● ひまわりが勝手に選んだ植物療法関係の記事一覧です(月別に並べてあります)
・植物療法に関係のある記事のもくじ(2005.06.04 〜 現在まで)
今日の秋田は、朝起きたとき青空が広がっていました。昨日は雨降りでしたので、とても気持ちのよい朝をむかえることができました。ところが、その後、しだいに雲が広がって一日どんよりした寒い日でした。夜は、身を切るような寒さ。
下の写真は、昨日のばんごはん。実家から届いたカレイの干物。そして、キャベツの蒸し煮、サトイモと舞茸のみそ汁。
下の写真、左は、ばっぱが作っただらくずけ。松前昆布とニンジン、ハクサイのしょう油漬けなんだそうですよ。ニンニクがたっぷりきいていて、その味が病みつきに。中央は、エノキとナメコのしょう油煮。ご飯の上にのせて食べたのですが、結局ナメコ丼になってしまいました。
以前、セミナー中に「プルメリア」の精油は置いていませんか? というお客さんが来られました。プルメリア、ハーブでも聞いたことがなく、逆にどんな植物ですか?と思わずたずねてしまいました。秋田在住の方のようでしたが、東京で購入したものなので、こちらでも求められるかなぁと思ったそうでした。
プルメリアは、花を使うそうで、ハワイやインドネシアなどでは、レイや宗教の儀式などいろいろな用途に利用されるそうです。エキゾチックな香りということでした。いったいどんな香りなのか、後で調べるために、ずっとホワイトボードのすみにその名前が書き込まれたままでした。
今日は、植物療法のセミナーの時間でしたが、今日こそは、ということで、調べてみました。
・プルメニアは、コモロ諸島原産で、キョウチクトウ科に属する植物
・学名が、Plumeria acutifolia、別名フランジュパニと呼ばれる
・抽出部位は花
・抽出方法は、溶剤抽出法が多いようです(水蒸気蒸留による抽出は調べた範囲では見つからず)
・精油そのものもありましたが、成分が明らかにされたものは、25%の希釈液
・いろいろな量のプルメニアが販売されているようですが、10mlで8,925円
ということで、エッセンシャルオイルではなく、アブソリュートのものですが、下記の図に、含まれている成分を掲げてみました。比較のため、エキゾチック、あるいは、花の香りということで、イランイラン Cananga odorata や、ジャスミン Jasminum officinalis (Abs.)の成分も示してみました。
いつものように、芳香分子の構成成分比は、精油事典 Ver.5 にある「平均的含有量の最高値」を示しています。芳香成分類は、プラナロムの最新データ(分析値)を参照させていただきました。
・イランイラン Cananga odorata:ロッド番号 BIOCOFLTIL0605、保証期間 2010年6月
・ジャスミン Jasminum officinalis (Abs.) :ロッド番号 ABJOFLFA0105、保証期間 2010年1月
25%に希釈されたプルメリアですから、精油成分の他に、その他(希釈剤)ミグリオール 75%、合計で100%となるわけです。調べてみると、精油成分の他に分析値に載っていない成分が結構存在することに気がつきました。他の精油との比較の関係上、希釈された 25%を 100%ととして、おのおのの成分の構成比を表しているのが、上の図、プルメリアの「希釈剤を除く」の欄です。
・その結果、52.64%が成分表にあらわれていない成分。
・エステル類が 36.72%とプルメリアの主要な芳香成分類
・その他に、モノテルペンアルコール類とセスキテルペンアルコール類を含んでいる
・結構、イランイラン Cananga odorata や、ジャスミン Jasminum officinalis (Abs.) の主要な芳香成分類と類似
・イランイラン Cananga odorata は、他に、セスキテルペン炭化水素類( + と - )と、特徴のあるフェノールメチルエーテル類を含む
・ジャスミン Jasminum officinalis (Abs.) は、他に、ジテルペンアルコール類を 22.32%含む
・プルメリアには、脂肪酸のリノール酸を含んでいる
ということが、今回の比較表でわかりました。でも、香りのイメージがわいてきません。そしてなにより、脂肪酸を精油中に含んでいる、という点がとても気になりました。
このプルメリアは、先ほども見ていただいたように、有機溶剤法で抽出されたものです。有機溶剤法は、その名前が示す通り、「有機溶剤」を媒介として、精油の香気成分を抽出する蒸留方法です。
1. 花びらと有機溶剤を入れ、加熱
2. 有機溶剤に溶け込んだいろいろな成分のうち、目的となるのは、香気成分
3. まず、有機溶剤を取りだし、香気成分を含むコンクリートを得る
4. コンクリートから、香気成分だけを蒸留する
という過程の中で抽出されるのが、アブソリュートです(花を抽出部位とした場合)。
1. で使われる有機溶剤は、メーカーによりいろいろですが、多くは石油エーテルが一般的となっているようです。
2. 有機溶剤は、ちょっと温度をかけると沸騰しますから、釜の中で循環するようにグルグル回るのだそうです。なお、加熱する熱には、火は使わず、蒸気で暖めるのだそうですよ。このようにして石油エーテルを媒介として抽出すると、花びらからは、目的とする揮発性の芳香分子はもとより、その中に含まれていた油脂やロウなど、すべて石油エーテルに含まれることになります。
