炎症と双極性障害

 最近、精神疾患と炎症との関連性を示す論文が急激に増えている。しかも、炎症は、中枢神経系にのみ限局したような炎症ではなく、消化器系の炎症や他の部位の感染症といった中枢神経系以外に由来する炎症が強く関与していることが分かってきている。精神疾患の根本的な原因は中枢神経系ではない可能性もあるのである。このような見地から、今では、精神疾患の予防や予後管理においては、身体の全ての部位における炎症をどのように抑えていくべきかが極めて重要なテーマになると認識され始めてきている。
 
 今回は、精神疾患の中でも、双極性障害(BD)に的を絞って、双極性障害と炎症との関連性に関する最近の論文や知見を紹介したい。

 前書きで述べたように、まず、消化管の炎症が双極性障害では大きく関与している可能性がある。昨年度の12月に双極性障害と消化管における炎症との関連性を示唆する論文が発表された。その論文によれば、消化管の炎症のマーカーとなる抗サッカロマイセス・セレビシエ抗体(anti-Saccharomyces cerevisiae antibodies、ASCA)を双極性障害(BD)で上昇していないかを調べたのであるが、その結果、最近発病したBDのケースでは、ASCAが健常者と比べて4.4倍に上昇していたことが判明した。そして、ASCAの上昇は、他の食品への抗体、すなわち、抗グルテン抗体や抗カゼイン抗体(双方ともIgG)、そして、麻疹やトキソプラズマへの抗体価の上昇とも相関していることが分かった。この所見は、BDの症状の発現に消化管の炎症が関与していることを示唆する所見である。さらに、この所見は、セリアック病と同じようなメカニズム(小麦のグルテンや牛乳のカゼインに対する免疫感度の増加=食品アレルギー)により中枢神経系に炎症反応が及んでいることを意味する所見でもある。さらに、感染症、特に、トキソプラズマ感染症も関与する可能性も推測されている。
http://en.wikipedia.org/wiki/Anti-saccharomyces_cerevisiae_antibody
 
 BDでは、腸管壁のバリアー機能が低下し、免疫反応を惹起させる細菌のLPSだけでなく、抗原となりうるような食品由来の抗原までもが血中に侵入しやすくなっており、容易に再感作され炎症反応が生じてしまう環境になっているのであろう。その結果、本来の免疫機能も低下しており、悪循環に陥っており、トキソプラズマなどの病原体も侵入しやすくなっている可能性があるのではなかろうか。もし、トキソプラズマ原虫が体内に侵入すれば、さらにHERV-Wまでもが活性化されてしまい、中枢神経系への炎症性ダメージがさらに加速してしまうことになろう。この論文の所見からは、BDを維持管理する上で、プロバイオテクス製品にて腸内細菌叢を十分に整えておき、腸管壁のバリアー機能を回復しておくことが非常に重要なことになると言えよう。

intestinal barrier

(関連ブログ2013年11月8日 腸内細菌・脳・軸)

 なお、余談なるが、ASCA陽性者は逆流性食道炎も多く見られたようだ。ヘリコバクター・ピロリ菌も関与しているのかもしれない。H.ピロリ菌も免疫反応を引き起す原因となり得よう。双極性障害の方々は、H・ピロリ菌を除菌したり、胃酸の分泌を抑えておいた方がよいのかもしれない。
(H・ピロリ菌は精神疾患の原因となる。特に、うつ病の原因となる)

pylori

 ただし、H・ピロリ菌の除菌中に逆に躁病が誘発されることがあり注意が必要である。論文では除菌に使用されるクラリスロマイシンの神経毒性が原因ではないかと述べられているが、抗生物質による腸内細菌叢の変化も原因になろう。

 さらに、上の所見で見出された抗グルテン抗体や抗カゼイン抗体と関連するような論文が出されている。躁病では小麦のグルテンの成分であるグリアジンへの抗体(抗体はIgG抗体)の上昇が見られ、6ヶ月間のフォローアップ中に、抗グリアジン抗体価の上昇と再入院との因果関係が認められたというのである。急性躁病で入院したケースでは再入院を防ぐにはグルテンへの感受性のモニターと、グルテン摂取のコントロールが重要になると論文では述べられている。

