電波を受信する!と言うとやはり中波、短波は避けて通れません、BCLもSDRで行う時代になってきました。電波を波形で見ながら海外短波放送を楽しむ、デジタル短波放送も聴くことが出来ます。航空洋上管制や航空機の位置情報を受信するHFDLなど、アマチュア無線、SSTV、中波なら全国の放送局を狙うなど、中波、短波は楽しさ満載です。RTL-SDRで簡単に中波、短波を受信するには、ダイレクトサンプリング改造が一番簡単です。TV28T v2 DVB-T USB Stick (R820T)[DVB-T+DAB+FM]をダイレクトサンプリング(direct sampling mode)に改造しオールバンド受信機化しました。これはこれでよいのですが、やはりRTL2832Uのチップに半田するのは並大抵の半田技術ではありません!そこで、TV28T v2 DVB-T USB Stick (R820T)チューナーのI+/I-のカップリングコンデンサー(チップコンデンサー)を利用して半田付けの難易度を下げダイレクトサンプリング化の輪を広げようと目論んだ次第です。究極の半田技術を必要とせずダイレクトサンプリング改造を行えると考えました。そのためにチューナーを中波、短波専用にしてしまいましょう!という考えです。ついでにマッチングトランスも既製品を使って製作工程を簡略化します。既製品のマッチングトランスは 、小型なのでかなりアレンジが効きます。もちろんQ+/Q-を利用するのもよいでしょう。この部品の元ネタは、TT@北海道さんです。ありがとうございます使わせてもらいました。

さて、マッチングトランスからですが、トランスを作るには、フェライトコアにポリウレタン線を3本捩ったものを巻きつけるのですが、これも意外と大変です。自分は、巻くのが楽しいんですけど小型にするにはかなり苦労しました。 感度は、手巻きマッチングトランスに軍配が上がります!
・RTL-SDR ダイレクトサンプリング(direct sampling mode)、USBワンセグチューナーHF受信化改造記事の総集編
・RTL-SDR HFダイレクトサンプリング EzTV668にマッチングトランス10回巻搭載 感度良好!
・RTL-SDR ダイレクトサンプリング マッチングトランスFT37-43トリファイラ並行10回巻で製作
・RTL-SDR ダイレクトサンプリング用フィルター設計方法 (LPF、BPF、HPF)
以上が今までの記事です。

さて、そこで登場するのが既製品のマッチングトランスです。
早速ご紹介しましょう。ミニサーキット社のRFトランス TC4-1TG2+です。
SPECは、カタログの通りで、インピーダンス50オーム 1:2のトランス 周波数が0.5~300MHzと言う事で、中波放送帯から十分使えます。コアの巻き数から見て手作りのマッチングトランスの方が性能は高いと思いますが、この大きさと完成品であることを考えれば十分でしょう。
問題は価格です。1個の場合1635円(送料込み)+代引き手数料?です・・・うーん・・・高い・・・
近日中に販売に関する何かしらのアクションがあると思いますので情報が入り次第報告させていただきます。しばらくお待ちくださいませ!

RFトランス TC4-1TG2+ ピンボケですが、スケールを見てお分かりでしょうか?4×4㎜です。思ったより小さいです。この大きさでコアに電線が巻かれています。すごい技術ですね!拡大鏡で見るとしっかりトリファイラ巻きになっています。あっぱれ!
TC4-1TG2+ スケール

ダイレクトサンプリングモード用のマッチングトランス変更!
TC4-1TG2+ レート4に対しレート16のTC16-161TG2+の方が高感度に受信できます。
ダイレクトサンプリングモードでのインピーダンスが想像よりも高いことが判明しています。
TC16-161TG2+

それでは、改造に入ります。
TV28T v2 DVB-T USB Stick (R820T)チューナーを1個準備してください、0~30MHz専用になるためV,UHFは受信出来なくなりますのでその点ご理解ください、またFC0012/FC0013搭載のDS-DT***/LT-DT***のシリーズも配線をアレンジすれば搭載可能です。腕に自信のある方は、チャレンジしてみてはいかがでしょうか?
ヘッドルーペは一応準備した方が良いでしょう!
RTL2832U+R820T

