今日はヴァレンタインデーと云うやつで、殿方達は
「一個ももらえなかったらどうしよう」と戦々恐々としながら今日を過ごしたのであろうが、女性だってイヤな日には違いない。

「ヤバイ。今年もまた一個もあげる人がいない」

まったくイヤな日だぜべいべー。
私はチョコが大好きなのでそんな大好きなものをわざわざ人にくれてやるってのもイヤだと思う理由の一つである。

んまぁもういい大人なので、
「そんな菓子業界が仕立て上げたイベントなんかに乗らねぇぜ」とか高校生のモテない男子が言うようなセリフは吐かず、

「そうさなぁ、今日はシチューでもこさえるか」
と思いながらいそいそと帰宅したわけだ。

が。

「しまった鶏の肉を買っていない」

他の材料はすでに家に揃っているので、鶏の肉だけ八日堂に買いに行くのは面倒な話である。

「しまった。あ、そうだ。松牛にしよう(即決)」

私は松屋のことを松牛と言うくせがあり、常としてこの言葉を使っているが、
誰もマネしてくれない。

それはいいとして、自転車を店の脇に停め、松牛の扉を開けて気が付いた。

「うわ、私、ヴァレンタインデーに松牛て」

しかしもう引き返せない。(ここで、確か去年もそうだった気がすると思い驚愕する)
震える手で千円札を自販機に吸い込ませ「弁当」という文字を押し、
「牛めし(並)」「生野菜」「キムチ」を選択した。

持ち帰りカウンターで出てきたお茶が涙を誘う。
しかし、席に座り弁当を待っている間、何か店の中に不思議な一体感があった。
店には10人くらいの客がいたが、全員男性。
皆うつむいて牛めしを食らっている。

「いいぞいいぞ!君ら最高だ!おまいらまとめて愛してやってもいいぞ!」

とヘンな母性がヘンなタイミングで働いた私はイカレている。
 

母さん、東京はまだまだ寒いです。