アーチェリー

2012年07月28日

ブータンからロンドンオリンピック出場

 こんにちは。クズザンポラ―。

2012年のロンドンオリンピックが開幕されましたね。日本では開会式をご覧になられた方も多いと思いますが、民族衣装のキラとゴを纏ったブータン選手の入場に気づかれた方はいらっしゃるでしょうか。

今回のオリンピックには、ブータンからも選手が2名、出場しています

1人は、女子10mエアライフルの選手Kunzang Choden(クンザン チョデン)さん。もう一人は、女子アーチェリーの選手Sherab Zam(シェラブ ザム)さん。2名とも女性であり、20代の選手です。ブータンが初めてオリンピックに参加したのは、1984年ロサンゼルス大会で、アーチェリーに出場するシェラブさんが誕生した年。この頃のブータンは、ブータン国営航空のドゥック航空が前年に運航を開始し、インドから陸路でのみ入国していただけではなく、空の玄関が出来たという時代です。

アーチェリーは、ブータンでは「男子のたしなみ」と言えるほど男性にはポピュラーなスポーツですが、昔からアーチェリーは女性はするものではない、と思われています。ブータンは長女が家を継ぐことも多いため、男尊女卑や偏見ということではなく、ブータンの人が言うには、「女性は元来アーチェリーをしなかった」とか「腕のひじから手先にかけての形が女性はアーチェリーに適さない」などと説明してくれます。同じ質問を何人にもしたことがあるのですが、同じような回答が返ってくるので、このように考えられていることが多いようです。

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そのため、女性がアーチェリーをする機会は男性に比べればほとんどなく、娯楽としてではなく競技としてはまだ機会はあるものの、オリンピック選手になったシェラブさんには、相当な努力が必要だったことでしょう。彼女は身長が152cmと小柄ですが、彼女が弓を構えると安定感があり、矢を射とめるために向ける眼差しは真剣そのものです。また、現在のオリンピックは、ハイテク機器を用いたり、企業のスポンサーが選手をサポートすることが多いですが、彼女は競技を初めてからも、自分自身の専用の弓も持っていなかったそうです。

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ブータンのオリンピックにまつわるアーチェリーの話としては、「的が近すぎて当たらなかった」とブータン選手が答えた、というお話があります。オリンピックでは標的までの距離は70m、ブータンの伝統競技ではその約2倍はあります。ブータンのアーチェリーは、竹で作った伝統的なバチューと、洋弓(コンパウンド)の2種類がありますが、どちらの場合でも的までの距離は約130mです。なんとも、誇り高きブータン人、そして正直で素直なコメントで私はこのお話が好きです

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エアライフルに出場するクンザンさんは、ブータンで初めて「オリンピックにアーチェリー以外の種目に出場する選手」です。エアライフルはブータンでは競技人口も少なく、競技に使う道具や練習場所やコーチも限られているでしょうし、彼女も出場までに苦労されていると思います。現在では、ブータンにもBhutan Olynpic Commiteeが設立され、国では様々なスポーツ大会が催されたり、選手をサポートする機関があります。

どちらの競技も、集中力が鍵を握る精神統一が必要なスポーツですが、いつものように冷静に落ち着いて競技に望めるといいですね。

ブータンからの2名の女性オリンピック選手、健闘を祈っています。みなさんも応援してあげて下さい。

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2012年03月10日

ブータン伝統競技・アーチェリー4 サルパン編

 こんにちは。クズザンポラ―。

ブータンの伝統競技と言えば、弓道・アーチェリーで、このブログでも何度かご紹介しました(ブータン伝統競技・アーチェリー)。ここ南ブータンのサルパン県でも、休日はアーチェリーを楽しむ姿が見られました。

サルパン町のゾンの近くの広場で、アーチェリーをしていました。サルパン県は、インドとの国境がある町・ゲレフの方が町の規模としては発展していて、サルパンの町自体はもっとこぢんまりとしています。

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パロやティンプーなどでは、モミの森、針葉樹の混合林、アオマツの森、ヒマラヤマツの森が多く、その木々を背景にアーチェリーをする姿を見ますが、ここでは広葉樹林の低木が多く、南ブータンなんだなぁと実感しました。


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そして、何より、今回のアーチェリーが以前ご紹介してきたアーチェリーと違う点は、使用している弓矢が洋弓(コンパウンド)ではなく、ブータンの伝統的な竹を用いたバチューということです。

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洋弓の方がスピード感と迫力があり、風などに影響されにくいこともあり、パロやティンプーでは洋弓の方がメジャーになりましたが、私はやっぱりこの竹で作られたバチューの方がブータンらしく好きです。洋弓は安いものでも500ドル以上するため、競技人口が限られてしまうし、少年時代の弓デビューは伝統的なバチューから始まりますので、大人になっても続けて欲しいな、と思います。

洋弓も、昔からのバチューも、的までの距離は約130m。

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さて、当たっているのでしょうか。

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当たっていたり、当たっていなかったり。これも洋弓でもバチューでも同じですね

