2010年3月26日
 名古屋市の河村たかし市長が提案した議員定数と報酬を半減する条例案が市議会で否決された。半減は極端かもしれぬが「議会や議員とは何か」と自分たちの市町村でも考える一石にならないか。
 改革案の柱は、七五の議員定数を三八に、年千六百万円余の議員報酬を八百万円余に、それぞれ半減させる内容だった。
 昨年四月の当選以来、全国初の市民税10%減税など、河村市長の矢継ぎ早な「改革」に、与党の民主党会派も含めた市議会がブレーキをかけたことへの反発が根源にある。しかし、議会や議員の現状に疑問を投げかけた形になった。
 「民意を反映していない議会に多くの議員はいらない」「報酬が高いから世襲化して特権階級になる」と批判を強める河村市長は「議員はそもそもボランティアでやるものだ」と市長選でのマニフェストの「10%削減」から、より厳しく迫った。
 河村市長は自らの年間給与も、前市長時代の二千五百万円から三分の一以下の八百万円にした。確かに、千六百万円もの議員報酬は高すぎると感じたり、初めて知って驚く市民もいる。議員が七十五人も必要か論議はあるだろう。
 市議会は「議員が減れば幅広い市民の声が届かない」「収入保障がないと議員活動に専念できない」と主張する。河村市長の改革案に対抗し、今回自らつくった議会基本条例でも定数や報酬は「別の条例で」としただけだった。
 今回は決裂したが、これまで名古屋市では、市議会が慎重だった市民税減税も市長と議論を戦わせながら、昨年暮れに条例を成立させた。市議会が一日一万円の費用弁償廃止に踏み切ったのも河村効果といえる。
 お互い、せめぎ合いながらも、進み始めた「改革」の流れが、これでは台なしになりかねない。双方ともかたくなだが、主張が理解されるよう手を尽くしたろうか。
 名古屋だけが特別な状況ではない。同じ政令指定都市の横浜市の議員報酬も名古屋とほぼ同じ約千六百万円。河村市長が目指す定数三八が実現すれば、人口五十五万人の東京都八王子市の四〇より少ない逆転現象となる。
 沈滞ムードの多くの市町村議会には、刺激的な問題提起になっただろう。しかし、首長と議会が対立しても、最後は歩み寄らねば、行政は滞るだけだ。損をするのが結局、住民では、吹き始めた改革の風が止まるだろう。