3. そのために、まず、石油エーテルなどの有機溶剤を取り除く(回収)ために、減圧装置を使って、気圧を下げることで、有機溶剤だけを取り除くのだそうです。
4. このようにして有機溶剤を取り除いた後に残ったのが、コンクリートと呼ばれるものです。ロウや樹脂などは、固まる性質があり、それらを含んでいる場合には、固まるためにコンクリートと呼ばれているそうです。
目的の揮発性の香気成分のみを、そのコンクリートから取りだすための次のステップは、アルコールによる蒸留です。アルコールには香気成分は溶け込みます。ところが、油脂や樹脂、ロウなどはアルコールには解けませんので、その特性を利用して、最終的に香気成分を取りだします。このように取りだしたものがアブソリュートといわれ、このような方法で取りだす方法を「有機溶剤法」といいます。
そうすると、何故、脂肪酸のリノール酸が 3.4%も含まれているのでしょうか(水酸基を3つ持つグリセリン(グリセロールでアルコール)と三つの脂肪酸のエステル結合したものが「油脂」でした)。機会があれば、このことについても調べてみたいと思います。とうごまの種子から得られたひまし油は、アルコールに溶解し、他の植物油にはみられない特徴を示す事が、書かれている資料を見つける事はできましたけど。
● 関連記事
・「2006.12.01 ケモタイプとフェノタイプの使い分け」
・「2006.08.25 カモミールの主要成分の違い」
・「2006.08.24 精油のフェノタイプとケモタイプ」
・「2006.07.16 エマルジョン精油」
・「2006.05.28 精油の成分解析」
・「2006.04.27 香気成分の抽出方法」
・「2005.09.29 ロウエステルって」
・「2005.09.20 精油の抽出方法と使う人の目的」
・「2005.09.02 精油のケモタイプとハーブ」
・「2005.08.06 キャリアオイルの化学」
・植物療法に関係のある記事のもくじ(2005.06.04 〜 現在まで)
今日の秋田は、朝起きたとき青空が広がっていました。昨日は雨降りでしたので、とても気持ちのよい朝をむかえることができました。ところが、その後、しだいに雲が広がって一日どんよりした寒い日でした。夜は、身を切るような寒さ。
下の写真は、昨日のばんごはん。実家から届いたカレイの干物。そして、キャベツの蒸し煮、サトイモと舞茸のみそ汁。
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下の写真、左は、ばっぱが作っただらくずけ。松前昆布とニンジン、ハクサイのしょう油漬けなんだそうですよ。ニンニクがたっぷりきいていて、その味が病みつきに。中央は、エノキとナメコのしょう油煮。ご飯の上にのせて食べたのですが、結局ナメコ丼になってしまいました。
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以前、セミナー中に「プルメリア」の精油は置いていませんか? というお客さんが来られました。プルメリア、ハーブでも聞いたことがなく、逆にどんな植物ですか?と思わずたずねてしまいました。秋田在住の方のようでしたが、東京で購入したものなので、こちらでも求められるかなぁと思ったそうでした。
プルメリアは、花を使うそうで、ハワイやインドネシアなどでは、レイや宗教の儀式などいろいろな用途に利用されるそうです。エキゾチックな香りということでした。いったいどんな香りなのか、後で調べるために、ずっとホワイトボードのすみにその名前が書き込まれたままでした。
今日は、植物療法のセミナーの時間でしたが、今日こそは、ということで、調べてみました。
・プルメニアは、コモロ諸島原産で、キョウチクトウ科に属する植物
・学名が、Plumeria acutifolia、別名フランジュパニと呼ばれる
・抽出部位は花
・抽出方法は、溶剤抽出法が多いようです(水蒸気蒸留による抽出は調べた範囲では見つからず)
・精油そのものもありましたが、成分が明らかにされたものは、25%の希釈液
・いろいろな量のプルメニアが販売されているようですが、10mlで8,925円
ということで、エッセンシャルオイルではなく、アブソリュートのものですが、下記の図に、含まれている成分を掲げてみました。比較のため、エキゾチック、あるいは、花の香りということで、イランイラン Cananga odorata や、ジャスミン Jasminum officinalis (Abs.)の成分も示してみました。
いつものように、芳香分子の構成成分比は、精油事典 Ver.5 にある「平均的含有量の最高値」を示しています。芳香成分類は、プラナロムの最新データ(分析値)を参照させていただきました。
・イランイラン Cananga odorata:ロッド番号 BIOCOFLTIL0605、保証期間 2010年6月
・ジャスミン Jasminum officinalis (Abs.) :ロッド番号 ABJOFLFA0105、保証期間 2010年1月
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25%に希釈されたプルメリアですから、精油成分の他に、その他(希釈剤)ミグリオール 75%、合計で100%となるわけです。調べてみると、精油成分の他に分析値に載っていない成分が結構存在することに気がつきました。他の精油との比較の関係上、希釈された 25%を 100%ととして、おのおのの成分の構成比を表しているのが、上の図、プルメリアの「希釈剤を除く」の欄です。
