アルコール

あなたは既にアルコールによって条件付けられている (「相棒」から学ぶアルコールの怖さ)


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(前回の続きである)

 不思議なことに、一度その店でお酒を飲むと、また同じ店に行きたくなる。こういった経験は誰もがしたことがあろう。
 
(おかしいなあ、自分の好みの店じゃなかったのに。またこの店に来てしまった。)

 そして、同じ店に行くだけではなく、前回飲みに行った時に同じ席についてくれた同じホステスさんを再び指名してしまうこともよくあることであろう。
 
(あのホステスさん、全然、好みじゃなかったんだけど。変だな、また今日も指名してしまった。汗;)

そして、あの杉下右京も全く同じだった。

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 警視庁特命係の杉下右京は、いつも同じ店で同じ女将(おかみ)さんを相手に酒を飲んでいるのである。

 しかし、その店、「花の里」に始めて行った時はこうだった。

 何だ、しょぼい店だな。客が全然いないじゃないか。しかも、女将は俺の好みのタイプの女性じゃないし。

 ふ~っ、もう二度とこの店に来ることはないな、と思いながら酒を飲んだ。

 しかし、翌日。

 あの店に行って、あの女将さんにまた会いたくなってしまった・・・・・。

 それ以来、ずるずるとあの店ばかりで飲んでいて、あの女将さんとばかり会話をしていた。

 そして、ついに、私とその女将は結婚して、夫婦になってしまったのである。

 私の好みの女性じゃなかったんだけど。

 これは、いったい、どういうことなのだろうか。

(私達は、確かに結婚した。しかし、結局、離婚してしまったのである。元妻は、その後、行方不明となり、店をいったん閉めることになった。だが、鈴木杏樹という綺麗な女性が店の跡を継いで女将になってくれたのである。ああ、店を再開できて良かった。番組もこれで続けられる。めでたし、めでたし。まあ、今もお客さんはいつも私1人で、ガラガラなんだけどね。汗;)

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マリコ: 相馬君、右京さんに用意した論文を説明してあげて。

相馬 涼: はい、分かりました。

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 それは、あなたが、知らない間に条件付けられていたからです。パブロフの犬の実験や、オペラント条件付けというのはご存知ですよね。
 
 既に、あなたは、その店に行くように、その女将さんと会いたいと思うように、そのお店に条件付けられていたという訳です。

 例えば、前々回のブログのホーディング障害に関しては、ラットの実験からは、オペラント条件付けによる行動の一種ではないかとも想定されています。人間では心的外傷体験による心の傷の痛みを再度経験しないように無意識のうちにホーディングをするように、オペラント条件付けが成されてしまっているということになります。小さい頃は、ぬいぐるみやおもちゃなどの物が心を慰めてくれることはよくあります。しかし、そのことで物へのオペラント条件付けが形成されてしまうのかもしれません。その結果、このオペラント条件付けのせいで物を捨てずに溜め込むという行動をするようになってしまう。そのように解釈することはできます。しかし、このモデルだけではホーディング障害の特徴を十分に説明することはできないので採用されてはいないようですが。

古典的条件付け
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%A4%E5%85%B8%E7%9A%84%E6%9D%A1%E4%BB%B6%E3%81%A5%E3%81%91

オペラント条件づけ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%9A%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%88%E6%9D%A1%E4%BB%B6%E3%81%A5%E3%81%91

 このオペラント条件付けは、自分が気付いていないだけで、様々な形で自分自身の中に条件付けが成されており、あなたの全ての行動を大きく左右しているのです。
 あなたは、たった1回、偶然その店に行っただけだった。しかし、そのことで条件付けられてしまったのです。

 そんなの信じられませんね。たった1回その店に行っただけなのに、しかも、女将さんと1回話をしただけなのに、そんなことがあるのですか。

 何回か同じ刺激を与えられないと条件付けが成されることはないんじゃないですか。しかも、その店の雰囲気は自分の好みじゃなかったし、その女将さんも私のタイプじゃなかったんですよ。そんな話はあり得ませんね。

 いいえ、店のせいでも、その女将さんのせいでもありません。アルコールの力のせいなんです。アルコールにはそのお店を好きにしてしまう作用があるのです。これはアルコールによる条件付けのせいなのです。

 えっ、マジですか、それは。

 しかも、アルコールによる条件付けはかなり強力です。マウスでの動物実験ではアルコールを1回投与しただけでも、条件付けが成されることが報告されています。

 すなわち、一回でもそこのお店に行って酒を飲めば、そのお店が好きになり、もう一度行きたいという条件付けがなされてしまうのです。アルコールって本当に怖い物質ですね。

 しかも、初めて行ったその店で結構飲んだんじゃないですか。

 まあ、そうですけど。客が私一人だったので、ついつい飲んでしまいました。

 その店でたくさんアルコールを飲むと、さらに条件付けが加速されるようですね。

 まあ、中くらいに飲むのが一番条件付けされやすいという論文もありますが。

 そして、若者ほど、アルコールによる条件付けが強くなるのです。そして、特に、男性ほど、そういった傾向があります。あなたが、そのお店に行ったのは結婚前だから、若い頃だったはずです。

 まあ、確かに、初めて行った時は、私はまだ若かった。

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 やはり、そうでしたか。私の予想通りだった。もう十分な条件がそろっていたのですね。

 右京さん、初めて店に行った時に、あなたはあの店に条件付けられてしまったのです。
 
 そして、この条件付けはそんな簡単には消えない。これからもあなたは番組の最後で、あのお店で酒を飲み続けることになるのでしょう。

 ところで、右京さん、結構、大酒飲みですよね。まさか、未成年の頃から、高校の頃から飲酒していたんじゃないでしょうね。

 いや、まあ、あの、その、ちょっとだけ・・・・・。

 初めて酒を飲んだ年齢が若ければ若い程、将来、大酒飲みになるという論文も最近出ています。右京さんは、高校時代からアルコールによって全てが決められていたんですね。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25257574

 しかし、自分で気づいていないだけで、今のその姿は、そして、誰と結婚することになるのかも、全てがアルコールによって決められているのです。それは単にアルコールによって条件付けられているだけに過ぎないのですが。アルコールって怖いですね。花の里の女将さんと結婚したことも、離婚したことも、それは全てがアルコールの成せる業だったのです。
 
(この若造は、俺の人生は、自分の自由な意志で選択した結果ではなくて、それは錯覚しているだけで、アルコールによって全てが決められていたんだと言いたいようだな。まるで俺は、動物実験でアルコールを投与された哀れなラットみたいじゃないか。)

 まあ、確かにあなたの言う通りですね。でも、店の雰囲気という条件には条件付けられることはあるのかもしれませんが、自分のタイプでもない女性と結婚までするというのは、私にはちょっと理解できませんね。

 少し反論させてもらっても宜しいでしょうか。

 家を出ていった妻には失礼になってしまいますが、妻は私の好みの女性じゃなかたんですよ。まさか、アルコールには、好きでもないタイプの女性を好きになってしまう力があるとでも言うのですか。魔法みたいな話ですね。冗談でしょ。私にはとても信じられませんね。

 そう、その通りなのです。アルコールには社会的選好を条件付ける強力な作用があるのです。すなわち、女性と一緒にアルコールを飲むと、場所だけでなく、その女性に対しても条件付けが成されるのです。

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 すなわち、一緒に飲んだその女性を好きになり、優先的にペアになるようになっていくのです。これは動物実験で既に確かめられています。
 
 例えば、下の論文では、雄ラットはアルコールによって社会選好(social preference、相手のことが好きになる)が誘導され、テストステロン(男性ホルモン)が、そのアルコールによる選好形成作用を増強するという論文が本年度に発表されています。すなわち、アルコールによって条件付けが成された相手をどんどん好きになっていく訳です。しかも、その効果は、自分だけでなく相手も同時に一緒に酒を飲むとさらに強まるようです。
 そして、雌ラットでも同じような論文が、昨年度に既に発表されているのです。
 
 え、本当ですか。

 右京さん、あなたは、初めて店に行った時から、奥様と店で一緒にお酒を飲みませんでしたか。

 まあ、閉店まで飲んでいたもので。閉店間際に、私からのおごりだと言って、女将に酒を勧めたところ、別れた妻はおいしそうに何杯も飲んでいましたわ。

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 これは、もう、最初からアルコールの力によってお互いに社会選好という条件付けがなされていたことになりますね。やはり、二人は結婚する運命だったのですね。
 
 アルコールの力はやっぱり凄いなあ。あの杉下右京までもがアルコールで条件付けられていたんだ。

(アルコールの魔力によって俺は好みでもない女性と結婚したのか。結局、妻とは離婚したんだけどさ。もしかしたら妻の方も俺は好みの男性じゃなかったのかもしれない。お互いが好みじゃなかったんだな。くそ~、俺は、知らない間にアルコールに支配され、人生を翻弄されていたんだ。今、ようやく気がついた。こうなるんだったら、あの時、たくさん酒を飲むんじゃなかった。)

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 (肩を落としてうつむいている杉下右京に論文が差し出された)

 これが、私が用意した論文です。右京さん、まずこの論文から読んでください。

 最初は、アメリカ国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)が作成した「Conditioned place preference」の実験の概要に関する電子ブックです。全部読むと長くなるので、まずはイントロダクションの部分だけで結構ですよ。

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条件付け場所嗜好性(試験)
「Conditioned place preference」

イントロダクション
「INTRODUCTION」
 条件付け場所嗜好パラダイム(方法論)は、薬物の報酬効果嫌悪効果を研究するために前臨床段階で使用される標準的な行動モデルである。このモデル実験では、様々に異なるデザインの装置が使用されているが、このタスクの基本的な特徴は、特殊な環境と薬物との関連性を調べるものであり、引き続いて、薬物がない場合の異なる環境との関連性を調べるものである。

(ある環境下で薬物という条件が与えられると、その薬物の作用でその環境への条件付けが成され、薬物がない環境下でも、その環境条件を好むようになる。例えば、ある店で酒を飲むと、酒がない状況下でもその店を好むようになる。)

 この実験デザインの共通したバリエーションは、異なる特性を持つように設計された区切りを有する3つのチャンバー(空間、区画)で構成されている(例えば、黒い壁vs白い壁、松vsトウモロコシの寝具、クロスグリッドの床vs水平グリッドの床)。

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 中央区画は特殊な特性を有さず、薬物とペアになる空間ではなく、区画間のゲートは、動物はそれらの間を自由に通過することができるようになっている。

 トレーニング中に、動物(通常はラットまたはマウス)は、選好特性か嫌悪特性を有する薬剤を注射され、その後、数分間、外側区画のいずれかに配置される(=薬物コンパーメント)。翌日、ラットは、薬物担体(drug’s vehicle、薬物を体内で運ぶような溶媒のみ)を注射された後に、反対の区画に入れられる(=担体コンパーメント)。

 一般に、これらの毎日のセッションは、2・3日ごとに、薬物と担体が交互に注射される。

 その後、試験セッションが行われるが、試験セッションではいったん中央の区画に動物を置き、その後、両外側の薬物コンパーメントと担体コンパーメントの双方の区間に自由に行けるゲートが開けられ、セッション中に各々の外側区画にいた時間が記録される。

 もし、動物が、担体コンパーメントよりも、薬剤コンパーメントの方で多くの時間を過ごした場合は、条件付け場所嗜好(conditioned place preference、CPP)が生じたことが分かる。

 逆に、担体コンパートメントで多くの時間を費やす場合は、条件付け場所嫌悪(conditioned place aversion、CPA)が生じたと考えられる。

 典型的には、コカインのような依存性薬物はCPPを生成し、塩化リチウムなどの嫌悪効果を誘発する薬物はCPAを生成する。

 薬理学の研究にて使用される他の行動モデルと同様に、CPPパラダイムの際の薬物の行動における効果は、動物の種や株、投与経路、薬物投与の時間間隔、投与濃度、使用されるCPP装置に依存して変化する。
 
 さらに、乱用される多くの薬物は、投与量に応じて、CPPとCPAの双方を生成する。薬物に依存した動物では、離脱の際には、一般的にCPAを生成する。

 自己投与パラダイムに比べて、CPPパラダイムの方が、一般的にトレーニングを殆ど必要とせず、薬の効果を研究する上での信頼できる指標を提供できるため、CPPパラダイムは、標準的なニューロサイエンスのテクニックと組み合わされて薬の主観的な効果を解明する目的で使用されている(表4.1)

(論文終わり)

 なるほど、区画が店に相当するのですね。そして、その店ではアルコールという依存性を有する薬物が投与されることになる。まさに、店で酒を飲むという行為は、CPPを誘発されるべく実験台になったラットと同じですね。
  
 さらに、CPPという現象は中脳辺縁系のドーパミンシステムが関与しているのです。ドーパミンシステムが関与しているということは、コカインと同じような強烈な現象なんですよ。そんな簡単に消え去るような現象じゃないんです。
  
中脳辺縁系のドーパミンシステムは条件付け場所嗜好にとって重要である
「THE MESOLIMBIC DOPAMINE SYSTEM IS IMPORTANT FOR CONDITIONED PLACE PREFERENCE」
 これらの薬剤は、CNSへの作用は異なるが、CPP誘導作用の大部分は、腹側被蓋領域(げっ歯類におけるA10の領域)由来のドーパミン(DA)経路で構成されており、薬剤が中脳辺縁系DAシステムに作用し、辺縁系の側坐核や海馬に最終的に影響を与えることによって生じる。
 
 従って、ドーパミンD2受容体アンタゴニスト、例えば、ハロペリドールやメトクロプラミドなどは、アンフェタミン、コカイン、モルヒネ、ヘロインによって生成されるCPPやCPAをブロックすることが示されている。
 
 さらに、腹側被蓋野や側坐核の領域にアンフェタミンやモルヒネを直接注入すると、CPPを生成する。しかし、他の領域、例えば、前頭前皮質、尾状核、扁桃体などの領域へ直接、精神刺激薬やアヘンを注射してもCPPやCPAは生成されず失敗する。
 
 コカインで条件付けられた区画に入れた時に、コカインでCPPを条件付けられていたラットでは、ラットに担体だけを注射した後に側坐核におけるドーパミンレベルの有意な上昇が見出された。しかし、担体を注射されていた区画に入れた時には、担体を注射してもドーパミンの上昇は生じなかった。
 
