雑記

January 07, 2010

つれづれ

あけましておめでとうございます。
ことしもよろしくお願い申し上げます。

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めっきり記事を更新をしなくなったこのブログにも、まだ毎日何人かの方が覗きに来てくれる。よろこんでいいのかどうか、よくわからない。他人様のブログを読みに行くこともめっきり少なくなった。

競馬へのモチベーションが下がっているのか?
と、思うこともあるのだが、どうもそうではない。競馬を通じていろいろやってみたいことはあるし、その熱は醒めていないと思う。ただ時間も金もない。ゆっくり焦らず、時間をかけるしかないだろう。時間をかけすぎて気がついたらボケ老人ということにだけはなりたくないが。。。

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いつだったか、CATVでやってるアメリカのドラマでこういう台詞があった。

「嘘をついて生きるには、人生は短かすぎる」

吹き替えなので、実際の台詞の言い回しがこの通りであるかどうか知らないが、凄い台詞だと思った。何の変哲もないホームドラマでこういう台詞が書けてしまう、アメリカの脚本家の底力というか、オーバーかも知れないが、アメリカ人の底力のようなものを感じてしまったのだ。

我々のほとんどは嘘をつく。他人にも自分にも。私は生涯一度も嘘をつかなかったという人間を知らない。他人につく嘘は「嘘も方便」という言葉があるように、許されてしかるべき嘘も多々ある。しかし、自分につく嘘は時として病である。自分に嘘をつき続けて、それでも幸せそうにしている人間は多い。自分に嘘をつきすぎて何がホンネかとうの昔に忘れてしまった、そういう人間もいる。どんな生き方をしようがそれぞれ個人の勝手だからそれを責める気はないが私には到底信じられない生き方で、果たしてそこに彼らの信じる「幸せ」が本当にあるのかどうか。

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「オスカーとルシンダ」という映画で、主人公でギャンブル好きの牧師オスカーが いう台詞。(うろ覚えで正確とは言えないが)

「死んで天国に行けるか地獄に堕ちるかは神様次第、だったら人生はギャンブルそのものじゃないか、ならば神様が我々のギャンブル好きをお許しにならないはずがない」 

そう、人生はギャンブルだ。このギャンブルは競馬どころの騒ぎではない。「ホンネ」に賭けるか「嘘」に賭けるか。選択肢は他にもあったかも知れないが、何年か前に勤めを辞めた時点で私は「ホンネ」に賭けた。どちらかと言えば日和見な私にとって、できればやりすごしたい選択ではあったのだが、おそらく自分についてきた「嘘」の重みに耐えられなかった部分はあったと思うし、逆に言えばいつも自分のホンネの在処は自覚してもいた。だから「少しでもホンネに忠実に」と生活を変えたときにほっとした。
人生が明るくなったように感じたものだ。その「幸せ」をかみしめもした。
しかし、甘くはないもので、今じわじわと「ホンネ」の重みも感じている。「嘘」も「ホンネ」も表裏一体で、裏のない表も、表のない裏も存在しない。その表裏の境が重いのだ。多分そういうことなのだろうと思っている。

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表裏の境とは神にも悪魔にもなれる場所のことだ。そんな場所で生きていけるのだろうか?自信はない。いや、そもそも空想ではない実人生という時間の中にそんな場所が本当に存在できるのだろうか?
言えることは、いずれにせよやり過ごすことは出来ないのだろうということ。なにひとつ「賭ける」ことなく人生という短い時間をやりすごして、なにげに向こう側へフェイドアウトしてしまおうなんてことは、もうできないだろうということくらいか。

まだ、すぐにとはいかないが、ゆるゆるとおっぱじめようかと、(毎年思うことではあるけれど)今年も思っているところではあります。
 

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December 30, 2009

吉田直哉氏講演「国際化に対応した馬産」について

昨年9月に取材させていただいた米・Winchester Farm代表吉田直哉氏の講演記録をようやくHPにUPすることことができた。なかなか時間が取れず、結果1年がかりの作業になってしまったが、楽しみに待たれていた方には本当に申し訳ない。(右サイドバーのバナーから入ってください)

 この講演はJRA日高育成牧場、JBBA、HBAの共催で毎年開かれている「強い馬づくり講演会」の一環で、直哉さんは07,08年と2年続けて招聘され、07年は「鍛えて育てる」というタイトルで講演し、昨08年は「国際化に対応した馬産と経営」というタイトルになっている。07年の講演はすでにHPに掲載してあるので読まれた方もいると思うが、牧場における馬の管理のあり方を現場に沿った形で語っているのに対し、08年の「国際化に対応した馬産と経営」ではどちらかというと管理者、経営者の立場からマネジメントの重要性とその実際を具体的に語っている。

