前回のブログで、双極性障害の自己管理で病相後における機能の低下を防ぐには瞑想が良いと述べたが、瞑想の様々な効果はこれまでに多くの学者によって確認され報告されているのであった。

これまでの瞑想の脳への効果を要約すると、感情や気分のコントロール能力の向上、免疫機能の調整、抗酸化活性を高める、ストレス誘発コルチゾールの分泌を減らす、ストレスなどの脳への刺激に対してにバランスが取れた応答が可能になる、ストレスレベルの低下、ストレスの解消、肯定的な感情や高次の感情を育む、神経回路網を強化する、認知予備能力や認知機能を高める、注意力や集中力が高まる、瞑想をマスターした人の脳波所見では前頭部のθ波が増す(=リラクゼーションの状態にある)、PTSDの症状を緩和させる、など、様々なすばらしい効果が報告されている。瞑想にてADHDの症状までも良くなっていくらしい(ADHDの児童が瞑想できるのかは疑問だが、私のような大人になったADHDのケースならば可能かも。汗;)。
 
とにかく瞑想は脳に非常にいいのであった。

今回は瞑想の脳への効果についての新しい論文を一つ紹介したいと思う。

「瞑想実践者の脳のユニークな解剖学的所見。脳皮質のGyrificationの変化」
「The Unique Brain Anatomy of Meditation Practitioners: Alterations in Cortical Gyrification」

これまで報告された瞑想の脳への神経組織学的な効果としては、シナプスの可塑性が増す、脳の密度や容積を増やす、BDNFが上昇する(神経保護作用がある)、加齢による脳容積の減少を防止する、などが報告されている。これま脳容積の増加が報告された脳の部位としては、海馬、(右)眼窩前頭皮質、(右)視床と(左)下側頭回内大脳基底核、などが報告されている。そして、この論文の著者らは瞑想によってgyrificationが増えることをも見出し(gyrificationとは脳皮質を折りたたんでいくこと。灰白質の総面積が増えることになる?)、しかもこれまでは報告されていなかった脳の部位、特に、という脳の神秘的な部位でgyrificationという現象が活発に起きていることを見出したのであった。

島 


被験者は50名(20年間以上瞑想を実践し、瞑想マスターと呼べるような方々)。対象50名。瞑想マスターの方々の瞑想のスタイルは以下のように様々である。
 
サマタSamatha
ヴィパッサナーVipassan
禅Zen
クリヤKriya
チベット仏教瞑想Tibetan Buddhist Meditation
ラジャヨガ瞑想Raja Yoga Meditation
マインドフルネス瞑想Mindfulness Meditation
仏教瞑想Buddhist Meditation
ゾクチェンDzogchen
観音Chenrezig
クンダリーニKundalini

瞑想の回数は週に1~7回。1回の瞑想時間は10分~240分(1週間に40分間が瞑想としての実践時間の最小値だった)。MRI画像よりgyrificationを評価した。瞑想によってgyrificationの増加は、脳の多くの部位で認めたが、特に、左中心前回右紡錘状回右楔状部両側前方背側島で著明であった。島は特に最大のgyrificationの増加を認めた。右側の前方背側島が最も顕著な増加であった。なお、瞑想年数と島のgyrificationの量の間には正の相関があった。

瞑想にて内省力、意識や感情のコントロール能力、自律機能をマスターした人への現象であることから、島のgyrificationの増加は、自律機能・情動・認知を統合する能力が増大した結果かもしれない。右前方背側島は、central-executiveとdefault-mode networkのスイッチの切り替えに関係している(脳をいろんなモードに切り替える機能ということか?)。さらに、島は、空想、心の解放、過去や未来への投影、気晴らしといったことに影響を与え、痛覚、内臓感覚などのいろいろな感覚、社会への感覚、自己の脳の状態の感覚(注:気分や感情。例えば、憂うつだ、悲しい、不安だ、といった自分の心の状態を認識する)をも司っており、島は感情、自律神経、認知機能を統合するためのハブの役割を有している。

島のgyrificationの増加は、島自体の機能である脳の中のハブとしての機能が高まることを意味し、感情などのいろんな脳の機能や事象を自己調整する能力が高まることを意味している(注: 例えるならば、飛行機の航路を継ぐハブ飛行場かも。脳の中のハブとしての機能が高まるということは、脳における情報処理の中継基地としての機能が高まるという意味だろうか?)。

その他、左中心前回のgyrificationの増加は運動能力の向上に関係し、右楔状回や右紡錘状回は視覚認知の向上に関連していると思われる。スポーツ選手が何度もイメージトレーニングをすることは、運動機能や視覚認識力を高めることに結びつくのであろうが、これはまさに瞑想の効果と同じなのであろう。

瞑想で島という神秘的な脳のgyrificationが増えていく。これはまさに、フラクタル幾何学のように無限大に精神が深まっていくようなイメージに思える。瞑想することは脳という広大な宇宙の中を旅し、脳という宇宙空間を無限の彼方まで広げていくことになるのであろう。

瞑想をする。なんてすばらしいことなのだ。

(今回は以下の論文なども参考にしております)

最後に、瞑想法はいろいろあるようですが、瞑想を自ら20年以上実践し、瞑想マスターという段階になられているような方々から直接教わるのがいいかと思います。瞑想関係の本を読むのもいいと思いますが、ここで注意した方がいいと思われることがあります。何冊も本を書いているような脳科学者が書いた瞑想の本ではダメだと思えることです。彼らはきっと20年以上瞑想を実践した経験はないでしょうし、瞑想マスターとは言えないと思えるからです。奥義は奥義を極めた人物からでしか伝授されない。これは拳法だけでなく瞑想においても同じだと思えます。

一般市民の洗脳に余念がない脳科学者の皆様。瞑想の本も書いているようですが、本を書く暇があるのならば瞑想マスターに従事して、20年以上瞑想を実践し本物のマスターになられてから本当の瞑想の本を書いてくださいね。


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