(前回の続きである)

カンナビノイドの闇の部分

マリファナはかっては安全で身体依存の形成はなく、あるとしても軽度の精神依存だけであり、しかも有害な物質ではないと考えられてきた。そのため今でも多くの若者が大麻をレクレーションとして利用してもいいと考えている。アメリカのある調査では62%の若者がそのように回答した。そして、アメリカではハイスクールの約40%の生徒(12年生)がマリファナを試しているという調査結果もある。さらに、禁煙社会となり、タバコよりもマリファナの使用が一般的になっているようでもあり、それが若者での大麻の使用増加に結びついている。

今の半数以上の若者がマリファナに関しては安全だと思い試してみても良いと考えているのであった。 

しかし、その後の研究によって、マリファナには様々な有害事象があることが判明した。マリファナの使用者の全てがそうなる訳ではないが、マリファナには以下のような有害作用があることが判明している。

統合失調症を誘発(マリファナ使用者は統合失調症の発病率が高く、しかも発病年齢が早まる。特に思春期の使用は危険である)、
精神疾患を有する者が使用した後の精神疾患の悪化や再発(統合失調症では幻覚や妄想などの陽性症状が悪化する)、
知能の低下をきたす

などが最近になって判明した。知能の低下に関しては、大麻の使用者の脳の形態学的検査では、灰白質の容積の減少を認めた。さらに、早期使用者(17歳前)はそれ以外の使用者に比べて、知能指数の有意な低下を認めた。特に、早期思春期の大麻使用者(15歳前)では、前頭葉の機能検査で低い点数を示した。前頭葉は人間で一番大切な脳である。大麻は前頭前野皮質の機能不全をきたし前頭葉の発達も阻害される。そして、知能の低下は成人後も続いた。これは思春期の大麻の使用が永続的な認知障害につながる危険性を示唆する。思春期の大麻の使用は非常に危険なのである。さらに、大麻の使用は、その後の人生におけるアルコール乱用やうつ病の発症などにも関連していることが示されている。イギリスの調査では、重度の精神疾患を持つ患者の20~70%が大麻を使用しているという調査結果もある。そしてこれまでの調査では、大麻の使用は精神疾患の予後が不良となることを示唆し、自殺、暴力、犯罪行為のリスクへと結びついているのであった。大麻の使用は死を早めるのだと言えよう。

ラットにおける実験では、母性を剥奪された生育環境に育ったラットの場合は報酬系に機能不全をきたし続けるようだ。そして、母性が十分に与えられた正常な生育環境で育ったラットではカンナビノイド(THC)の暴露は報酬系の機能異常をきたすが、逆に、母性が欠如した生育環境に育ったラットの場合はTHCによって報酬系の機能不全が改善するという逆の結果が得られている。これを人間社会に当てはめてみると、母性が欠如して育った人間ではカンナビノイド以外ではもやは報酬系が満たされることがないのかもしれない。母も共働きのため忙しく満足に母性を与えらずに育つ今の子供達は、母性欠如や虐待のような環境の中で育った宿命が故に、報酬系が機能不全のままになっており、何をやっても心が満たされず、本能的にカンナビノイドの必要性を感じ続けており、大麻の使用で生まれて初めて心が満たされ、それがきかっけになって大麻を求め続けるようになってしまうのかもしれない。もし、そうだとしたら、現代社会は余りにも悲しい社会ではないか。大麻の使用を肯定する意見の若者達は、母性が欠如した生育環境で育った結果なのかもしれないのであった(涙)。

一方、合成カンナビノイドは2004年頃からネットで発売され始めた。「スパイス」、「アロマ」、「K2」、「ドリーム」、「ユカタンファイアー」などの様々なブランド名でハーブとして発売されて2007年頃にはいっきに市場が拡大した。その種類は140以上にも上る。

