2014年06月02日

ガンダムUCについて熱く語るよ その2 〜あるいはシャアとは何であったのか

 昔、飲み友達の一人(同年代の女性:オタク属性ではない)が、「私の初恋の人はシャアだった」と言っていたことがあります。まぁ、時代的にそういうこともあるだろうね、と当時は思っていたのですが、今になって思い返してみると、この話にはもっと普遍性があります。

 シャアって初恋の相手みたいだよね。だいたい、シャアの特徴を挙げてみると

1. 別れた他の男よりも印象が強い
2. 甘酸っぱい、いい思い出だけが残っている
3. 良い思い出のせいで、その後の行動など幻滅することもあるけど、嫌いになりきれない

 などなど(特に3な)。だから、ケロロ軍曹がシャアのモノマネするとそれだけで嬉しいわけですよ。


<第二話>
 で、まぁフル・フロンタルですか。最初にこの名前を聞いたときにはなんだかなぁ、と思いました。確かに全てをさらけ出す、全裸って意味なんですけど、nudity とかnaked/nakednessという言葉に比較して格調低いというか、割とダメなニュアンスなわけですよ。クレヨンしんちゃんがお尻ぷり〜〜〜んってやるのがフル・モンティ(満月)で、フル・フロンタルはその前方バージョン。翻訳するなら、ちんちんぺろ〜〜〜んです。

  ** そんな翻訳ならしなくていい **

 ルーディー・ラッカーの小説の主人公ステイ=ハイ・ムーニー(ハイになりっぱなしケツ出し野郎)みたいなイカレたキャラに付ける名前です。多分、こういう感じのイメージ。ダメそうでしょ?

 なので、そんなふざけた名前付けちゃって、ガンダム馬鹿にすんのもいい加減にしろよ!!と思った時期が私にもありました。この名前がなければもっと早くUC見始めていたかもしれません。

 すんません。私が間違ってました。第二話で、そんなの些細な問題だったと気づくのです。名前への不満なんか全然、関係ない。池田秀一さんの声で「見せてもらおうか、新しいガンダムの性能とやらを!」って言いながら3倍の速度で迫って来るんですよ、赤いモビルスーツが!んでもって、ガンダムの腹にキックですよ!もう、初恋を思い出しましたよ。ビームマグナム避けながら「当たらなければどうということはない!」ですよ。40歳過ぎたオッサンの胸がキュンキュンですよ(自分でも正直キモいです)。

 ガンダム再放送の時には俺は小学校高学年で家にはVHSのビデオデッキ(当時は贅沢品)があって、応接間の小さいテレビで見た録画した画質の悪いガンダムをありありと思い出しました。そういう様々な情動体験があって引き込まれていくわけですが・・・自分にとってシャアが何者であったか、ありありと実感する話でした。この体験は、マジで初代ガンダムにハマったオヤジにはお勧めです・・・っていうか、池田秀一さんの声でシャアのセリフ喋らせるのズルい。カッコ良すぎて。マジで。

===
 ユニコーンの発進シーンにはRX-0っていう曲がBGMに使われていて、これまた良い(4話ほどではないけれど)。Gがかかるとパイロットスーツが膨らんで足に落ちた血を脳に戻したりNT-D発動した時の強さとかまた盛り上がりながら見るわけですが、それはまぁ、それとして。

===

 大人の立場からガンダムを見ると視点が色々と違ってくるんですけど、青臭いことを言う若者(主人公)にどう向き合うか、というのがポイントかと思います。

 ここではエコーズのダグザ・マックール中佐に注目したいです。もともと、アルベルト・ビストが(マーサの差し金で)父カーディアス・ビストを裏切って箱を奪取するために引き入れた、いうなれば「手」として登用された特殊部隊の指揮官です。
 小説を読むと、過去にエコーズがネオ・ジオンの拠点を爆破する任務遂行中、アクシデントでその爆発にスクールバスを巻き込んじゃうんですね。沢山の子供を殺してしまい、それ以来、エコーズは目的のためなら手段を選ばない最悪の集団、マン・ハンター(人狩り)として忌み嫌われている。
 まぁ、きちんとした軍人でありつつも、どこかでアイデンティティに問題を抱えているわけです。そうは見えないけど。連邦という機械の歯車に徹すること、任務はきちんと果たすことを自分に強いる一方で、自分たちが失ってしまった「正しさ(Righteousness)」みたいなのに憧れてもいる。そういうのが時間の関係であんまり描かれていないのが残念ですが、自分にできる範囲で正しくあろう、という強い気持ちが心の中にあったのです。
 でも、結果的には船を守るためにオードリーを人質にとる汚い仕事をやってる。それを、バナージにズバッと指摘される。多分、バナージが戦って船を守ってくれたこと以上に、「大人が子供を人質にとってはいけない」って言ってくれたことの方がダグザさんにとっては「借り」だったんじゃないかなぁと。で、その「借り」を返すための「人質奪還作戦だと思ってます」という流れ。そして、第三話の「子供がいたらとうに味わっていた気分なのかと思ってな」そして、あの死に様につながって行くわけです。うわー、涙出てくるわ。もう。(←盛り上がってます)

