<アンダーソン・毛利・友常法律事務所 川村明 先生><弁護士法人おうみ法律事務所 中村明宏先生>

2013年01月11日

<弁護士法人リーガルプロフェッション 高田英典先生>

photo_takada_20130111高田英典先生にインタビューをさせて頂きました。

Q1. なぜ、弁護士になろうと思われたのですか? 
A1. 私はもともと映画が好きで、裁判を扱った映画をきっかけに法曹界に興味を持ちました。
 中学生のとき、陪審員による評議を扱った「十二人の怒れる男」を美術の先生が見せてくれました。誰もが有罪間違いなしと考える父殺しの容疑をかけられた少年の刑事事件なのですが、1人の陪審員が持った疑問をきっかけに、皆が真剣に討論し、最終的には全員が無罪の心証にたどりつきます。とてもスリリングで面白かった。でも「ここにもしヘンリー・フォンダがいなかったら?」…少年は間違いなく有罪です。人が人を裁くことの不確かさを感じました。
大学生のときに見た「アラバマ物語」や「評決」にも影響されました。「アラバマ物語」で、人種差別が根強い年代のアメリカ南部の小さな町で冤罪の黒人青年の弁護を引き受けたグレゴリー・ペックや、「評決」で、医療過誤で評判を落としたくないがためにあの手この手を使う大病院と闘う被害者代理人弁護士のポール・ニューマンに共感しました。
 これらの映画で前提となる不条理は、決して特別な悪人が作り出すものではありません。普通の人間が、当たり前のように作り出すもので、いつの世の中にもたくさんあると思っています。そのような普通の人間が作り出す不条理に毅然と立ち向かう力のある弁護士になりたいと思うようになり、弁護士を目指しました。


Q2. 今までどのようなお仕事をされてきましたか?
また、現在どのようなお仕事をされていますか?
A2. 事務所開設当時は、交通事故、消費者問題、民事介入暴力、多重債務、家事事件、企業倒産などを多く取り扱いました。現在は、事務所の弁護士も増え、労働事件、不動産問題、マンション問題、中小企業法務など様々な案件を取り扱っています。交通事故などの事故賠償事件では宮城県内での取扱件数はトップクラスだと思います。刑事事件は最近はあまり担当していないのですが、自分の原点として取り組んでいきたいと思っています。
 今まで担当した一つ一つの案件に思い入れがありますが、中でも、弁護士3年目のときに引き受けたあるうつ病の方の事件が、私の弁護士としての考え方に影響を与えました。 依頼者の女性は社内でのいじめによりうつ病を発症して休職し、これをきっかけに家庭までもめちゃめちゃになってしまっていました。しかしいじめ行為があったとするときから2年以上を経過し、社内でのいじめを立証するものが何もなく、労災も不支給決定となっていました。依頼者は、労災認定や会社への損害賠償請求は希望せず、ただいじめた社員を相手に慰謝料請求することを希望しました。私は、経済的利益を得る見込みに乏しいと判断し、引き受けられないと言ったのですが、依頼者はその場で過呼吸症状を起こしてしまいました。とにかくびっくりし「引き受けます、引き受けます」と言って受任することになり、調停を申し立てたのですが、相手方は事実を否認し、本人の言い分以外の証拠が何もありません。しかし、体験した事実をまとめた陳述書の作成作業のため、その方から何日もかけて事情を聞き、ずっと話しつづけるうちに、その方が少しずつ元気を取り戻していくのがわかりました。その方に必要だったことはずっと抱え込んでいた自分の思いをすべて吐き出すことだったのだと思います。最後の調停条項は「お互いに残念だったことを認める」という他に見たことのないようなものでした。経済的利益が認められない結果に悔しさを感じましたが、調停室から出た依頼者の方は、この調停条項にとても喜び、「ありがとうございます」と言って抱きついてきてくれました。弁護士の仕事とは経済的な利益を追求することではなく、本当の意味で目の前の人と向き合うということなのだ、と感じた案件でした。