講演は最初から熱い語り口で国際化への「覚悟」を説く。セリに香港やシンガポールから客が来て馬を買えば、それは彼らを顧客としていたオセアニアの生産者から客を奪うことになる。そうなれば海外の生産者との厳しい競争が始まる、逆に日本の顧客(馬主)を海外に奪われるかも知れない、そういう危惧もあるだろう。その覚悟を持たねばならない。そういう時代に中小の生産者が生き残るにはどうすればよいか?
そういう話を文化の違いや相互理解の不足から説き起こし、中小牧場の経営の合理化やセールス(セリ)のあり方に至るまで実例を挙げながら語っているのがこの講演である。

馬券好きの一般的なファンにはなじみにくい話かも知れないが、競馬は生産に始まり生産に還ってくるスポーツでありドラマである。生産牧場という場所でどれほど多くのことがなされているか、それを知るだけでもかなり興味深く読めると思う。ご一読頂ければ幸いである。

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生産牧場の良し悪し、評価を我々ファンがするのはむずかしい。ノーザンファームや社台ファームは凄いというのは結果を見れば一目瞭然だが、その他の牧場となるとちょっと、、、と言うファンも多いだろう。

吉田直哉氏のWinchester Farmはどうか?
HPの講演者プロフィールにも書いたが、07年BCジュベナイルターフの優勝馬ナウナウナウ、08年のウッドメモリアルステークス(G1)とシガーマイルH(G1)を制したテイルオブエカティはウィンチェスターファームの生産馬である。これらは馬主から預託された繁殖牝馬から生まれている。だから、「なんだ、馬主が配合を決めたんだろ。それじゃ牧場の実績にならないのでは?」と思うかも知れない。
しかし、アメリカでは生産牧場が配合について意見を言いアドヴァイスもしている。そして、それ以上に生まれてから競馬場に送り出すまでの健康管理や飼料管理には大変なものがある。健康に優れ、丈夫で激しい競走に充分耐えられる馬、精神的にも強い馬というのは競馬場の厩舎に入ってから作られるのではない。生産牧場で生まれたときから人間と触れあい、その馬にあった管理を施され、健康に育ち、その上で生まれ持った資質が開花されて初めて良馬が誕生するのである。
馬主にとってコストパフォーマンスが高く、より高い確率で馬を競馬場に送り出し、更により高い勝率を維持できる、そういう牧場は評価するに値する。

Winchester Farmの日本における実績を見てみよう。
獲得賞金額による生産者ランキングは10月6日現在28位にすぎないが、これは出走頭数が少ないからでしかたないが、勝率は34頭の生産馬が265回出走して47勝、18%で4位ある。首位は3頭が13出走で5勝したハッピーネモファーム(勝率38%)で2位3位とも出走頭数、出走数とも比較的少ない、そういう中での4位。さらに出走頭数に対する勝利頭数の比率で見ると34頭中26頭が勝利して76.5%、2位。首位は4頭出走して4頭が勝利(100%)というのだから、出走頭数を考えればWinchester Farmが実に素晴らしい結果を残しているかわかるだろう。

Winchester Farmは今年で創業7年目、これまで6世代(今年の2歳を含む)61頭を日本に送り込み、年々成績を上げてこの結果である。今年の活躍馬にはエーシンエフダンズとエアマックールがいてそろそろ重賞に手が届きそうである。やがては日本のG1を勝つような馬も送り込んでくるだろう。その日を楽しみにしたい。

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最後になるが、講演を通じて生産について知らなかったことを沢山学ばせて頂いたことを、打合せなど煩わしい労をとっていただいたことと併せて直哉さんに深く感謝。また講演記録のHP上での公開に快く了解を頂いた主催者にも深く感謝の意を表したい。





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March 13, 2009

無題

HP復活。書類送ったら1日で戻った。 ともあれ、ほっとした。

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March 11, 2009

生存報告

とりあえず、生きてます。 考えるところあって、Blogを書いてませんが、遠からず復活の気持ちは持ってます。 で、それはさておいて、実はHPのドメイン名の契約期限が切れていた事に気づいた。つまり、目下HPは見ることが出来ない状態だし、なによりflyingstuff.jpドメインのメールが不達状態に陥っています。ドメイン復活は4〜5日で可能と思うので、しばらくお待ち下さい。 お急ぎの方はご面倒さまでも、LiveDoorメール<birdcatcherアットlivedoor.com>まで送って頂ければ幸いです。

