December 30, 2009

吉田直哉氏講演「国際化に対応した馬産」について

昨年9月に取材させていただいた米・Winchester Farm代表吉田直哉氏の講演記録をようやくHPにUPすることことができた。なかなか時間が取れず、結果1年がかりの作業になってしまったが、楽しみに待たれていた方には本当に申し訳ない。(右サイドバーのバナーから入ってください)

 この講演はJRA日高育成牧場、JBBA、HBAの共催で毎年開かれている「強い馬づくり講演会」の一環で、直哉さんは07,08年と2年続けて招聘され、07年は「鍛えて育てる」というタイトルで講演し、昨08年は「国際化に対応した馬産と経営」というタイトルになっている。07年の講演はすでにHPに掲載してあるので読まれた方もいると思うが、牧場における馬の管理のあり方を現場に沿った形で語っているのに対し、08年の「国際化に対応した馬産と経営」ではどちらかというと管理者、経営者の立場からマネジメントの重要性とその実際を具体的に語っている。

講演は最初から熱い語り口で国際化への「覚悟」を説く。セリに香港やシンガポールから客が来て馬を買えば、それは彼らを顧客としていたオセアニアの生産者から客を奪うことになる。そうなれば海外の生産者との厳しい競争が始まる、逆に日本の顧客(馬主)を海外に奪われるかも知れない、そういう危惧もあるだろう。その覚悟を持たねばならない。そういう時代に中小の生産者が生き残るにはどうすればよいか?
そういう話を文化の違いや相互理解の不足から説き起こし、中小牧場の経営の合理化やセールス(セリ)のあり方に至るまで実例を挙げながら語っているのがこの講演である。

馬券好きの一般的なファンにはなじみにくい話かも知れないが、競馬は生産に始まり生産に還ってくるスポーツでありドラマである。生産牧場という場所でどれほど多くのことがなされているか、それを知るだけでもかなり興味深く読めると思う。ご一読頂ければ幸いである。

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生産牧場の良し悪し、評価を我々ファンがするのはむずかしい。ノーザンファームや社台ファームは凄いというのは結果を見れば一目瞭然だが、その他の牧場となるとちょっと、、、と言うファンも多いだろう。

吉田直哉氏のWinchester Farmはどうか?
HPの講演者プロフィールにも書いたが、07年BCジュベナイルターフの優勝馬ナウナウナウ、08年のウッドメモリアルステークス(G1)とシガーマイルH(G1)を制したテイルオブエカティはウィンチェスターファームの生産馬である。これらは馬主から預託された繁殖牝馬から生まれている。だから、「なんだ、馬主が配合を決めたんだろ。それじゃ牧場の実績にならないのでは?」と思うかも知れない。
しかし、アメリカでは生産牧場が配合について意見を言いアドヴァイスもしている。そして、それ以上に生まれてから競馬場に送り出すまでの健康管理や飼料管理には大変なものがある。健康に優れ、丈夫で激しい競走に充分耐えられる馬、精神的にも強い馬というのは競馬場の厩舎に入ってから作られるのではない。生産牧場で生まれたときから人間と触れあい、その馬にあった管理を施され、健康に育ち、その上で生まれ持った資質が開花されて初めて良馬が誕生するのである。
馬主にとってコストパフォーマンスが高く、より高い確率で馬を競馬場に送り出し、更により高い勝率を維持できる、そういう牧場は評価するに値する。

Winchester Farmの日本における実績を見てみよう。
獲得賞金額による生産者ランキングは10月6日現在28位にすぎないが、これは出走頭数が少ないからでしかたないが、勝率は34頭の生産馬が265回出走して47勝、18%で4位ある。首位は3頭が13出走で5勝したハッピーネモファーム(勝率38%)で2位3位とも出走頭数、出走数とも比較的少ない、そういう中での4位。さらに出走頭数に対する勝利頭数の比率で見ると34頭中26頭が勝利して76.5%、2位。首位は4頭出走して4頭が勝利(100%)というのだから、出走頭数を考えればWinchester Farmが実に素晴らしい結果を残しているかわかるだろう。

Winchester Farmは今年で創業7年目、これまで6世代(今年の2歳を含む)61頭を日本に送り込み、年々成績を上げてこの結果である。今年の活躍馬にはエーシンエフダンズとエアマックールがいてそろそろ重賞に手が届きそうである。やがては日本のG1を勝つような馬も送り込んでくるだろう。その日を楽しみにしたい。

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最後になるが、講演を通じて生産について知らなかったことを沢山学ばせて頂いたことを、打合せなど煩わしい労をとっていただいたことと併せて直哉さんに深く感謝。また講演記録のHP上での公開に快く了解を頂いた主催者にも深く感謝の意を表したい。





birdcatcher at 23:59│Comments(1)TrackBack(0) 雑記 

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この記事へのコメント

1. Posted by 検察庁   February 06, 2010 01:42
ナウナウナウ(Nownownow)はFab Oak Farm の生産(Breeder)であり、ウィンチェスターファーム吉田氏の生産無い!この場合はウィンチェスターファームで預託繋養と表現表示するべきだ。

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