Q3. 弁護士としてお仕事をする上で意識していることは、何ですか。(信条・ポリシーなど)
A3. 依頼者の方の真意を探して真意に沿う解決を図ることと、水準の高い解決を図ることを意識しています。依頼者の方の満足は、依頼者の方の真意や解決水準の高さに裏打ちされたものでなければならないと思っています。
依頼者の方は弁護士に全てを話し尽くせなかったり、弁護士の話したことを全て理解することができなかったりすることがあるかもしれません。依頼者の立場になって、言葉にならない部分、うまく説明できなかった部分、うまく理解できなかった部分も含めて、依頼者の方の立場になって、真意を掬い出すことを心がけています
 特に、調停や訴訟上の和解などの最終解決の段階で依頼者の方に意向を確認するときは、その方の意向が真意に基づいたものなのかをしっかりと確認することが重要だと思っています。裁判所の和解勧告などに対し、依頼者を「説得する」ことが重要という弁護士が多くいます。しかし、大事なことは依頼者の方が自らの客観的状況を理解した上で、真意からその解決を納得することと思っています。弁護士になってから「本当は本意でなかったのに裁判所や弁護士に無理矢理和解させられた」という方の相談を受けることが何度もありました。
また、客観的にはあるべき水準より明らかに低いと思われる解決を「依頼者の了解」を盾に正当化している場面を見かけることがあります。本当に依頼者の方が自分の客観的状況を理解した上で解決を決断されたのかに目を向けることを心がけるとともに、高い水準の解決をすることのできる弁護技術・知識の研鑽を怠らないように努めています。

Q4. 弁護士として特に関心のある分野は何ですか。
A4. 証拠や情報の収集方法に興味を持っています。たとえば、裁判で有効な証拠となり得る資料として、どの機関がどのようなものを所持していてどのようにしたら取得できるのかとか、投資詐欺などで銀行口座にお金を振り込ませるタイプのもので、実行行為者はどこにいる何者なのかをどのように突き止めていくかとか、効果的な強制執行をするための情報をどのように取得するかといったことです。
 弁護士法照会、裁判所での調査嘱託・文書送付嘱託、検察庁への刑事記録の閲覧謄写請求、情報公開請求などを有効に活用することを常に心がけています。私は、仙台弁護士会内では、弁護士法照会や検察庁への刑事記録の閲覧謄写請求については非常に厳しい対応することで知られていると思います。他の弁護士に依頼していて回収できなかった依頼者の事件で、新しい情報獲得技術を駆使した結果、強制執行が奏功したときは充実感を感じます。
 こういった証拠や情報の収集方法に積極的に目を向け、個別の事件を解決していく中で、最先端の証拠や情報収集方法を切り開いていきたいと思っています。

Q5. 法曹界を目指している方に向けてのアドバイス等をお願いします。
A5. 今は法曹を目指すにはあまりに制度が壊れてしまい、弁護士を志望する人も激減していると聞いています。確かに、現行の制度で弁護士を目指すのは不安であって当然と思います。しかし、本当に「弁護士」という仕事に対する熱い想いがあり、誰よりも真剣に依頼者と向き合うことができれば、きっと弁護士になった後は、充実した毎日を送ることができるものと思います。
 また、学生時代には是非、法律の勉強以外の世界にも目を向けてみて下さい。実際の裁判の世界では、法律の解釈論ではなく事実認定で決まることがほとんどです。事務所の弁護士には、事実を多角的にみてその事実から更に掘り下げられる点を探すことや、普段から人を知り、世の中を知るように心がけることをお願いしています。法制度の知識や立証する技術を持つことは当然ですが、事実や社会に対する見識を深めることもまた同様に大事であると思っています。これから法曹界を目指す皆さんは、興味があることには積極的に取り組み、できるだけいろいろな人と出会い、様々な世界を知って下さい。どんな経験も、きっと弁護士になってから活かされると思います。


<取材学生からのコメント>
映画をきっかけに法曹に興味を持たれたという高田先生のお話は、Q1.からとても盛り上がりました。「十二人の怒れる男」や「評決」といった司法を舞台とした映画は、弁護士の先生方へのインタビューでも話題に挙がることが多く、私自身、弁護士列伝の取材の中で、先生方に勧められて見たものもあります。高田先生が感じられた「誰かが声をあげなければ守れないものがある」という思いは、Q3.でお話頂いた、「依頼者の言葉にならない真意を見逃さない」という姿勢にも通じているのかもしれないと思いました。また、Q2.のうつ病の方の事件はとても感動的で、本当の意味で弁護士の先生方が依頼者の方を「救う」というのは、裁判に勝つことや、利益を追求することではなく、「心を救う」ことなのだなと感じました。Q4.でお話し頂いた証拠収集、情報収集についてのお話も、とても興味深かったです。高田先生、お忙しい中、インタビューをお受け下さり、誠にありがとうございました。

武蔵大学社会学部3年柳田香帆


 


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