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January 10, 2009

なんとなく、お正月

09年賀
年末年始も有馬もなく忙しくしておりました。今更、アケ・オメでもないですね、なんぞと言いつつ、なじみの知人にはやっと昨夜年賀状を出したり、、、

今年はもう少し真面目に馬券にいそしもう、というのがしょうもない年頭の決意。

経済本など読むと世界の景気は今年いっぱいはどうも良くないらしい。トヨタや日産の減産=工場の操業停止とか派遣社員の解雇と言ったニュースを聞くといかに日本が外需に頼っていたか、今更のように感じてしまうが、馬産地はようやく、これから外需を求めていかなければならない。生き残るためにはイヤでもやらなければならないだろう。ひきつづき注目。

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October 03, 2008

三浦皇成騎手のカウントダウン

秋のGIシリーズが始まるというのにテンションが上がらない。ま、菊花賞か天皇賞の頃までに何とか、、、。
とりあえず私の今週の注目はスプリンターズSでも凱旋門賞でもなく三浦皇成騎手の記録。

先々週5勝、先週も5勝で目下64勝。あと5勝で武豊騎手の新人勝利記録に並び、6勝すれば新記録、今週中の達成は微妙なところだがカウントダウンは始まっているというわけだ。
ちなみに武豊騎手は1987年のデビュー。その1年目に554戦して[69.63.57.365]という成績を収めた。勝率は0.125、連対率は0.238になる。一方の三浦皇成騎手は先週終了時点で536戦して[64.51.43.378]という成績。勝率は0.119、連対率は0.215である。騎乗数がほぼ同じ時点で勝率連対率ではわずかに落ちるがほぼ同じ成績といっていいが、さすがに「武豊を超えた新人」とまでは言えない。それでも、文字通り20年にひとり出るかでないかの逸材ではあるのだろうし、武豊騎手と比較されるだけでも凄いことなのだ。
その彼が現時点で武豊騎手を圧倒的に凌いでいるのは騎乗数ということになる。これは時代が違う。武豊騎手がデビューした87年当時と言えばフリー騎手なんてまだ数えるほどしかいなかった時代で、彼も含めて所属厩舎の拘束力が強かった。そういう意味では関東関西を問わず様々な厩舎から依頼される三浦皇成騎手は恵まれている。それは同時に騎手としての経験を積むより多くのチャンスをもらっているということであり、これから年末までの3ヵ月、それこそ勝率連対率などの数字でも武豊騎手を超えるような進化を遂げることが出来るかどうかが問われるだろう。(もちろん数字に表れないところでも問われることは多々あるだろうが)

さて、ところで、そんな三浦皇成騎手の先週先々週の成績を見ると、妙に藤田伸二騎手と並んでゴールというシーンが多い。こりゃ藤田に可愛がってもらっているなあと、あらぬ想像をたくましくしている。三浦・藤田で1・2着あるいは2・1着、それだけでなく両者とも敗れたケースでも前後して入線しているレースが多い。札幌開催リーディングでも共に22勝、首位を分け合っている。騎乗馬の平均人気は三浦皇成騎手4.1、藤田伸二騎手3.7でこちらはわずかに三浦皇成騎手が上。あるいは藤田伸二を本気にさせたかも知れない。しかも、そんなリーディング争いに興味はないよとばかり背を向けて、三浦皇成騎手は日曜日、中山で騎乗する。プレミアムボックスで初のGIに挑むのだ。札幌リーディングは藤田伸二騎手の公算が高いが、大先輩もかたなしのリーディングになってしまいそうだ。



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August 30, 2008

雑記(20) Genuine Risk死亡

1980年のケンタッキー・ダービーを制した牝馬Genuine Riskが死亡したという記事が週刊競馬ブックに出ていた。そういえば写真を持っていたなと思い出して引っ張り出してきた。写真家Tony Leonard氏が撮影したもので、氏の直筆サイン入り。何年か前に氏が来日しプラザ・エクウスで今井寿恵さんと対談をするというイベントがあり、その時、誰だか忘れたが私のそばにいた知人が当時この業界で結構知られた女性を紹介してくれたのだが、それが誰だったかも忘れてしまった。とにかくその彼女が何か調子のいいことでも言ったのだろうTony氏から何枚もサイン入り写真を分捕ってきて、その一枚を私にくれたというわけだ。

まあ、そんなことはどうでもいいことだけど、写真の方はなかなかに味わいがある。写っているのはGenuine Riskと彼女が16歳にしてようやく得た初仔(父Rahy)で、スキャナーで取り込んだこの画像ではわかりにくいかも知れないが、ようやくにして母になったよろこびを感じているかのような実に優しい目で子馬を見ているのである。うれしくてうれしくてしょうがないといった目をしている。
GenuineRisk
Genuine Riskは結局生涯に2頭の産駒しか得られず、その2頭も不出走に終わったそうだ。31歳と長寿を全うした大往生ではあったが、その後半生は必ずしも幸せであったとは言えないのかも知れない。合掌。


