2010年05月31日

変わったモチノキ

Ilex integra 久々の更新。九州に移ったのが2月でそれ以来更新していませんでしたが、おかげさまで楽しくやっています。九州では様々な樹木を扱った研究をしたいので、植物の名前を覚えるように努力しています。でも見た目が似ている種も多いし、種内変異も大きいので、なかなか難しい。右写真はそんな1枚。葉の質はモチノキみたいだが、形はモッコクみたいなへら型。ただ葉柄は緑でモッコクとは明らかに違う。果実はモチノキの様。自信がなかったので、採取してきたものを見せて、「これ何ですか?」とY教授に伺う。一目見て、「これはモチノキ。葉っぱの形がへら型で普通じゃないけど、こういうのは屋久島の尾之間あたりでは普通。どこで取ったの?屋久島でしょう?」。すごい、すごすぎる。採取場所までピンポイントで当てられるとは。分類学者の知識量には日々感心させられます。私にはとても真似できないので、違うニッチで生きて行こうと思います。

共著者の方々のおかげで、最近2本論文が受理されました。
Osada N, Onoda Y, Hikosaka K (2010) Effects of atmospheric CO2 concentration, irradiance, and soil nitrogen availability on leaf photosynthetic traits of Polygonum sachalinense around the natural CO2 springs in northern Japan. Oecologia (in press)

Anten NPR, Alcara-Hererra R, Schieving F, Onoda Y. (2010) Wind and mechanical stimuli differentially affect leaf traits in Plantago major. New Phytologist (in press)

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2010年02月10日

帰国

今朝帰国しました。早速、福岡入りです。帰国準備、フライト、赴任手続きと慌ただしい日々でしたが、とりあえずここまで何とか順調に来ている気がします。

biouunl at 21:48|PermalinkComments(0)

2010年01月22日

残り18日

帰国まで残すところ18日となりました。このままあっという間に時間が経って行きそうです。奥さんと娘は一足先に帰国し、残務整理に追われています。モノは少ない方なのですが、やはり3年も経つとかなり溜まってしまいます。持って帰れるものは極僅かで、その品選びにも結構時間を要します。何かいい選ぶ方法がないかと思い、購入価格、減価償却、輸送費から数式に当てはめてエイやと計算すればいいと考えていたのですが、金銭的価値で説明できるものばかりじゃないので、結局は主観的判断しかなさそうです。厳選に漏れたものは、売ったり、譲ったり、捨てたりしてます。そんなことをしていると着々と時間が過ぎて行きます。おいおい。

そんな今日、突然、高校の恩師からお手紙を頂きました。以前オランダに居たとき、恩師に頼まれてライデンの自然史標本館でベッコウトンボの標本を探し、1930-60年代の千葉県の記録を連絡したことがありました(私の記録)。その後、その情報が、千葉県のトンボ研究者に回り、千葉県での絶滅前の貴重な情報で、今まで知られて来た中で最も古い記録であることが分かったそうです。そういうことで「房総の昆虫」という雑誌に報告されたとのこと。突然の事後連絡で少々びっくりしましたが、貴重な情報が身内に埋もれる前に活字になったのは純粋に嬉しいことです。ちゃんと謝辞もされていました。

福井順治・松木和雄(2007) ライデン自然史博物館所蔵の千葉県産ベッコウトンボ 房総の昆虫 39:46-49.

よく見ると、発表はもう3年前だな(笑)。第一著者は恩師。第二著者は蜻蛉学会の副会長とのこと。


biouunl at 19:45|PermalinkComments(0)

2009年12月18日

残り1ヶ月半

2月半ばから九大に赴任することになり、シドニー滞在も残すところ1ヶ月半になりました。異動のたびに感じるのですが、仕事は期限のうちになかなか片付かないものです。かといって、移動してからはなかなか昔の仕事をやる暇がないので、移動する前に片付けるのがとても重要なのですが。ここ1週間ほどかなり集中して仕事をしたので、同僚にも"frantic"だと言われました。franticは辞書には「気も狂わんばかりの」と書かれていますが、一心不乱と訳すと、英語と日本語のゴロも合って、今の状況にぴったりです。でも少し息抜きをしないと、体が持たない。。。

