日曜日は、ムダに下北をプラプラしていた。
どれくらいムダにプラプラしていたかと言うと、彼是3時間くらいプラプラしていた。

買いたいものがあるんならいいよ。ありません。よって、ただぐるぐる街を徘徊することになるんだね。

何故買いたいものもないのに3時間もプラプラしたのかというと、相方を待っていたんだね。美容院に行くというから。
カットのみならだいたい1時間くらいで終わるから、じゃぁ、適当に店に入るなり、カッフェーに行くなりすればいいだろう、と思っていたんだね。

しかし。

「パーマを勧められたから、終わるの16時すぎになっちゃいます」

と、悪魔のメールが。

おいおい、そんなに暇は潰せねーよ?てか、その時30分たっていたのだが、あたしの徘徊はすでにクライマックスを迎えていた。要するにもう用事がない状態。

「じゃぁ帰ろうかね」

とメールしたものの、用事もないのについていったのに、一人で先に帰るなんてアホだ。ムダだ。
そう思ったので、ただなんとなく負けたくない気持ちだけで下北にとどまった。

して、適当に服屋さんに入った。

とりたてて買うものもないから、服を見ても、なかなかハンターの目にはならず、とあるTシャツを見るともなく見ていた。ら。

「それ、カワイイですよね〜」と店員が寄ってきた。

「はぁ」
そんな切り口で寄ってこられて、果たして買う気になったことがあったか。いや、ない。大体、「カワイイ」と思って見ていない。だから賛同できない。でも、
「別にカワイイとは思っていません」と言うのもトゲトゲしい。
するとやっぱり「はぁ」という返答になる。

「そのデザインなんですけどぉ、『世界のシャショーから』っていうコンセプトなんです」

「はぁ。・・・・え?ブフゥ!(吹き出す)」

この店員、今なんつった?
『世界のシャショーから』。
え?
『世界のシャソウから』じゃなくて?

「パっと見、わかりにくいんですけどぉ、このデザイン、街をイメージしてるんですよぉ。とある街なんですけどぉ。もう『世界のシャショーから』って感じです」

やっぱ「シャショー」って言っとる!逆に言いにくいのに!
『世界の車窓から』もとい、『世界の車掌から』!
「あちらの男性からです」バーの店員にそう言われ、カウンターの隅をみると、そこには国際的な車掌が!ああ、世界の車掌から!!

あたしは短時間で妄想がふくらみ、笑いをこらえきれなくてニヤニヤしてしまった。しかし、店員、そのあたしの笑いをTシャツに対する思いの現われだと勘違いし、猛烈にアピールしてくる。
「そう思いませんか?『世界のシャショーから』ですよ、まさに〜」


そういえば『世界の車窓から』のナレーション、石丸謙次郎ときたろうの区別がつかないなぁ、区別がつかないと言えば、岡田監督と千石先生の区別もつかないけども、と、またどうでもいいことが頭に浮かぶのみであった。
果たしてそんなアホな店員からTシャツを買うわけもなく、あたしはその店を後にしたのである。

その後は、というと、オシャレなカッフェーに入る勇気もなく、ただただ道を歩き回り、「科学くん」のお店(勝手にそう呼んでいるけど店の名前なんだっけ?)で、ビーカーやら薬瓶を、いやらしい目で眺めるしかなかった。