(と言うことは、条件付けられていた店で、アルコールを飲まずに帰ってきても、それなりに満足できるということですか。)
 
(そうかもしれませんが、もっと続きを読んでください。)
 
 しかし、前頭前皮質におけるDAレベルも、アンフェタミンで条件付けされた数日後に、アンフェタミン区画に入れたラットにおいて上昇することが見出されている。前頭前皮質のノルエピネフリンを選択的に枯渇させると、アンフェタミンやモルヒネによって誘発されるCPPや、アンフェタミンやモルヒネによる側坐核におけるDAの放出を防止する。
 
 6-ヒドロキシドーパミンを使用して、腹側淡蒼球や中脳辺縁系のドーパミンニューロンの神経終末を選択的に欠損させると、DAニューロンの別の領域にコカインを注入した際に誘発されるCPPを減衰させることが示されている。また、CPPは、海馬にモルヒネを注入した場合にも生じる。
 
 従って、側坐核が乱用薬物を生じさせる重要な領域ではあるものの、他の辺縁系の領域、ならびに辺縁系の機能とリンクしている他の脳の領域でも、乱用薬物に関わるCPPを誘発する作用を変化させることができることになる(当然、音楽などの聴覚刺激や、肌を露出した妖艶なホステスさんなどの視覚刺激や、おいしい料理などの味覚刺激も辺縁系の機能とリンクしているため、CPPを強化できることになる)。

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(論文終わり)

 右京さん、アルコールはお好きなんでしょう。でも、アルコールには注意した方がいいですよ。
 
 アルコールは麻薬や大麻と同じ強さのCPPを形成するんですよ。この電子ブックにはそのように書いてあります。むしろ、CPPに関しては、大麻や麻薬よりも強力なのかもしれません。そういった自覚を持って酒を飲まないといけないのです。アルコールは麻薬や大麻と同じように、その人の人生を大きく狂わせるとても怖い薬物なのです。
 
 右京さん、あなたもアルコールで人生が大きく狂ったことは間違いないですね。

(この野郎、そこまで言うか。)

 次に、この部分も読んでください。

条件付け場所嗜好パラダイムに使用されている薬物研究
「 DRUG STUDIES USING THE CONDITIONED PLACE PREFERENCE PARADIGM」
 CPPパラダイムは、薬理学、行動科学、神経科学の研究分野で広く使用されている。PubMedのデータベース検索(http://www.pubmed.gov)でキーワード「条件付け場所嗜好」を使用して検索したところ、1398件の結果が得られた。

 CPPパラダイムは、単に、薬物乱用の可能性のためのスクリーニングツールとして使用されている訳ではなく、神経伝達物質、脳の領域、遺伝子、シグナル伝達経路、報酬(または嫌悪)効果と関わる他のメカニズムを研究するために使用されている。

 CPP研究で使用される薬物は、多くの論文でレビューされている。一般的には、精神刺激薬(覚せい剤)やアヘンは確実にこのCPPパラダイムを生成する。例えば、コカイン、アンフェタミン、ニコチンの全身投与は、ラットやマウスに2・3回区画とのペアで投与した後にCPPを生成することが見出されている(タバコも、2・3回吸ったら、もう条件付けられてやめれなくなるのである)。
 
 さらに、CPPは、モルヒネ、ヘロイン、ブプレノルフィンなどのオピエート類でも確認されている。同様に、他のクラスの薬物は、CNSを抑制するように作用するエタノールやジアゼパム、さらに、カンナビノイド受容体アゴニストであるデルタ-9- tetrahydrocannabinal(THC)、アドレナリン受容体作動薬のクロニジンでもCPPを形成することが確認されている。
 
 これらの化合物で形成されるCPPの多くは、投与量に依存している。例えば、ラットでは、ニコチンが0.4~0.8 mg/kgの範囲内の用量を投与された場合にCPPを生成する。逆に、ニコチンの高用量では、CPA(条件付け場所嫌悪)の方を生成することが報告されている。同様の所見は、モルヒネや精神刺激薬であるアポモルフィンなどの他の薬物でも示されている。

(論文終わり)

 右京さん、あなたは、昔、タバコを吸ってましたね。その店でもタバコを吸ったていたんじゃないですか。

 まあ、昔はどこの店も喫煙は自由でしたから。スパスパ吸ってました。今は禁煙してますけど。汗;

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 店でタバコなんか吸っているから、ニコチンの薬理作用で、さらに、条件付けが強化されたんですね。パチンコ屋もその手口で店へのCPPを強化しているんですよ。
 
 それに、喫煙者は断酒に失敗する率も高いようですよ。ニコチンとアルコールが相互に条件付け合って作用を強めているためなんですね。これは、今月、発表されたばかりの論文ですけど。タバコを吸っている人は断酒に失敗する。これは覚えていた方がいいですね。
http://informahealthcare.com/doi/abs/10.3109/10826084.2014.962050

 ついでに、エタノールのCPPに関する部分も読んでおいてください。

エタノール
「Ethanol」

 エタノールは、単独で投与される場合、齧歯類ではCPPかCPAが生成されるが、低用量ではCPPを生じ、高用量ではCPAが生じる(これは、あくまでネズミでの話かも)。

 エタノールのCNSへの効果を媒介する受容体メカニズムが見出されているが、エタノールによるCPPパラダイムの報酬を媒介する受容体かとどうか、GABAA受容体、NMDA受容体、5-HT3受容体などがテストされている(既にドーパミンD1・D2受容体が関与していることは分かっている)。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/10353595 

 エタノールで誘発されるCPPは エタノールと共に競合的NMDA受容体拮抗薬であるCGP-37849が同時投与されたは場合には減弱した。しかし、非競合的NMDA受容体拮抗薬であるMK-801やケタミンが同時投与された場合は減弱せず、NMDAサブユニット拮抗薬ではCPPは何の変化もなかった(=従って、NMDA受容体のグルタミン酸結合部位がエタノールによるCPPにとって重要である→これはNMDA受容体やグルタミン酸神経伝達システムに作用する薬剤がアルコール依存症の治療薬となりえる。例えば、アカンプロセート{レグテクト}やメマンチン{メマリー}など。セロトニン 5HT-3受容体拮抗薬も治療薬に成り得る。)。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/17880925 

 中脳辺縁系のドーパミン経路は、エタノールの報酬効果でも重要である。なぜならば、エタノールで誘発されるCPPは、ヘロインの投与によって増強するが、フルフェナジンなどのD2受容体アンタゴニストを側坐核内部に投与することで減衰させることができるからである。
 
 さらに、エタノールは、コカインのCPP効果を増強(変化)させることが見出されているが、アルコールはコカインの高用量によるCPPをCPAへとシフトさせ、コカインの低用量によるCPPを増加させることができる(CPPに対する効果はコカインよりも強力なのかもしれない)。

 肝臓では、エタノールはアルコールデヒドロゲナーゼによって分解されアセトアルデヒドになり、アセトアルデヒドは、さらに、アルデヒド脱水素酵素によって分解されて酢酸となる。アセトアルデヒドが蓄積すると、アセトアルデヒド症候群が生じるが、その症状は、吐き気、頭痛、嘔吐を呈するする可能性がある(こうなるとCPAの方が生成されるように思えるが、そうではない)。

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 しかし、CPPパラダイムでは、アセトアルデヒドは、CPAではなく、CPPを生成することが判明しており、しかも、その容量は致死限界量でもCPPを生成することが分かった。
 興味深いことに、エタノールによるCPAが影響されないのに対し、D-ペニシラミンによるアセトアルデヒドの失活はエタノールによるCPPの生成を阻害する。この所見からは、アセトアルデヒドがエタノールの報酬効果(例えば、幸福感)を媒介している可能性が示唆され、他の研究からその証拠が提示されている(アルコールではなく、アセトアルデヒドの方がCPPを生じさせているのかもしれない)。

(論文終わり)

 上の論文を読むと、齧歯類では高用量ではCPAになると書いてあるので、じゃあ、店でたくさんお酒を飲めばいいんじゃないかとも思えますが、そうは問屋が卸さないんですね。そんなに飲むと翌日に二日酔いになります。

 二日酔いはアセトアルデヒドの蓄積によるのですが、二日酔いのアセトアルデヒドがCPPを強化してしまうことになります。普通ならば二日酔いはとても苦しい状態ですから、もう二度と飲むまいとCPAの方に条件付けが成されそうなものなのですが、そうはならない。むしろもっと二日酔いを経験したくなるように条件付けられてしまうのです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E6%97%A5%E9%85%94%E3%81%84

 アセトアルデヒドの方がアルコールよりも報酬効果が高いのかもしれませんね。お酒を飲める人はアルデヒド脱水素酵素は十分に機能しているので、アセトアルデヒドは早く分解されるため、普通は高濃度のアセトアルデヒドに曝露されることは少ない。しかし、泥酔して二日酔いを経験すると高濃度のアセトアルデヒドに曝露され条件付けられてしまう。だから、お酒が飲める人ほど二日酔いになるまでの泥酔を何度も何度も繰り返すのでしょうね。お酒は本当に怖いですね。

 以前は、嫌酒薬としてシアナマイドがアルコール依存症の治療でよく使われていましたが、最近はあまり使われなくなりました。その理由は、シアナマイドがアルデヒド脱水素酵素をブロックすることで、飲酒中のアセトアルデヒドを増やし、苦しい思いさせることでアルコールに対する嫌悪条件付けをさせるのが大きな目的だったのですが、アセトアルデヒドには意図したような嫌悪条件付けをさせる作用がないことが分かったからです。しかも、シアナマイドを内服している状態でアルコールを一気飲みされると致死量のアセトアルデヒドが生成されてしまうかもしれない。だからもう、あまり使われなくなったのです。

 なお、このアセトアルデヒドは肝臓にも猛毒なのです。二日酔いばかり繰り返していると早く肝硬変になっていきます。右京さんも、二日酔いには気をつけた方がいいですね。

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 どうですか、アルコールのCPPの怖さが分かりましたか。

 いや~、怖いですね。こういうことを繰り返して、アルコール依存症になっていくんですね。
 
 でも、まだ分からないことがあります。
 
 確かに、アルコールによって店という場所へのCPPを形成することは分かりました。しかし、私はたった1回、何げなく「花の里」に行っただけなんですがね。コカインや覚せい剤のアンフェタミンですら、さっき読んだ電子ブックには、2・3回ペアリングをしたらCPPが形成されると書いてありました。アルコールには、コカインや覚せい剤よりも、そんな強い作用があるとでも言うのですか。

 だから、先ほど言いましたよね。アルコールのCPPはコカインよりも強力なのだと。そして、電子ブックではコカインのCPPをCPAに変えるまでの力がアルコールにはあると書かれている。しかも、1回だけでもアルコールによって条件付けが成されるという論文も発表されている。アルコールのCPPは1回飲むだけで十分なのです。
 
 これは、先ほど提示した論文ですが、アブストラクトの部分だけでもいいですから、もう一度、読み直してみて下さい。

 どれどれ、おお、これは今年の11月に発表されたばかりの論文ですね。

初期の主観的な報酬。マウスにおける単一のアルコール曝露による条件付け場所嗜好性。
「Initial subjective reward: single-exposure conditioned place preference to alcohol in mice」

 飲酒の激化や身体への深刻な影響があるにも係らず、多くの大人達はアルコールを消費するが、飲酒者の約10~20%は持続に(進行性)にアルコールを消費するようになる(=アルコール依存症になる)。
 
 アルコールの慢性使用に関連した根深い神経適応的な変化が生じる前に、リスクがある個人を同定することは、末期的な段階になることを防止し、壊滅的な影響を防止する上で重要なステップとなる。
 
 薬物の強化特性の初期の感度を評価するための動物モデルが存在しないことで、過度の飲酒に向かう軌道を描くことになる重要な表現型を呈する現象をうまく説明することはこれまでは実施できないでいた。
 
 そこで、この論文では、新しい条件付け場所嗜好パラダイムを使用し、アルコールの初期の報酬効果を評価した。
 
 以前の繰り返してアルコールを投与する方法を採用したCPPの研究結果とは異なり、3種のマウス株の雄と雌マウスともに、今回の実験結果では、比較的低用量である1.5g/kgというエタノールの単一曝露とペアになった場所(条件)への強固な選好を示した。
 
 今回のモデルは、脳や社会の双方に多種多様な影響を与え、広く使用されているアルコールという薬剤への主観的な報酬効果に対する初期感度を評価する上で妥当性を有するモデルであり、嗜癖を理解し治療する上で、理論によって主導された中間表現型的な遺伝薬理学的アプローチに使用できる新しいツールを提供するものである。

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(論文終わり)

 何ですか、この論文は。中間表現型的な遺伝薬理学的アプローチって、何のことかさっぱり分かりません。
 
 そんなことはどうでもいいのです。大事なことは1回だけのアルコール摂取によっても条件付けが成されるのだということなのです。
 
 右京さん、あなたは、たった1回、なにげなく「花の里」に行っただけだった。しかし、アルコールの力によって「花の里」という店に条件に条件付けられてしまった。
 
 そして、それで終わらなかった。

 右京さん、あなたはその店で初めて女将に遭ったのですが、初めて遭った時からその女将を好きになってしまった。

 店だけでなく、女将をも好きになってしまったのです。 
 
 この次の論文も、先ほど示したの論文なのですが、この論文でば、アルコールによるパートナー選びの際の条件付け嗜好(選好)という現象が報告されています。
 
 すなわち、一緒に異性とアルコールを飲むと、一緒に飲んでいた異性を好きになってしまうのです。
 
 アルコールはまさに惚れ薬なのです。
 
 最初に店を訪れた時に閉店間際に二人だけで一緒に酒を飲んだ。これは非常にまずかったですね。それによって、女将への嗜好(選好)までもが生じた。そして、女将も右京さんへの嗜好(選好)が生じてしまった。
  
アルコールは雌マウスの条件付けパートナー嗜好(選好)を誘導する
「ETHANOL-INDUCED CONDITIONED PARTNER PREFERENCE IN FEMALE MICE」

