2012年01月29日

成田山登山

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 寺院の山号は「比叡山延暦寺」のように山名と一致していることもあるが、そこに山があるとはかぎらない。「金龍山浅草寺」といっても金龍山という名前の山が聳えたっているわけではない。

 では関東屈指の名刹・成田山新勝寺はどうだろうか。「成田山」という山があるだろうか。残念ながら成田山のある北総は山と呼べるような山がない。成田市の最高地点は成田空港近くの台地で標高約40m程度しかない。成田山には成田山公園があって、それなりの起伏があってハイキング気分は楽しめるが、園内を周遊しても登山とはいえないだろう。

 登山というからには頂上を目指して山頂の標識にタッチするなり、他に高いもののない最高地点を踏みしめるなりしないと登ったという気がしないだろう。日本や台湾の山の頂には測量で使われる三角点の標石が埋設されていることが多く、それがあると山に登ったという実感を伴わせてくれる。

 実は国土地理院の2万5千分の1地形図を見ると、成田山の境内に35.9mの三角点があるのがわかる。大学生の時に発見してずっとその存在が気になっていて、その後何度も参拝する機会がありながらそれを確かめずじまいであった。

 今回、帰国して午前中ちょっと時間があったので自転車で成田山に「登山」に行ってみることにした。旧正月とはいえ、まだまだ臨時列車や観光バスで団体で初詣にやってくる団体さんは多い。周辺は路駐なんか絶対無理だし、駐車場は1000円くらいする。だったら機動力のある自転車で行くしかない。かなり着込んで行ったが手足がかじかんだ。成田は意外とアップダウンがきつく、ダウンジャケットの下にうっすらと汗をかくほどだ。

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 適当な場所に駐輪し、境内に入る。まずは本堂で参拝。自分も遅ればせながらの初詣だ。

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 今回は三角点に近い、駐車場と売店の密集するあたりから入ったので、正規ルートの大門は通っていない。

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 さて、そろそろ三角点を目指そう。本堂を正面に左手、休憩舎のほうに歩き出す。

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 方向を指し示す標識。なんか登山っぽくなってきたぞ。「出世稲荷」のほうへ進もう。

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 三角点は稲荷神社のまん前にある。この石段を上がっていく。

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 上りきった所でもう一方の売店がならぶ階段と合流する。

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 出世稲荷は早朝にも関わらず参拝客が訪れていた。

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 三角点だが、上画像の右側の大木の付近にある。いつもは出ていない屋台が邪魔だ。稲荷神社にお供えする油揚げ売りや屋台の準備の人の目が気になって、堂々と石の柵を越えて行くのは憚られる。柵といっても寄進した人の名前や法人名が刻んである石碑も同然なので、足で踏みつけて越えるのはあまりよくなかろう。

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 三角点は柵の向こうの林にあるのが外からもわかった。しかしどうやったら石柵の向こう側にいけるのか。稲荷神社を過ぎてお地蔵さんがまつってある辺りにいったが、柵は途切れておらず、より高い塀になった。手水の前には「成田山の森に狸さんがすんでいます。やさしく仲良くしましょう」という立て札があった。お稲荷さんの前の森には狸というのが面白い。「成田山の森」というのも山名みたいでいい。四国の「瓶ヶ森」「東黒森」はちゃんとした山名であるし。

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 柵がちょっと越えやすくなっている箇所を見つけて林に入る。昼間の参拝客の多い時間ならできなかっただろう。竹林と針葉樹の林には水道管かなんかのパイプが走っており、屋台の裏には投棄されたごみも。ごみを捨てる輩の行為に比べたら三角点探訪なんか怪しいけれどまだかわいいものだと思う。表から見た大木の根元に白く塗られた木の「三角点」の標柱が見えた。

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 三等三角点の標石は新しく埋設されたもののようで、「三等」の文字が一般的には「等三」と右から書き始める旧式のものが多いのに対し、ここのは左から「三等」と書く新しいものだった。下のほうは土に埋もれて見えない。

 三角点好き、低山クライマーとしては、地元観光関係者、新勝寺関係者にお願いしたい。この標石は好きな人にはたまらなく魅力的なもので、柵の外から見るだけでなく、なんとしてもジカに触って写真を撮りたくなるものだ。だから三角点まで堂々と気軽に行けるよう周辺を整備してほしい。できれば、あの周辺を「成田山」という山の山頂として地図に記載し、参拝客、観光客だけでなく、ハイカーも目的地として訪れてくれるように整備してはいかがだろうか。そうすれば「佐原三山」や東庄の丘陵以外に山らしい山のない北総にちょっとした「山岳」ができる。潜在的集客力を秘めた宝を埋もれさせておくのは成田山にとってもったいないことだ。

















beywak at 23:02│Comments(0)TrackBack(0)一月一座(ひとつきいちざ) 

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