②R4のシルク印刷付近のレジストをカッターの刃先で削り銅箔を露出させてください、これはグランドになります。次にMCXコネクター付近のC13のコンデンサーを取り除きます。チップですので、半田コテのコテ先に半田を乗せてチップに当てると簡単に取れます。取り除いた後のランドは、コテで均しておきましょう。
ちなみにI+がC34/I-がC33になります。
IMG_0512

③削った部分に予備半田を出来るだけ平らに行います。C13のランド右側に半田を少し盛っておきます。
IMG_0513-2

④基板を裏返し画像の位置のパターンをカットします。パターンは、I+/I-の信号線です。カットのコツは、画像のの大きさにカッターで傷を入れます。カッターで鉛筆を削る要領で刃先で削ります。刃の当て方は、パターン2本を一度に削るようにすると簡単です。他のパターンに傷をつけないように注意です。
IMG_0514

半田付けについて一言! 
チップ部品の半田で一番問題になるのが、コテ先の酸化です。コテ先が酸化するとコテのビットが黒く変色してきます。こうなると半田が乗らなくなり半田付けの際に半田が逃げてうまく付きません!コツとしましては、半田コテに電気を入れたらコテが熱くなる前からコテ先に半田を当てて溶けるのを待ちます。溶けはじめたら何度も半田を流しコテ先を半田でコーティングします。そして、コテ先の半田を水を含ませたスポンジでクリーニングするのは、半田の寸前にしましょう。待機状態の場合は、コテ先に半田を流したままにすると酸化防止にになります。
コテ先が酸化した場合は、
http://www.hakko.com/japan/hint/topic_kotesaki.htmlなどで酸化皮膜をクリーニングします。それでもだめならコテ先を交換してしまいましょう。コテ先の酸化は、半田コテのメーカーによって癖があります。白光や大洋(good)は、酸化しやすいのですが、高千穂電気のコテペンは酸化しにくいのです。コテ先は、小型のナイフエッジも慣れると使いやすいです。2B程度のコテ先がお勧めです。あまり細いとグランドベタの半田がつらくなります。


半田について一言!
現在販売されている半田は、Lead-free pb-freeと表記されていると思います。これは鉛フリーと言うことで鉛が入っていません!今までの半田は鉛+錫の合金でしたが、鉛フリー半田は、錫+銀+その他を使った合金になったため融点が高くなり半田がしにくい現象が起こります。これが溶け難い理由です。
環境保護のため鉛を使わなくしまよう!と言う事で開発されたのですが、以前の(錫+鉛)半田より半田が溶けにくいのが特徴ですので、一度半田した部分を再度溶かすのに特に苦労します。この場合は、コテ先に少量の半田をのせて半田すると良いでしょう。半田が溶けないからといってコテを当てすぎると部品を溶かしますので注意です。
これを踏まえて進みましょう。


⑤トランスを搭載します。画像は、USBコネクターが下になる向きです。RTL2832U No1ピン付近のC34のコンデンサーの右側にトランスの端子が3つ(1次側/チューナー側)になります。コンデンサーとトランスの端子が合うように位置を合わせます。瞬間接着剤で固定してしまうと後の作業が楽になります。細いコテ先の半田コテを使用しC34とトランスの端子を半田します。次に端子が2つ(2次側/アンテナ側)の手前の端子と予備半田しておいたグランド部分を半田します。

TC4-1TG2+ 搭載
 
⑥トランス①端子とC33のチップコンデンサー右側を0.18(0.26)等の細いポリウレタン線で半田接続します。①の半田は何とかなりますが、C33の半田はちょっと気合を入れて半田してください、もたもたしてるとチップコンデンサーが取れてしまいます。
①の半田をしたら電線をフォーミングして形を作りチップコンデンサーの半田部にぴったり合うように位置決めしましょう。コテ先に少量の半田をのせてさくっと半田してください!C34とブリッジしないようにご注意を!
TC4-1TG2+ 搭載リード接続
こんな感じに仕上げると良いでしょう。この半田部分が難関です。
①~C33
 
⑦トランス④からC13のランド間を0.32程度のポリウレタン線で半田接続します。
(特に電線の指定はありませんが、より線より単線の方がフォーミングが楽なのでお勧めです)
これで完成です。
IMG_0516

