● ひまわりが勝手に選んだ植物療法関係の記事一覧の目次です
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先日から、寒暖の差が激しく、その都度、雨が降ったり雪が降ったり、吹雪いたりと本当に変な天候が続きます。今日の秋田は小雨模様。午後からは風も増し、よこなぐりの雨。

この頃、お料理にコメントがつくようになって気をよくしたひまわりですが、もう一人張りきっている人がいます。ばっぱです。朝から、いろいろな漬け物で残ったものを利用して作った「ほろほろ漬け」を持ってきました(下写真左)


20060213ほろほろ漬け
20060213えりんぎとブロッコリーあえ
20060213四神湯スープ

なすガッコ、キュウリがっこ、ニンジンなどなどいろいろ入って、触感、味覚それぞれがバランスをとりあっています。上写真中央は、ブロッコリーの茎と「えりんぎ」というキノコなどを炒めたもの。上写真右は、「四神湯」という漢方スープをもとに、ホルモン、ハトムギ、ハスの実などを入れて作ったもの。コショウがとてもスパイスとして効いていましたが、ひまわりはそこへちょっとお醤油を入れていただきました。

20060213長芋の揚げ物
20060213雨模様の東大通1
20060213雨模様の東大通2

上の写真左は、長芋の唐揚げですが、訳ありです。というのも、ばっぱが長芋をどうも氷らせてしまったようです。そのため、粘りがなくなり大根のようにサバサバとなったので、何とかしようとあみだした代物。電子レンジで水分を飛ばして、小麦粉をまぶし揚げ物にしたら、これがとても美味。

上の中央と右の写真は、雨模様の東大通。昨日の風景とはうってかわり、雪が締まって、重たくなっています。隣りのアパートでは、よく電話工事で見かけるクレーン車による雪下ろしが行われていました。さすがに、一回も雪下ろしをしていない屋根はこの雪の重みに絶えかねているのでしょうね。

20060213タラちり鍋
20060213タラちり鍋ダダミ
20060213タラちり鍋タラ

上の写真は、そうです、タラちり鍋です。鍋物は秋田では「かやぎっこ」といっていますが、寒い日が続く雪国の方達にとっては、真まで体を暖めてくれる「かやぎ」が好まれるんでしょうね。

さて、本題の「サリチル酸二つの官能基」ですが、先日から、サリチル酸を中心に植物療法(フィトテラピー)との関連性(
2006.02.10 サリチル酸と植物療法)、サリチル酸の歴史と有機化学の発展(2006.02.11 ヤナギナツユキアスピリン)などを見てきました。今回は、サリチル酸の構造という「有機化学的」な観点からみてみたいと思います。

前回、サリチル酸の化学的な構造を図にしました。このサリチル酸は、
西洋シロヤナギ Salix alba や、西洋ナツユキ草 Filipendula ulmaria から発見された「サリシン」から、体の中で分解され合成されたものでした。前回示した図をもう一度下記に載っけてみました。

20060211サリシンサリチル酸構造式

精油の化学の基本となる炭化水素の骨格は、ベンゼン環が含まれていますから、芳香族に属する炭化水素です(2006.01.20 精油の化学と基本骨格)。テルペン系の炭化水素であれば、官能基のないモノテルペン炭化水素類、セスキテルペン炭化水素類(+ -)という芳香成分類がありますが、その他の精油は、基本となる炭化水素の骨格に酸素を含む官能基がくっついた形で存在しています(2006.01.22 炭化水素基と官能基)。

そういった観点から、もう一度上の図のサリチル酸の構造を眺めてみて下さい。ベンゼン環を含んだ炭化水素の骨格に、官能基であるカルボキシル基(- COOH)がくっついています。そうそう、その場合は、芳香族カルボン酸類っていうんでしたよね(
2006.02.03 芳香成分類の名称)。

ところが、待って下さいよ。下の方にはヒドロキシ基(水酸基)がくっついていますよね。それもベンゼン環に直接くっついています。間接的にくっついている場合は、芳香族アルコール類となりますが、直接ですから、フェノール類ということになりますよね。

ということは、このサリチル酸は、二つの官能基があるため、どちらの官能基をもとにして名称をつけたらいいのか、ただでさえ難しいのが、もっと難易度が高くなってしまいます。ちょうど今開催されているトリノオリンピックのフィギュア競技のよう。