 飲酒行動と社会的コンテキスト(社会的な内容)が密接に絡み合っている。仲間との関係は飲酒を促進することができる。逆に、アルコールは社会的相互作用を促進する。本研究では、雌マウスにおけるエタノールによって誘発される条件付けパートナー嗜好をテストした。

 卵巣を摘出された(Ovariectomized、OVX、=女性ホルモンの影響を除去した)C57BL/6系統の雌が、慢性エストラジオールを投与された(OVX+E)か、エストラジオールをされずに(OVX)、同時に、ペア刺激となる生理食塩水、あるいは、エタノール(1、2、4g/kgの3種の投与量)の腹腔内投与を受け、さらに、同時に、2回のうち1回はパートナーとなるように仕向けられた他の雌からの刺激を30分間ずつ4回受けた(雌と雌同士の条件付けを行うことになる)。
 
 その後、テストされることになる雌は、生理食塩水とのペアで刺激されたパートナー候補の雌(CS)、または、エタノールとのペアで刺激されたパートナー候補の雌(CS+)に対するペア形成度合いが評価された(10分間の時間内でパートナーに接近して過ごす時間の評価)。
 
 第2の研究では、OVXとOVX+Eの雌について、2.5g/kgのエタノールが与えられ、パートナー(CS- vs CS+)への嗜好がテストされた。

 さらに、マウスの別グループでは、アルコールを投与された他の雌のマウスに対しても条件付けパートナー嗜好が生成されたかどうかを同定するため、ペアリングの最中にテスト雌マウスと刺激する雌マウスは伴にエタノールが投与された。

 その結果、OVX+Eの雌マウスでは、2g/kgのエタノールに反応して、CS+マウスへの条件付けパートナー嗜好(CPP)が生成されたことが分かった(CS+マウスへの選好スコアの変化:+ 86.6±30.0秒/ 10分)。しかし、0、1、4g/kgのエタノールではCPPは生じなかった。さらに、2.5g/kgのエタノールでは、OVX+Eの雌マウスは、IS+ (+63.6±24.0秒) や CS+ (+93.8±27.1秒)に対して条件付けパートナー嗜好を生成した。しかし、OVXの雌マウスでは、唯一、IS+(+153.8±32.0秒)に対してのみエタノール誘発性のCPPを示した。

 これらのデータからは、エタノールが雌マウスの社会選好を促進し、その作用は、エストラジオール(女性ホルモン)によって増強されることを示している。

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(論文終わり)

 この実験は、雌が雌を好むような条件付けの設定なのですが、そういう設定にしないと、雌と雄の設定では、アルコール以外の他のファクター(臭いなど)もペア形成に関わるため、必ずしもアルコールと伴にパートナーへの嗜好(選好)が条件付けられたとは言えないからです。そして、興味深いことに、卵巣を摘出された場合はパートナーへの嗜好は生成されなかったが、女性ホルモンがあるとパートナーへの嗜好は生成され、女性ホルモンにてアルコールの効果が増強されていることが分かった。女はやはり女なのですね。
 
 この所見は、性ホルモンの強さによって一緒にアルコールを飲んだパートナーのことを好きになるかどうかが強まることになります。

 従って、性ホルモンのレベルが上昇しているような状況、例えば、排卵前ではアルコールによるパートナーへの嗜好形成という現象が強まることになります。若い女性が排卵前に男性と一緒に酒を飲むと、アルコールが媚薬になってしまい、普段はそんな気にもならないような男性相手にベッドインしてしまうなんてことにもなりかねないので注意が必要です。逆に、閉経したような女性では、女性ホルモンが殆ど分泌されなくなるため、アルコールはもはや媚薬にはならないのかもしれません。

 さらに下の図をよく見てください。一緒にアルコールを飲んだパートナーとの条件の時が接近している時間が一番長かった。これは、一緒にお酒を飲むとお互いに親密になることを意味していると思えます。この実験は、同性同士の実験ですから、異性との関係だけでなく、同性同士の場合や他の社会関係でも当てはまります。友達と一緒に酒を飲むと友情が深まり、部下と一緒に飲むと上司や部下との関係が深まる。当然、職場の忘年会などは、職場の人間関係が深まることになるのでしょう。

 これは、婚活にも活用できます。お酒も飲めないような婚活パーティに、いくら参加しても無駄なのです。 本当にパートナーを見つけたかったら、婚活やお見合いの席でも、このアルコールの力を借りるべきです。 お見合いの席でも酒を飲むべきなのです。お酒なしの見合いをいくらしても無駄なのです。しかも、ラットなどのデータでは少ない量でもよい。少量でもCPPが形成されることが分かっています。とにかく、1回でも見合いの相手と一緒にお酒を飲めば、そのことでCPPや社会選好が形成されれば、その人がパートナーになってくれるかもしれない。すなわち、結婚できる確率が高まることになるのです。
 
 一方、雄のラットでも全く同じような実験結果(睾丸を摘出された雄)が今年に発表されています。まあ、雄では、テストステロンといった男性ホルモンでパートナーへの嗜好が増強されるようですけどね。

 そう言えば、右京さん、年齢(62歳)の割には肌の色つやがいいですね。若々しいですね。テストステロンも高いんじゃないですか。酒のみでテストステロンが高い男。右京さんは、相当な女好きだとみましたが。
 
(お前の方こそ、テストステロンが高そうに見えるぞ。いつもギラギラした眼をしているじゃないか。)

 さらに、自己投与パラダイムという実験方法もあるのですが、アルコールの自己投与パラダイムからの所見では、自己投与という行動もアルコールによって条件付けられることが分かっています。いったんアルコールでCPPが形成されると、次は自らその店に通って酒を注文し酒を飲むことになる(条件付けによる自己投与)。その結果、その店や女将への条件付けも強化されていく。

 同じスナックやバーやキャバクラに足繁く通っている男達が多いのはご存知ですね。しかし、それは皆、自己投与パラダイムをしているに過ぎないのです。それは右京さん、あなたも同じなのです。

 だから、右京さん、あなたは、毎回、番組の終わりで「花の里」に行っているんですね。

 もう、こうなると、杉下右京とはいえ、アルコールの自己投与の実験台にされたモルモットと同じ行動をしている哀れな存在に過ぎません。

(俺って、そんな哀れなモルモットのような男だったのか。いつも番組のクライマックスで、犯人に向かって、あなたは哀れな人ですねみたいなことを言っているこの俺が、今日は逆に、科捜研の若造に哀れな人だと言われる番なのかよ。)

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 まあ、この論文を読んでください。自ら「花の里」へ足繁く通ってアルコールを自己投与し、CPPも強化していたことが理解できます。

 自分の意志で自由に店に通っていたつもりが、自分の意志で自由に飲酒していたつもりが、実は、単に、条件付けられた行動を繰り返し、強化行動をしていたに過ぎないのです。

 私に言わせれば、行きつけの店などではなく、アルコールによって単に条件付けられた場所に過ぎないのです。 

齧歯類の飲酒: エタノールの強化効果に関連する自由選択な飲酒はあるのか?
「Ethanol Drinking in Rodents: Is Free-Choice Drinking Related to the Reinforcing Effects of Ethanol?」

 飲酒における遺伝的影響や環境的操作の影響を評価するために、多くの研究では、動物における自発的なエタノール消費という手法を使用している。しかし、そういったオペラント条件付けや道具による条件付けの手法を用いても、ホームケージの中でのエタノール消費(=特定の店での飲酒)とエタノール強化行動との間の関連性についてはまだ正確な評価はできていない。
 
 この論文では、マウスやラットのホームケージの中でのエタノール飲酒と、オペラント経口自己投与(operant oral self-administration、OSA)、条件付け味覚嫌悪(conditioned taste aversion、CTA)、条件付け場所嗜好(CPP)との間に一貫した相関関係があるかどうかを評価した。さらに、静脈内エタノール自己投与(intravenous ethanol self-administration、IVSA)に関する文献もレビューした。
 
 文献からデータを収集する際に、我々は、各文献の遺伝子操作の範囲を評価したが、その遺伝子操作では、遺伝子配列やエタノール摂取行動を変化させることができることになる選択育種、トランスジェニックモデル、ノックアウトモデル、近交系と組換え近交系などが含まれていた。もし、遺伝子モデルが分析結果に含まれている場合は、ホームケージでの飲酒の相違データや、他の行動測定のデータをも評価せねばならない(薬物の作用が、遺伝子によって大きく影響を受け、個々で結果が異なってくるのであれば、一般化して当てはめることはできないが、そのような影響をも考慮して、これまでのデータを解析した)。
 
 その結果、一貫性のある正の相関関係がホームケージの中でのエタノール摂取とOSAとの間で観察されたが、この所見は、道具的行動(instrumental behavior、=オペラント条件付けによる行動)がエタノールに向うような完了行動(consummatory behavior、=本能的欲求を満足させる行動)や摂食行動に遺伝子的に密接に関連していることを示唆している。
 
 負の相関関係がCTAとホームケージの中での飲酒との間で観察されたが、この所見は、エタノールへの嫌悪行動がエタノールの経口摂取を制限することができることを示唆している。
 
 一番小さな正の相関関係がームケージの中での飲酒とCPP間で観察された。

 しかし、ホームケージの中での飲酒とIVSAとの関係性を同定するための研究は十分に行われておらず関連性はまだ不明なままである。
 
 このように、広範囲の異なる行動手順と遺伝的に異なる集団との間にいくつかの一貫した結果が観察されたが、これは研究結果の妥当性や信頼性を高めていることになる。齧歯類以外の新規の動物のアルコール報酬関連行動を測定する際に、研究者がどのような表現型を使うかを決定する際に、これらの所見は重要な意味を持つことであろう。

(論文終わり)

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 この論文では、CPPと自己投与との直接の因果関係までは述べられてはいませんが、CPPと自己投与は、伴に、ホームゲージの中での飲酒と相関関係があるため、CPPと自己投与との間にも相関関係があることは確かなようです。
 
 さらに、論文からは、自己投与に関しては遺伝子の影響を受けやすいようですが(すなわち、足繁く店に通うかどうかは個人の遺伝子的な要因も関係してくるが)、CPPに関しては遺伝子の影響は少なく、誰もが条件付けられる現象だと言えそうです。

 キャバクラやホストクラブに嵌って足繁く店に通い、高価な酒を注文し大金を注ぎ込んでしまう人は、そういったことになりやすい(自己投与になりやすい)遺伝子を有しているのかもしれませんね。
 
 しかし、遺伝子の影響があろうとも、キャバクラやホストクラブで大金を使う人は、私からすれば、モルモットみたいな哀れな存在にしか思えません。
 
 右京さん、あなたも、1ヶ月間の飲み代がものすごく、「花の里」に大金を注ぎ込んでいるんじゃないですか。花の里は、噂によれば、東京の一等地にあるお店のようですから、かなり値段が高いんじゃないですか。
 
(この若造め、よく言うわ。お前はまだそんな店に行けるような身分じゃないから、俺に嫉妬しているだけなんだろうぜ。)

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 さらに、電子ブックの次の部分を読んでください。
 
条件付け場所嗜好 vs 自己投与
「CONDITIONED PLACE PREFERENCE VERSUS SELF-ADMINISTRATION」
 薬物の報酬の特性を評価するための別の一般的なモデルは自己投与パラダイムである。名前が示すように、このパラダイムは、薬剤の注入反応(例えば、レバー押し。通常は静脈内に投与されることになる)を動物が自ら示した回数を記録することから成る。

 自己投与パラダイムは、乱用の可能性がある薬物をスクリーニングしたり、薬物の報酬効果を解明するための重要なツールである。

 条件付け場所嗜好や自己投与パラダイムは、双方ともに薬物の報酬特性を測定するパラダイムではあるが、これらの二つのモデルの間には重要な違いがある(表4.2)

 まず、CPPと自己投与に関しては、双方伴に多くの薬剤の報酬効果に感受性を有するが、精神刺激薬とアヘンを含めたある種の薬物(例えば、LSD、ブスピロン、ペンチレン)では、CPPを生成しても、自己投与は誘導されないが、逆に、他の薬剤(例えば、ペントバルビタールやフェンサイクリジン)では、自己投与が生成されても、CPPは誘導されない。

 次に、CPP研究の殆どがラットやマウスが使用されているのに対して、自己投与研究は、サル、ラット、マウス、ハトで行われている。
 
 第3に、薬物誘発性CPPと自己投与に関わるメカニズムは異なっている可能性がある。例えば、D2受容体アンタゴニストは、コカインのCPP生成に対しては最小限度の影響しか与えないが、コカインの自己投与を減衰させる。

 最後に、これらの2つのパラダイムの間の重要な差異は、実験手順の違いである。CPPパラダイムとは異なり、自己投与パラダイムでは、通常は静脈内に薬物を投与するため、カテーテルを外科的に移植することが必要となり、大規模なオペラントトレーニングが必要となる。
 
 さらに、CPPにおける薬物の主観的な効果は、CPPの前のタスクに存在しているのに対し、自己投与パラダイムにおいては、被験動物は薬物投与による即時の効果をもたらすタスクを学習していることになる。ヒトにおける薬物使用の2つのモデルの中では、後者が最も類似しているものと思われる。

(論文終わり)

 CPPが先か、自己投与が先か、自己投与によってCPPが強化されていくのか、逆に、CPPによって自己投与が強化されていくのか、CPPと自己投与はお互いを強化していくのか、といったことは、まだ動物実験でも十分に調べられてはいないようですが(私の調べ方が悪く、既にそういった動物実験は成されているのかもしれませんが)、とにかく、同じ店に通って同じホステスさんを指名し、毎回たくさんのお酒を飲んで帰るという行為は、アルコールによるCPPとアルコールの自己投与とを相互に条件付けし強化し合っているような愚かな行為に思えます。

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 まあ、人では、CPPよりも、CPP後の自己投与の方が愚かな行為をしているのだと私にはそう思えますが。

 このように、アルコールには、我々の想像を超えた非常に大きな力があるのです。

 そして、そのアルコールの大きな力は、当然、人の人生まで大きく変えてしまうことになる。 
 
 右京さんの人生は、たった1回のアルコールで大きく狂ってしまった。あの時、あの店に行かなければ、女将さんと結婚することも、離婚を経験することもなかった。

 離婚された時は、さぞかし辛ったことと思います。

(離婚が辛いのは当たり前じゃないか。しかし、なんて生意気な若造なんだ。一度も結婚したことがないお前に何が分かるというのだ。もし、お前が俺の相棒だったら、いつもの俺のように即交代だな。)
 
