない衝動制御の障害」で、「窃盗癖」として公式の診断カテゴリーとされています。クレプトマニアの特徴は、個人的に用いるためや、金銭的価値のためでもなく、ただ物を盗もうとする衝動に抵抗できなくなることが繰り替えされることにあります。
 私が担当したのは、万引きで懲役1年6ヶ月・執行猶予3年の判決を受けた専業主婦が、その執行猶予中にスーパーで米や洗剤約1万2千円ほどの商品を万引きし、声を掛けてきた保安員に対し、その手を噛む当の暴行を加え、重症を負わせた事件です。執行猶予中の強盗致傷事件であり、仮釈放を考えても相当長期間刑事施設へ収容されることは避けられない状況だったのですが、このまま起訴されると、量刑があまりにも重くなりすぎてしまうこと、被告人に幼い子供がいることも考慮して起訴猶予処分とするように説得を試みました。処分は障害と窃盗の併合罪での公開請求で、弁護人からみても強盗致傷罪の成立は争えない事案であったことから担当刑事も量刑を配慮したものと思います。最初は私もクレプトマニアについての知識がさほどなかったのですが、その主婦が「自分はおかしい、病気だ、病院に行って診てもらいたい」と泣きながら訴えているのを見て、どこか変だと思い、病院に行くとクレプトマニアだという診断でした。そこから私はその病気について理解し、学び、依頼者を弁護しました。依頼者から手紙で「先生に出会えてよかった」と言ってもらえたときは本当に嬉しかったです。私もこの事件をきっかけにクレプトマニアの案件を述べ20数件担当するまでになりました。
 
Q3.弁護士のお仕事のなかで嬉しかったことは何ですか。
A3.依頼者の方から先生に出会えてよかったと言葉で言われることです。私は客観的満足より主観的満足が大切だと思っています。もちろん結果も出しますが、プロセスも大切なのです、依頼者が、この弁護士は自分の為に最大限やってくれたと感じることがなによりだと思いますね。
 
Q4.弁護士になって一番大変だと感じることは何ですか。
A4.逆に依頼者の方との関係です。 依頼者も問題を抱え、感情的にも精神的にも追い詰められているので平和な気持ちの人はいません。感情が先行している事件も多いですしね。ひとつひとつしっかり説明をしないといけません。例えば、私は満足のいく結果だったと感じた事件でも依頼者の方は不満におもったりすることがあります。逆にそれまでのプロセスで依頼者の心をフォローできていれば、最初に望んだ結果と違っても感謝してくださることもあります。弁護士は何をサービスとして提供するか、依頼者は何を期待しているのか、私は「依頼者の気持ちを平和にする」ことこそが弁護士の役割なのだと思います。なので、私の中では、Q3とQ4はリンクしていますね。

Q5.休日はどのようにお過ごしですか。
A5.子供がうまれたばかりなので子供のものを買いに行ったり、ドライブへ行ったり、家族と過ごすことが多いですね。
 
Q6.弁護士としてお仕事をする上での信条・ポリシーを教えてください。
A6. 依頼者の納得する解決をすることです。裁判の勝ち負けも大切ですが、それが本質ではなく、弁護士は依頼者を言葉で護るのです。依頼者が弁護士に求めるのは納得して、解決することです。戦うのではなく相手を巻き込んで裁判官も代理人も説得の対象です。味方につけ、常に事案の適切な解決は何か良い解決を考え、具体化するにはどうするかを二段階で考えることが大切です。

Q7.ご依頼者様に対して特に気を付けていることは何ですか。
A7. 説明責任を果たすことです。これがQ3、Q4にもつながってきます。弁護士はカウンセラーではありません。しかしその要素は必須です。


Q8.弁護士として特に関心のある分野は何ですか。
A8.今現在たまたま知的財産の事件が多いのもありますが、知的財産の事件に興味があります。
 
Q9.今後の弁護士業界の動向はどうなるとお考えでしょうか。
A9.胡坐をかく時代は終わったというか他の業界の常識を身につけ、顧客対応、広告戦略をしないと生き残れないと思います。今までは弁護士業界は他の業界からは考えられない常識でした。しかし新規参入規制緩和で競争も激化し、不明朗な会計では駄目、マーケティングや広告を取り入れ、依頼者を大切に、といった常識が通用する業界になってきたのだと思います。これは市民からすると歓迎すべきことです。


Q10.先生の今後のビジョンを教えてください。
A10. 法人化して支店展開をしたいです。
地域密着の地域ごとの支店を出して頼れる、信頼される事務所にしたいです。
「あの先生がよかった。」という口コミが最大の広告塔だと思います。


Q11.ページを見ている方々に対してメッセージをお願いします。
A11.まずは悩みを聞かせてください。そのあとで専門的アドバイスをします。はじめは独抜きが必要です。


Q12.ページを見ている法曹界を目指している方に向けてメッセージをお願いします。
A12.弁護士とは何か、法律家とは何か、自分がどういう法律家になりたいか、法律家になって社会に何がしたいのかを常に意識して欲しいです。
 
<取材学生からのコメント>
林先生は埼玉では珍しく、NHKなどのテレビ番組にも出演している先生です。先生の取材へ行かせて頂く前は「クレプトマニア」という名前すら知らなかったのですが、このような病気があること、それで苦しんでいる人がたくさんいることを知りました。「万引き」というと盗みをする人が悪人で、それを取り締まる万引きGメンの姿がテレビではよく映し出されるのですが、盗みたくなくても盗んでしまう、そんな人がいるというのがわかりました。しかもこの症状を持つ患者の9割が女性ということで、同じ女性として、そんな病気で苦しむ女性がいることを今回初めて知り、とても驚きました。先生のインタビューや論文を読ませて頂いて感じたことは、林先生は本当に依頼者の方の為を思って、依頼者の方に寄り添って弁護士活動をされている先生ということです。インタビューの中に「弁護士という文字に現れているように、弁護士の役割は依頼者を言葉で護ること」というのがありました。先生はその弁護士としての役割を本当にされているというのを実感しました。
林先生、先生の取材は大変為になる、学びになる時間でした。お忙しいところありがとうございました。

専修大学法学部4年 田村菜里美




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