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 都知事選主要候補者の会見を見た。良い意味で印象に残ったのは細川護煕、田母神俊雄、悪い意味で印象に残ったのは舛添要一、意外にも宇都宮健児だ。以下にその理由を述べる。最初に言いたいのは、「選挙というのは品崩れをした野菜ばかり並ぶ、売り場からできるだけ味と形が良さそうなかぼちゃを探すもの」だと考えている。あまりにも良さそうなかぼちゃを選ぶ行為ではない。


 会見は田母神、舛添、宇都宮、細川と行われた。

 トップバッターの田母神は政治家としての経験はないし、歴史認識や対外的な安全保障の考え、長期的 な原発政策では私と意見が異なるのだが、受け答えの物腰が非常に柔らかである。福島県出身であり、政策課題についてわからないことをわからないという姿勢は良い。ただし彼を支持する支持母体には問題があるので支持はしない。田母神自身には裏表がない。それだけは分かった。

 次に舛添であるが本命候補というだけに余裕が感じられた。テレビ出演慣れした政治評論家、 国際政治学者ともあって、低姿勢の構えで、様々な人の意見を聞いていこうというスタンスだが、それは悪く言えば総花的、過去の無批判的な継続ということになる。

 また「連合」との絆をわざわざ表明するあたりなど、徹底的な組織選挙をやる構えを見せており、自公政権に一矢報いる候補にはならないだろう。

 また、副作用が問題になっている「子宮頸がんワクチンの問題」(舛添が功労大臣の際に推進した)の問題などもあり、支持できないと判断した。舛添は、お茶の間評論家としては、多岐にわたる政策課題について具体的に問題点を整理する能力があるので、都知事よりは舛添は都政の有識者会議に是非参加するほうが手腕を発揮できる。

 続いて宇都宮であるが、会見を 聞きながら具体的な政策に目を通した。5つの重点政策とそれ以外の政策で構成されている。読めばわかるように、非常に福祉の充実を高らかに掲げている。こ れを実現するための財源をどのようにするかという疑問がわく。そしてあまりにも「地上の楽園」を連想させるいいこと大盤振る舞いの政策案である。福祉を大盤振る舞いすると結果的に公務員が増える。その結果税金は増える。それが道理だが、宇都宮にはその辺の問題点への理解がないように見えた。これ以上の福祉カットに反対するのは賛成できるが、なんでもかんでも増やせばいいわけではない。メリハリが大事だ。私は福祉よりも減税というスタンスである。

 また宇都宮は戦略特区反対であり、カジノ反対であるという。前者については私も、戦略特区は制度設計次第で大いに問題になると考えている。ただ、 問題は宇都宮のカジノ反対の理由だ。

 カジノ反対の理由として「カジノは博打だ。犯罪だ。だから賛成出来ない」という論理で反対されていたのは、正直同意しかねる。彼はまたパチンコにも反対をしている。競馬については言及がなかった。私は、宇都宮が貧困問題に取り組んでいることは評価している。

 しかし、それとカジノ問題とは話が違う。経済的貧困には個人の責任はないが、カジノやギャンブルに依存するのは個人の責任である。私は首都圏台場のような、もともと一般の住民の居住を前提に開発されていない地域に建設するなら、カジノ建設には反対しない。 

 さらに言えば、カジノやパチンコを規制するにはやり方というものがあると思う。ただ、彼の言うパチンコ税はギャンブル依存を減らすためには有効だと評価したい。


 私が危惧するのは、宇都宮の正義感のとどまるところのしらなさである。潔癖主義である。翻って彼の政策を検討すると、「このクリーンな政治と福祉の充実」というテーマで描かれている事に気づいた。日弁連会長をやった宇都宮だから実際には政治において柔軟性を発揮することもあるのかもしれない。ただ、この会見を見る限りでは彼の潔癖主義に懸念を覚えた。これは彼の人柄とは別の問題である。

 脱原発運動を見ていて危惧したのは、その「正義の暴走」である。あまりにも正しすぎるがゆえに間違っているということはあるものだ。それが前の衆院選での野党の大敗の原因である。清教徒のような宇都宮のスタンスは都政を実際に動かすに当たって懸念要素となる。その理念的なスタンスと現実をどのように折り合いをつけていくの か、過去の革新都政である美濃部都政の実例と比較しながら冷静にウォッチしていきたい。

 最後に細川である。はっきり言って積極的に支持したいと今でも思わない。年齢の心配もあるし、具体的な政策をもっと検討する必要があると考えている。ただ、細川が他の政治家が壁にぶち当たった脱原発という政策課題に本気でやろうとし ていることの意欲は伝わった。

 また、緊張する外交に関する問題についても、細川は「日中関係は東京都の専権事項ではない」としながらも、靖国参拝に端を発する日中関係への悪化 の懸念を表明していたことは評価できるし、「東京・東北オリンピック パラリンピックの提案」という難しい提案も細川家の国際人脈で実現に向けて努力が期待できる。