 しかし、なぜ、離婚したのか。それは、右京さん、あなたが浮気したからじゃないですか。

 なっ、何を言うのだ。私は浮気などはしていない。
 
 妻は繁盛しない店の女将の仕事が嫌になって勝手に世界放浪の旅に出ていってしまったんだ。

 まあ、この論文を読んでくださいよ。とても大事な論文ですよ。
 
 どれどれ、

草原ハタネズミにおけるペア結合形成へのアルコールの効果は性別に依存している
「Drinking alcohol has sex-dependent effects on pair bond formation in prairie voles」

(この論文が掲載されたPNASの編集者によるコメント)
 この研究は、社会的接着におけるアルコールの効果は生物学的機構によって媒介され得るという最初の証拠を我々に提示している。雄と雌の間で観察された効果の差は、男性ではアルコールが社会的な結合を阻害するが、女性ではパートナーへの嗜好を促進したように、性別で異なっていた。さらに、行動に影響を与えるだけでなく、アルコールは、社会的、ストレス/不安様行動に関与する神経系にも影響を与えた。これらの所見は、我々は、社会的な行動を調節する因子や、その因子へのアルコールの影響に対する正しい理解を可能にする。これらの因子を同定することは、アルコール乱用によって社会的関係に壊滅的な影響が及ぼされることを予防し、アルコール乱用を治療する上での方法を発展させていく上で役に立つことであろう。

(本文の抄録)
 アルコールの使用と乱用が、社会的相互作用などの行動に様々な深い影響を与える。あるケースでは、社会的関係を破壊する。一方では、アルコールが社会関係を促進する。この論文では、自発的なアルコールの消費は、(ペア結合を検証する代用実験にて)、一夫一婦制を組む草原ハタネズミの男性のパートナーへの嗜好(partner preference、PPの形成を阻害できることを示している。逆に、女性においては、PPは阻害されず、アルコールによって促進されるようだ。
 
 行動分析や神経化学的分析の結果では、社会的な接合に関するアルコールの効果は、パートナーとの結合形成を制御する神経メカニズムを介する効果であり、交配や運動や攻撃性に関わる効果への影響によって媒介されている訳ではないことを示唆している。
 
 さらに、社会的な行動の調節に関与しているいくつかの神経ペプチドシステム(特に、ニューロペプチドYや副腎皮質刺激ホルモン放出因子)がパートナーとの同居中の飲酒によって変調されることが分かった。
 
 これらの知見は、アルコールが、社会的な結合に関与する性別に特異的な神経システムに直接影響を与えているという最初の証拠であり、アルコールの社会的な関係への影響に関わるメカニズムを探求する機会を提供するものである。

(論文終わり)

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 男は、酒をたくさん飲んでいると、だんだんと妻への興味を失っていくようです。
 
 右京さん、あなたの奥様は、妻への興味を失い、浮気をした夫に愛想を尽かして世界放浪の旅に旅立ったんじゃないですか。
 
 私の人生はいったい何だったのだろうか。なぜ、こんな男と結婚したのかと後悔しながら。
 
 この実験では11.2±0.81(平均±SE)(g/kg体重)という大量のアルコールを飲んではいるのですが、あの忠実な草原ハタネズミですら、交配したパートナーにも係らず、見知らぬ女性と同じくらいの興味になってしまっていますね。ペプチドホルモンの変化からは、CRFが低下することで不安を抱かなくなるためなのではと考察されています。一方、女性ではそういうことにはならないようです。

 アルコールのせいでパートナーと離れていても不安を感じなくなる
のかもしれません。
 
 それを人間社会に当てはめてみると、男が外でたくさんアルコールを飲むと、いつの間にか妻のことも忘れてしまい、ホステスさんにうつつを抜かし、ぐでんぐでんに酔っぱらって帰ってくることになるのです。とても悲しい話ですね。
 
 そうして妻からは愛想を尽かされ、ますます夫婦の間は疎遠になっていく。
 
 こうなると、もう見境いがなくなり、手当り次第、他の女性にも手を出すようになるはずです。
 
 右京さんは、アルコールが大好きですよね。今でも、手当り次第、女性に手を出しているんじゃないですか。
 
 バカなことを言うな。私は警視庁の刑事だぞ。前回のブログの浮気した男と一緒にしないでくれたまえ。
 
 それに、前述したラットの論文の結果からは、大酒飲みの男は異性のパートナーだけでなく、同性のパートナーに対してまで飽きっぽくなるのも間違いありません。
 
 右京さん、いつも、相棒をころころと変えてませんか。それはアルコールの飲み過ぎのせいですよ。こいつはもう飽きたからといって、相棒の刑事を降板ばかりさせていたら、そのうちにあなたが降板することになりますよ。

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 私は、二代目杉下右京が登場する日が近いと予想しているんです。
 
 設定は、アルコール依存症で杉下右京が再起不能になったという設定です。二代目の名前は杉下左京。右京の弟です。しかし、杉下左京は酒は飲まない。相棒も絶対に変えることはない。どうです、この設定、ナイスでしょう。

(この野郎。そこまで言うか。しかし、科捜研のマリコだって、部下をころころと交代させているじゃないか。お前は、いったいマリコの何代目の部下なんだ。)
 
 ところで、赤ん坊ができたばかりだというのに浮気したあの男の話はいったいどうなったのだ。ちゃんと説明してくれたまえ。

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(ここで、浮気をしてしまい、離婚の危機に陥った前回のブログのあの男が登場した。)
 
 実は、バゾプレッシンでもオキシトシンのせいでもなかったのです。確かに、バゾプレッシンやオキシトシンの作用はあったのかもしれません。それよりも、我々科捜研は、アルコールによるせいだと結論をしました。
 
 なぜならば、アルコールはオキシトシンの分泌を抑制する作用があるからです。まあ、分泌が完全に抑制される訳ではありませんが。抗利尿ホルモンでもあるバゾプレッシンの分泌もアルコールで抑制されます。酒を飲むとおしっこに行きたくなるのは、抗利尿ホルモンが抑制され利尿に傾くためですね。
 
 従って、あの状況下では、アルコールの作用の方が、バゾプレッシンよりもオキシトシンよりも優位になっていたと判断しました。
 
 一方、動物はアルコールによってすぐに条件付けられてしまう。しかも、その条件付けは強力である。
 
 さらに、アルコールによっても、バゾプレッシンやオキシトシンと同様に社会選好が生じる。お互いに一時的に好きになっていってしまうことは十分にありえる。
 
 そして、あの二人はアルコールがかなり飲めるのです。既に、過去のアルコールのせいで、いろんな条件付けが成されていたのではとも推測されます。
 
 学生時代は合コンをよくしますよね。合コンは男女が出会い恋に落ちる場所ですから、それはもう、右京さんも学生時代は何度も合コンをしたことでしょう。
 
 アルコールが恋を演出しているんですね。
 
 科捜研が調べたところ、浮気した男性の方は、学生時代の合コンで酒を飲みながら女性をよく口説いていたことが分かりました。そして、その女性の方も合コンの席で男性からよく口説かれていたことが分かりました。アルコールを飲みながら口説く、アルコールを飲みながら口説かれる。この二人には、それが既に学生時代に条件付けらていたんです。

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 そして、社会人になってからもその条件付けは消えずに残っていた。

 もうお分かりですよね。既にアルコールで条件付けられていた二人は、忘年会のはずが合コンになってしまったのです。
 
 忘年会で隣同士の席になり、とりとめもない話をして盛り上がったのですが、そういった行為は、実は、知らない間に、酔いながら、お互いに口説き口説かれをしていたことになります。
 
 忘年会のはずが、既に条件付けが成されていたため、男は学生時代の合コンのようなガールハントをする場所になっていた。かたや、女性の方はガールハントをされる場所になっていた。二人とも、なんとなく、そんなことを感じながら、話が盛り上がっていたことと思います。
 
 そして、アイコンタクトでサインを彼女から送って来た時、男の方もアイコンタクトでOKだと答えてしまった。ガールハントは成功したのです。
 
 学生時代の時にガールハントに成功したら、行く場所はもう1つしかない。
 
 後は、どうなるか。それはもう言わなくても分かりますね。
 
 もしかしたら、その女性は排卵が近かったのかもしれません。男性の方も、テストステロンが上昇しかけていたのかもしれません。赤ん坊が生まれると、不思議なことに男性の方も性ホルモンの分泌が変化し、テストステロンが1/3くらいにまで低下することが分かっています。この男性の場合は、逆に、今まで抑えられていたテストステロンがどーんと上がりかけていたのかもしれませんね。
 
 性ホルモンもアルコールの作用を強めてしまった可能性があります。

 まあ、そういった事件だったのです。
 
 アルコールの力を甘く見てはいけません。アルコールの強大な力、それは、右京さん、あなたが一番証明してくれているのですから。
 
 我々は、その事情を奥様に説明しました。バゾプレッシンとオキシトシンの話も一緒に説明しておきました。
 
 あくまでも一時的なことだったと説明しておきました。
 
 実は、奥様も学生時代に口説かれた経験が何度もあるということで理解してくださいました。私が、その立場だったら、そうなっていたかもしれないと。
 
 よかったですね。
 
 もう二度とあんなことはしないでほしいとの奥様からの伝言です。
 
 ううう(涙)、有難うございます。
 
 アルコールは怖いです。もう、二度と外では酒を飲みません。
  
 実は、妊娠してから妻は禁酒をしていました。それで、ずっと一緒に晩酌はしていなかった。妊娠する前は、一緒によく晩酌をして夕食を楽しんでいたんですけどね。
 
 しかし、そろそろ母乳も出なくなってきて離乳食がどんどん増えてきています。母乳ではなく完全に粉ミルクにしようかと妻は言っています。妻の禁酒期間も終わりになりそうです。
 
 これからは、家で妻と一緒に晩酌をして、お酒を楽しみたいと思います。当然、ほどほどに飲んで終わりにしますけど。
 
 そう、外では飲まずに家で晩酌をして適度に飲む。それが一番ですね。

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 アルコールで夫婦の愛を深め合う。本当に素晴らしいことですね。本来、アルコールは、そうやって上手に飲むものなんですね。
http://joshiplus.jp/gourmet/news/2006733/ 
 
 まあ、動物実験のように、CPPを強化しているだけなのかもしれませんが。それでも、パートナーとの絆が深まることには変わりはない。
 
 ところで、右京さん、あなたは、アルコール依存症になりかけていませんか。毎日、飲んでいませんか。

(ぎくっ。)

 最後に、アルコールに関する重要な論文を提示して終わりにしたい思います。

 この論文は、アルコール依存症の再発を防止する上でのパートナーの重要性を示した論文です。

草原ハタネズミの飲酒の再発をパートナーが防止する
「Social partners prevent alcohol relapse behavior in prairie voles.」

 アルコール依存症の再発に対する社会的な支援因子として対人因子が保護的な役割を果たしているという強固な証拠があるが、しかし、社会的因子が再発から個人を保護する上でどのように作用しているのかというメカニズムに関する研究は不足している。
 
 草原ハタネズミは一夫一婦制で暮らす非常に社会的な齧歯類であるが、自己投与では多量なエタノールを自由に飲酒する齧歯類エタノールであり、飲酒の社会的な影響を理解する上で有用なモデルになる動物である。
 
 この論文では、動物では一般的に断酒後の飲酒再開時にはエタノール摂取が一過性に増加するが(アルコール剥奪効果)、この断酒時の効果を利用することで、再発に対する社会的な影響に関するモデルとして草原ハタネズミが成り得るかどうかを検証した(人間でも断酒後に飲酒を再開した時にはリバウンドで断酒前に飲酒していた量よりも多く飲んでしまう人がいるようですが)。
 
 実験(I)では、被験ネズミは、2瓶選択試験において、10%エタノールに24時間アクセスできる状況で4週間、単独で飼育された。次に、エタノールを72時間ケージから除去した。動物は単独で残ったか、その後、顔なじみの同性ソーシャルパートナーと飼育され、エタノールへのアクセスが再開された。
 
 一人のままのハタネズミでは、飲酒再開前のベースラインよりもエタノール摂取が増加した。しかし、パートナーと一緒に飼育されたハタネズミでは、エタノール摂取の増加は示さなかった。そして、この所見は、パートナーのネズミがエタノールへのアクセス権利を有していたかどうかとは無関係であった。実験(II)では、一人で飼育されたハタネズミのコホートにてアルコールの剥奪効果が複製された。
 
 これらの所見は、草原ハタネズミはアルコール剥奪効果を有するが、草原ハタネズミの飲酒再開時には「パートナーという社会的なバッファリング(緩衝)効果」が存在することを示唆している。この行動パラダイムは、アルコール依存症の再発における社会的な影響の神経生物学的基盤を調べるための新しいアプローチ方法となろう。

(論文終わり)

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 この実験は泣かせる話じゃないですか。パートナーと一緒にいたら、アルコールを飲む量が明らかに減った。断酒に失敗しても以前のような量は飲まなくなった。そして、パートナーが酒を飲まないと、酒も好きでなくなっていく。一方、パートナーがいない一人もののままだと、断酒する前よりももっと飲んでしまった。まあ、草原ネズミでは、アルコールよりも、パートナーの方への条件付けの方が強かっただけなのかもしれませんが。

 しかし、人類でもこれは同じだと思えます。実体はパートナーへのCPPかもしれないが、それでも、パートナーへの愛が、夫婦愛が大切なのだと。

 夫婦愛、それこそがアルコール依存症から夫を救う大きな鍵になるのです。
 
 アルコール依存症の男達は、妻から愛想を尽かされて離婚になる前に、もう一度、妻への愛に目覚めなければならない。実験結果からは、離婚されたらもう二度と立ち直れることはないと言えます。
 
 だが、人間のアルコール依存症患者では、なかなかそうはならない。いつまでもいつまでも配偶者に酒で迷惑をかけ続ける人が多い。妻への愛をも失くしたままになっている。だから、アルコール依存症から抜け出せない。人間は草原ネズミよりも劣っている動物なのかもしれませんね。