共著の論文が受理されました。
Lusk CH, Onoda Y, Kooyman R, Gutierrez-Giron A (2010) Reconciling plastic versus constitutive responses of evergreen leaves to light gradients: shade leaves punch above their weight. New Phytologist (in press)
要点は、葉の構造的性質に着目すると、暗い環境への順化と適応は全く異なることを示したこと。Nativeは論文を書くのが速い。データを取ったのはつい半年ほど前なんだけど。

最近私の名前が載った論文6本のうち5本がこの雑誌。以前はこの雑誌に親近感を覚えなかったけど、最近はこの雑誌の方向性が自分の研究に近い気がする。EditorのDAさんの存在が大きいと思うのだけど。


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2009年12月02日

オキナワキノボリトカゲ

琉球列島の沖縄諸島と奄美諸島のみに在来分布するオキナワキノボリトカゲが、近年九州南部に分布拡大していることが報告され、日本爬虫両棲類学会が駆除の要望書を環境省に提出。(asahi.com, 日本爬虫両棲類学会

保全専門家でも、は虫類専門家でもないが、正直、すんなりとは受け止めがたい。本来の分布域ではないところに意図的に移入したのなら問題だが、この場合は自然に分布を拡大しているようである。生物が自然に分布域を広げることは十分ありえることで、そのような移入を否定して良いのだろうか?ある場所における生物多様性は移入と消失の結果であり、自然な移入を否定したら生物多様性のメカニズムとも相反する。ましてや、温暖化で生物の分布が高緯度、高標高に移動するのは、長い目で見ると必然だろう。北限と南限が共に北上するときに、北限だけを抑制したら、生物の分布域は縮小されてしまわないだろうか?

今回の場合は、捕食者であるトカゲで、他の生物にも影響を与える可能性があるということで話はやや難しいが、駆除まで必要なのだろうか?生物間相互作用は複雑であり、ある生物が移入した時に、在来の生態系に多少影響を及ぼすことはやむおえないだろう。生物多様性をより動的なものとして捉えたほうが、必要以上に神経質にならなくて済む気がする。

いずれにせよ、今回の話は良い議論の機会なので、様々なケースに対応できるガイドライン作りのきっかけになれば良いと思う。

biouunl at 19:07|PermalinkComments(0)

2009年11月18日

三好学

cuticle mechanicsここ数日、クチクラに関する古い本を読んでいました。The cuticle of plants (Martin & Juniper 1970)。図書館から借りてきた本の一冊で、最初は古い本だから熟読する必要はないだろうと思ったいたのですが、読み出したら止まらなくなってしまいました。なかなかの名著です。文章はとても読みやすいし、1000を越える文献を18世紀まで遡りながら簡潔に要約しており、著者の広範な知識と明晰さに敬服させられます。古いというのが難点ですが、それを除いたらクチクラを知る上でとても良い本です。

ところで、この本の285ページに、以下のような文章がありました。


The breakdown of waxes
As long ago as 1894-1895, Miyoshi recognised the ability of some organisms to use paraffins. This has since been fully confirmed...


Miyoshiという方が、クチクラに含まれるパラフィンが微生物に利用される(分解される)ことを発見し、これがこの分野(クチクラワックスの分解)の先駆的な研究として紹介されています。"Miyoshi"とは如何にも日本人の名前。こんな基礎科学を明治時代の日本人がやっていたことに驚いて、引用元を検索すると、ドイツ語文献に辿り着きました(もちろん読めず)。

Miyoshi, M. (1894) Über chemotropismus der Pilze. Bot. Ztg., 52, I
Miyoshi, M. (1895) Die durchbohrung von membranen durchPilzbaden. Jahrb.Wiss.Bot.28:269-289.