 一方、炎症性マーカーの上昇が双極性障害では数多く報告されている。最近の論文の知見では、躁病の経過や病状に炎症性マーカーの上昇が関連していることが指摘されている。
 
 下の論文では、これまでに躁病や双極性障害における上昇が報告されている免疫活性化のマーカー、すなわち、MNDA受容体のNRペプチドへのクラス特異性抗体、抗グリアジン抗体、レトロウイルスである抗メイソン-ファイザー モンキーウイルスタンパク質24抗体(Mason-Pfizer monkey virus protein 24)、トキソプラズマ抗体を組み合わせて炎症スコアとして評価されている。その結果、炎症スコアの上昇は再入院に関連していることが判明したのである。この所見は、炎症度合が強いケースほど再入院するおそれが高くなることを意味する所見である。そして、炎症の強さの度合を評価すれば、躁病の予後が推測できることを意味する所見でもある。再入院を防ぐには炎症を防止することが鍵だと言えよう。
炎症性マーカーと再入院
 
 特に、トキソプラズマ抗体に的を絞った調査では、躁病とトキソプラズマ感染との関連性が強く示唆されている。下の論文では、トキソプラズマに対するIgM抗体の有意な上昇が躁病の患者において観察された。一方、トキソプラズマのIgG抗体の上昇や、サイトメガロウイルスのIgG抗体やIgM抗体の上昇は認められなかった。トキソプラズマへのIgM抗体の上昇はトキソプラズマ感染が最近起こったことを意味する所見である。
 
 これは、トキソプラズマ感染によって躁病が誘発された可能性を示唆する所見でもある。トキソプラズマ原虫に1回曝露されたくらいではトキソプラズマが体内に侵入することはないのかもしれないし、さらに、たとえトキソプラズマ原虫が1回程度体内に侵入しても免疫の力ですぐに退治され炎症反応が検出される程の変化を生じない可能性もあるが、何度もトキソプラズマ原虫に曝露されてしまえばどうなるかは分からない。もし、トキソプラズマ原虫への曝露が続けば、多くのトキソプラズマ原虫が体内に侵入し住み着いてしまい、持続的な炎症の原因となり、躁病相が誘発されてしまう恐れがあろう。双極性障害の方々は、安易に動物を触ったり、生の肉を食べることを極力避けるべきだと言えよう(生肉は確かにおいしいのかもしれませんが、トキソプラズマ原虫が生きたまま含まれており、トキソプラズマ原虫を生きたまま食べることになるのかもしれません。汗;)。

肉の中のトキソプラズマ

 一方、単極性うつ病だと思われていたケースでも炎症によって躁症状が惹起されてしまう恐れが指摘されている。昨年度のNatureに発表された論文では、うつ病患者の炎症性マーカー(CRP、インターロイキン-6{IL-6}、腫瘍壊死因子α{TNF- α})を2年間フォローアップしたが、躁症状を発現したケースでは躁症状の発現とCRPの上昇とが関連していることが分かった。さらに、有意差は示されなかったが、2年間で躁症状を呈したケース(男性)では同様にIL-6やTNF- αのベースラインの値が髙かった。特に、男性では、複数の炎症性マーカーの上昇と躁症状との関連性が示された。これらの炎症性マーカーは、うつ病相しか呈していない個人における将来の躁病相の出現の予測因子となり得るえるだろうと述べられている。なお、著者らは炎症によってトリプトファンの代謝が変化し、躁病相ではキヌレン酸が増加しているのだろうとも考察をしている。