 アルコール依存症から抜け出すためには、他者愛に目覚める必要がある。特に、奥様への愛にもう一度目覚めてください。

 えっ、俺は、今、独身だぞ。

(こら!! 勝手に話を作るなと、TV朝日のプロデューサーから怒れらてしまいそうなので、もうやめます。ブログも冬休みで3週間ほど休みます。)

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いつも外で飲んで帰ってくるあなた。年末年始くらいは、外で飲まずに家庭の中で奥様と一緒に晩酌をして、もう一度夫婦の愛を深め合ってください。

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恐怖のアルコール その3 (アルチュハイマー病への移行を防ぐ可能性がある薬剤)

(前回の続きである)

 高齢者のアルコール依存症のケースで、解毒のための断酒がきっかけとなり認知症が進行してしまう。そういった悲惨なケースがあり、当院ではアルチュハイマー病として警戒しているのであった。 
アルコール脳


















 なお、精神科以外でも、入院中に認知症がいっきに進行してしまうことはよくある。心不全などの身体疾患の治療で入院していたが、その間に認知症が進行し、治療終了後に精神科に入院依頼がなされることが多々ある。

 前回までに分かったことは、アルコール依存症では、脳はアルコール依存となった状況に適応し、アルコールの代謝産物である酢酸をエネルー源として利用している。アルコールの暴露によって神経細胞のグルコーストランスポーターの発現が低下しており、ブドウ糖が細胞内に取りこまれにくくなっており、急激な断酒はエネルギー源である酢酸が絶たれてしまう危険性がある。

 さらに、アルコールの暴露によって、チアミントランスポーターも発現が低下し、チアミンの吸収が障害されており、アルコール依存症ではチアミン欠乏によるウェルニッケ脳症WEとなっている可能性がある。WEとしての臨床症状がなくてもWEであるケースが多く 、こういったケースにはチアミンを大量に非経口投与しないと適切な対応とはならない。経口投与ではコルサコフ症候群KSへの移行は防げない。しかし、非経口に大量に投与しても防げないケースも多い。

 しかし、WEとしての症状がないというのもおかしい。それはWEと言えるのであろうか。WEの症状がないのはWEとは別の病態である証拠ではないのか。さらにアルチュハイマー病ではKSのような作話がない場合も多い。WEやKSとは別の病因が絡んでいる可能性もある。では、アルチュハイマー病の背後には何が潜んでいるのであろうか。

 手っ取り早く海外のWikipediaでAlcohol dementiaを調べてみた(日本のWikipediaにはアルコール認知症のページはない)。結構詳しい解説が記載されていた。
http://en.wikipedia.org/wiki/Alcohol_dementia#cite_note-Djokic-17

 そこにはアルコール認知症はアルツハイマー病と区別し難いこともあるとあった。さすがに断酒が引き金となり移行や進行を早めるという記載はなかったが。さらに、現時点では明確な診断基準はないらしい。栄養障害、脳血管障害、様々な脳の部位への直接的なダメージ(萎縮)、など、複雑に多くの因子が絡んでおり、認知症としていろんな病態を呈するため、他の認知症疾患とオーバーラップする部分も多く、アルコール認知症を定義するのは困難なようだ。記憶障害や人格変化(易怒的、攻撃的となる)という症状が何となく特徴的なように思える。アルコール認知症では家族から人格変化をよく指摘されるらしい。アルコールによって海馬(記憶障害)や前頭葉(人格変化)が冒され易いのかもしれない。薬物療法としては、メマンチン(MNDA受容体アンタゴニスト)やリバスチグミン(アセチルコリン・エステラーゼ阻害剤)の効果が記載されていた。

 どうやらアルチュハイマー病を防止するには認知症に使用する薬剤を断酒開始時(可能ならば開始前)から投与していく必要があるのかもしれない。有力なのはメマンチンとAchE阻害剤(リバスリグミンやガランタミン)ということになろう(なお、ドネペジルは攻撃性が増す恐れがあるから使用しない方が無難であろう)。

そこで、まだ関連していないことがないかを調べた。以下に要約して列記する。

アルコールは一回暴露されただけでも遺伝子ネットワークの変調をきたす。

アルコールによる遺伝子コネクトの変化










 グルコースやチアミンなどの多くの重要なトランスポーター遺伝子がアルコールによって発現が阻害されるのは必然的な現象なのかもしれない。

 アルコールによって、灰白質、白質、白質線維束の微細構造の破壊(ニューラルネットワーク障害)、脳の体積減少を伴うことが示された。断酒によって一部はに可逆的である(全ては可逆的ではない)。さらに、グルコース代謝の低下、神経伝達物質系のバランスの破綻中脳皮質辺縁系の活動性の増加を認めた(注;この経路だけが優位に活動しているということなのだろう。これは統合失調症の急性期と同じような所見である。アルコールによる幻覚や妄想は、中脳ドーパミン神経の活動亢進の結果かもしれない。幻覚や妄想がある場合は、抗精神病薬の投与はやむ得ないだろう。)。

 アルコールによって脳のグルコース代謝の減少を認めた。減少する部位は偏りがあった。左頭頂葉、右前頭葉で最も低下していた。これは右前頭葉⇔左頭頂皮質の接続の中断を意味する。さらに後頭部皮質と小脳の相対的な減少を認めた(眼球運動障害や歩行障害に関係があるのかもしれない)。逆に、相対的に増加した領域は脳の報酬回路(CGA、側坐核、扁桃体、島と中脳を含む線条体)に関連付けられていた。これは、脳全体の代謝が戻れば報酬系の活動が優位になり再飲酒に結びつくことを意味する(naltrexoneは既に海外ではアルコール依存症の治療薬として承認されているが、この結果からもnaltrexoneの有効性が期待できよう。)

 アルコールによって前頭葉の神経変性が生じ、タスクの遂行障害、注意障害、衝動制御障害が惹起される。

アルコールで最も障害を受けやすいのは前頭葉である。

 特にBrodmanの10野のシナプスの喪失が顕著である。この所見は前頭側頭型認知症に見られるものと密接に類似している。この結果、性格や行動の変化、洞察力の欠如、共感欠如。感情のコントロール障害が生じる。

 どうやら怒りっぽくなるのは前頭葉へのダメージが関与しており、それは前頭側頭型認知症に類似した病態のようである。とすれば、効果がある薬物療法は限らてしまうかもしれない。

 アルコール認知症とアルツハイマー病はアセチルコリン作動性ニューロンの損失という共通の所見を有するが、疫学調査では、アルコールの使用はアルツハイマー病を発症するリスクに影響を及ぼすという証拠は得られていない。アルコール認知症とアルツハイマー病は、コリン作動性ニューロンの損失という共通した病態を有するが、基本的には異なる疾患なのかもしれない。

 アルコールによって軸索のミエリンが障害され白質の損傷が生じる
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/glia.22327/abstract?deniedAccessCustomisedMessage=&userIsAuthenticated=false

 アルコールによって広範囲に脳の白質の微細構造が障害されるが(ミエリン欠乏)、断酒によって回復する。しかし、喫煙者と非喫煙者では回復過程が異なっていた。非喫煙者では断酒当初の1か月間は白質の容積は増えず密度だけが増加し、その後の6か月に容積が回復した。しかし、喫煙者では断酒後から直ちに容積が増え始めた。これは、非喫煙者ではまずミエリンの再構成から始まるため回復が遅れることを意味する(逆に、喫煙者ではニコチンによるアセチルコリン受容体への効果が断酒前や断酒後に存在し、ミエリンの障害は少なく免れており、回復もアセチルコリン受容体への効果によってさらに早いことを意味するのかもしれない)

 pyrithiamineによって誘発されたチアミン欠乏症ラットでは前頭葉皮質と後帯状皮質のアセチルコリンAch作動性神経支配の減少と行動刺激によるAchの放出の著明な低下を認めた。認知機能の強化には皮質へのACh刺激が効果があるかもしれない。

 まだ認知症を発症していないアルコール症では前頭皮質のコリン作動性ムスカリン受容体の密度が40%減少していた。

これらの所見からもAchE阻害剤であるリバスチグミンの効果は期待できよう。

ただし、↓のような報告もあり、Ach受容体の刺激はニコチンではなくAchE阻害剤の方を使用すべきであろう。

 アルコールとニコチンによって脳のCYP2B6、CYP2E1のレベルが上昇した。この現象が他の臓器で起これば発癌に関連し有害である。

さらにモノアミン神経伝達系も関与しているかもしれない。

 高用量ではないアルコールを与えられていたマウスは、断酒後に海馬の神経新生が低下し(断酒前は神経新生の低下なし)、不安行動やうつ病のような行動をラットに引き起こす。なお、2日間の断酒ではその現象は生じなかった。そして、断酒中に抗うつ剤であるデシプラミンの投与によって神経新生の減少も異常な行動も阻止された。断酒はストレスでありグルコルチコイドの増加を起こす、それが海馬の神経新生を減少させるのかもしれない。さらに、断酒はノルアドレナリンや他のモノアミンシステムの調節不全につながる可能性がある。既に海馬のCREB活性低下はアルコール離脱中に発生する可能性が指摘されており、抗うつ剤はCREB活性を増加させるため、デシプラミンの効果はCREBを介した作用かもしれない。断酒中のうつ状態の予防には抗うつ剤の投与が有益となろう(注;高用量のアルコールは海馬の神経新生は当然低下する。)

コルサコフ症候群は海馬の機能不全に関連する

 アルチュハイマー病への移行を防ぐには海馬の神経新生を促す抗うつ剤の投与も有効かもしれない。

さらに、炎症や酸化ストレスも関連している可能性がある。

 アルコールによってグルコースの代謝は低下し逆に酢酸の利用が増加する。この結果、電位を帯びた代謝産物の不均衡により、例えば、[NAD+]/[NADH]比率は細胞質で減少し、ミトコンドリア内では増加する。その結果、細胞質とミトコンドリア間に電位の不均衡が生じ、電位依存性にミトコンドリアの膜に穴が開いたような通過性が増すような現象が生じる。(この結果、ミトンコンドリアの障害が生じることを意味するのだろうか)。
NAD+↑














 アルコールはグリア細胞のnuclear factor kappa-B(NF-κB)を活性化する。NF-κBは炎症関連遺伝子を活性化し、炎症性サイトカイン(IL-1β、TNFα、ケモカインMCP-1など)の産生を誘導する。さらにアルコールは炎症惹起物質であるNADPH oxidase(NOX)を誘導する。NOXは超酸化物superoxideを生成し、活性酸素種reactive oxygen species(ROS)の産生を促す。ROSはドーパミン作動性神経毒性に結びつく。すなわち、アルコールによってミクログリアとアストロサイトが活性化され、炎症と酸化ストレスによって神経変性を引き起こすことになる。なお、細胞死を意味するcaspase-3の活性も亢進していた。caspase-3の活性の亢進は海馬の歯状回大脳皮質、特に、眼窩前頭皮質(OFC)で著明であった。nuclear factor kappa-B(NF-κB)・NOX・ROSとシグナル伝達経路は、アルコールによる神経炎症の誘発と神経変性に大きく関連していると言える。NOX阻害剤であるジフェニルヨード(DPI)はミクログリア活性化とROSの発生を減少させた。神経変性を防ぐには抗炎症作用や抗酸化作用がある物質の投与が有益になろう。
アルコールと炎症酸化ストレス










 アルコールによって海馬歯状回の神経新生は阻害されるが、それは酸化ストレスやニトロソ化ストレスに関連している。アルコールによってグルタチオンペルオキシダーゼ活性が低下する。そして、抗酸化剤であるエブセレンebselenによって防止された。
(注;エブセレンは双極性障害にも有効である)

抗酸化剤の投与もアルチュハイマー病の予防には非常に効果的かもしれない。

 なお、フェルラ酸は抗酸化作用があり、フェルラ酸(フェルガード)もアルチュハイマー病の予防には有益かもしれない。
 もし、前述のように、アルチュハイマー病では前頭側頭型認知症(ピック病)と同じような病態を呈しているのであれば、フェルラ酸の効果は十分に期待できよう。

 以上をまとめると、アルチュハイマー病を予防するには、事前に周到に計画された解毒と断酒が必要である。他科からのいきなりの入院依頼に応じ即座に解毒(断酒)を開始するのは危険である。

 断酒前には、経口からでもよいからあらゆる種類のビタミン剤の投与、栄養補給、AchE阻害剤、抗酸化剤(バルプロ酸、メラトニン、ミノサイクリン、グルタチオン、NAC、フェルガードなど)、抗炎症剤(NSAIDs)、抗うつ剤、抑肝散、ミエリン補強(ω3脂肪酸。ω3脂肪酸は抗酸化ストレス作用、抗炎症作用もある)などの投与がなされ(多剤併用には注意せねばならないが)、断酒へのストレスに対抗する準備をしておくことが望ましい。少なくとも1週間以上の断酒への準備期間が必要である。

 さらに断酒開始と同時に、チアミンを非経口から大量投与する。他のビタミン剤や抗酸化剤であるグルタチオンも非経口から投与する。引き続き、断酒前に投与されていた物質の経口投与を継続する。そして断酒時には、必ず酢を飲んでもらう

 が、しかし、もし何をもってしてもアルチュハイマー病への移行が防げないのであれば、断酒を選択せずに天寿を全うするのも選択肢の一つかと思う。努めて食べるように指導し、せめて夜だけ飲むようにしてもらい、昼間は酢を飲んでもらい、薬物治療によって易怒性や攻撃性を抑え、メマンチンやSSRIやトピラマートによって飲酒行動を抑制し、神経保護作用があるような物質を投与し、家族に迷惑をかけずに穏やかに酒を飲み続け(ここが一番重要であろう)、天寿を全うするのも、それはそれで本人にとっては本望なことなのではないのだろうか。


 

恐怖のアルコール その2 (VB1の大量投与も効かないかもしれないアルチュハイマー病)

(前回の続きである)

 当院には40歳前にアルコールにて認知症となり、未だに入院している男性が数名いる。どの家族も引き取りを拒否し、だんだんと家族も亡くなっていき、入院期間は長い人では30年近くになるだろうか(さすがに場末の病院だけのことはある)。入院後の記憶は一切ないようなのだが、ある時点から前の過去の記憶だけは保たれており、診察時に「お母さんに会いたいです」としか毎回言わない。言うのはそれだけである。母はかなり昔に亡くなったのだが。何回か母が死亡したという事実は伝えたはずだが、「ああ、そうですか」と悲しそうな顔もせずに、数日後には再び「お母さんに会いたいです」。