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そして、矢が的を得たら、おなじみの『ワハ~ワハ~ワハワハ~~』ダンスが始まります。最初は、厳かな感じで低音の歌いだしです。

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歌の最後は、思う存分、足と手をあげて踊り、仲間の快挙を褒め讃えます。

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ここサルパン県は、インドに近く広大な平地があるため、ブータン国内各地から人々が移住してきた場所でもあり、東ブータンのシャショッパシャムガン地方のケンパチベット系のンガロップ、主に19世紀にネパールからやってきたローツァンパなどからやってきた人が暮らしています。パロでも各地方の様々な異なった顔つきの人々に出会いますが、ここサルパンはブータン内の人種のるつぼなのかもしれません。

ブータンは九州より小さな面積、人口70万人にも満たない国ですが、その中であっても各人々は歴史的・文化的に異なる背景を持っています。でも、今は同じブータン人として、こうやって伝統的アーチェリーを楽しんでいる姿を見ると、国家政策としてのGNHを考えさせられます。

この後、15分ほど試合を見ていましたが、残念ながらなかなか的に当たらず、2回目の『ワハ~ワハ~ワハワハ~~』ダンスが見られませんでした それでも楽しい、それがブータンの人々には大事なんですね。



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2012年01月03日

ブータン伝統競技・アーチェリー3 お正月編

 こんにちは。クズザンポラー。

日本ではまだまだお正月の雰囲気を満喫されている方が多いでしょうか?今回は、12月末にあったパロ谷でのお正月の様子をご紹介します。

ブータン西部のパロとハの2つの県では、国内でも異なった時期にお正月を迎えることをご紹介しましたが、2011年は12月23日から長い地域では5日間程度、お祝いをしていました。何をするのかと言えば、お坊さんを各家庭で招いての法要、お米やバターで人形を作り魔よけをしたり、家族揃って食事を食べたり、ハ県ではヒュンテと呼ばれる蕎麦粉を使ったモモのようなブータン式餃子を作ります。そして、その後は男性はアーチェリーをして、女性はそれを歌と踊りで応援するのが習わしです。


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この日も、パロのあちこちでアーチェリーが行われていました。アーチェリーはブータンの伝統国技で、ブータン男子にとっては「やらなくては男ではない」と言う人がいるほど。大人は洋弓(コンパウンド)で競技する人が多いですが、洋弓を使う前に、子供達は昔ながらの伝統的な弓矢を用います。

詳しくはこちら
ブータン伝統競技・アーチェリー」「ブータン伝統競技・アーチェリー2

この日は、大人の競技する弓道場の隣で子供達も遊んでいたので、お邪魔してみました。

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うん、よしよし、狙って狙って。

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こっちからも、狙って狙って。

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当たったかな~~??

私は、弓道のこの瞬間の表情を見るのがとても好きです。矢を放った後の、真剣なまなざしが、少年でもおじいちゃんでもみんな本気でまっすぐで、心ひかれます。

当たっても、当たらなくても、ポーズは一人前!

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次は当たるといいね。当たった時に踊る「ワハ~ワハ~」の掛け声を、次は楽しみにしています。

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日本の援助によって、護岸工事が進んだパロの川沿いの広場には、新しく弓道場ができました。ここからパロ・ゾンも見えます。

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何回矢を放ってもちっとも当たらない、そして、写真の際にはどうしても恥ずかしくて目を閉じてしまいがちな男の子。みんな、矢のスペアがそんなにないので、矢を放っては拾い拾い、みんなで仲良く遊びます。

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左側の男の子もとてもシャイで恥ずかしがり屋。「王様Tシャツがカッコいいからこっち向いて」と話し、慣れるまでに10分程度。話しているうちに「写真撮って~」と自分から言ってくれるようになりました。右側の男の子は、お昼ご飯を食べた後は、写真にも慣れ、矢も的をかするくらいの腕前に

お父さんたちは、のんびり、自分達のチームの応援をしています。お正月ということもあり、お酒もすすみ、ますます的から遠くなる矢も多数。でも、それもお正月ならではの様子。
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ブータンのお正月は派手さ、豪華絢爛さはないけれど、それはお祭りの時にとっておいて、お正月はのんびりとゆったりと家族と過ごすのがブータン式のようです。


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:え、矢、どこに飛んでいったの??

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2011年08月22日

ブータン伝統競技・アーチェリー2

 こんにちは。クズザンポラ―。
本日は、朝から雨が降り、午後になると晴れましたが、昨日は一日中快晴の日でした。その快晴の下、パロの弓道場では伝統国技のアーチェリーが開催されていました。

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ちょうど、ブータンではこれからの時期にアーチェリーの大会が始まります。今は、各県の代表チームを選出するトーナメントが行われている最中です。チームごとにユニフォームの民族衣装のゴがあって、おそろいのゴを着ているのがなんだかかわいらしいです。

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以前、このアーチェリーについての記事をご紹介したのは1月のことでしたが、今はこんなに緑の絨毯で茂っている会場です。ちなみに、1月の様子は、

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こんな感じでした。夏は緑が美しいですね。しかし、的までの距離は相変わらず130mです遠い。。。観客のみんなも矢を放ったその先の的を見つめていますが、昨日は日曜日ということもあり、お坊さん達も応援していました。

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そして、矢が当たりました。私の好きな唄『ワハ~ワハ~ワハハハ~』、掛け声なのかもしれませんが、男性達の誇らしげな声が谷に響きます。

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そして、今日は男性陣だけなく、華やかな女性人達からの声援も飛び交っていました。競技のすぐわきで、的を得たことを祝うように、円になって踊りと歌で盛り上げます。

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女性の応援があったら、張り切りたくなるのは、きっとブータンだけでなく世界共通でしょうね。勇ましい声と、澄んだ高い声がパロに響いた夏の日でした。

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:狙われてないよね・・的じゃないよ!!


