2017年09月18日
ブータン式、ゴシップ対策
こんにちは。クズザンポラー。
いつもブログをご覧いただき、ありがとうございます。
今も昔も変わらず、ブータンの人達はおしゃべりが大好きだ、と私は感じます。外国人相手には、初対面ではなかなか打ち解けられないシャイな性格の人も多いですが、ご近所同、親戚、友人、はたまた全く知らない人とでも、隣り合って座れば世間話が始まり、会話を楽しんでいる姿を見かけます。
日本でも他の国でも、以前は今よりもこうやって実際に顔を見ながらのコミュニケーションは多かっただろうし、どこの国の人々でも、今でもお茶飲み友達との時間を大切にしている方も多いでしょう。
ブータン人がおしゃべりが好きというのは国民性や人柄もあるでしょうけれど、その理由のなかには、
「一軒一軒が離れて村を形成することが多く、ご近所と距離があるため、情報交換が必要だった」
「娯楽が少なかったので、おしゃべりは楽しみ」
「他人と自分との境界線が曖昧で、何事にも親身になって聞く」
などの傾向があるからなのでは?と思っています。
いろいろな人と会話をすることで有益な情報を得られたり、ストレス(ブータンの人にもあるかな?)解消になったりもしますね。でもその反面、あることないことを噂されたり、話の内容を盛られて違うストーリーになってしまったりと嫌な思いをしたり、誤解を招くこともあります。そう、ゴシップは噂する側の人は楽しいけれど、される側にとって気分のいいものではありません。
(軒先で日向ぼっこも冬には良くみられる光景。壁画には男性の象徴・ポーが描かれている)
世間が狭くコミュニティの繋がりが強いブータンでは、ゴシップに悩まされることもあるようです。そんな悪い噂がたってしまったり、たたないようにするために昔からブータンではお守りや魔除けを使ってきました。
この写真↑はモンガル県でバスを待つ停留所なのですが、どこに魔除けがあるか、わかりますか?
看板の横に建っている棒と飾りがあります。良く見てみると、
何やら二股に分かれた木の間に木の皮を張り、その下には男性の象徴・ポーの木彫りが置かれています。ポー自体は、民家の壁画に描かれたり、お守りとして木彫りのものをペンダント・チャームのようにしたりと、ブータンの身近なところでよく見かけます。
この写真の飾りはカラム・シン(Kharam shing)とか東ブータンではカラップ(Kharap)と呼ばれています。シンというのは木のポール(棒)のことで、祈りの旗を長い棒にかかげたものなどをダルシンと呼んだりします。
カラムシンは「悪い噂を流す悪霊から身を守るもの」とされ、これを家の側に掲げればゴシップから遠ざかることができると信じられています。
こちらは、つい先日パロのバンビサ村でみかけたカラムシン。デザインは異なるものの、このカラムシンの意味は同じです。どちらも棒のポールを基盤にし、一番下に男性の象徴のポーの木彫りを置きます。バンビザ村のものには、ポーと共に弓と矢を一緒にしていますね。
その上にある輪のようなものに、尖った針状のものを刺したりしています。この輪っかや、モンガル県のカラムシンにデザイン視されている木の間に木の皮を張ったものは、同じものを意味していて、もっと分かりやすい類似を見てみると、
これ↑です。これはスティック状の棒に、糸を巻きつけて形を作ったもの。この写真のものはDhey(デ)と呼んでいます。法要(プジャ)の目的などに合わせて、様々な形があります。
私の大雑把なイメージは、悪いものをここにひっかけて捕まえる、ということ。私は、これをアメリカインディアン・オジブワ族が使うドリームキャッチャーと同じように、クモの巣のような網目に悪いものをひっかけるのを似ているな、と思いました。
悪い噂、悪霊をひっかけてまずは捕まえて、家の中に入ってこないようにする、ポーや弓矢に守ってもらう、というイメージでしょうか。
以前、「ブータンの三叉路には」という記事ではゾンカ語ではルゥイと呼ばれる魔物が住み着くと、良くない災いを運んでくると言われ、原因不明の病気で苦しむ方が占い師のアドバイスで身代わりの人形などを三叉路に置いていたお話をしましたが、
やっぱりここにもデがありました。悪さをする霊がいる、それを捕まえる、というのは世界各地にみられるものでしょうね。
「火の無いところに煙は立たぬ」というけれど、火が無くても煙が立ってしまうのもブータン。魔除け、といっても家内安全といった一般的、普遍的な願いだけでなく、「悪い噂」という点に絞って魔除けが作られるというのもブータンらしい一面だと思いました。
できるなら、良い噂だけするようにしたいよね。って、この魔除けを見た後に通ったタシヤンツェの道で出会った少女たちの純粋な笑顔を見て、自分に語りかけてしまいました。
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bhutan_diary at 18:16│Comments(0)│■ブータンの習慣