いつも笑っていたから
気づかないでいた

お前が背負っているもの

「・・お まえ」

頭の中に収めるのに苦労したよ

だけど 信じないわけにはいかない

いつも笑っているお前の瞳から
涙が零れているんだから

例え理解できない内容だったとしても
信じるしかない だろう?

「証拠な」

そう言いながら背を向けて脱ぎ捨てたシャツ

「あ・・ぁ 綺麗だな」

窮屈そうにたたまれていた それ は
伸びをするように大きく開いた

「想定外のセリフ それ」

ほんの僅か いつもの優しい笑顔が覗く

「驚きすぎるとリアクションてとれないのな」

ほんとに驚いたから あまりに美しすぎて

「悪魔の羽根も白いのかよ」

「みたいだな て驚く箇所はそこかよ」

あるよ もうひとつ
驚いたというより 信じられないことが

「還る? いつ?」

「もう時期」

俺の前からいなくなる?

「お れを連れてく?」

お前が望むな ら

「まさか」

なんで

「じゃなんで話した」

−たださ ひとりでいい本当の俺を俺がいたことを 覚えていて欲しかっただけ−

独り言のように呟く お前の澄んだ瞳はでもしっかり俺を捕らえてる

「・・天使 だろ?」

「いや 輪っかないし」

「じゃ 尻尾あるのかよ」

「それもないけどさ」

いつもと同じ軽口の応酬
お前がなんだって変わらない

やっと 動き出した頭は
ただ一つの思いだけを繰り返す
強く 強く俺の感情を揺さぶる

お前と笑い合うことが出来なくなる
嫌だ 嫌だ 嫌

いつも隣にいるそう信じてた

このままずっと

ずっと

「泣くなよ」

包みこまれる
長い腕と 大きな羽根で

こんなに優しい悪魔なんて
笑っちゃうね

そう思うのに涙が止まらない

「お まえも覚えていていてくれるか」

「もちろん 忘れない」

「俺が死んだら 逢える?」

「どうかな お前こそ 天使になりそうだし」

「黒い羽根のか」

泣きながら笑いあって

また出逢う時まで忘れない
白い悪魔の優しい笑顔と体温

「天使と悪魔で密会しような」