一体何者なんだろうと思って、もう少し調べたら、三好学さんという東大教授の名前に辿り着きました。実はこの方、日本の植物生態学者の先駆者で、また自然保護活動を日本で提唱した最初の方なんですね(南方熊楠より10歳ほど上)。昔、保全関連の和書を読んだ時に、彼の名前が出て来た気がするのですが、すっかり忘れていました。ネット上にもいろいろと彼の偉業についての情報が出ています。史蹟名勝天然記念物保存法の制定に尽力したり、景観という言葉を生み出したり、桜や菖蒲の研究などでも有名。そういう一般受けする華々しい業績の影で、地味な基礎研究を行い、それがある分野のパイオニアとして世界に認められているということも素敵ですよね。研究者はそれなりに努力していれば、国内で目立つのはそう難しくないかもしれませんが、世界で目立つのはそう簡単ではない。それを明治時代にやっていた彼はずば抜けた才能の持ち主だったのでしょう。

三好学についてのネット情報
http://jp.fujitsu.com/about/journal/offtime/japanesespirits/20081202/
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E5%A5%BD%E5%AD%A6
http://www.geocities.jp/ssfqs961/miyosi1/newpage3.html

写真は単離した葉のクチクラの力学試験の様子。クチクラはポリエステルのフィルムみたいなもので、薄い割に驚くほど頑強なんです。


biouunl at 20:50|PermalinkComments(0)

2009年11月16日

事業仕分け - 個人的感想

国の歳入と歳出のバランスがとれていない日本で、歳出削減は必須であり、そのために無駄を減らすのは明快である。問題は何をもって無駄と捉えるか。現制度が最適ならば全体から一律に減らすしかないだろう。しかし現実はそう単純ではない。相対的にどれが重要かという判断は、事業担当者の説得力のある説明と審査員の知識とバランス感覚に少なからず依存する。
「若手研究支援について」は予算縮減+中身の見直しという結論になった。議事録を読んだ限りでは、事業担当者の説明はもう少しなんとかならなかったのだろうかと思ってしまう。

事業の究極的な目的、意義を説明していなかったようだ。優秀な若手支援は重要だという主観的な基準、制度が長く行われているからという間接的な言い方でしか、重要性が伝わっていない。なぜ研究が重要なのか、なぜ若手の支援が重要なのかという基本的な点をはっきりと再確認することが必要だったのではないか?「資源のない日本が、成長著しいアジアの国々の中でリードを保つには、学術研究で前線に居続けるしかない。そして、最先端の研究の成果を上げる可能性が高いのは、若手研究者なのである。彼らが集中して研究できる環境を提供出来なければ、将来の科学技術、学術発展に遅れをとることになる。」と私は信じている。でもそのようなニュアンスは全く感じられなかった。担当者の答弁もいまいち現場の切実感が感じられない。客観的な判断材料として、欧米諸国の予算との比較も出すべきだったと思う。日本の科学予算は欧米に比べたらちっぽけなものだろう。
官僚はもう少し優秀だと思っていたのだが。

biouunl at 21:47|PermalinkComments(0)

2009年10月14日

数学

4eeb409f.pngとあるデータ解析の中で、3つの要素を独立の部分と共有の部分に分けて、グラフ化しようということをしていて、久々に代数幾何の計算に頭を悩ませました。数学が得意な人にとってみたら大したことのない問題なんでしょうが、私の脳は算数レベルなので、まず二円が重なる面積を数式化するのにまず躓き、さらに二円の半径と重なり面積が与えられた時に、二円の距離を求める計算で躓きました。前者の式は以下の通り(散々足掻いた果てに、ネットで綺麗に解いているページを見つけた。。。)
http://mathworld.wolfram.com/Circle-CircleIntersection.html

A=R^2*acos((x^2+R^2-r^2)/(2*x*R))+r^2*acos((x^2+r^2-R^2)/(2*x*r))-0.5*sqrt((R-x+r)*(x+R-r)*(x-R+r)*(x+R+r))
Rとrはそれぞれ2円の半径。xは二つの円心の距離。