 上記のような所見は青少年でも示されており、軽躁/躁病症状はCRPの上昇と関連していた。さらに、BDNFとインターロイキン6との逆相関も示されている。この所見は、インターロイキン6が増えれば、神経成長因子であるBDNFが低下してしまうことを意味する。BDNFの低下は、神経のダメージからの回復が遅延してしまうような所見であり、炎症が続けば躁病相からの回復も阻害されてしまうことになると言えよう。

 さらに、炎症によって認知機能も低下してしまうことが指摘されている。CRPは、統合失調症においては認知機能を反映する炎症性マーカーに成り得ることが既に報告されている。しかし、双極性障害においても、統合失調症と同様に、CRPのレベルが高いほど認知機能障害が憎悪することが報告されたのである。もし、躁病相が再発した状態の時にCRPが高ければ、認知機能障害によって精神病症状を呈するリスクも強まることになろう。

 炎症が双極性障害へ及ぼす悪影響は精神だけではない。身体への悪影響にも注意しておかねばならないのであった。

 双極性障害は、他の身体の炎症性疾患(心血管障害、糖尿病、肥満、甲状腺疾患、等)とのリンクを示す数多くの論文がある。炎症と多くの身体疾患がリンクしていることは確定的な事実であり、多くのエビデンスが存在する。従って、双極性障害では、炎症が原因となり、身体疾患のリスクも高まっていることになる。
 
 実際に、双極性障害では身体合併症(高脂血症、肥満、糖尿病などの代謝障害、狭心症などの心血管イベント甲状腺炎など)が共存する率が高いことが多くの論文で報告されている。これらの身体合併症は、薬物治療の有害事象による可能性もあるが、薬物治療の影響を差し引いた解析でもこれらの身体疾患が併発する率が高いことが示されている。
Cardiovascular mortality by BD

 特に、双極性障害では高脂血症が合併することが多く、さらに、恐ろしいことに心・血管系のイベントによる死亡率が高くなっているのである。薬物治療による肥満という影響も考えられるうるが、その背景には炎症が絡んでいるのではなかろうか。私が今見ている双極性障害の患者さんでも高脂血症が非常に多く、スタチンなどの高脂血症の治療薬を併用せざるを得ないケースが多い。炎症を放置することは、精神症状の遷延化を招くだけでなく、寿命までをも縮めてしまうことになろう。

 さらに、双極性障害においてはBDNFの低下や炎症マーカーの上昇が見られ、特に、炎症は血管内皮障害(アテローム硬化)や心血管リスクと関連しているとの指摘がある。
 
 脂肪細胞と腸内細菌叢と炎症との関連性も最近注目されている。何らかのプロバイオティクスにて常に腸内細菌叢を整えておくことは、精神疾患や身体疾患を予防する上で極めて重要なことになろう。
 
 下の論文では、双極性障害はマルチな(精神と身体の)炎症性疾患であると提唱されている。双極性障害への従来の認識を変える時が来たのかもしれない。双極性障害は全身の炎症性疾患なのだと認識すべき時が来たのではなかろうか。双極性障害では身体合併症が高く、精神症状をコントロールするだけでなく、身体疾患を防止することも重要であり、そのためには炎症を十分に抑えておく必要があると言えよう。

双極性障害は炎症性疾患である

 では、双極性障害の炎症はどこに由来するのであろうか。消化管や感染症だけなのであろうか。いいや、それだけではなく、自己免疫も関与している可能性があるのであった。

 統合失調症の自己免疫仮説が存在するが、双極性障害も同様に自己免疫疾患であると唱える研究者もいる。下の論文では、自己免疫が背景に存在し、神経炎症、興奮毒性、酸化ストレス、ミトコンドリアの機能不全が自己免疫によって惹起されてしまうのだろうと述べられている。双極性障害でも自己抗体の産生が絡んでいる可能性があると言えよう。自己抗体が産生されてしまう背景には、前述したセリアック病(抗グリアジン抗体)のようなメカニズムが絡んでいるのかもしれない。

