2010年3月26日
 日本と韓国の第二期歴史共同研究の報告書が公表された。日本による植民地支配の解釈などで多く相違点があったが、異論も隠さず公開した。隣国への理解を深め合う土台にしたい。
 共同研究は日韓の研究者三十四人が「古代史」「中近世史」「近現代史」「教科書小グループ」の四部門で二年半かけて協議を重ねた。双方の委員がそれぞれ論文を書き、互いにコメントをつけた。
 報告書の内容に強制力はないが、双方の教育に反映させることを目的としている。
 古代史などではいくつかの合意があったが、近現代史では対立が鮮明になった。
 だが、意見の相違を非公開とせず報告書に記載したことを評価したい。異なる史観を認め合うことが出発点になる。その延長線上でさまざまな史実についての共通認識も可能になる。
 植民地下での日本語教育では、日本側が「近代的知識、技術を得るための道具として認識されていた」と主張すれば、韓国側は「強制的な構造が存在した。我田引水の解釈だ」と反論した。
 近代史の全体像をみれば、韓国側は日本の同化政策が厳しく、戦時下では多くの朝鮮人が労役に駆り出されたが、贖罪(しょくざい)意識が不十分だと批判した。日本側は日韓併合の歴史を両国だけの視点ではなく当時のアジア、世界情勢を考えながら分析すべきだと主張し、植民地下で経済発展など一定の近代化が進んだ側面もあると指摘した。
 第二期研究では初めて両国教科書を検証したが、激論となり会議が何度も中断した。日本側委員からは「歴史研究への姿勢が違いすぎる」と悲観論も聞かれた。
 韓国側は日本の教科書で従軍慰安婦の記述が減ったことを「右傾化」と批判した。日本側は「検定制度によってさまざまな内容の教科書がある」と反論し、韓国の教科書には平和憲法など、日本の戦後民主主義への取り組みが言及されていないと不満を示した。
 日韓の学生が共通して使える教科書が必要だという声もあったが、容易なことではない。意見交換を重ね、その成果を徐々に教科書に反映させるのが現実的ではないか。
 いま日韓国民の相互訪問は年間四百五十万人を超え、韓流ドラマ、日本のアニメなど相手の文化への関心も高い。歴史という日韓のとげをテーマとする研究者には負担が多いだろうが、共同研究の継続を望みたい。