2009年12月15日

キレキレメール合戦

 優しいだけがとりえのびじうとしては、普段から怒ることなんかほとんどなくて、もうちょっとしっかり怒らないと真面目に相手をしていないと思われるんじゃないかと心配になったりするわけですが、どーも普段から怒りなれていないせいかダメなんですよね。いやほんと。

 さて、とある日曜日のこと。顕微鏡を覗いて細胞を探しているんだけど、ぜんぜん見つからない。いや、細胞がないんじゃなくて、あるはずなんだけどレーザーの出力が安定しなくて見れない。足元には無停電電源装置が転がっている。プラグが特殊でコンセントに合わないんですと・・・いやまぁ、家庭用のコンセントに差し込めるレーザーってのもどうかと思うけど、1.5億円の顕微鏡が高々2-30万円の電源の不備のために使えないってのはどうよ、と。この電源をつなぐつなぐと言われ続けて早2ヶ月くらい。

 もう1年以上も顕微鏡を覗いていて、今日も日曜日だっつーのにこんなことやってて、しかも全然いい結果出ないし、いい加減、腹が立ってきて、半分八つ当たりで顕微鏡担当のジョージにメールしました。

「レーザーのパワー不足。とっととこの電源をつなげ!」

 しかも、ここにちょっと憎まれ口を追加。この電源装置は英語ではUPS(Uninterruptible Power supply;干渉を受けない電源装置、みたいな意味)っていうんですけど、これをあえて、Unplugged Power Supply(繋がれてない電源装置)とかスペルしてみた。「このUnplugged Power Supplyとかいうやつをつないでくれ!」みたいな感じで。

 一応、びじうも言っていることはそんなに間違ってないんですよ。ジョージはレーザーの出力を安定させるべく手を打つべき立場の人だし、こっちはもう随分と催促して来たわけです。ただ、ここでレーザーが安定した出力を出したからといって細胞が見えるようになる保証はないというか、サンプルの条件があまりに悪いので見えない確率が高くて、そういう意味では、まぁ、八つ当たりの域を出ないわけですが。


 月曜の朝、ジョージから怒涛の反論メール。









 なんかもう、宛名には顕微鏡の全ユーザーと研究所の所長まで含まれちゃってて「そんなこと言うならみんなに言いつけてやる!」的な勢いで、レーザーの出力不足は検知器の感度を上げればカバーできるだろとか、色々と。顕微鏡の使い方がわかってないユーザーにはもう一度、きちんとした訓練を受けてもらう必要があるみたいだな!みたいな公開処刑モードになってたりして、一応、最後にはUPSはUninterruptible Power Supplyだ!(ばか!)ときちんと突っ込みを入れてくれていました。

 これにびっくりしたのはウチのボスです。普段、あんなにおとなしいびじうが今日はいったいどうしちゃったの!?思春期!? みたいな感じで飛んできて色々と話をして関係部署に仲介メール的なメールを出してくれたりしてました。

 おまけに、他の顕微鏡ユーザーも心配してくれたみたいで、普段は率先して切れる役のミッドハットっていう頑固職人的な研究者が昼休みに色々と話てくれたりした。「なるほど。ほら、結果は再現可能なんだから、実験自体はうまくいってるわけじゃん?後は顕微鏡が直ればオッケーってことだよな?」とか、慰めてくれたりして。うわ、似合わねぇ・・・あんたはやっぱり顕微鏡に向かって毒づいてる方が似合うよ。

 でまぁ、周囲の人の優しさに触れる頃にはこっちも溜飲が下がっているので(笑)、ジョージに「結果が出なくていらいらしてたんだ、ゴメン」みたいなメールを出して、事態の収束を図ります。


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 結局、新人&わかってないユーザー(筆頭びじう、他数名)のためにジョージによる顕微鏡再トレーニングが開催されたのですが・・・・。