⑧実際に受信するためのソフトは、HDSDRとSDRSharp(SDR#)です。単に感度で言えばSharp(SDR#)ですが、波形が荒く見にくいためラジオ放送等の受信には不向きです。その点HDSDRは、元々HF用として長く使われてきただけあって非常に良く出来ています。ノッチフィルターは特に優秀です。好みで使い分けてくださいね!
HDSDRでの使用方法です。
RTL-SDR HDSDR 導入&ダイレクトサンプリング(direct sampling mode)の設定方法
SDRsharp(SDR#)の設定は次の通りです。
ダイレクトサンプリングモード(I branch)の選択とRTL AGCにチェック(ON)その他の使用方法は従来の受信と同じです。
(アクティブ型アンテナやプリアンプを使用する場合は、RTL AGCをOFFにする方が良い場合もありますので、状況に合わせて設定してください!)
SDR# ダイレクトサンプリング設定

デジタル短波放送 DRMの受信方法は、こちらです。
RTL-SDR DRM受信 HDSDR+Dream1.17の導入、受信方法(qt-mt230nc.dll faad2_drm.dll)
RTL-SDR DRM受信 SDR#(Sharp)+Dream1.17でも成功!
RTL-SDR HFDL+SDRRadio.com v2.0のData-Uを使用してみました。

⑨LPF、BPFは、必要です。14MHz以下であれば1MHzあたりに現れるFM放送の抑圧を気にしなければ、それなりに受信できます。FMの抑圧を避けるには、30MHz以下を通すLPF(ローパスフィルター)が必要です。14MHz以上は、イメージ受信がありますので、28.8MHz-受信周波数が受信できてしまいます。これがイメージ受信です。これを避けるためにはBPF(バンドパスフィルター)が必要になります。意外と簡単に作れますのでリンクを参考にチャレンジしてください!
RTL-SDR ダイレクトサンプリング用フィルター設計方法 (LPF、BPF、HPF)

⑩実際の使用感としましては、手巻きコアと遜色ありません!が、6MHzあたりのフロアノイズが高いのを確認しました。LPFを入れれば落ち着きます。ただ、検証に使ったアンテナがΔLoop9の高感度設定になっているためフロアノイズが高くなった可能性もありますので、参考としてください、結論から申しますと既製品のコアでも十分受信出来ます。実際の受信感度としては、手巻きのマッチングトランスの方がHDSDRのメーター読みで2~3高く振れます。一番顕著に現れるのが7MHzのアマチュア無線で、汎用トランスの場合なかなか受信が厳しいのですが、手巻きのマッチングトランスの場合十分とは言えないまでもSメーターが振れます。ラジオ放送の受信では特に気になることはないのですが、弱い信号をキャッチしたい場合は、手巻きで製作することをお勧めします。コアは手巻きが一番良いので、コア巻きをしてマッチングトランスを作るのも楽しいものですよ!ご自分の腕に合わせて改造を楽しんでください!

⑪実際の受信画像 受信アンテナ(ΔLoop9)
ラジオ日経 6MHz帯 15:30頃
ラジオ日経15:00

中波放送 15:40頃
中波15:00
 日中ここまで受信出来れば十分です。アンテナがアクティブ型なので、パッシブ型(マグネチックループ等)を使用する場合は、若干物足りないかもしれません、ただ、夕方から電波状態が良くなりますので、かなり楽しめると思います。自分の場合、自宅のアパートで受信するとΔLoop9でもかなり感度不足を感じます。ロケーションでかなり差が出ます。出来るだけ高い位置にアンテナを設置するかアクティブ型のアンテナを使用してください!ΔLoopも大柄なので設置場所に困る場合が多々あります・・・コンパクトなアクティブアンテナを現在模索中です。公開まで若干お時間を頂きたいと思います。
また、受信の際どうしても感度に不足を感じるならば10~20dB程度のプリアンプを挿入すると良いでしょう。

現在低い周波数から使えるプリアンプ(内蔵型)を再度検討しています。こうご期待!
たいへん長くなりました。お疲れさまでした。

ダイレクトサンプリング改造済みのカスタムチューナーがあります。

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TV28Tv2DVB-T(R820T)カスタムチューナー
[RTL2832U+R820T][オールバンド、オールモード広帯域受信用] 


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