ウイズおじさんの小屋は瓦礫の山となっていた。私が今まで遊んでいた場所は......もうなかった。


空は黒いバルーンで埋め尽くされ瓦礫の中から探し物をしている無数の骸骨とマントを羽織った女性の姿が見える。


「いいか、ここにある筈なのだ。絶対に見つけ出せ!」


(な...何を言ってるの? 何かを探してる??)

木の影に隠れて私は様子を伺ってるが...何がなんだか全く状況が掴めない。


そんな時、私の口が大きな手によって塞がれる



(...............!?......!!!んんんーーーーー)


「しーーーー、静かにせい」


「ぷは.....ウィズおじさん? 良かった。 無事だったんだね」


ウィズおじさんの姿を見て安心する。

おじさんの着ているコートはボロボロだけど、見たところ大きな怪我もないようだ。


「こうなることは分かっていた....じゃが....時が早すぎる」


「分かってた....??」


ウィズおじさんがアチャコの肩を掴み、力強い視線で話し出す。


「いいか、アチャコ。わしが時間を稼ぐ。お主は早くここから逃げるんじゃ。この音を聞いて村から部隊がやってきているはず...そこまで一気に駆け抜けぃ。逃げ足の速さはお主の自慢じゃろ?」


「え...やだよ...おじさんも一緒じゃなきゃ、やだ ...


「奴らの狙いはわしじゃ。わしが出ていけばそれ以上の追跡はせんじゃろう。お主は賢い子じゃ.... 分かるじゃろ?」


「でも....でも....

私にはおじさんを残して逃げることなんて、できない


そんな気持ちを察したのか、おじさんはコートの中から何かを取り出し…


「これをやろう」


そう言って、アチャコの首にそっとかけた。

銀色の縁に黒い宝石のようなものがはめ込まれたペンダントだった。


「お主の願いを叶えてくれる御守りじゃ。お主を必ず守ってくれる。さあ、時間じゃ。行けるか?」


「うん...うん.....

私は、もう、頷くことしかできなかった。おじさんの覚悟を…知ってしまったから


「ほらほら....今生の別れではない。きっとまた会える。だから、いつもみたいに出かけておくれ」


ウィズおじさんが優しく微笑む。だから、私もいつものように笑う。


「うん.....ウィズおじさん.......また ....ね」



私は駆け出した。振り返らなかった。


いつもは出かけても振り返らないから。


それと涙でぐしゃぐしゃの顔を見せたくなかったから。





後ろでまた、大きな音がした。


続く