 なぜ自分が入院しているのかも、自分が誰なのかも分からない。あるのは子供の頃の記憶だけのようだ。彼の時間は永遠に止まったままである。

alcoholdemetia





 

(悲惨ですよ、アルコールでこうなっちゃうと。若年性アルチュハイマー病の恐怖。)

 今回は、チアミン(ビタミンB1・VB1)がアルコール認知症にどのように関連するかを調べてみた。日本でも、この問題に取り組んでいる大学があり、浜松医科大学第一内科のHPに掲載してあった「チアミン・トランスポーター遺伝子変異とWernicke様脳症」という記事をまず紹介する。

 Wernicke脳症(WE)はチアミン欠乏により引き起こされる急性の代謝性脳症である。チアミンはアルコールやストレスで大量に消費され、他のビタミンに比べて体内に蓄積し難い。(アルコールにて、容易に欠乏状態となるようだ。)血中チアミンの欠乏が診断では必須である(やっぱりチアミンの血中濃度検査を外注機関にオーダーせねばいけなかったのか)。全ての症候がそろうのは17%程度。全体の3割は軽度の意識障害のみである(えっ、そうなの)。さらに、MRI検査のFLAIR画像で中脳水道周囲、乳頭体、視床背内側核の高信号域が特異的である。そして、この所見は、チアミンの大量静注600mg/日で速やかに(3日目には)消失するとあった。(やっぱり、MRI検査をせねばならんのか。こりゃ、頭部CT検査しかできない場末の病院ではWEはお手上げですわ。もし、紹介元の内科でMRI検査をしていたならば、FLAIR画像を必ずCD-ROMに焼いて持参してもらわねばならない。)

WE-MRI













 さらに、チアミン・トランスポーターTHTR遺伝子異常が紹介されていた。こういった遺伝子異常があれば、WEの発病年齢は若いようだ。しかもアルコールとは関係なく発病するようだ。(「お母さんに会いたいです」としか言わないOさんは、THTR遺伝子異常も絡んでいるのかもしれない。彼は20歳台からの連日の半端じゃないようなアルコールの大量飲酒でそうなったのだけど。)そして、血中のチアミンが基準値以内であっても、チアミンの大量投与が推奨されている。海外の推奨量は、500mg/回を3回/日静注(1日の総量が1,500mg)これを2日間行った後、500mg/日静注を5日間行う。とあった。

 えっ、血中のチアミンが正常値でも、アリナミンF100mgを1日に15本も静注するんですか。しかも経口投与はダメなんですか。ということは、アルチュハイマー病が怪しいと思われるような高齢者には、血中のチアミン濃度の値に係らず全員に15本ものアリナミンFを非経口から大量投与せねばならないってことになりますぞ。それって、日本では保険が通るのですか。高齢のアルコール依存症に、アルチュハイマー病への移行防止のためとは言え、全員にやっていたら、過剰診療だと支払基金に怒られてしまいますがな・・・。(;゚Д゚)

 しかし、先天的なTHTR遺伝子異常は稀であろう。THTR遺伝子に異常がなくてもそんなにVB1を大量に投与する必要があるのか、など、まだまだこれだけの情報では不十分なので、さらに論文を調べることにした。すると、必ずしもVB1の大量投与に反応する訳ではないことが分かったのである。非経口によるVB1の大量投与によっても認知症への移行が防げないことがあるようなのだ。

コルサコフ症候群の進化と治療
「The Evolution and Treatment of Korsakoff's Syndrome」
(補足的な資料として、この論文の著者が作成した↓のスライドを参照して解説を付随しておく。)
http://www.docstoc.com/docs/84282836/How-Common-is-Wernicke-Encephalopathy-in-alcoholics

 ウェルニッケ脳症(WE)と診断されず適切に対処されなかった場合にはコルサコフ症候群(KS)に移行する可能性がある。アルコールに関連したチアミン欠乏症(TD)はより複雑である。アルコールが絡まないような単なる栄養失調に伴うTDではVB1の経口投与によって速やかに改善するが、アルコール依存性によるTDに対しては、適切に処理するには、最初の24時間でVB1が1g以上の大量の静注が必要な場合がある。経口からの摂取では効果が発揮できない。KSは残念なことに、そういったVB1が非経口投与されなかった結果かもしれない(WEで完全に回復するのは10%でしかない。70%はKSへ移行する。20%は死亡する)。
WEの予後










 
 
 長期大量のアルコール消費は、認知障害につながることが知られており、これらはアルコール関連認知症alcohol-related dementiaと文献に記載されて、アルコール関連脳損傷alcohol-related brain damage(ARBD)として考えられている。ウェルニッケ・コルサコフ症候群(WKS)の患者は、一般的にTDとアルコール誘発性神経毒性の両方の結果による脳へのダメージの結果である。そして、TDとアルコール誘発性神経毒性の相乗効果も存在する。WKSは単一な病状ではなく(=heterogeneous)、脳へのダメージのスペクトルを呈するであろう。
 
 調査によって認知症の約10%がアルコール関連の認知症であることが分かっている。スコットランドの調査ではARBDの殆どは50代や60代前半であった。ARBDは典型的な認知症よりも若い年齢層が中心である。早期発見と早期介入が重要である。総合病院はARBDの最初の接点である。総合病院の緊急治療室のスタッフはARBDに警戒せねばならない。剖検例によればアルコール依存症の12.5%が脳のWKS領域に特徴的な神経病理学的所見を有していた。チアミン依存性の小脳の損傷は35%にも上った(注;アルコール依存症の10人に1人はWKSへの変化が既に始まっているのだろうか)。さらに、WKSの3人に1人が栄養失調による入院歴があった。女性と65歳以上にその傾向が強かった。KSとARBDを予防するには健康的な食生活を維持する必要がある。
 
 アルコールはGABAやグルタミン酸系の神経伝達システムに作用する。アルコールは、抑制性GABA受容体をエンハンスし、興奮性グルタミン酸受容体(NMDA受容体)を抑制する。断酒はこれらのシステムの不均衡を惹起し、アルコール離脱症状を起こす。コルチゾールは離脱症状時には上昇しており、アルコールの離脱はストレスが強いプロセスであることが分かる。飲酒と断酒による離脱を繰り返すと、グルタミン酸誘発性興奮による持続性の神経ダメージが誘導される。アルコールを代謝するためのVB1の要求増加は離脱期間をさらに長引かせることであろう。TDは過剰なグルタミン酸の放出によっても引き起こされる。そして、過剰なグルタミン酸の放出はグルタミン酸受容体のアップレギュレーションを引き起こす。それらが加わると、アルコール離脱時の潜在的な神経毒性はさらに強まるであろう。我々は、未治療のアルコール依存症で、アルコール離脱中に予期しない形で突然にKSが発生したことを経験している。アルコール離脱中のTDの併発では、経口または非経口のVB1の単独投与ではARBDは直ちには逆転されにくい(注;断酒によって、逆にKSが生じ易くなることがあるのかもしれない。著者らも解毒はWEを進行させるリスクがあることを考慮しておかねばならないと参考資料としたスライドに記載している。)
 
 TDの動物モデルには、抗チアミン剤によるモデルと、食事中のチアミン欠乏モデルとの2つがある。アカゲザルにおける食事によるTDは、下丘や中前庭核の病変を示していた。大脳基底核のダメージはTDの期間の長さに関連していた。乳頭体や視床の背内側核のダメージはチアミンの剥奪に最も関連していた。抗チアミン剤によるモデルでは乳頭体や視床の背内側核の神経変性認められなかったが、WKSと同じような記憶障害を認めた。ARBDは、TDとTDのエピソードの繰り返しによって神経へのダメージが蓄積されているためより重度な病態であろう。
 
 これらの知見は、アルコール依存症では、脳を保護するために、精神科に受診となる前の段階で、医療を受ける際にVB1の経口または非経口(吸収が阻害されている場合)投与が必要があることを意味する。VB1を吸収する能力は、チアミン2リン酸TDPの増加で確認できるが、評価されることはない。従って、我々は、250mgのVB1の非経口投与を5日間受けることを推奨する。VB1の必要な用量はまだ確立されていない。他のビタミン欠乏も絡んでいるであろうし、臨床は動物モデルよりもっと複雑である。KSはTDによって純粋に引き起こされることは殆どない。それは、VB1に反応しなかったKS移行患者も多々いるという事実から、KSは他の栄養素とARBDが原因である可能性がある。VB1の推奨用量でKSへの発展を完全に妨げるか、KSの発生率を低下させるかといった臨床試験はまだ行われてはいないのである。

 WEには遺伝子が関係していることがある。チアミン・トランスポーターには高親和性であるTHTR1(SLC19A2遺伝子)と低親和性であるTHTR2(SLCA3遺伝子)の2種の遺伝子がある。さらにアルコールの慢性消費によってTHTR1とTHTR2の発現が低下することが示された。そして、ラットではTHTRの発現低下によって腸管からのチアミンの吸収が減少した。さらにチアミンの律速段階に作用する補酵素であるthiamin pyrophosphokinase (TPKase)も低下することが示された。アルコール依存症では吸収不全に食事摂取不良なども加わって数週間で体内のチアミンは枯渇するだろう。そして吸収障害によってVB1の経口投与は不適切な治療となってしまう。(まさに、負のスパイラルとなり、悪循環を繰り返し、TDとARBDがだんだんと進行していく。この負のスパイラルを断ち切るには適切な食事摂取しかない。なお、チアミンは1日に1~2mgが必要である。体内に貯蔵されているチアミンは肝臓で3~4mg。体全体でも30mgしか貯蔵されていない)。
 チアミン吸収の悪循環












 TDとアルコール代謝が組み合わさることによって生じるダメージはBBBを含む人体の多くの部位の適切なチアミンの輸送に干渉し、さらに、正常に機能するには高濃度のチアミンが必要であるアポ酵素の障害を引き起こす。BBBが障害されるため脳へチアミンを供給するには高濃度のチアミンが必要となり、経口投与では血液中の高いチアミン濃度を達成できないため不十分な治療となる。少量のVB1に反応する栄養不足によるWKとは対照的である。

 慢性アルコール中毒では他の栄養素不足も関連している。葉酸欠乏はVB1の吸収不全に関連している。葉酸欠乏ラットはVB1の吸収不全を示し、葉酸は能動輸送のプロセスの統合性の維持に役割を持つと考えられている。ビタミンB6とB12の欠乏はVB1の貯蔵を下げ、チアミン自体がチアミンの輸送速度を変更する。これらの知見は、治療では欠乏しているあらゆる栄養素を補給することの重要性を意味する(マグネシウムも補給する必要がある)。葉酸は神経新生を刺激する。前段階のWKSの海馬では神経新生が損なわれることが示されているため、葉酸の輸送障害も認知障害のメカニズムである可能性がある。肝障害や低血糖も寄与要因である可能性がある。慢性アルコール中毒では、肝障害が重度になるほど脳の変化はより重度になることが示された。KSの予防と治療の成功の鍵は、不足している全ての栄養素を補給することで、ARBDを防止し修復することである。(なお、アルコールにチアミンを加えて飲んでも、他の栄養素を取らないのではARBDを防ぐ効果は全くない。)

  TDはARBDとの相乗・相互作用でKSへの進行を促進することが示唆されている。オキシチアミン投与によるTDとアルコールへの神経毒性が組み合わされることで記憶保持障害が生じることが動物実験で示された。この障害は不可逆的であり、TDのみのケースで生じた場合と異なり、チアミンによる治療に応答しなかった。フェニトインには反応したため(フェニトインはNA+/K + ATPase活性を促進する)、TDとアルコールへの神経毒性の相互作用によるNA+/K + ATPase活性阻害によるものと推測された。

 脳のチアミンの80%はチアミンが2つリン酸化した形態を取る。これは脳細胞のエネルギー代謝(注;TCAサイクル)に関連するα ketoglutarate dehydrogenase、transketolase、pyruvate dehydrogenaseという3つの酵素の補酵素として作用する。ウェルニッケ・コルサコフ症候群と診断された剖検例では、この3つの酵素の著明な減少を認めた。脳のチアミンの50%はピルビン酸の酸化に使用されている。そして、脳は代謝や合成のプロセスのために常にチアミンの供給を必要とする。
 
 WKSの候補遺伝子が調べられている。チアミントランスポーター遺伝子(SLC19A2とSLC19A3)である。我々は、チアミントランスポーター遺伝子の3つの非翻訳領域にある2つの変化が遺伝子の発現に潜在的に影響を与えることを示した。さらに、WKSの109例と220例のコントロールによる遺伝子関連の研究では、WKSにおいてSLC19A3遺伝子上の4つのマーカとの関連性を示した。他にも関連している遺伝子があるかもしれない。WKSは多因子遺伝疾患であるかもしれない。
 
 単なる栄養不足によるTDと異なり、アルコール依存でのTDでは高用量のVB1が必要である。BBBやトランスポーターや酵素系が障害されているかもしれない脳への到達を可能にするVB1の濃度は、正常な濃度ではなく高濃度が必要である。吸収も低下している慢性アルコール中毒患者への経口投与では、高濃度は達成されていない可能性がある。しかし、プラセボとの対照研究はまだない。アルコール依存におけるワーキングメモリとVB1の投与量との関連を調べた研究では、200mgの筋注は5mgの筋注よりも著しく有効であることが示された。高濃度の方が確実に効果があるのである。さらに、WEでは高用量のVB1の経口投与では死亡例を防げないことが示されている。臨床反応を得るためには最初の数時間でチアミンを1gまで非経口投与する必要がある場合がある。ウェルニッケ脳症の即時治療については表に示した(大量にチアミンを非経口投与しても有害事象が出たのは0.001%であり殆ど生じない。なお、著者らは、参照したスライドではメマンチンが健忘の進行を防止するのに有効であると記載してあった。)

WEの即時治療








 