脱法ハーブの主成分は元はと言えば医薬品開発の過程で人工的に合成され発見された多くのカンナビノイド化合物である。

合成カンナビノイド化合物はもっぱら中国、インドなどで密造されているようである(ほとんどが中国らしい)。中国はとんでもない悪い国である。裏で何をしているのか本当に分からない最低の国である。合成カンナビノイドの原料となる大麻は中央アジアの国が栽培したものらしい。アフガニスタンも大麻の栽培に絡んでいる。そして、次のステップとして、イギリスオーストラリアケイマン諸島などの国の販売会社がネットで中国の会社に発注した合成カンナビノイドを入手する。それを隠れ倉庫などを利用して製品として加工している。その倉庫はまるで秘密組織のアジトのようであったというレポートがネットに掲載されている。オーストラリアでは中国から入手した合成カンナビノイドを基に、ドラッグデザイナーが別の化学反応のステップを加えて、さらなる新しいカンナビノイド化合物を合成しているらしい。新しい合成カンナビノイドはこのようにして次々に作られていく。合成カンナビノイドはデザイナードラッグとも言われる。

脱法ハーブの作り方。

http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=mEAYkhdvbIQ
(この動画で使用されたAM2201についてはhttp://en.wikipedia.org/wiki/AM-2201

スパイスの主成分は発売当初は特定できなかったが、2008年にスパイスには2つの合成カンナビノイドが主成分として含まれていることが判明した。CP-47,497-C8JWH-018と呼ばれるcannabimimetic aminoalkylindoleである。これらは、カンナビノイド受容体に対してはTHCよりもはるかに高親和性を有するアゴニストとして作用する。その後、脱法ハーブには非常に多種にわたる新しい合成カンナビノイが多種の製品にブレンドされて含まれていることが判明した。ちなみにスパイス・ダイアモンドという製品には41種もの合成カンナビノイドが含まれている。(なお、CP-47,497-C8は1970年代にファイザー製薬によって初めて合成されている。)

カンナビノイド











そして、今では、ユーザーが自分自身でそういった合成カンナビノイを自由に選択してブレンドしてネット上で注文できるのである。どんなに危険なものかを理解せずに自分勝手に合成カンナビノイドを選ぶのである。ユーザーは無知である。ハーブというイメージに誤魔化されて、自然で安全なものだと思い込んでいる。無知ほど怖いものはない。さらに外国では、コンビニ、ガソリンスタンドなどでも売られており、誰もが手軽に買えるのであった。値段も5~50$と安い値段である。

今では、化学式が同定された合成カンナビノイドの多くは法律で規制された。しかし、まだ、規制されていない合成カンナビノイドも多くあり、さらに、市場にはまだ投入されていない合成カンナビノイドも既に準備されているようだ。化学式をほんの少し変えれば法の規制外となってしまう。とにかく法律が追い付いていないのである。

(こちらのケイマンという化学会社は合成カンナビノイドと戦っております。ケイマン諸島とは関係がありません。合成カンナビノイドの販売だけでなく、検査キットも開発しております。さらに合成カンナビノイドの最新のリストを掲載して啓蒙に努めております。しかし、何か怪しいなあ。こっそり中国や脱法ハーブ業者に売ったりしていないとは限らないし。)
https://www.caymanchem.com/app/template/landing,SyntheticCannabinoids.vm

ここで1つの疑問がある。なぜそのような化合物が急激に2007年頃からいっきに大量に出回ったのかということである。大量に生産されていないと世界中にいっきに出回るのは不可能である。しかし、売れるとは分からないものを大量に生産するであろうか。誰かが市場に出回る前に既に大量に合成カンナビノイドを作っていた疑いがある。そう、製薬会社である。

脱法ハーブは医薬品になるはずだった化合物である。
普通ならば廃棄処分にされるはずである。しかし、医薬品にはならないと分かった時点で大量に余った合成カンナビノイドは廃棄処分とはならずに闇市場に横流しされたのではなかろうか。さらに、製薬会社の機密データであるはずの合成や精製に関するノウハウが中国の密造会社に流れ、医薬品を作るための原料だった大麻樹脂なども中国の密造会社に転売されて、カンナビノイド化合物として再利用されたのではなかろうか。中国の密造業者がそんな何種類ものカンナビノイド化合物を化学合成するようなノウハウを持っているのであろうか。カンナビノイド化合物から医薬品を作ろうとしていた製薬会社や大学関係者が中国にデータを売り、それをもとに中国が密造しているとも限らないと思えるのであった。
(製薬会社の名誉を損なうことはしたくはないので、あくまで私個人の勝手な疑念に過ぎないことを付け加えておきます)

(さらに次回に続く)
カイオウ