 次に問題になるのが、炎症性のサイトカインである。既に述べたように、双極性障害では、IL-1、IL-4、IL-6、IL-10、TNF-α、可溶性インターロイキン2受容体(soluble Interleukin-2 receptor 、sIL-2R)、などの炎症性のサイトカインやそれに関連した分子が上昇しているという数多くの報告がなされている(報告によって上昇しているサイトカインに関しては様々なパターンを呈してしるのではあるが)。この炎症性のサイトカインが脳に対して大きな悪影響を及ぼしていることは間違いないであろうと認識され始めている。
(大うつ病でも、IL-6、TNF-α、sIL-2Rが上昇している)

 サイトカインはモノアミンの神経伝達物質のレベルを変化させ、HPA軸の機能不全を引き起こし、脳のミクログリア(末梢血のマクロファージに相当)を活性化し、神経の可塑性を阻害し、脳の構造や形態までをも変化させてしまう。サイトカインは、中枢神経系に対しては、重度の悪影響を及ぼすことができる恐怖の炎症分子なのである。

 特に、インターロイキン6(IL-6)を10年間継時的に調査した結果では、持続的にIL-6が髙い場合は精神疾患全般の発症のリスクを高めてしまうことが示されている(2014年4月のNatureの論文)。

 なお、上記の論文(PID 24468642)では、双極性障害ではこのサイトカインの悪影響に対処しておくべきだと述べれられており、アセチルサリチル酸(アスピリン)、セレコキシブ(COX2阻害剤、セレコックス)、抗TNF-α剤、ミノサイクリン、クルクミン(うこん)、ω-3脂肪酸などの抗炎症剤の補助的使用によって双極性障害では大きな利益を受けることになろうと述べられている。
ウコンの力

 さらに、双極性障害の炎症の引き金や誘因になるような他の多くの因子がある。これらの因子については下の論文でレビューされている。

 この論文によれば、炎症と酸化ストレスやニトロソ化ストレス(O&NS)が複雑に絡み合い、神経の病変を進行させ(neuroprogression)、双極性障害を全身性の炎症疾患へと変化させていくことになると述べられている。この炎症を惹起させ、加速させる因子としては、心理社会的ストレス、偏った食生活、運動不足、肥満、喫煙、腸の浸透性の変化(腸の炎症)、アトピー、歯科疾患(歯周病)、睡眠不足、ビタミンD欠乏症、そして、サイトカイン、などが提示されている。
 
 まず、O&NSは自己免疫を含めた異常な免疫反応を引き起こす可能性がある。免疫反応によって誘導されたサイトカインはcyclooxygenase-2, myeloperoxidaseなどの白血球のmRNAを変化させる。さらに、それらはプロスタグランディンの産生を促し炎症性カスケードを惹起させ、NOの産生を誘導する。NOは酸化ストレスの原因となる。酸化ストレスはさらに炎症反応を誘導する。・・・・、といったように悪循環に陥っていく可能性があるのであった。この悪循環を加速させるのが、上記で列記されている種々の因子なのである。
 
 一方、心理社会的ストレスやトラウマも多くの種類の炎症性サイトカイン(IL-1、IL-6、TNF-α、など)の全身やCNSにおけるレベルを増加させる。さらに、インターフェロンγ(IFN-γ)の産生をも促し、それが不安感や苦痛感を強め、うつ症状を惹起させ、さらに、不安やうつが惹起したことで、心理社会的ストレスを増していくといったストレスと炎症との悪循環に陥り、炎症の進行を加速させてしまうことになる。
 
 次に、食事の影響も大きい。高脂肪食+高炭水化物食は炎症を惹起させることが分かっている。高血糖はCRPの上昇を招く。飽和脂肪酸の過剰摂取によって炎症性マーカーが上昇する。特に、トランス脂肪酸は血管の炎症を引き起こし、酸化ストレスのリスクを高める。さらに、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸が多いような食事は腸内細菌叢にも影響を及ぼし、その結果、腸管における内毒素リポ多糖(LPS)が上昇し、LPSはCD14-Toll様受容体4(TLR4)複合体に結合することで免疫系を刺激する。その結果、腸管において炎症性サイトカインが誘導され、全身に撒布され、中枢神経に炎症性ダメージを惹起させてしまうことになる。なお、LPSはO&NS経路をも活性化することが示されている。
 
