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 前回の記事で私は「アベノミクス」、とりわけ「マイナス金利」というのは日本経済を使った「生体実験」であると述べた。ところが、日銀の黒田東彦総裁は、本日23日の衆院財務金融委員会でその理解を更に上回る爆弾発言を行った。26日からのG20を前にまたしても衝撃的な発言だ。それを報じた「ロイターニュース」を紹介したい。

(貼り付け開始)

マネタリーベースの増加、インフレ期待上昇に直結せず=日銀総裁
ロイター(2016年2月23日)

 [東京 23日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は23日午前の衆院財務金融委員会で、量的・質的金融緩和(QQE)の波及経路は、実質金利の低下を通じて経済にプラスの影響を与えるものとし、マネタリーベースの増加が直接的に期待インフレ率を押し上げるものではないとの認識を示した。

 玉木雄一郎委員(民主)の質問に答えた。

 総裁は、現行のマイナス金利付きQQEの実体経済への波及経路について「実質金利を下げることによって経済にプラスの影響を与える」とし、「その意味で量的・質的金融緩和は所期の効果を発揮している」との認識をあらためて示した。

 その上で、大規模な国債買い入れを通じたマネタリーベースの拡大がインフレ期待に与える影響を問われ、「マネタリーベースそのもので直ちに物価、あるいは予想物価上昇率が上がっていくということではない」と語った。

 足元でインフレ期待が「やや弱めになっているのは事実」と認めながらも、消費者物価指数の構成品目のうち上昇品目が増えていることや、企業の価格設定行動にも「プラスに向けて広がりが出ている」と指摘。期待インフレ率も「やや長い目でみれば上昇してきている」との認識を示した。(以下略)

http://jp.reuters.com/article/boj-kuroda-idJPKCN0VW08O
(貼り付け終わり)

 この発言には驚くほかはない。黒田総裁は「アベノミクス」の量的緩和がインフレ目標の達成に必要であるという理論を一瞬にして投げ捨てる弁明を国会で行ったのだ。つまり量的緩和策も理論的に効果が見えない実験だったと認めたわけだ。

 もともと量的緩和政策は、単なる輸出企業支援の通貨安誘導政策と株価政策であるという批判はあった。借り手のいないマネーを発行することで、それが株式投資に回って株価を上昇させ、見かけ上景気が良くなったようにするという政策だと私はずっと考えていた。本来の景気対策は中間層を底上げする消費税をはじめとする大衆減税以外にはない。

 アベノミクスはにも関わらず消費増税に踏み切って、さらなる増税も対象が極めて少ない軽減税率でごまかそうとしている。株価が上がれば株式を保有するだけの余裕がある富裕層が儲かる。大衆減税にまさる景気対策はないのである。

 最近のイギリスの「The Economist」の社説などの論調を見ていくと、G20では各国の財政出動を求める声が高まりそうだ。日本は消費増税という景気を冷やす政策をやめて、一気に思い切って消費税を5%に戻してみてはどうか。景気回復間違いなしである。

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 この黒田総裁の「敗北宣言」を日本の夜のニュースは大きく扱っていない。野党再編が本格化し始めたということもあろうが、不可解である。


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黒田総裁:マネタリーベース重視修正を示唆、直ちに物価上がらず (1)

衆院財務金融委員会で黒田総裁は23日、「マネタリーベースの動きと期待インフレ率は相関関係があるという研究もあるし、そうでもないという研究もある」 と指摘。「マネタリーベースそのもので直ちに物価、あるいは予想物価上昇率が上がっていくということではなくて、全体としての量的・質的緩和の下で需給 ギャップも縮み、予想物価上昇率も上がっていく中で物価が上昇していくことを狙ったものだ」と述べた。


 こうした発言は同政策を導入した際に示した楽観的な発言とは対照的だ。総裁は導入直後に行った講演で、「日銀が経済全体に供給する通貨(お金)の総量であ るマネタリーベースが、私どもの積極的な金融緩和姿勢を対外的に分かりやすく伝える上で最も適切」と述べた上で、「物価安定目標の早期実現を約束し、次元 の違う金融緩和を継続することにより、市場や経済主体の期待を抜本的に転換する」と述べた。