 ジョージは顕微鏡おたくなんですが、実に不器用で要領のいい説明とかができないタイプです。小さなミスというか、不正確な説明を過度に恐れて最初から全部いちいち説明していかないとおさまらない。そんなもんだから、脱落者続々。一向に進まないジョージの講義に腹を立て、何だかんだと理由をつけて出て行きます。
 案の定、最後はびじうとジョージがサシで向かいあってました。元々、びじうの切れ切れメールが引き起こした事態っていう責任感もあったんだけど、それ以上に、びじうは不器用なおたくのアツいグダグダ話・・・つまり、語りたいという熱意を一つ一つの言葉の定義から正確に語りたいという情熱が邪魔しているような、熱しかないじゃん、みたいな、本当に暑苦しい奴・・・を聞くのが得意なのです。
 というか、ジョージは別に間違ったことを言っているわけではなくて、ただプレゼン能力が低いだけなワケですよ。びじうの持論として能力の不足は責めても仕方ない(能力不足を自覚して必要な努力をする意欲の不足は責めるに値するけど)ので、まぁいいかなぁ、と。。。っていうか、おたく好きなんですよね、要するに。
 ウチのラボの新人エスペも講義を聞いていたのですが、途中でリタイア。ラボに戻って「どうしてびじうはあんなに穏やかにあそこに座っていられるのかわからない!!」と言っていたらしいです。実は俺はジョージのことが嫌いではないのさ、と言ったら納得していました。

 で、まぁ、二人で問題点について話し合って終了。ジョージだって俺がいなかったら誰も話聞いてくれなくて困るじゃんね、とか思うとなんか可笑しい。

 びじうが「ほんと、ごめん」とか言ってると、ジョージも「いや、実際にレーザーの電源は設置しないといけないんだし、謝る必要はない」みたいな感じで仲直りも終了。1週間以内に壁に穴を開けて電気引いて新しいコンセントを作る、という線で決着・・・って、ん??

 切れた方が工事が早く進んで良かったじゃん・・・。


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 いやほんと、自分の主張が正しいならもうちょっと切れた方がいいのか?とも思うんですが、やっぱ慣れないしエネルギー使うんですよね。切れないで済むならその方が楽。しかも、今回は、「普段はおとなしいびじうが切れた」っていうインパクトと「皆、レーザーが不安定で困ってた」っていう実益があったので周囲が味方についてくれて良い結果になりましたが、先生に言いつけてやるメールをはじめ、切れ方のテクニックではジョージの方が上でしたよ(笑)。普段から切れなれてないと、なかなか上手くはできないわなぁ。。。


 ところで、「ジョージにこんなこと言っちゃったんだけど大丈夫かなぁ」と奥さんに話してみたところ「私の感覚では、こっちの人って、日々、物凄い勢いで切れて、物凄い勢いで流している感じがする。こっちが心配しているほどには全然引きずってないと思うから、大丈夫じゃない?」と、実に素晴らしい洞察。なるほど、確かにそうかも。んでもって、実際その通りでした。さすがだ。

 自分のコミニュケーション能力不足を痛感する一連の出来事でした。

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 アメリカ人ってうっとうしいくらい感情を表に出すというイメージがあるし、英語を話す人は論理的な思考をするというイメージもあるけど、すぐ切れるけど、すぐに治まって論理的な解決に向かうことができるなら、感情的であることと論理的であることは両立できるなぁ、とか考えてしまいました。逆に言うと、情緒的であることは論理的な思考をしないことの言い訳にはならないんじゃないかとか思ってみたり。

 ・・・・そんなことを考えていたら、普段、別の機械を使わせてもらっている別の部署のアンナから切れ切れメールが届きました。

 「びじうが使った後の機械が不調!きちんと使い方をマスターしてから使うこと!再トレーニングをスケジュールするので、都合のいい日を言いに来い!」


 ですと。自分が使っているときには不都合はなかったような気がしたんですが、なんかあると悪いのでアンナのところに謝りに行ったら、逆に彼女から謝られました。「機械の調整に余りに時間がかかるので、ついカッとなってメールしちゃった。別にあなたにはトレーニングは必要ないと思う」

 ですと・・・。

 ・・・お前ら、いくらなんでも切れすぎじゃね!?