トランス脂肪酸
 
 運動不足肥満も炎症を惹起する。肥満は高脂肪状態となり、炎症性サイトカインが常に誘導されているような状態となる。肥満は炎症性疾患だと言われている。双極性障害においては肥満にならないように常に注意しておく必要があると言えよう。
 
 次にタバコも問題となる。タバコには、鉛、タール、外因性のフリーラジカルなどの炎症反応を惹起する多くの化学物質が含まれている。タバコは細胞性免疫応答を刺激し、O&NSへの曝露を高め、酸化ストレスが増していき、全身性の炎症を誘発することになる。喫煙者では、CRP、IL-6、TNF-αなどの炎症性マーカーのレベルが高いことが報告されている。
 
 アトピー、花粉症、喘息などのアレルギー疾患も炎症を惹起させる。アレルゲンとIgEの反応は肥満細胞を刺激して、肥満細胞からの炎症性のサイトカインの放出を誘導する。
 
 歯肉炎など歯周病も炎症を惹起する。歯周病自体は局所の炎症性疾患だが、CRPなどの炎症マーカーの上昇を招き、心血管イベントが増加することが知られている。歯周組織は、IL-6やIL-8などのサイトカインを産生することができる。
歯周病

 睡眠不足と死亡率の増加が関連しており、背景に炎症の存在が考えられている。睡眠不足でも炎症を誘導されてしまう可能性がある。睡眠不足が免疫系に及ぼすメカニズムは不明のままだが、睡眠不足によってCRPが上昇し、IL-6、TNF-αなどの炎症性のサイトカインが増加することが報告されている。
sleep loss

 さらに、ビタミンDも炎症に大きく関連している。ビタミンDのレベルが低くなると概日リズムや睡眠に悪影響が及ぼされる。概日リズムの障害はメラトニンを減少させ、メラトニンの減少は酸化ストレスや炎症が高まる方向に体を変化させてしまう。ビタミンDには炎症性サイトカインを減少させたり、酸化ストレスを減少させる効果があるとも言われている。概日リズム障害と炎症との観点からは双極性障害ではビタミンDやメラトニンの補充も必要になるのかもしれない。
 
 従って、これらの因子への対応が重要となり、双極性障害における炎症の悪影響を抑える意味からも上記のことには常に注意を怠らず対処しておかねばならないことになる。

 以上のことからは、双極性障害では定期的に炎症性マーカーをモニターしておく必要があるのではなかろう。特に、CRPのモニターくらいは最低限度の検査事項として定期的に実施しておく必要があると言えよう。
 
 もし、CRPが常に正常値を超えており(1.0強の軽度の上昇であっても)、うつも含めた精神症状が遷延化しているようなケースでは、抗炎症が期待できる補助的な治療を上乗せする必要性も出てこよう。特に、躁とうつとか頻回に入れ替わるような気分変動が激しいケースでは、背景に炎症が存在していないかを、CRPだけでなくサイトカインをも含めて検査しておく必要があるのではなかろうか。もし、CRPが3.0以上上昇しているようなケースでは、抗炎症的な薬剤や物質をアドオンとして必ず付加しておいた方がよいと思われる。

 最後に、炎症は躁病相だけに関与している訳ではなく、うつ病相にも強く関与していることが多くの論文で指摘されている。特に、治療抵抗性うつ病(treatment-resistant depression 、TRD)と炎症との関連性が強く指摘されており、双極性障害でうつ病相が長引くようなケースでは背景に炎症が潜んでおり、それがうつ病相を遷延化させてしまっている可能性がある。この点については別の機会に触れてみたいと思っている。
(双極性のうつ病相においても抗炎症療法による補助的な治療を付加することが重要である。)

(次回に続く)