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2011年01月06日

ブータン伝統競技・アーチェリー

 こんにちは。クズザンポラ―。今日は、三が日に行われたアーチェリー決勝戦をご紹介します。以前、ブータンの伝統競技のダーツ(クル)をご紹介しましたが、アーチェリーはブータン男子には最もポピュラーでなじみの深い競技です。

 タイトルに少し反してしまいますが、今回ご紹介するアーチェリーは、洋弓(コンパウンド)を使う、伝統競技の中でもモダンなスタイルな弓道です。ブータンでは、コンパウンドと昔からの伝統様式である竹で作った弓と矢を用いるバチューの2つがあります。

 バチューもコンパウンドも、そしてダーツ・クルもルールは基本的には同じです。チームに分かれ、互いに矢を放ち、ポイントを重ねていきます。今回は、赤・黄・青の3チーム、各チーム5人編成で同時にそれぞれ矢を放ち、試合が始まりました。
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まず、初めて見る方がほぼ確実に驚くのは、的までの距離が遠いこと。。的までの距離は130m的のサイズは50cm程度です。的の中心を見ることすら、、できない・・・。
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弦を思い切りひいて、その後、的に狙いを定め、矢を放つまで5~6秒間の集中。その間、三角筋がよく震えないでそのまま狙いを定められているなぁ、と関心します。
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ちなみに、このコンパウンド、だいたい安いものでも500ドル、平均では1000ドル位するものもあり、この購入をめぐって夫婦間で争いがあるとも聞きます。高価な買い物です。

的は130mの距離を隔て双方にあり、各チームはそれぞれ2名の選手が矢を放ちます。該当会に競技者でないチームのメンバーは、選手が向かっている的の側へ向かい、競技者である仲間のサポートをします。

具体的にどうサポートするのかと言うと、
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矢が的より右に反れれば、もっと右側をねらえ~とか、
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的より矢が高い位置を通り、距離感があっていなければもっと下~ などなど。そして、矢が当たった場合は、その仲間たちが歌と踊りで仲間を鼓舞します。
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的側も、矢を放つ側のサイドも、同時に歌います。最後に『ワハ~ワハ~ワハハ~』と叫ぶのですが(このように聞こえる)、この低音ボイスが、なんとも良いんです。やる気になります。そして、矢を放った競技者も、まだ的に当たる前、矢を放った瞬間に「これは当たる!」
と確信をするときは、パフォーマンスをします。
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矢を放った瞬間に、前進して矢を見届ける、というか。
「当たれ~」と念を送っているようでもあり、「行け行け~」と言いたそうでもあります。野球でバッターがホームランかも、と思っている瞬間や、ゴルファーが良いショットをした時にどこまで飛躍するかを眺めているような瞬間に似ています。


そして、この方の矢が的を得ました!!!

そうすると、自動的に、





『ワハ~ワハ~ワハハ~』の踊りが始まります。今回は決勝戦で上手な選手が多く、このワハ~ワハ~踊りがたくさん見られました。
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今回、是非応援に来て欲しいと頼まれ、気軽にいいよ~と返事をしたものの、開始から終了まで約4時間。なかなか応援にも根気のいるスポーツですが、観戦に来るブータンの人達はいつも楽しそう。矢を放つ選手と、その結果を見るために何度も首を往復させ、応援します。
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「どれどれ、どんな力加減で放つかな~」「それ行け~」と言った調子です。

4 (10)今回は、三が日に行われましたが、アーチェリーを見たい方は基本的には日曜日(または土曜日)にティンプーやパロの競技場(いろいろな場所にあります)で行われているため、曜日さえ合えば比較的簡単に観戦することができます。なお、この国にはブータンアーチェリー連盟(BAF)があり、「正式な競技の際には、民族衣装・ゴを正しく着用しなければならない」というルールがあります。
It's Cool!!

民族衣装がスポーツに適した格好かどうかはわかりませんが、やっぱり、ゴを着て競技した方が、断然、恰好良く見えるので、選手にとっての便宜性はわかりませんが、観戦者としてはこのルールに大賛成です。




みなさんも、是非、弓道とワハ~ワハ~踊りと、ゴを着た恰好良いスポーツマンを探してみて下さい~。

私は、的と的の間を自由に遊んでいる犬達が、いつか標的間違いで矢が刺さるのではないかと、いつも心配しています・・。

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