後者は結局解析的には解けず、Rで数値的に解きました(function: uniroot)。ちなみにかなり複雑な数式でもネット上で解いてくれる便利なサイトがあることを知りました。でも上の式はやはり解けず。

http://www.wolframalpha.com/

ともあれ試行錯誤して、なんとなか目的のグラフを量産できる体制になりました。

biouunl at 19:53|PermalinkComments(0)

2009年09月29日

西オーストラリア

日本から父と妹が遊びに来たので、1週間の休暇を取って、西オーストラリア(パース周辺)に行ってきました。パース周辺は植物多様性のホットスポットとして有名で、様々な風変わりな植物が生えています。冬場に雨が多く、夏は暑く乾燥する気候のため、雨期が終わるこの時期に多くの花が見られます。という訳で、今回はワイルドフラワーを存分に楽しんできました。トータル500枚以上写真を撮りましたが、少しだけご紹介。写真は左から、Lechenaultia macrantha, Rhodanthe chlorocephala, Waitzia acuminata (共にDalwallinu近郊)、Lechenaultia biloba (Badgingarra国立公園)。

旅をしている間に最近投稿した論文がNew Phytologistに受理されました。めでたし。降水量と土壌栄養が違うところに生育する木本の材密度と材の力学的性質を調べたもので、降水量が減ると材密度は上がるけど、強度や剛性は変わらないというシンプルな内容です。
Yusuke Onoda, Anna Richards, Mark Westoby.
The relationship between stem biomechanics and wood density is modified by rainfall in 32 Australian woody plant species.


Lechenaultia macrantha1Rhodanthe chlorocephalaWaitzia acuminataLechenaultia biloba

biouunl at 19:48|PermalinkComments(0)

2009年08月27日

Intecol

6f88cc16.jpg ブリスベンで開かれたIntecol(国際生態学会)に参加してきました。シドニーからおよそ1000km。同僚6人とともに2台の車に分乗して、片道に丸一日掛けて行ってきました。NSW州の北部など、なかなか見る機会がないので、貴重な経験でした。
 Intecolでは日本人を含めていろいろな人に再会できたのが良かった。セッションは環境問題、保全、復元の話が多かった。resilienceという言葉をあちらこちらで聞きましたが、この言葉の概念には賛否両論があるそうです。直感的に言えば、ある環境が破壊された後の復元能力ということらしい。一般人には理解されやすいが、実際に測定するのは極めて困難。サイエンスというよりは、ファンドを取るための謳い文句的な性格が漂っている感じでした。
 写真はブリスベンでの生活を端的に示したもの。fish&chipsを頻繁に食っていたところまではまだ良かったのですが、泊まったweekly apartmentにバグが居て、そいつらに我々が食われました(泣)。すぐには発症しなくて、帰路の途中で湿疹に気づき、なんだろうと思っていたら、同室だった同僚にも同じ症状が。最初は原因がよく分からなかったので、妙な皮膚病を発症する男二人で、病院に行ってきました。怪しいこと、この上なし(笑)。医者も最初は男二人で来たのに、少々戸惑った感じ。状況を説明して、おそらく南京虫だろうという話に。確かに同僚の靴の上を血をいっぱい吸った虫が歩いているのを見つけて、これは山から連れてきたダニかという話をしたのですが、あいつは南京虫だった模様(ちなみにトレッキングでダニ2匹にもやられたので、我々はダニだと思い込んでいた)。日本では南京虫と言えば、過去の害虫ですが、まさかオーストラリアでやられるとは思ってもいませんでした。心配なのは、荷物に紛れて家に持ってきたのではないかということ。同僚は、奥さんから同じベッドで寝ないでと言われているそうな。哀れ(笑)。幸いうちの奥さんは一時帰国中なので、そういう影響はないのですが。ともあれ、思わぬ経験をしました。



biouunl at 22:40|PermalinkComments(2)