インスタで面白半分に書いてみたものを転載しておきます。
片岡義男の文庫を読み漁った世代なので、パクリみたいに影響受けまくりです(-_-;)



 哲也の勤務先は週に一度か二度、15時に早上がりだ。天気の良い日は仕事をしながらも、夕方はどこを走ろうかと落ち着かない。日が短くなった9月半ばでも明るい間に3時間ほどバイクで走ることができる。

  今日は、彦根からR306で鈴鹿山脈を越えるつもりだ。滋賀にも大きな被害をもたらした2016年の記録的豪雨による崩落で長らく通行止めになっていた、滋賀から鈴鹿山脈の峠を越える気持ち良いワインディングだ。 

 昨日から西高東低の気圧配置に覆われ、琵琶湖周辺でもカラッとした秋のような冷たい風が吹いて、澄んだ青空が広がっている。 仕事を終え、バイクにまたがってエンジンをかけてからも、まだルートは決まっていなかった。
 琵琶湖大橋から湖岸道路を走って彦根あたりまで北上して306に入るルートか、竜王インターから名神高速に乗って一気に北上するか、、、 駐輪場から走り出して一つ、二つと交差点を過ぎたあたりで、名神高速で一気に北上するルートに、あっさりと決めた。 峠まで一時間と少しだろう。冷たい風を感じ、寒くなる前に帰ることにしたのだ。

 竜王インターまで、細い農道や旧道を選んで走る。西に傾きかけた光が、色づいた稲を金色に輝かせ、刈り取りが終わった田んぼには、エサを求めてサギやカラスが集まっている。もう少ししたら、彼岸花の赤い花が、ある日いきなり咲いていたりするはずだ。

  琵琶湖と鈴鹿山脈の間に南北に広がる近江平野を切り裂くように走る名神高速は予想通り北西風が強く、左前からの向かい風で、時折バイクが大きく振られる。哲也は左側の車線を、トラックの流れに合わせてゆっくりしたペースで走る。前のトラックとの車間を十分すぎるほど空けると、不思議と遅いペースが気になることもない。

 風は少し冷たいが、西に傾いた日差しと空冷エンジンの暖かさが心地よい。

  近江平野の広大な田園地帯を南から北へ走っていると、籾を焼く匂いや、牛舎の匂いが、時折ふと鼻をつく。竜王、八日市と北上して、多賀が近づくと、いつものように気温が下がってくる。道路の標高は大して上がるわけではないが、ずっと遠く東にあった鈴鹿山脈が近づいて、山の冷気が降りてくるのだ。

 新しくできた湖東三山PAのスマートインターで名神を降りて306へ入り、いくつものカーブを曲がりながら一気に鈴鹿山脈を駆け上がってゆく。頂上は鞍掛峠で標高は792m、直線距離でわずか10kmの間に700mほどを駆け上がることになる。


 西陽があたった鈴鹿山脈の西斜面は、強い風に波打つ草木が、キラキラと輝いて美しい。 

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 306のワインディングを気持ちよく駆け上がり、鞍掛峠のトンネルの手前で、哲也は急に減速して、三重側に下るのをやめ、Uターンした。
 すでに完全に日陰になった東側へ下るより、元来た西陽に輝く道を走る方が、初秋の道を楽しめるはずだ。

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