 また「原発に頼らない東京を実現するために電力を多消費しない」「私の世代は原発を容認してきた。不明の責任を感じる。脱原発のエ ネルギー計画を進める」という政治の失敗を潔く認めているのもいいと思う。「再稼働をやめて、原発即ゼロに向ける方針を決めないと新生エネも立ち上がらな い。そういうロードマップをしっかりしたい」という姿勢も現実的でいいと思う。

 また、小金井のゴミ問題を質問している地元紙記者がいたが、もともと湯河原の住民にその ような細かい政策課題を聞いても答えがないのはあたりまえだ。(知事選挙は当該都道府県に住所を有していることは要件とはされない)

 小沢一郎も言っているが政治の使命は大きな方針を示すこと、それに合わせて具体的な法案・政策は専門家の力を借りる。だから細川は「東京エネルギー戦略会議」が重要だと述べたのだろう。

 そして、やはり読売新聞記者からは執拗に佐川の一億円借入問題(1982年)が追及されたが、この件については細川自身が『内訟録』で詳細に説明している。その上さらに 1982年の借入問題を追求するのは、他に批判することがないので行うためにするもの以外ではありえない。

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 一方、舛添の政党助成金の問題を赤旗が取り上げていたが、比較的最近のことのようでもあり、これについては初めて出る問題のようだから一定の説明責任はあるべきだと思う。

 なお、細川の過去の政治資金問題については宇都宮が「説明責任はある」と述べていた。今回組織的に支援するであろう共産党のスタンスはこれよりもかなり厳しい。宇都宮が街頭演説でこの問題を更に取り上げなければ、これについてはそれでいい。

 総合的に見ると、消去法で細川という私の判断は変わらないが、結果を冷酷に予測すれば、結局は舛添が圧勝するだろう。この結論も全く揺るがない。細川は安定的に二番手を確保することを最低ラインの目標として目指すべきである。

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<参考>

細川氏「ご乱心でなければ出てこない」

都知事選出馬会見で細川氏は、質問した記者へ身を乗り出して答える(撮影・山崎安昭)
都知事選出馬会見で細川氏は、質問した記者へ身を乗り出して答える(撮影・山崎安昭)

 元首相の細川護熙氏(76)が22日、東京都庁で記者会見し「脱原発の同志である小泉(純一郎)氏から強いメッセージを受け、出馬の意向を固めた」と述べ、2月9日投開票の都知事選出馬を正式に表明した。以下、細川氏の一問一答。

 -都知事選は「脱原発」のワンイシューなのか

 細川氏 都民の生命と財産に関わる話。もし原発事故が起きたら国の存亡に関わる。そのために現在の原発依存型のエネルギー多消費社会を180度方向転換しないといけない

 -なぜ国政でないのか

 細川氏 東京は大消費地で福島から電力を送っていただいている。さらに東電の株主。(再稼働の動きがある)浜岡や柏崎刈羽などの原発もあり影響は大きい

 -「後世に核のゴミを残すのは犯罪行為」と言ったが、東京が処分場の受け入れをするのか

 細川氏 東京は当然ある意味で負担しなければならない

 -柏崎刈羽の再稼働は必ず反対か。東電の株主総会で再稼働は絶対にさせないという考えか

 細川氏 もちろん

 -首相の靖国神社参拝はどう考える

 細川氏 首相は行かない方がいい。国際的に刺激するから

 -集団的自衛権や憲法についての考えは

 細川氏 賛成ではない。海外での武力行使や憲法をいじることは賛成ではない

 -それについて小泉氏と話し合ったか

 細川氏 話し合っていない。これからするかもしれないが、すれ違うかもしれないけど

 -今回の選挙は野党再編につながる

 細川氏 さあ、それは分かりません

 -20年東京五輪では82歳。今日も声が聞き取りにくいが、体力的に大丈夫か

 細川氏 マイクが悪いんじゃないの? 今回の選挙は4年間のもの。その先を言うのは有権者に失礼。あと、不条理と戦う気力を持っていれば老いることはない

 -討論会の出席はあるか

 細川氏 ワイドショーみたいなものは、めちゃくちゃな議論になってしまうので有権者が正確な判断ができない。司会がしっかりといる討論会なら出る

 -「殿」と呼ばれることについてどう思う

 細川氏 「殿、ご乱心」と言われたが、ご乱心でなければ、こんなところに出てきませんよ

 -隠居生活から脱することは

 細川氏 最近はふすま絵を描いていた。薬師寺から80枚頼まれていたので、都内の倉庫を借りて描いていたが中断している。弱ったな

 -インターネットは得意か

 細川氏 全く分かりません

 [2014年1月22日19時58分]

http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp3-20140122-1247513.html?style=print