オバマ大統領が先日、日本を訪れました。

銀座の名店『すきやばし次郎」に行ってお寿司を14貫食べたとか、宮中晩さん会で出された『抹茶アイスクリーム』がおいしかったとか、海外メディアでは、日本で食べた食物に注目が集まっているそうです。

しかし、本来の主目的である外交内容に注目が集まらないのは皮肉なことですが。

さて、オバマ大統領にとって、「抹茶アイスクリームが日本での思い出の食べ物だ」ということはよく知られています。加えて、前回、日本を訪れた際に、神奈川県鎌倉にある大仏を訪れて、抹茶アイスを食べた折に、「幼少期に日本で抹茶アイスを食べたことがあるので、なつかしい味がした」と語ったというエピソードもよく知られています。

しかし、なぜオバマ大統領が日本を訪れたことがあるのかという背景を知っている人は、意外にも少ないのではないでしょうか。

実は、オバマ大統領は、母親が幼少期に生物学的な父親と離婚し、その後、再婚した父親がインドネシア人だったので、オバマ本人とその母親がインドネシアに移り住んだ時期がありました。そのインドネシアに行く途中で、日本に3日滞在し、乗ったフェリーの中で抹茶アイスクリームを食べたということらしいのです。

もう少し詳しいエピソードは、オバマの自伝"Dreams from my father"に書かれています。

その自伝の中で、「抹茶アイスクリームを食べた」という一節のすぐ後に、「何があってもお母さんを守るんだと決心した」との一節があることから、日本で食べた抹茶アイスクリームの味は、必ずしも、オバマ大統領にとっては、「甘いだけのよきもの、よき思い出」ではないのでないかと推測できます。

多くの日本人は、日本のスイーツである「抹茶アイスクリーム」をオバマ大統領が喜んで食べてくれてうれしいと楽観的にとらえていますが、実際には、そうした複雑な心境のもとでアイスクリームを食していたのです。