初めまして、弁論部3年の亀岡です。

新入生の皆さんは入学おめでとう。難関な入試を乗り越えて弁論部にも興味をもってくれるのは非常に殊勝なことだと思います。入試のための勉強からとうとう大学といういい意味でよくわからない世界にきた人に日吉の2年間が終えてとうとう3年になる自分からこの時期に心得て置くことと、おすすめの本を紹介します。

まず、これから日吉キャンパスにくる人々は以下のような話を耳にすると思います。
①「別にすべての授業に出なくていい」
②「ノートを借りてテストに望めば、単位は来る」
③「世の中、大学に入ったらコミュ力勝負。だから勉強なんてしなくていい」
④「やはり〇〇大学の△△学部のほうがいい。慶大はダメだ」
などなど

これらの言葉は半分真理で、半分間違っていると経験的に思いました。

①自分もたまにはサボることもあったのでなんとも言えませんが、自分が大学で勉強していくなかで、「この授業だけは出たい、単位にならなくてもいいから出てみたい、興味がある」と思えるような授業をシラバスや学部の単位認定に振り回されずに調べて出るといいと思います。大学の先生はむしろ歓迎するでしょう。つまらなくて必修の場合は、なるべく出ると心がけるくらいでいいと思います。つまらないものはつまらないと切ることも絶対悪ではないです。では、必修にもかかわらず、授業に出なかったときはどうするか。

②ここで、ノートを借りる上で経験的に注意することがあります。それは人から借りても大してわからないということ。なぜなら、高校とは違って、当たり前の型があるとは限らないからです。僕は法学部法律学科に属しているので、某サークルのシケタイ(これからわかります)などが試験期間になると周りが持ち始めます。ただ、経験的に言うと、案外あてにならないです。誤字や脱字、論理飛躍の甚だしいものもなくはない。過去問をもらっても、そこに回答があるわけではないので、どうしてもわからないことが多いです。教授もそれを知っているので、わざと授業に出た人しかわからないような問題を作りることもあります(実話)。解決する方法はただ一つで、自分なりにノートを作るということです。結局、授業も出ろということになるんだけどね。でも、出てなくても、友達と試験勉強期間に一緒に勉強するようになると思うので、そのときに教えてもらうことが一番いいでしょう。特に教える側は頭の整理になるので、教授になったつもりで教えてやりましょう。必ず単位がきます。もしかしたらA評価で。

③コミュ力勝負とは言われて久しいですね。まぁ、弁論部に入るといやでも意見を言わなきゃいけないので、論理的に話す力はつくでしょう。コミュ力って一般的には場を盛り上げたり、人を楽しませたりするような力と思われますが、そのような力だけでは人と本腰入れて話すことはできないでしょう。無理に自分を殺して他人に合わせるよりは自分は弁論部で得た仲間としゃべっているほうがよかったです。そうしているうちに、だんだんしゃべれるようになります。でも、論理的に話すということに関しては飲み会に行ったり、友達と盛り上げっていればつくようなものでもないので、その場合は、弁論部みたいなサークルは非常にいいところでしょう。あと、コミュ力って大学生の間でしか通じない点があるので注意。大人と話すときは敬語をある程度つたなくてもいいのでつかえたほうがいいでしょう。

④これは当てはまる人が少しはいるのではないでしょうか。特に、国公立の大学を落ちた人には。僕は国立市にある大学の法学部に落ちているので気持ちはわかります。ほかにも、東京の文京区あたりにある大学や京都のほうにある大学に落ちてしぶしぶこの大学にくる人もいるでしょう。でも、いったん考えてほしい。鬱々とする前に自分の大学の良さなどをしばらくは感じてみてほしい。「雑音しかない日吉なんかいやだ」、「本当は今頃、あの大学で学生していんだろうな」とか、思う気持ちはわかりますが、案外、この大学も捨てたものではないですよ。自分も一時期そのように思った時もありました。でも、少人数授業で仲良くなった教授や友人、サークルで出会ったOBや先輩、同期の関係は今では代えがたいものなっています。では、このような関係や経験はじっとしていれば得られるかというと、そうではない。「くそっ、なんでこんな大学に」と思いながらでもいい、「自分はこの大学にはもったいない人材だ」と信じてもいい、とにかく行動してみてください。すると必ず、「この人にはかなわない」と思える人に会えます。ここの大学に来るくらいだから、高校のときはさぞ、周りからできる人扱いを受けていたと思います。それでも、自分の上にはまだ人がいると感じます(もし感じず、名実ともに自分が上になるならその時には大学の肩書なんてどうでもよくなっている)。そんな人に会いながら生活するのか、鬱々としながら過ごすのかで大きく変わるでしょう。大学という世界は広いです。ぜひ、今までの自分の肩書などを振り捨てて人と学問に交わって行ってほしいですね。それでもだめなら仮面浪人でも、中退でもするといいと思います。
ちなみに、ゼミの教授曰く、「慶大を出てなれない職業は東大教授か公法学会の会長くらい」と言ってました 笑

長々と書いてしましましたが、新入生の皆様にはこれから希望をもって学生生活を送ってほしい。皆さんは第一志望には落ちたかもしれませんが、それでも選ばれた人物なのですから。せっかくの「慶應生」という肩書を使わなきゃ損です。ぜひ、様々な活動にコミットしてください。その際に、弁論部の門をたたいてくれることを願っています。新歓の期間やイベントでお会いできるのを楽しみにしています。

あと、最後に新入生に送る本の紹介

『思考の整理学』 著・外山滋比古 ちくま文庫
これは今までの受験勉強から大学での学問への橋渡しをするために必要なエッセンスが書いてあります。特に大学生の集大成として論文を書くときに、1年から考え、この本の中にある思考整理をするとおのずと問題意識や読むべき本などがわかるでしょう。漫然と学生生活を送らないためにも必要な本か。ブックオフ等で買うべし。

『これからを生き抜くために大学時代にすべきこと』 著・許光俊 ポプラ社
大学生になったらどう生きるか。大学時代の勉強、サークル、アルバイト、恋愛などについて書いてあります。著者の許先生は慶大で文学の授業や少人数授業をもっているので興味ある方はそちらもどうぞ。なかなかこの本は評判がいいそうです。

『知的生活の方法』 著・渡部昇一 講談社現代新書
この本はどちらかというと学者になりたい、アカデミックに生きたいという人向けです。「貧乏でも本は買うべし」、「散歩をするべし」、「勉強するなら日本酒よりワインを飲め」などなどと渡部氏の経験から書かれたユニークでありかつ実利的な学問案内です。これはぜひお勧めします。

これからも折あるごとに本の紹介をしていくつもりです。せっかくの大学生としての時間ですから、勉強も遊びも充実させていってください。弁論部はそういう意味でもいいところだと思いますよ。