Posted by bijoux_iris at 15:55│Comments(6)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote from Miami 

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この記事へのコメント
私も同じような経験3回くらいしてます。結構逆切れ反論メールをCC付きで送り返してくるんですよね。でも結局大抵正しいのはこちらなので、結果は少しはこちらにいいようになっているような気がします。(だって明らかにおかしいのは向こうなんだもん!)
っていうかホント仕事やれよ!!!って感じです。
はぁ。
Posted by Chikato at 2009年12月15日 21:32
 お疲れさまです.
 なんていうか,非常に共感できる話です.論理で勝負しよう,と思うと,失礼なやり方での反論にどう立ち向かうか,余計なストレスがかかるんですよね……うーん.
 
Posted by 志臣 at 2009年12月15日 22:27
私だったら・・・上下関係がわからないので、びじうさんの件はわからないけど、とりあえず、その人の上司とか、第三者に連絡する。直接には、絶対に言わない。

その人に直接言わなければならない立場であったら、私は、皮肉のメールにする。表面上は、ほめている文章だけど、皮肉で伝わせる。OR、ものすごくLogicな文章。「そう(現状)なのは、ああでこうが理由だから、If Xしてくれたら、Y(結果)になるってとてもうれしい」的な。

仕事とプライベートは、ものすごくわけますね。私もはじめて見た時は驚いた。あんなに対立してたのに、って。仕事内容では対立の立場にいても、仕事のあとは、一緒にゴルフに行ってた。

アンナの場合、よくあるね。とにかく他人のせいにしたい場合。できなかったのはびじうのせいだとボスにCCしたかっただけなんじゃないの?自分ができなかったのをボスに言いたくないから。

にしても、メールだと人格が変わる人認定を受けないようにね。


Posted by る at 2009年12月15日 23:41
 >Chikato
 実は自分は正しいからといって切れてもいいとは思わないというか、むしろ、正しさをかさにきて他人を攻撃するのも嫌いなので、本当にアレなんだけど・・・でも、働かないんだよねぇ、奴らは(笑)。

 >志臣
 まぁ、今回は俺の方が失礼だったというか・・・。これって常にコスト対効果の問題なので、失礼だけど相手にする価値がある人や、キレてまで動かしたい人も稀にはいる、という認識です。

 >る
 なるほど。色々と知恵があるもんなんですねぇ。自分はLogicalな文章は得意なんですが、それ以外がからきしというか・・・。
 今回思ったんだけど、こういう濃いお付き合いというか、どつき合いをするときって、間合いが難しいっすね。日本人相手でも下手なのに、アメリカ人相手だとどこまでが許容範囲というか、どこまでが熱い議論の範囲でどこからが口喧嘩になるのか、みたいなのが全然わからなくて難渋しました。
 いや、ここで生きていくのは大変だわ。
Posted by びじう at 2009年12月16日 09:16
怒りなれていない人の怒る時の気持ち
なんとなく分かります。
でも、そんな人が怒るからこそ効き目があると確信してるKINです。

実は私も立場上、たま〜に怒ります
感情を入れないで、「理路整然と」の方が良いのでしょうがチョット入ってしまいますね(苦笑)
Posted by KIN at 2009年12月18日 08:45
 >KIN

 どうも遅くなりまして。コメントを読んでいる限りだとあんまりKINさんが怒るところが想像つきにくいんですが・・・まぁ、ゼロって事はないですよね。

 怒り方とか怒るタイミングって難しいですよね。理路整然と、の方が良い場合も多いような気はしますが、心に響かなかったり、後々まで尾を引いてしまったりする場合もありますし・・・かといって、ヒステリーに怒鳴り散らすと軽くいなされてしまったり。
 いやぁ、奥が深いです。
Posted by びじう at 2009年12月29日 09:22

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