現時点(3/31)では原発からの大気中への放射性物質の放出はこれまでと同程度のレベルと思われ、関東圏ではだいたい空気中の放射線測定値は徐々に減少傾向にあります。しかし、仮に今後、不幸にして冷却の失敗、燃料棒溶融の進行、水素爆発ないしは水蒸気爆発による原子炉や格納容器の大規模な破壊が起これば、事態はチェルノブイリと同じように、高濃度の放射性物質が大量に拡散することになります。

この場合、風下地域に居住する人々は、状況次第で早急な避難を真剣に検討することが避けられなくります。この場合果たしてそれらの放射性物質が風に乗ってお住まいの場所にまで到達するのにどれだけかかるのか、逆に言えば、避難の判断や準備にどれだけの時間が残されているのか、について何らかの目安が必要でしょう。

そこで以下、東日本の各都道県庁所在地について、福島第一原発からの直線距離(第二原発は第一原発の10km程度南側になります)と、仮にその地点が原発の完全な風下にあった場合、平均風速毎の到達予想時間(あくまで地上風による単純計算による目安に過ぎません。爆風で高く舞い上がるほど、放射性の塵の移動スピードは増し、到達時間は短くなります。後半の注記をご覧下さい)を計算し、表にしてみました。


福島第一原発からの距離については以下のサイトを利用しました。このサイトでは全国の各市町村からの距離を計算できます。

別府八湯ちゃんねる 計算機

次の表はたとえば盛岡市を例にとれば、原発からは253.4kmあり、盛岡にまっすぐ向けた風が平均秒速1.5mで吹く場合、到達に46.9時間かかる、というふうに見ます。

WS000017


平均風速の値(1.5、4.5、……)はこちらの風速表示の段階分けを利用し、その平均値をとったものです。


なお、参考までに気象庁によれば第一原発の南23km程にある広野町では、1979~2000年の平均風速が秒速で

1月1.8,  2月1.9,  3月2,0,  4月2.1,  5月1.8,  6月1.4,
7月1.3,  8月1.4,  9月1,3, 10月1.3, 11月1.6, 12月1.7m

となっています。また、昨年度3月4月の平均風速と最大風速の日変化は以下を参考にして下さい。最大でも秒速12m程度のようです。

参考 福島県広野町(第一原発南23km)の2010年度の風速(秒速)

WS000021
WS000022


注記:放射性物質の風による拡散を考える場合、地上風(地上10m地点での風速)に加え、上空の風を考える必要がありそうです。たとえば福島第一原発周辺の風向きマップ」によって4月13日15時の原発付近の風速を見ると、高度によって以下のように変化します。

WS000016
この後1万メートルを超えると秒速40m位まで速くなりますが、100m上空に舞い上がると地上風の1.25倍、300mから1000m位までの間は2倍程度の速さになっています。以下の追記の事例は1.5倍ですから、これもごく単純に考えると150m位まで舞い上がった分が早めに届いたということかもしれません。安全のためには地上風の倍程度(時間にすれば半分)を見ておいた方がよいかも知れません。(こういうところは専門的な知識がおありの方がありましたら是非ご教示を頂きたいところです)

追記:以前同様の計算法で女川原発への実際の到達時間と計算上の推定時間を比較してみたところ、以下のように推定より早く到達していた可能性がありました。原因としてはより早い段階に放射能が流れ出ていた可能性、上空の早い気流に乗った可能性なども考えられ、素人では判断が困難ですが、いずれにせよ、ここでの推定値より、さらに余裕を持った判断をすることが安全であるようです。

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(事前の推定)
福島の原発のある位置での風向きは南南西の風(南から北の方へ)のようです。風速は1~4m/sですので、最大限に見積もって時速で14.4Kmになります。爆発推定時間が3時36分頃と見られますので、現時点で2時間あまり。放射性物質の現在の最大到達距離は原発の位置から北の方に30km程度となります。
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これは
 毎秒4m×60秒×60分/1000=14.4Km毎時
14.4km/h×2=28.8km  
という計算に基づくものです。  なお、この風速最大値の根拠はYahoo天気情報の福島県のアメダスに基づきます。
ところが本日の報道で次のような値が示されました。

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女川原発で4倍の放射線観測 福島第一から120キロ北 2011年3月13日11時1分
 東北電力女川原発(宮城県石巻市、女川町)で12日午後9時ごろ、施設周辺の放射線を観測しているモニタリングポスト6台すべてが通常の4倍以上の放射線を観測した。数値は2時間ほどで平常に戻り、線量もごく少ないことから、東北電力は健康に影響はないという。
女川の3基の原子炉に異常はないため東北電力は、約120キロ南にある、東京電力福島第一原発1号機で同日午後3時半ごろあった爆発で飛散した放射性物質をとらえた可能性があるとみている。
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これによると

5時間半で120km先に到達したことになり、
その速度は時速約22km、秒速約6メートルです。
すなわち上記予測値より50%余り上回っていたことになります。