 若者は青臭いこと言い、大人はそれを見守りたいわけですよ。現実は厳しいかもしれないけど、それでも青臭い理想がなければ良い方向に進むことは決してないわけで。だから、青臭いこと言う若者に託したい。できればその理想を成就して欲しいと思うのですね。そんなナイス大人キャラでした。



<第三話>
 伏線が張り巡らされてる回で初めて見たときには良くわかんないですよね。フル・フロンタルがラプラス・プログラムの解明を諦めて、宝探しに付き合うことにした、というのが基本的な展開です。ユニコーンにサイコモニターなるもの(サイコミュ(NT-D)が稼働するとその様子を傍受できる、みたいな良くわかんない仕組みなんですが)を取り付けて、バナージをわざと逃がしてユニコーンに乗せて、NT-Dを稼働させる。
 NT-Dはニュータイプ・デストロイヤーというニュータイプを駆逐するためのシステムだと言われるわけですが(で、発動すると圧倒的に強いわけですが)、バナージとしては父親の形見が殺戮機械なのはちょっといただけない。すると、二人からNT-Dはそれだけじゃない、と言われる。
 マリーダさんはボコボコにやられつつもとどめを刺されなかったことから、ダグザさんは周囲にニュータイプがいないのにNT-Dが発動しかけたことから、これが単にニュータイプを抹殺する仕掛けではないことに気付きます(良く気付いたな)。ガンダムには秘められた力がある、そのカギはお前の心にある、みたいな思わせぶりな事を言われるわけです。ぶっちゃけると、実際には人の心を増幅して力に変える装置だったということが後でわかるのですが。で、NT-Dはニュータイプ・ドライブということに。

 で、ここで、自分の心を見失うな、というキーワードが出てくる。状況がどんなに絶望的でも「それでも、と言い続けろ」というマリーダさんのセリフはここで初出ですが6話目でクライマックスを飾ります。最初観たときは忘れてました。ああ、ここで言ってたのね、と。ダグザさんの「自分で自分を決められるたった一つの部品だ。なくすなよ」というセリフ以降、バナージは常に胸に手を当てて考えるようになります。
 もう、今から見る人は、これ覚えとかないと損ですよ。

 物語的にはマリーダさんを半殺しに、ギルボアさん(敵も人間で家族もいれば親切でもある、と示した)を殺してしまって、もうNT-D発動させて戦うのはまっぴら、ってことになるのがポイントですかね。以後、ガンダムの圧倒的な戦闘力ってのは発揮されないです(7話ではどうか知りませんが)。

=====
 最初に見たときにはダグザさんもギルボアさんも突然いい人になって突然死んじゃう印象しかなくて、いまいちスッキリしなかったのですが、こうして見ると第5話で宇宙(そら)に帰るのを二人が助けてくれるシーンがもっとジーンと来るわけですよ。

 うわ、宇宙に「そら」とかルビふっちゃったよ、久しぶりに。


Posted by bijoux_iris at 12:25│Comments(2)TrackBack(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote 映画や音楽 | 日々のネタ

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この記事へのコメント
5
なんかすごーく熱く語られている感じでうらやましすw

自分はUCをしっかり見たわけではないので、今後しっかり見てみます。
原作も斜め読みでしたし。

>フル・フロンタル ちんちんべろーん

知りませんでしたw

読み解ける人にとっても、初見の人でも、十分面白くて感動できる、という方向性で作られたのがこのUCでしょうから、その意味では十分以上の結果を出しているんだろうな、と思うことしきりです。

これは多分「親から子へ引き継がれるガンダム」は成功しそうですね。

多分その意味でのUCのコンセプトは、見事なんでしょうねえ。同様のコンセプトを持つガンダムアニメには「ガンダムビルドファイターズ」というのがあります。これも「親子のガンダム」です。プラモ三四郎な話です。もしよろしければ見てみるのをお勧めします。ただ、萌え系が多少なりとも入るのと、24話とかの長丁場だから暇ないと難しいかもしれないですね。
Posted by 石頭 at 2014年06月03日 12:47
 >石頭

 いつもありがとう!

 いや〜久々に長文でだらだら語ってます。これはこれで楽しいよ。
 好きなものを好きですと語ることの大切さを思い出させてくれた@trickenには本当に感謝だねぇ。

 「親から子へ引き継がれるガンダム」は上手い表現だなぁ。商品としてのUCはそのようなコンセプトで作られたのでしょうし、物語自体も、UCを一番短く要約すると「父親や父親代わりの人が死んでその魂で強くなるガンダムと少年の成長」だと思うっす。父親目線の話が多いというか。

 マーケティングの対象が主に父親なんでしょうね。

 ガンダムビルドファイターズも妙に評判良いですよね。
Posted by びじう at 2014年06月03日 18:32

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