不運
ある朝、準備を終えてネズミを取りに隣のビルにある飼育室に行ったときの話です。
ネズミの飼育室に入るには、まず、ロッカールームで手術着みたいな奴に着替えて、そこから何故かシャワー室などを通り抜けるクネクネした通路を通って大きな廊下に出て、そこでマスクや手袋やガウンや帽子、靴のカバーなどを身につけ、ようやく部屋に入れるようになっています。
で、いかにも良くありそうなことなんですが、びじう、手術着に着替えた時点で飼育室の鍵を忘れてきたことに気付きました。素直に着替えて隣のビルまで取りに帰れば良いようなものですが、どうも面倒くさい。昨晩、最後までこのフロアにいたのはびじうで、帰るときには部屋の鍵を閉めなかったので、開きっぱなしの可能性も高いと踏みました。もちろん、朝、真面目な職員がネズミの世話をしながら鍵を閉めていった可能性もあるわけですが(それならその職員に鍵を借りればよいわけで)。基本的にマイアミだし、そこまで真面目に働いてないだろう、と考えて先に進むことに。
クネクネした通路を通って廊下でガウンその他を身につけ、ネズミの部屋の前に行くと・・・閉まっています。こういう時に限ってちゃんと仕事してくれるんだよなぁ・・・と思って鍵を持っていそうな職員を探しますが、どうも、他の部屋のネズミの世話をしているのか、見つかりません。
運が悪いっつーか、まぁ自業自得なわけですが。
諦めて、全て着替えて隣のビルに鍵を取りに行きました。んでもって、鍵と共に戻ってくると・・・・・。
なにやら動物舎の管理人さんが深刻な表情でスタッフと話し合っていて、びじうの姿を見ると、
「今、このフロアの一部が停電になっていて、部屋の電気がつかない。(コンセントから電源を取っている)ランプはつくんだけど・・・」
とのこと。さっきまでは何ともなかったのに。隣のビルに行っていたこの10分の間に停電ですか・・・俺、どこまで不運??
とりあえず、ランプが使えれば仕事にはなるので真っ暗のロッカールームで、靴を挟んだドアの隙間から漏れてくる明かりで手術着に着替えます。んで、靴をはいてクネクネした通路を・・・・と思ったら、何も見えない(笑)。真っ暗です。うわぉ。ここは、あれですよ、あれ。「左手の法則」(*)。
*左手の法則 ; 初歩的な迷路・ダンジョン攻略法。
左手を壁から離さずに歩いていれば、いつかは迷路の出口にたどり着くはず、というヤツ。
ちなみに、フレミングの奴(右手が起電力で左手が力。高校物理)と違って、この法則は左右対称なので、右手の法則でも左手の法則でも同じだし、実際、右手の法則という人もいる。どっちが一般的なのか、ちょっと気になったのでググってみた。
迷路 右手の法則 ヒット454 ダンジョン 右手の法則 ヒット859
迷路 左手の法則 ヒット627 ダンジョン 左手の法則 ヒット765
というわけで、迷路ファンは左手の法則、ゲーマーは右手の法則というらしい(嘘)。DDEKP(どーでもいーことが気になるポイント)ランキング、世界13位びじうがお送りしました。
実際にやってみると、すげー怖いね、これ。一瞬たりとも壁から手が離せないっていうか。決して暗所恐怖症とかではないと思うし、迷ったってたかが知れている程度の空間だってことも理解しているんだけど、本当に真っ暗な中で、文字通り暗中模索の状態で進むのは、けっこーエネルギーを消耗します・・・ああ、そうか、ここで「そうび→たいまつ→つかう」か。
いやー、まさか実際に役立つときが来るとは思わなかったよ、左手の法則。「ドラクエばっかりやってるんじゃない」とか叱られているお子様に朗報です。役立つぜ>ダンジョンもの(・・・気がつくと、お子様を叱る年代になってきているわけだが)
で、部屋についてしばらくしたら、なんか電力復活。おいおい。
「駅から職場まで自分が歩く間だけ雨」みたいなパターンで、「クネクネした通路を通る間だけ停電」かよ・・・どこまで不運なんだ、俺。