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August 29, 2008

雑記(19) 雨上がり

東京は一晩中雷が鳴りっぱなし。それこそバリバリドカンという至近距離の落雷が私の家でも2、3発はあった。ごく短い時間だが停電も2回。録画してあった番組をダビング中で、停電のせいでDVD-Rが1枚無駄になってしまった。雨が止んだのは午前5時前、虫が鳴き始めたので外に出てみた。ゴヤか誰かの絵画に出てきそうな、不安を予感させる黒い雲がまだ広がっていて、その雲の切れ目に朝日を浴びて金色に輝く積乱雲が見えた。あの積乱雲の下は今も豪雨のまっただ中なのだろう。晴れ間は一瞬で予報では東京は今日も雨。秋も早いのかも知れない。

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古谷剛彦氏のブログによると非居住外国人馬主の認可について、彼らが外国産馬(○外)を持ち込む場合、内国産馬を5頭以上持つことを前提とするという案をJRAは持っているらしい。外国人馬主が日本に参入する場合、最初は1頭か2頭試しに日本で走らせてみようかという程度だろうと思うが、その段階で日本産馬を5頭買いなさいと言うのは、最初から無理を言うにも程があると私は思うのだがどうだろう。形だけ開放して「来るな」と言ってるようなものでJRAのやる気も底が知れている。それだけでなく、馬主が増えることで馬が今以上に少しでも多く、少しでも高く売れるようになるだろうという生産者サイドの期待にも甘さを感じてしまうのは私だけなのだろうか。

私が思うに金持ちの外国人馬主が内国産馬の市場に参入して割を喰うのは中小の馬主で、彼らの競馬サークルからの退場を早めるだけだろうと思う。彼らが購買する馬のレベルを下げてこれまで売れるか売れないかのボーダーラインにあった馬を新たに買うようになるとは思えない。日本の競馬は賞金の高さも世界のトップクラスだが、馬の価格もトップクラス、維持費に至ってはもうダントツのトップ、それでいて思うようにレースで走らせることが出来ない除外ラッシュ。そんな環境におかれてほとんどの馬主は赤字である。そういう状況で走るか走らないか誰が見ても疑問符がつく馬、判断に悩む馬を敢えて買ってまで馬主を続けたいという人間がどれほどいるか。そう思うのである。更に付け加えるなら、外国人馬主は辞めるときはあっさりと辞めていくだろうが、一度辞めた日本人馬主がおいそれと簡単に戻ってくるとは考えにくい。ただでさえ馬主の激減が心配されているのにそれに拍車をかけることになりかねない。

それを考えると内国産馬を5頭以上持てなどという制限などないほうがいい。日本の競馬を肌で経験し、日本の競馬には日本産馬が向くと思えばそれを買おうという外国人馬主も必ず出てくるだろう。外国人は日本の血統に見向きもしないという説も根強いが、それは日本産馬は弱いという従来のイメージに支えられた現象で強い馬の血統はそれなりに売れるようになる、所詮「金」になるかならないか、そういう側面が強いと思うのだがどうだろう。

それにしても、なぜ5頭なのか?5頭という数字の根拠は何なのか、現状ではさっぱりわからないが、本決まりになったとしても説明されることはないだろう。また、外国人馬主に対してこの種の制限を課すというやり方は海外にもあるのだろうか、おそらく無いと思うのだが詳しい方に聞いてみたい気がする。


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August 17, 2008

雑記(18) 残暑

連日猛暑の東京。その割に私の住んでいる多摩はどういうわけか夕立が少ない。ひと雨来ないかと毎日思うのだが、東西南北どこかでどしゃぶりになっても、ここだけは申しわけ程度に降るくらいで、バリバリドカンと来る至近距離の雷も雨上がりの涼風も今年は未経験。なんか置き去りにされてる感じ。例年より梅雨明けが早く好天が続いたせいか今年は西瓜が美味い。いつになくそうめんと西瓜で夏を味わっている。ニュースによると今年は米も豊作。いいことだ。多分。

残暑


ここ数日はTVでオリンピック三昧。サッカー、柔道、レスリング、それに卓球と日本は女子チームの元気がいい。<なでしこJAPAN>のあの獰猛なくらいのゴールへの執念を見ていると、なんで同じ事が男子チームに出来ないのか不思議でならない。技術やフィジカルの問題じゃない、ガッツの問題だろうこれは。