そうなんですよね。そこで、化学的には、酸としての性質がカルボン酸に依存するというのが一般的だそうで「カルボン酸」として、考えられているそうです。もっと詳しくいうと、芳香族カルボン酸類ということになるのでしょうか。もちろん、フェノール類といっても間違いではありません。

このような特殊な構造をもったサリチル酸であるがゆえに、とてもおもしろい特徴を持つことになります。それは、ベンゼン環に結合している「カルボキシル基」との化学反応と、「ヒドロキシ基」との化学反応のどちらかの反応によって、サリチル酸から誘導されて、違った化合物ができあがる、という事です。

前回の投稿で、アスピリンがでてきましたが、これはアセチルサリチル酸という化合物の商品名です。このアセチルサリチル酸は、サリチル酸の持っている「カルボキシル基」が、アセチル化することによって作られる化合物です。

また、もう一つの官能基である「ヒドロキシ基(水酸基)」が、エステル化すると、サリチル酸メチルという化合物ができあがります。

以上を図式化すると下記のようになるかと思います。

以下続きです

20060213アセチル化エステル化

どうですか、サリチル酸という化合物が、一方では、アスピリンといわれる「アセチルサリチル酸」となり、一方では、ウィンターグリーン Gaultheria procumbens に多量に含まれている「サリチル酸メチル」という化合物になります。

サリチル酸は、官能基に対して反応を起こす相手が、

1. 「カルボキシル基」を持つ場合(カルボン酸類)は、サリチル酸の持つ官能基の「ヒドロキシ基(水酸基)」と反応して、アセチル化し「アセチルサリチル酸」となり

2. 「ヒドロキシ基(水酸基)」を持つ場合(アルコール類やフェノール類)は、サリチル酸の持つ官能基の「カルボキシル基」と反応して、エステル化し「サリチル酸メチル」となるということになります。

なんか難しくなってきましたね。今の「1. 」のケースを詳しく表したのが下記の図です。

20060213アセチル化

この場合、とても複雑な構造ができあがって、超ウルトラC のようです。というのも、サリチル酸がアセチル化することで、アセチルサリチル酸ができあがるわけですが、この構造をもう一度ご覧下さい。

これは、基本の炭化水素(芳香族(ベンゼン環を含む))に、

まず、カルボキシル基(- COOH)
そして、エステル結合(- COO-)
とどめが、アセチル基( - COCH3)

が、混在していることがおわかりいただけるかと思います。アセチル基は、エステル結合の部分と重複していますよね。このような構造を持ったものが「アスピリン」の正体なんですね。

下記の図は、「2. 」のケースを詳しく表した図です。

20060213エステル化

ヒドロキシ基(水酸基)はそのまま残り、カルボキシル基がエステル化して、メチル基とエステル結合しているのがおわかりいただけると思います。これがサリチル酸メチルです。

ところが、この場合でも、基本の炭化水素骨格である芳香族に、二つの官能基がありますよね。

まず、エステル結合(- COO-)
そして、ヒドロキシ基(水酸基)( - OH)

しかも、先ほどから何回もでてきていますが、ヒドロキシ基(水酸基)がベンゼン環に直接くっついた形をしています。これは、フェノール類です。

ところが、精油の化学では、このサリチル酸メチルは、エステル類として区分しています。なお、詳しい分類となると、芳香族エステル類ということになるのでしょうね。

いかがでしたが。プロスタグランジンのお話(
2005.12.31 体調とプロスタグランジンの関係)から、非ステロイド剤、そしてその代表にアスピリン。この薬がとても鎮痛、消炎に役に立っています。しかし、その作用機序は、生体の合目的性とは相反する作用として働いています。

そして、そのアスピリンは、サリチル酸ととても関係が深く、そのサリチル酸はサリシンという化合物から合成されました。

そのサリシンは、
西洋シロヤナギ Salix alba や、西洋ナツユキ草 Filipendula ulmaria から発見されました。とくに西洋ナツユキ草という植物は、植物療法(フィトテラピー)では、日常的につかわれる植物素材です。

化学的にはとても難しかったですけど、とてもおもしろかったでしょ。

なお、化学があまり得意でないひまわりが調べたので、間違っている場合はご指摘していいただければ幸いです。

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「2006.02.13 サリチル酸二つの官能基」
2006.02.11 ヤナギナツユキアスピリン
2006.02.10 サリチル酸と植物療法