 栄養失調によるWEは劇的な変化で生じるため見逃されることはないが、アルコール依存によるWEではアルコールにより症状がマスクされ不顕性であり見逃されることがある。チアミン二リン酸(TDP)の血中濃度の測定がWEを発症することを識別できるかもしれない。TDPはメモリパフォーマンスに関連していた。これは、チアミンの輸送障害があるケースは記憶障害を発症する危険性があることを意味し、WEの予測因子になるかもしれない。WEの非アルコール性とアルコール性での比較では、アルコール性では眼症状、小脳症状, 古典的3兆候(眼球運動障害、失調性歩行、意識障害)、精神状態の変化が多かった。しかし、脳の神経病理学的所見と臨床病状とが相関しないこともある。(3症状があるのは16.5%でしかない。WEを疑う症状がなった例は18.6%もある。94例のアルコール性WEのうち64例はWEと診断されなかった臨床所見を信じてはいけない。なお、眼球運動障害は適切なチアミン投与によって1.5~6時間で改善が見られるはずである。)
眼球運動障害







 治療が開始される前に既に不可逆性の脳へのダメージが存在するかもしれないが、それは適切な量のVB1が長期的に与えられてからの結果を見ない限り推測できない。現時点では適切なVB1の量は分からない。英国ではチアミンはPabrinexという製剤で経口投与されている。Pabrinexは、アスコルビン酸500mg、ニコチン酸アミド160mg、塩酸ピリドキシン50mg、リボフラビン4mg、チアミン塩酸塩250mgを含む。ニコチン酸欠乏においても有効と思われる。しかし、残念ながら、英国ではアルコールによるWEを治療するためのガイドラインをまだ持っていない。
 
 アルコール依存症では以下のことを考慮してWEのリスクを評価しておかねばならない。
(1)アルコール依存症の重症度と依存の期間、断酒の期間。
(2)むちゃ飲みのパターンがあるか。
(3)性別。むちゃ飲みする若い女性が特に危険に晒される可能性がある。
(4)飲酒開始年齢。依存になった年齢(遺伝的な素因を持つ場合はアルコール依存が始まるのは25歳である)
(5)離脱時のてんかん発作などの合併症の既往や重症度。
(6)アルコール関連肝障害などの身体合併症の既往や重症度。
(7)BMIや栄養/栄養不良の度合。
(8)アルコール解毒の既往(解毒の回数や内容、経口でチアミンが与えられたかどうか、)
なお、若い患者では悪い状況下にあってもチアミンへの反応は早いが、高齢者であることは慢性的なアルコール依存と複数の不顕性のWEエピソードを有し予後不良である危険因子となる。
 
 KSは、重度の前向性健忘と逆行性健忘、時間や場所の見当識障害、病識欠如によって特徴づけられる。末梢神経障害、眼振、運動失調も存在するかもしれないが、KSでの眼振や運動失調は以前のWEのエピソードに関連しているものであろう。他の共通する症状としては、作話、不安、意欲低下がある。KSでは前頭葉の機能、遂行機能、時間空間処理の機能を調べるテストで低い点数を示す。しかし、IQはしばしば保たれており、手続記憶、意味記憶も保たれている。最近の研究では、KSはARBDが続いている結果であるという理論が支持されている。認知機能の評価はアルコール離脱後4週間までは行われるべきではない。
 
 WEが誤診されるか、VB1の治療が不十分である時に、KSが発生する。しかし、診断された時点で既に永続的または半永続的な脳障害が存在し、治療への反応が制限されるケースがある。常にWEのリスクのある患者を同定し非経口VB1の十分な量で治療しなければならない。チアミンの要求を増やすような脳内の変化が生じる前の時期での早期の介入が重要である。アルコールと非アルコールによるチアミン欠乏によるWKSには差がある。非アルコールでのチアミン欠乏ではKSに移行することは稀であり、KSはアルコール性で多く生じる。メカニズムが異なっており、アルコール性では高用量のチアミンの非経口投与が必要となる。我々は、WEを持つ多くのアルコール依存症は、チアミンで治療した後にもKSに移行するという現実に直面している。既に発症時には不可逆的な脳のダメージが存在するのだろう。非経口のVB1に対する応答や必要な量は様々である。必要となる非経口のVB1の量と期間に関する対照試験はなされていない。ARBDからの回復は時間がかかる。必要であれば数ヵ月にわたり脳機能に必要な他の栄養素の全てを供給し、非経口でVB1を与えねばならないだろう。今後の研究課題はアルコール中毒と離脱の繰り返しによる脳への相乗効果を調べることである。
 
(論文終わり) 

 この論文の著者らは、英国のアルコール性のWEのスペシャリストである。しかし、論文では、大量のチアミンの非経口投与でも、それでもなお、認知症への移行を防ぎ切れないケースがあると述べられている。アルコールの暴露によって脳神経細胞のTHTR発現も低下しているため、細胞内にチアミンをスムーズに取りこめなくなっているのかもしれない。

 場末の病院にはもっと条件の悪い患者が紹介されてくる。高齢者で、精神状態が極端に悪くなるまでは妻からも放置され続け(もはや解毒したところで手遅れかもしれません)、栄養失調、加齢による変化、脳血管性の変化など、多くの認知症へのリスクファクターが揃い過ぎているのである。場末の病院だし、大学病院でもないし、そんな悪い条件が重なったケースの認知症への移行が防ぎ切れなくても仕方がないことだと論文を読んで納得できた次第なのであった(そんな簡単に納得していいのかと言われそうだが)。

 これからは、病棟のナースから変に思われても嫌がられても、薬局からVB1の過量処方だとクレームの電話がかかってこようが、本人が点滴を拒否しようが、とにかく入院初日には最低10本はアリナミンFを、他のビタミン剤と伴に、口からではなく静脈(点滴)から投与するぞと誓ったのであった。もちろん酢も飲んでもらうのだ。それでも認知症に移行したらもう諦めるしかないだろう。

 このアルチュハイマー病の問題は非常に考えさせられるテーマである。論文の著者らも、解毒のための断酒がWEを進行させる懸念があると言っている。もうここまできたら、最後まで断酒や解毒をせずに天寿を全うしてもらうのもありかと思える。認知症になるリスクを冒してまで断酒する意味があるのだろうか。断酒が災いして認知症になってしまう本人にしてみたら、そんな哀れな認知症になってまで解毒や断酒はしたくないと言うかもしれない(断酒によってかえって逆に認知症が進行するリスクは家族には説明することはあるが、それでも、入院して断酒させて解毒させてください、できればずっと入院させておいてくださいと言う家族ばかりである)。解毒は本人の意志ではなく、家族の希望で家族のために行われる場合も多いのだ。しかし、赤塚不二夫のような生き方もありかもしれない。騒いだり暴力を振るわなければ、酒を飲んでいようがいまいが、家族としてはそれでいいのだから・・・。

 
(しかし、チアミン大量投与でも防げないということは、アルチュハイマー病には他にももっと問題が潜んでいるのかもしれない。もう少し調べることにした。)

以下、次回に続く。

バカボンのパパ1

恐怖のアルコール その1 (酢を昼間から飲んでいた酒豪のクラスメートの謎がようやく解けた)

 大学時代に酒豪のクラスメートがいたが、彼はよくを飲んでいた。彼の机には酢の瓶がいつも置いてあり、コップについではガブガブと飲んでいた。彼が言うには、酢がすごくうまいのだという。しかも酢を飲むと集中力が高まり勉強がはかどるのだという(そんなことあるかいな)。

 しかし、この謎が30年以上も経ってようやく解けたのであった。アルコールを飲み続けると、脳の神経細胞はアルコールの代謝産物である酢酸ばかりをエネルギー源として利用するように変化してしまうという論文が出たのである。彼は、ブトウ糖よりも酢酸を好んで消費するようになった脳の命令に従って、昼間から脳のエネルギー源として酢を好んで飲んでいたのだ。今、ようやくクラスメートの謎が解けたのであった。

ET-AC





 

ヘビードリンカーの脳は酢酸を取り込んでどんどん利用している
「Increased brain uptake and oxidation of acetate in heavy drinkers」

 この論文は、これまで脳はブトウ糖しかエネルギー源として積極的に利用しないと考えられていたことをくつがえすような論文である。ただし、飢餓などの際には脳はケトン体を使用して一時的にしのぐことは既に分かっているのだが、ブトウ糖よりも酢酸を優先的に利用するようにシフトするというのは初めての発見である。

 一方、最近、易怒性や暴力や妄想(家族への、特に妻への被害妄想)が強くなり、物忘れや記銘力低下や見当識障害をきたし始め、一日中酒を飲み、酒がなくなると怒り始め、酒を持ってこい!!と家族に暴力を振るうため、家族が困り果てて内科病院などから直接紹介されて入院となるような、65歳を過ぎた高齢者のケースが増えている。精神症状は、アルコールによるものなのか、アルツハイマー病のような認知症としての疾患が生じてきているせいなのか、もはやどちらが主なのか区別し難いようなケースが増えているのであった。
 
 酒ばかりを飲み、食事はろくに食べないため、るい痩を認める(そうでない場合もある)。体はボロボロになりかけている(そうでない場合もある)。明らかに栄養失調である(しかし、栄養失調はない場合もある)。γGTPはかなり上昇している。GPTやGOTも上昇している。高血圧、高脂血症、糖尿病が合併していることもある。一方、頭部CT検査では、海馬や側頭葉内側というアルツハイマー病に特徴的な部位の脳萎縮があるような無いような、微妙な所見である。さらに、これもまた微妙であるが前頭葉にも萎縮があるように思える場合もある。おまけに、PVLやラクナ梗塞が少しあるあるような無いような、脳虚血性変化も微妙にあるケースもある。HDS-Rも25点前後くらい。これまた微妙である。物忘れや記銘力低下や見当識障害といった認知症の中核症状も微妙。既に認知症かと言えるような、認知症とも言えないような、とにかく微妙な段階なのである。画像所見も臨床所見も、何から何まで全てが微妙なのであった。なお、歩行障害、運動失調、眼球運動障害、意識障害などは無い(ウェルニッケ脳症を疑うような所見は無い)。作話も無いし明らかな健忘も無い(コルサコフ症候群とも診断できない)。

 定年となり、何もすることがないので暇だし、酒でも飲もうかと昼間も飲み始め・・・。朝から毎日飲むようになり、気が付いたら精神科病院に入院していました。定年ということがきっかけとなり、アルコールにどっぷりと浸るようになってしまったけど、かっては仕事一筋で日本を支えてきたりっぱな人です。仕事人間だったことが、逆に徒になったとしか言いようがない、これもまた人生さと言うような、切なさ一杯の人達ばかりです。

場末のP科病院にようこそおいで下さいました。もはや手遅れかもしれませんが、一応、アルコールの解毒として1か月ほどは入院してもらいます。

 ここで、不思議なことが起こるのであった。アルコールの解毒のために入院して断酒したにも係らず、認知機能が低下していくケースがあるのであった。確かに、断酒がきっかけとなり、シャッキとして良くなるケースは多い(このパターンが一般的である)。しかし逆に、断酒中にますます崩れていくようなケースがあるのである。
 
 頭部CT検査では脳の萎縮が進行したような所見はない。画像所見上は入院時との変化はない。しかし、入院時よりも退院時のHDS-Rの方が明らかに低い(HDS-Rが5点以上も低下することがある。20点未満になることもある)。これはどう見ても認知症が進行したとしか思えない。認めたくはないが、断酒が逆効果になったとしか思えないような経過なのである。
 
 いったい、何が起こったのだ。肝機能は良くなったけど、脳機能というか、認知機能が逆に落ちてしまうのでは、入院してもらい解毒した意味があったと言えるのだろうか・・・。そして、当院ではこういったケースを密かに「アルチュハイマー病」と呼び警戒しているのであった。(しかし、最近、本当に増えている。アルチュハイマー病が。)

 入院中になぜか見当識がだんだんと悪くなっていっている。病室も覚えられない。だんだんと身の周りのことができなくなっている(遂行機能障害)。作話のようなことを話し始めることもある(作話がないことも多いが)。何かがおかしい。断酒中に認知症疾患に移行していっているとしか思えない。コルサコフ症候群に移行しているのかもしれない。しかし、ビタミンB1(VB1)は多めにちゃんと飲んでもらっている(ただし、点滴ではなく経口投与が多い。点滴を拒否する人も多いし、そうなれば拘束して点滴せねばならない。しかも、食事をちゃんと食べていたら点滴しようという判断にはなりにくい)。ウェルニッケ脳症への移行は経口からのVB1、それで十分に防げるはずだ。事実、これまでウェルニッケ脳症を疑うような所見は一度もなかった。ウェルニッケ脳症になってもいないのに、ましてや、コルサコフ症候群に移行するはずはない。
(厚生労働省のHPより。ウェルニッケ・コルサコフ症候群の解説)
(同じく、アルコール性認知症の解説)

 さらに、入院当初は離脱症状の予防にベンゾジアゼピン系の薬剤を使用したが、その後は眠剤くらいしか使用していない。薬物は努めて使用しないようにしている。易怒性や暴力や妄想などが目立つ場合は、少量の非定型抗精神病薬やバルプロ酸などの抗てんかん剤は使用する。抑肝散も使用することがある。しかし、そういった薬剤で認知機能が落ちていくことがあるのであろうか。既に、重度のウェルニッケ脳症であるならば、飲酒・断酒とは関係なく病状が進行していき、そういった経過をたどらないとも限らない。しかし、ウェルニッケ脳症と診断できるような神経学的所見は入院時から全く無いのである。確かに、場末の病院だから、MRI検査機器はないため頭部CT検査しか実施していないのだけれど、入院前の内科系病院ではMRI検査をしており、ウェルニッケ脳症を疑うような異常も指摘されてはいない。まあ、血中のVB1の濃度の検査はしていないので、ウェルニッケ脳症を完全に否定できた訳ではないのだが。これはまるで神経学的所見がないウェルニッケ脳症とも呼ぶべき病状である。

 脳にも良いはずの断酒が災いとなる。認知症とまだ診断しきれないケースが、断酒によって認知症に移行する。断酒をしない方が良かったのだろうか。これはいったいどういうことなのだろうか。