みずほ証券の末広徹シニアマーケットエコノミストは黒田総裁について「物価を押し上げるためにマイナス金利政策を導入しただけに、マネタリーベースを拡大 しただけで物価が上がるわけではないと認めざるを得ない」と述べた。「国債の買い入れが限界に達した後に金利政策に移行するという最近増えている見方をさ らに後押しするものだ」とも語った。  衆院財務金融委で民主党の玉木雄一郎氏は黒田総裁に対し、「就任してまもなく3年が経つ。そろそろ客観的な検証を した方が良い。マネタリーベースを増やすと期待インフレ率が上がるというのが異次元緩和の根拠になる考えだと思うが、今もなおそう信じているのか」と質 問。岩田規久男副総裁にも同じ質問を行った。


最終的な責任の取り方は辞任


 岩田副総裁は「マネタリーベースを増やすには長期国債を買うのが一番効果的だ。日銀が短期国債を買ってマネタリーベースを増やす場合、ゼロ金利の日銀当座 預金とほぼゼロ金利の短期国債を交換するだけで、民間の資産の構成には何の変化もほとんどない、同じようにマネタリーベースを増やしても何の効果もない。 日銀が何を買うかによって影響は違う」と述べた。


 しかし、日銀が先月導入したマイナス金利の影響で、長期金利(新発10年物国債利回り)はマイナスの領域に突入しており、岩田副総裁が批判したかつての量的緩和政策の下での短期国債の金利と同水準で推移している。


 玉木氏はさらに、就任前の岩田副総裁の論文を引用し、「新日銀法施行後、物価上昇率が2%以下のプラスの領域にあった、いわば合格点が上げられる月は13 年6カ月中、16%しかない。そういう責任者は責任を取って辞任するはずだが、日銀総裁は誰一人責任を取っていない」と書いているが、自身の責任はどう取 るのかと質問した。


 岩田副総裁は「目標が達成できない時はまず果たすべきは説明責任で、仮に説明責任が果たせない場合、最終的な責任の取り方は辞職というのはその通りだ」と 述べた上で、生鮮食品を除くコア消費者物価(CPI)がこのところゼロ%程度で推移していることについて、「原油価格の歴史的な下落によるものが大きい」 と指摘。エネルギーを除けば「物価の基調はきちっと上昇している」と述べた。


相次ぐ目標達成期限の先送り


 マネタリーベースは市中に出回っている銀行券(お札)と貨幣(コイン)の残高に、金融機関が日銀に預けている当座預金の残高を加えたもの。黒田総裁は13 年4月4日、「2年程度の期間を念頭に置いて2%の物価安定目標を実現する」と表明。それを裏打ちする手段として、マネタリーベースと長期国債・指数連動 型上場投資信託(ETF)の保有額を2年で2倍にすると述べた。


 黒田総裁は同日の会見で、2年で2倍にする根拠について問われ、「GDPギャップがどの程度縮小していく、あるいはポジティブになる必要があるかとか、物 価上昇期待がどの程度上昇していく必要があるかといったことなどは、いろいろな学者が分析し、あるいはモデルでの計算等をしているようだ」と指摘。

「そういったものも考慮しながら、現在の経済状況を踏まえ、2年程度で2%の物価安定目標に近づけ、それを実現するためには、これより少ない額では不十分であり、ここまでやれば物価安定目標の達成が可能になるということで、この額とした」と説明した。


 日銀が金融調節手段の目標としているマネタリーベースは12年末には138兆円だったが、昨年末には356兆円と2.6倍に膨らんでいる。しかし、昨年12月のコアCPIは前年比0.1%と、2%の物価目標には遠く及ばない水準にある。


 日銀は物価目標である2%達成時期について、昨年4月に「2015年度を中心とする期間」から「16年度前半」に、昨年10月には「16年度後半」に、マ イナス金利を導入した先月29日の経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、さらに「17年度前半」に先送りしている。達成期限の後ずれはこの1年に 限っても3回目となる。

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O2ZFN26JIJUQ01.html#

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Kuroda Hints at Shift in Thinking on Monetary Policy's Power

Updated on

http://www.bloomberg.com/news/articles/2016-02-23/kuroda-hints-at-shift-in-thinking-on-power-of-monetary-policy