・その結果、52.64%が成分表にあらわれていない成分。
・エステル類が 36.72%とプルメリアの主要な芳香成分類
・その他に、モノテルペンアルコール類とセスキテルペンアルコール類を含んでいる
・結構、イランイラン Cananga odorata や、ジャスミン Jasminum officinalis (Abs.) の主要な芳香成分類と類似
・イランイラン Cananga odorata は、他に、セスキテルペン炭化水素類( + と - )と、特徴のあるフェノールメチルエーテル類を含む
・ジャスミン Jasminum officinalis (Abs.) は、他に、ジテルペンアルコール類を 22.32%含む
・プルメリアには、脂肪酸のリノール酸を含んでいる
ということが、今回の比較表でわかりました。でも、香りのイメージがわいてきません。そしてなにより、脂肪酸を精油中に含んでいる、という点がとても気になりました。
このプルメリアは、先ほども見ていただいたように、有機溶剤法で抽出されたものです。有機溶剤法は、その名前が示す通り、「有機溶剤」を媒介として、精油の香気成分を抽出する蒸留方法です。
1. 花びらと有機溶剤を入れ、加熱
2. 有機溶剤に溶け込んだいろいろな成分のうち、目的となるのは、香気成分
3. まず、有機溶剤を取りだし、香気成分を含むコンクリートを得る
4. コンクリートから、香気成分だけを蒸留する
という過程の中で抽出されるのが、アブソリュートです(花を抽出部位とした場合)。
1. で使われる有機溶剤は、メーカーによりいろいろですが、多くは石油エーテルが一般的となっているようです。
2. 有機溶剤は、ちょっと温度をかけると沸騰しますから、釜の中で循環するようにグルグル回るのだそうです。なお、加熱する熱には、火は使わず、蒸気で暖めるのだそうですよ。このようにして石油エーテルを媒介として抽出すると、花びらからは、目的とする揮発性の芳香分子はもとより、その中に含まれていた油脂やロウなど、すべて石油エーテルに含まれることになります。
3. そのために、まず、石油エーテルなどの有機溶剤を取り除く(回収)ために、減圧装置を使って、気圧を下げることで、有機溶剤だけを取り除くのだそうです。
4. このようにして有機溶剤を取り除いた後に残ったのが、コンクリートと呼ばれるものです。ロウや樹脂などは、固まる性質があり、それらを含んでいる場合には、固まるためにコンクリートと呼ばれているそうです。
目的の揮発性の香気成分のみを、そのコンクリートから取りだすための次のステップは、アルコールによる蒸留です。アルコールには香気成分は溶け込みます。ところが、油脂や樹脂、ロウなどはアルコールには解けませんので、その特性を利用して、最終的に香気成分を取りだします。このように取りだしたものがアブソリュートといわれ、このような方法で取りだす方法を「有機溶剤法」といいます。
そうすると、何故、脂肪酸のリノール酸が 3.4%も含まれているのでしょうか(水酸基を3つ持つグリセリン(グリセロールでアルコール)と三つの脂肪酸のエステル結合したものが「油脂」でした)。機会があれば、このことについても調べてみたいと思います。とうごまの種子から得られたひまし油は、アルコールに溶解し、他の植物油にはみられない特徴を示す事が、書かれている資料を見つける事はできましたけど。
● 関連記事
・「2006.12.01 ケモタイプとフェノタイプの使い分け」
・「2006.08.25 カモミールの主要成分の違い」
・「2006.08.24 精油のフェノタイプとケモタイプ」
・「2006.07.16 エマルジョン精油」
・「2006.05.28 精油の成分解析」
・「2006.04.27 香気成分の抽出方法」
・「2005.09.29 ロウエステルって」
・「2005.09.20 精油の抽出方法と使う人の目的」
・「2005.09.02 精油のケモタイプとハーブ」
・「2005.08.06 キャリアオイルの化学」
インドネシアからのコメント、どうもありがとうございました。
そちらの方では、この植物がいっぱいつくられているんですね。
お茶用にもできるんですか。しかも、すごい量のプルメリアですね。
ビックリしました。
残念ながら、プルメリアのお茶も、精油も香りを試していませんが、
すばらしい味と香りがするのでしょうね。
精油の件ですが、以前、下記のアドレスで、「緑の宝の贈り物」という
アロマのセミナーが開催されました。
2007年10月13日
アロマテラピーセミナー2007 その3
http://blog.livedoor.jp/biopro/archives/51190404.html
精油の生産地で、実際に現地で働いておられる方々や研究者、現地の方々
などと協力して、古くからその土地に自生している植物の使い方をリサーチし
一番よい方法で、
・植物の栽培
・蒸溜
する事が出来るよう、技術的な方法をサポートする、そのような信頼関係を
大切にするビジネスが展開されているようです。
実際のノウハウがとても大切なポイントだと思います。ぜひ、ご一読いただければ
幸いです。