 しかし、そういうことだったのかと、この論文を読んでようやくアルチュハイマー病の謎が解けたのであった。そうだ、これが原因だったのだ。

 もはや、脳が酢酸ばかりを利用し、ブドウ糖を積極的に利用しなくなっており、断酒によりエネルギー源にしていた酢酸が絶たれ、神経細胞のエネルギー産生が激減し、断酒が逆にアポトーシスを早めてしまったのだ・・・・・(;゚Д゚)。

 ウェルニッケ脳症前段階(認知症移行段階)+断酒による酢酸の供給停止に伴う脳へのエネルギー源の途絶→(ウェルニッケ脳症へ発展。しかも、このステージをいっきに飛び越えて)→完全なる認知症(コルサコフ症候群やアルツハイマー病を含む認知機能低下をきたす病態の複雑な合併)へワープ完了。

 そこに、もし、脳血管性の変化も加われば、病態は、さらに複雑なことになるであろう。脳へのエネルギー供給の激減によって、認知症へのワープ速度はさらに加速することだろう。
 
彼には酢酸が必要だったのだ。入院中に酢をどんどん飲んでもらうべきだったのである(そんなバカな)。

この論文によれば、

 アルコール依存症とはまだ診断されていないヘビーの飲酒家HD(週に8ドリンク以上の女性、週に14ドリンク以上の男性、そして飲むとしたら1日に4ドリンク以上は飲む。ただし、ドリンクの定義は論文では不明。ワインをグラスに1杯くらいが1ドリンクか。日本酒にしたら1合くらいが1ドリンクか?)とライトな飲酒家LD(週に2ドリンク未満)を被験者として採用した。そして、放射性同位元素である13Cで標識された酢酸([2-13C]acetate、AC2)を用い被験者に静脈内投与し、magnetic resonance spectroscopy(MRS)で脳内の酢酸の代謝スピード、13Cで標識された、Nアセチルアスパラギン酸N-acetylaspartate (NAA)、グルタミン酸glutamate(Glu)、グルタミンglutamine(Gln)、γ-アミノ酪酸GABAなどを解析した。これらの13Cで標識された物質は、静脈から投与した酢酸から生成されたものだと分かる仕組みである。(MRSの解析手法などは省略する)。

(この論文の著者らは既にラットによる実験にて、今回の結果をある程度予測をしていたようだ。)

 その結果、ヘビードリンカーHDは血液よりも2倍に濃縮された脳内の13Cで標識された酢酸の濃度を持ち、LDよりも2倍以上の13Cで標識されたグルタミン酸(Glu)とグルタミン(Gln)の濃度を示したのだった。さらにLDでは検出されなかった13C-GABAもHDでは検出された。

brain-ac-tca
 











 

 これらの所見は、飲酒の習慣の影響で、脳が積極的に酢酸を神経細胞内に高速にトランスポートし、酢酸を代替エネルギー源として積極的に利用するように変化していることを意味する。その結果、グルタミン酸、グルタミン、GABAが増えていることを示唆する。グルタミン酸やグルタミンは肝性脳症の発現機序にも関与しており、酢酸をエネルギー源とするグルタミン酸の増加などの変化はアルコールの離脱時の意識障害と関連しているのであろうか。

(肝性脳症の発生機序について)

 酢酸は、アセチル-CoAシンセターゼ(acetyl-CoA synthetase)を介してトリカルボン酸(TCA)サイクルに入り酸化される。その過程でアデノシンが多く作られる(=adenosinergic)。アデノシンは抑制性神経伝達物質として神経細胞外に放出されて鎮静的に働く。そしてアデノシンは薬物依存形成にも関与しており、禁断症状や離脱症状の発現にも関与していることが分かっている。断酒によりアデノシンの生成は減少し、それが離脱症状に関連しているのかもしれない。さらにこのアデノシンが増えるというメカニズムが、飲酒への動機付けとなり、飲酒行動にさらに向かわせることになるのであろう。
(アデノシンと薬物依存に関する詳しいレビュー)

TCAcycle















 大量のアルコール摂取は低血糖につながるが、ブドウ糖の利用を減少させ、アルコールから産生された酢酸を積極的に利用することで、脳がアルコールによる低血糖という現象に対抗しているのだろう。まさに、脳のアルコールへの適応現象である。しかし逆にその適応が断酒時の徒になってしまうようだ。

(アルコールの暴露によって神経細胞のグルコース・トランスポーター・タンパク質GLUT1とGLUT3の発現が減少する。神経細胞に存在するGLUTは、もっぱら1と3である。3がメイン。アルコールに暴露され続けば、永続的な神経細胞のブドウ糖利用の減少につながる。しかし、アセチルLカルニチンAcetyl-L-carnitineがGLUT1とGLUT3の発現減少を防止する。大酒家はアルコールによる認知障害の予防のためにアセチルLカルニチンを内服すべきである。なお日本ではアセチルLカルニチンは未発売である。海外から個人輸入するしかない。)
(アルコールによってGLUTが減少し、BBB機能障害を誘発する。これが、古典的ウェルニッケ ・コルサコフ症候群とは区別される酸化的神経損傷や神経認知障害を引き起こす。)
(GLUT3について)
http://en.wikipedia.org/wiki/GLUT3
(酢酸の優先利用はアストロサイト内へのの酢酸のトランスポートの増加に起因する。)

 そして、確かに、入院後に何らかの離脱症状が出たほど、さらに、その離脱症状が激しければ激しいほど、アルチュハイマー病としての経過をたどる傾向があるようにも思えるのであった。離脱症状の激しさは、それだけアルコールによる脳の代謝の変化(酢酸の利用増加、ブドウ糖の利用減少)を反映しているのかもしれない。(なお、他の身体状況、るい痩や栄養障害などはそれほど関係はないようにも思える。とにかく一番関係があるのは、何らかの離脱症状が出たか出なかったである。)

 さらに、論文では、深酒を繰り返すことは、脳が酢酸ばかりを消費するようになるこの適応メカニズムが促進されるから非常に危険であり、深酒はやめねばならないと警告している。これらの現象を防ぐには、酒を飲む時はちゃんと食事も食べてブドウ糖を減少させないようにすることが大切だと著者らは述べている。

 そして、この論文では、最後に、アルコール依存症の解毒時の禁断症状などを緩和するために酢酸を供給することが有益になるだろう。と締めくくられていた。

やはり、酢が鍵だったのだ。酒豪の大学のクラスメートが30年前に証明していたのだ。

 医局でその後、この話題になった時に、あるドクターが、そう言えば、酒飲みはポン酢が好きですよね。何にでもポン酢をかけて食べてませんか。と指摘した。ポン酢とかマヨネーズとか、そういった酢の入った味付けを好むようになったら危険なサインかもしれませんねえ。大酒飲みの病院のA部長が宴会でポン酢ばかりじゃぶじゃぶかけてましたよ。と話していた。

 私も酒は飲める方である。飲酒は週に3日。1回にだいたい350mlの缶ビール2~3本くらいの酒量か。外では殆ど飲まない。妻のおいしい手料理を食べながら自宅で飲むので、満腹になって飲めなくなってやめるのだが、しかし、飲もうと思えばいくらでも飲める。

げっ、そう言われれば、俺も最近はよくポン酢を料理にかけているではないか。こ、これは「ポン酢症候群」とも言うべき危険なサインなのかもしれない・・・。(;゚Д゚)
 
ところで、じゃあ、VB1はアルチュハイマー病とは関係なかったのだろうか。

(以下、続く)


(ポン酢好きのツィッター↓。ここに書き込んでいる人達、マジでやばいかも。)
https://twitter.com/anything_ponzu 

ポン酢

その「うつ」は「アルコール」なのか、「うつ病」なのか

アルコールもかなり飲んでいるようだ。それでは「うつ」は良くならないはずだと、「うつ」症状を訴え続けているが、いっこうに抗うつ剤の効果がないような患者様に遭遇した精神科医は多いのではなかろうか。 

精神科医はよく知っているが、案外他科のドクターには知られていないのが、アルコールとうつの問題なのであった。アルコール・デプレッションという言葉があるくらい、アル コールはうつを惹起する薬物なのである。 


入院依頼の「うつ」では、時々、アルコールのせいでで「うつ」になっているのか、「うつ病」のせいでアルコールが増えているのか、いったいどちらなのだろうかと悩むような患者がちょくちょく紛れこんでくるのである。(γGTPが3ケタまで上昇しているようなケース。) 

こういったアルコールも絡んでいる「うつ」の事例は、(1)断酒してもらい抗うつ剤は投与せずに様子をみるべきか、(2)断酒+抗うつ剤で様子をみるべきか、(3)飲酒継続+抗うつ剤で様子をみるべきかは、意見はまだ分かれている段階のようだ。 

アルコールを専門にしているドクターやアルコール専門病棟では(1)の立場を取る場合もあるのだが、(2)でもいいように思えるのではあった。さらに、患者様は(3)ばかりを希望するのであった(アルコールの問題は大きいのだが、どうもアルコールに関しては認識が甘い人ばかりである)。 

私はアルコール依存症の専門医ではないし、入院治療ともなれば必然的に(2)になってしまうのではあるが、アルコールによる「うつ症状」の誘発はセロトニン系が関与しているという説や、アルコール依存症モデルマウスへのSSRIの効果、(2)が良いとする論文は10年以上も前から多くあるので(2)の断酒+抗うつ剤での対応にはしているのであった。 (なお、抗うつ剤を使用せずに断酒だけで良くなったケースももちろんある。) 


ここで、患者様からよく質問されるのが、飲酒をやめずにSSRIを内服するのはなぜダメなのかということである。 

飲酒はダメに決まっている。断酒しない限りはうつは良くならないし、抗うつ剤の効果が減じてしまう。さらに、変な風に酩酊したりするし、併用は絶対にダメであると回答するのではあるが、今一つ自信がないのである。 (本当にダメなのだろうか?、この説明でいいのだろうか?) 

しかも、日本うつ病学会のガイドラインでは、アルコールとの問題は詳しく述べられてはいないのであった。

↑のガイドラインでは、アルコールで睡眠の質が確実に悪くなる。飲酒は控えること。飲酒がコントロールできていなければ対策を検討すべし。としか書かれていないのであった。

飲酒は禁忌とはみなされてはいないようだ 。しかし、これでは困るのであった。アルコールへの認識が甘いのではないのだろうか。もっとアルコールに対しては具体的に丁寧に対策を提示してくれないと困るのであった。WHOも「うつ病」と「アルコール」の問題を重視しているのは言うまでもない。

日本うつ病学会ではアルコールに関しては頼りにならない。個人的に調べるしかないのだろうか。 

患者様に、なぜアルコールとSSRIを併用したらダメなのかと質問されたら、明確なエビデンスを持って回答しなければ説得力がないので、もし、アルコールとSSRIが同時に脳に作用したら脳内でどのような変化が生じるのか、SSRIの効果はアルコールによって減じてしまうのか、SSRIの有害事象がアルコールによって生じ易くなるのか、本当に異常酩酊をきたし易くなるのか、逆に、アルコール依存症への治療としてのSSRIの効果はあるのか、などを文献で調べてみた。 

PUBMEDを使い 
・・・・・ 

Google Scholarを使い 
・・・・・ 

(゜Д゜;) 

検索の仕方が悪いせいもあるのだろうが、文献がいっぱい出てきてしまい、読みきれないし、まとめきれないのであった。 

SSRIにて飲酒量自体が減っていくという論文は多々あった。さらに、安全性の上ではSSRIとアルコールの併用は問題はないという海外の論文もあることはあったのだが、うつ病で苦しんでいる場合は、アルコール自体が「うつ」を誘発するため、極力控えるべきであり、可能な限り禁酒すべきであろう。
 

既に忘れさられた事件より

既に世間からは忘れられた事件だと思われるが、愛知県で家族を殺害し犯人と思しき人物がその後自殺したと報じられた事件があった。不動産業を営む裕福な家庭。長女は動物関係のボランテイア活動にも参加。何の問題もないように思われる。しかし家族を殺害?。犯人と思しき長女は山の中で自殺?。 動機は全く不明である。

その長女のブログが未だに残っている。個人の詮索はすべきではないのだが、殺害の動機が不明なため、向精神薬による事件ではないかと気になるので長女のブログの中を検索してみた。 


ブログからは、アルコールを毎晩のように相当飲んでいたらしく、ブラックアウトが頻回にあったことが分かる。 しかも、激しく落ち込んでいたようである。アルコールで落ち込むのであれば、アルコール関連障害の一つであるアルコール・デプレッションだった可能性はあるだろう。早めに治療を受けていたら、このような事件は起きなかったかもやしれぬ。WHOの警告が耳に痛む。

(テレビCMで有名俳優を起用しどんどんコマーシャルを流し、アルコールをどんどん消費させ、アルコール依存症を数多く作り出しながらも、責任を一切取らない無責任な酒造メーカーの犠牲者だったとは言えるだろう。) 

(酒造メーカーにCM規制をするように要望する。しかし、日本はまだ無視したまま。)
http://www.ask.or.jp/ask090730-1.html

そして気になる記載があったのである。


淋しさで2回目睡眠薬飲んだのです。 
倍の8錠・・・。 
その睡眠薬おかんのだったんですけど、多分アレ睡眠薬じゃないと思います。 
次の日また普通に目が覚めましたよ( ̄_ ̄ i) 

薬品名は不明ではあるが、母親が使用していた睡眠薬とおぼしき薬も飲んでいたようだ。しかも倍の8錠とある。8錠をいっきに飲むようなことを平気でしていたのだろうか。 精神科関連の薬物を乱用していたのかもしれない。しかもアルコールと併用していたようだ。これは絶対にしてはいけない危険極まりないことであるのだが、その危険性を認識していなかったのだろうか。

もし、その8錠が睡眠剤であれば、それだけで「せん妄」のようになり、翌日に何をしたかも全く覚えていないような危険なことになる。さらにアルコールと併用すれば異常酩酊ともなり、ますます危険なことになるのだが、何の薬だったかはとにかく不明である。

しかし、同じ睡眠剤を4錠をも内服するように処方することは絶対にあり得ないため、しかも翌日普通に目覚めたとあるため、睡眠剤ではないだろう。 

夕食後か眠前に4錠を内服するように処方される薬。これはいったい何なのだろうか。

(一度に4錠を内服といえば、まさか、パ○シ○・・・・)

とにかくSSRIを乱用していなかったことを祈りたい。 

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