「左手の法則」まで駆使してネズミの部屋でやることといったらネズミの尿検査とかなんですけど。
そんな風に始まった、誕生日の朝・・・・・・
神様からの誕生プレゼントはダンジョンでした、なんて、どんだけ運がいいんだ、俺。
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しかし、こういう言い方も何ですが、これまでの人生で20年以上も学校に通って博士の肩書きまで持っている人が誕生日にやることといったら「左手の法則」でもって「ネズミのオシッコ」とかですよ。
もう、科学者なめんなよ、っつーか。自分の誕生日でさえもネズミのオシッコに関心を抱いていた研究者が今までに2万人くらいはいたはずだと思うし、ネズミのオシッコの問題でデートをキャンセルした人だって100人くらいはいるはずだ(少なっ)。皆がそういう努力を積み重ねてきたおかげで、医学なんか最近の40年だけでも中国人が4000年かけたくらいの進歩は成し遂げてるはずだと思うんだよね。
いい加減、「なんとか水」とか「なんとかキノコ」とか「奇跡の何とか療法」とか、やめにしませんかね。
わかっちゃいても、真顔でそーゆーこと言われるのが一番凹みます。
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とりあえず、お誕生日おめでとう。
PS.
どうでもいいけど、左手でも右手でも一緒だけど、一方通行な扉や壁、
一瞬で遠くに飛ばされて通用しないなんてことがある・・・わけないか、現実世界で(^^;)
誕生日おめでとうございます。
なんというか、凄い>ダンジョン
そこまでの「真の闇」ってのは・・・そうそう見たこと無いです。田舎の山奥とかの深夜、山の中とかだろうか(そもそも正直で歩きたいとは思わない)
で、以前お伝えしたファイル転送サービス続報です。
http://www.itmedia.co.jp/bizid/articles/0803/26/news127.html
お誕生日おめでとう。
とりあえず、闇のダンジョン制覇おめでとう。あなたは「ネズミのしずく」を見つけた(ファンファーレ)。
ちなみに。片手の法則が通用しないのは、YUJIが言っているようなファンタジー的な仕掛けばかりではなく、「浮島」、つまり周囲の壁と接触していない区画があるような迷路にも通用しません。
誕生日おめでとうございます。壮絶な始まりですね……。
私は左手の法則で覚えていました。迷路派なのか(笑)
>いい加減、「なんとか水」とか「なんとかキノコ」とか「奇跡の何とか療法」とか、やめにしませんかね。
勉強した成果を他人に伝えるたび、私も似たことを思います。自分が職業上の必然で乗り越えてきた誤解の解除作業を、同時にみんながやってくれているわけではないんですよね……。
「人文系の院生とかになると、論理的厳密さとかでいきがっちゃうけど、世の中のほとんどの人はそんなのに関心を持たないし、気味悪がられるだけだよ」
と、人文社会研究系の先輩に忠言されてしまいました。
学問尊敬しない人に、学問の良さを伝えることのむずかしさについて最近よく悩みます。「よくわかんねーからお前のこと嫌いだ」といわれるのが一番凹みます(笑)。
>YUJI
ありがとう。どうでもいいけど、そんな職場だったら即やめます。
>石頭
ありがとう。けっこーな闇でしたよ。パニくらないように努力が必要な程度には。いつもいつも、情報サンクスです。
>さり
ありがとう。浮島のある職場では停電に備えてランタン装備ってことですね。
>志臣
ありがとう。でも、相手の健康(世の中のほとんど人が関心を持っていないわけではないと思うんだ)の事を考えて助言して、ないがしろにされて、それは職業上、自分の失敗だったりするわけですよ。
ところで、今度マイミク申請しても良いでしょうか?