唄×六弦。

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メリーゴーランド・かごめ唄





今日はいい天気なんだってさ。
移動性高気圧がもたらす好天が広がっているんだろう。こんな日に野外でライブだったら気持ちイイよな、ヒ××。
洗濯日和だし、散歩したり普通に外に出るのも、今ただ窓を開けるだけでも絶対気持ちイイじゃん。
―― それを何もかも全部無視して窓もカーテンも閉め切ってさ、なんなの?

「・・・ヒ××」
横たわるおまえを見下ろして頬に手をやった。
仄暗くて、生温くて、壺の中にいるみたいだ。一息毎に体内を波打って広がる甘い痺れとその元凶に惑わされながら、頬を撫でてやる。跨った脚の間を穿つおまえの熱さをさっきからじっと感じ取っている。
俺自身その熱をもっと求めて腰を動かしてやるとおまえが堪らない表情をするから、それを見てゾクゾクした。
こんな時にこんな事をする気になる奴もどうかと思うぜ。けれど、
―― なあ、どう?おまえのお望み通り。嬉しいか


おまえの胸に自分の頬を当てる。屈めた腰に固く骨張った腕が巻き付く。
「あぁ、ん・・・っ」
下から突き上げる動きに揺すられる。漏れる声に気を良くしたのか腕に込められた力が強まるのを感じて、それを解くようにおまえの上で身体を立て直した。
「はは、ねえ、・・・ダメ?」
吐息混じりにおまえは笑い、俺の顔を伺う。
「うん」
今日はワガママなおまえを時間掛けて世話してやる。焦らして焦らしてからイかせてやる、そう思っておまえの胸に両手を突っ張って頷いた。だから、
「・・・」
折った膝と爪先に体重を掛け背を伸ばした。太腿の裏におまえの腰骨、痛くないか、大丈夫か。
「全然、痛くないよぉ。でも、もっと脚開いてくれてもええんよ」
「バカ」
内腿に力を込めて身体を挟んだまま、腰を上下に揺らして擦ってやった。ナカにおまえのが入ってるだけでクラクラする、それが少し悔しい。
「あ、・・・ぅ」
おまえが目を瞑って息を吐く。俺はそれを見ながら自分の気持ちイイ所を探して、前傾になり背を反らせる。
おまえは仰向けのまま腕を上げて俺の胸に触れようとする。節のある大きな手がこちらに迫り、自分が蟻か何か小さいものになってあっという間に支配されそうな感覚がした。
「なに・・・?ダメだって、言ってんじゃん」
伸びて来たその手を自分の手のひらで受け止めた。指を絡めて、握って、ゆっくりと押し戻してやる。シーツの上に縫い止めて見下ろした。
丸っこい目が仄暗いヴェールを纏った空気の中で濡れ光る。
「マー××、我慢せんといかんの?」
「そんなに欲しいんだ?」
もっと強い刺激を欲しい、早く、そんな犬のような目で強請られると何でも与えてやりたくなる。でも実際、強請らなくてもしたければきっとこんな緩い制止なんか跳ねのけられるじゃないか。なのにちゃんと従っているところが滑稽で、可愛くて、おまえは優しいんだね。
しばらく大人しくしてればいいんだよ、そう囁いて耳を甘噛みした。


「は・・・っ、あっ、ぁっ」
・・・ドツボってさ、こんなところを言うんだろうな。おまえの上で腰をくねらせながら思う。
汗で濡れそぼる二つの身体がひとつになったまま、薄闇にわだかまる水っぽい空気、イきそうでイけないおまえの耐える顔、
「ァ・・・ね、おまえのあそこ、ナカ、で、すごくなって・・・」
全部、いとおしいよ。そう耳たぶを吸い喉仏を口に含み、濡れた肌を擦り合わせておまえへの感情任せに愛撫する。
壺の中の水底に自分達はいて、そこが全てで、それを外側から掴む何か大きな存在があって、時々気ままに振り回されているような、芯まで痺れるような、束の間の夢が酔っ払って寄るべきほとりを忘れ、永遠に繰り返されているような。
「マー××、マー××・・・」
おまえの手が俺の髪を掴む。熱に浮かされたその黒目が艶めいたのを見たと思ったら、唇を奪われた。
「ん、・・・」
絡められる舌に、目を閉じていても焦点が合わなくなる感覚が現れては消えて行く。
おまえが上の時はよくそのまま強く掻き抱かれるのに、何だかあくまでも衝動を抑えようとしているかのように遠慮がちな腕が優しく肌に沿う。
それさえ、もう、細胞一つ一つが反応して強く感じてしまっているのに。
「マー××、もう、苦しい、よ・・・」
おまえが細い声で囁く。
苦しませてたんだ、ごめんな―― 触れ合う唇を離すのが名残惜しかったけれど緩々と上体を起こした。ナカに深くおまえのが沈んで、その存在に身震いする。
おまえは横たわったまま首を振って笑い、両手を額に当てた。
「全部が苦しいほど気持ち良くって、それが、終わらんで欲しいって・・・何か勿体なくてや・・・」
「・・・イきたくない、の?」
「今こんな事をしてるのも、こうやって大好きなマー××を見てるのも・・・」
とても贅沢なセックスだね―― おまえがそう言うのを聞いた時、視界が回った。


後ろに除けていた掛け布団の、空気を含んだ柔らかい感触の中に背中が埋まった。
反対に身体を起こしたおまえの、大きな手が上から迫って来る。ああやっぱりこうなるんだ―― 諦念と妙な満足感を覚えて竦めた身の両脇に腕が差し込まれる。背中を抱かれ、力の抜けた肩が浮いた。
「う、あ・・・!」
脚を割って進んで来るおまえのがもっと奥を突く。腰が甘く痺れて何度も喘がされて、知り尽くされたカラダを更に貪られる、そんなどうしようもなく際限も無い行為がおまえと一緒ならずっと溺れていたって構わない。
「マー××、何で、そんなに、綺麗なん・・・?」
「は・・・?」
綺麗なもんかよ、もうメチャクチャになってるのによく言うよな。すっかりおまえに明け渡してしまったカラダを晒したまま滲んだ視界で小さく笑ってやる。
感情の波が上下して掻き混ぜられる中でひとつだけ、ずっと確かなものがある。
後ろだろうが正面だろうがずっと離れられないんだ。それは美しいものなんだ。
おまえ、おまえ、おまえだよ――
「ヒ××」
ぎりぎりの意識でいとしい名前を呼んだ。






2018.04.07