というわけで競馬にはちょっとご無沙汰している。AVCの広告企画も終わったし更新頻度など気にせずマイ・ペースを決め込むことにした。あれこれコメントを発したいニュースに出会うこともあるけれど、中途半端に終わりそうと思うと書く気が失せる。

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明日からサマーセールが始まる。市場の落ち込みはここにも影を落とすだろう。生産地では○市復活を求める声が大きくなっている。しかし、セリが不況であることと生産地が不況ということは必ずしも同じではない。セレクションセールでは購買登録者の数は増えていた。客は来ていたが買わなかったのだ。おそらくセリ後、主取りになった馬を安値で買い叩いた購買者が数多くいたのだろう。また、JRAに対して購買頭数を増やすようにという要望まで出始めている。今更驚くような話ではないが、馬が売れないから買ってくれと「お上」に保護を求めるメンタリティと「強馬」を生産しようというメンタリティが同じひとりの人間の中に矛盾なく同居しているとは考えにくい。今年、JRAが生産を始めると聞いて生産者から民業圧迫の声が出た。年間7000頭の生産があって、それが10頭前後増えるだけで民業圧迫という、それだけ逼迫しているのだろうが、異様な気がする。あっちもこっちも顔を立てようとする「護送船団」は財務省の例をみるまでもなくとっくに破綻していると思うのだが、馬産の世界では護送する側もされる側もあまり意識改革はされていない、「護送」してもらうのが「常識」の世界ということなのだろう。

国内非居住者の馬主登録についてJRAは「問題の先送りは前回(平成11年)と同様に競馬サークルの手を離れ、政府間レベルでの交渉・決着となるおそれ」(JBBA NEWS 8月号)という説明をしているらしい。これは競馬の国際化もWTO(世界貿易機関)やFTA(二国間または地域間の自由貿易協定)において自由化交渉の俎上に上っているということだろう。日豪間のFTAについて言うと、オーストラリアの農産物と北海道の農産物は競合する物が多く、これを自由化すると北海道の農業は壊滅すると言われている。だからこのFTA交渉を北海道は文字通り道をあげて反対している。たしかに「食の安全保障」という観点からそうそう安易に交渉を進めることは出来ないだろうが、政府としては「食」の範疇に入らない競走馬なんてさっさと自由化、スケープ・ゴートにしたてて時間稼ぎしたいくらいだろうと推測する。幸か不幸か日豪間のFTAは現時点では暗礁に乗り上げているようだが、オーストラリアはその間に中国と交渉を進め小麦や牛肉などの農産物をどんどん輸出し、日本は国内での需要に見合った量を確保できず、それが値上がりの要因になったりしている。

そんなニュースを見るにつけ考える。この国にはグランドデザインがない、だから国が経営する競馬にグランドデザインなど描きようがないのだと。「失われた10年」は未だ終わっていない、きっと何も新たには始まってはいないのだ。


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March 22, 2008

雑記(17) フラワーCとかたわごととか

フラワーCはブラックエンブレムが勝つだろうと思う。きんせんか賞の勝ち方が素晴らしかった。ここも同じような走りができれば桜花賞まで突っ走るんじゃないか、折合いもつくしレースセンスもある、決めても充分、他の有力馬に比べて一番穴が少ない。そんな気がしている。相手はハイエストホワイト、この2頭の決め手比べを楽しみたい。シングライクバードは勝負強さはあるが言われているほど強くはない。混戦なら台頭するがマイル戦向きのスピードの持続力や瞬発力には疑問が残る。ここで勝ち負けしても先を見るなら桜花賞よりオークス向きだろう。穴はプティマカロン。前走から行きっぷりが良くなったが、鞍上がため殺しにした印象。今回は鞍上に横山典弘騎手を迎えてレースぶりに一変を期待できる。決め手はないが、先行すれば粘れる。

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東京は来週半ばには桜が開花するらしい。これで平年並みというから、ここ10年くらいは3月中に開花していたと言うことなのだろう。これも地球温暖化が進んでいるということなのか。環境問題は人類の重要課題だが、資本主義という人間の貪欲を基盤に置いた経済社会と環境保護は根本のところで矛盾してるんじゃないかという気がしている私は「エコ、エコ」と声高に語りつつ金を右から左へ流してゆく人間を信用できないでいる。

てなことを考えつつ、今日は寝る。競馬は夕方、VTRでまとめてみる。

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「やるべき事」がたまっている。「やりたい事」はもっとたまっている。体がふたつ欲しい、いや3つくらいないと間にあわん。年を取るほど貪欲になる、わがままになる。体ふたつがかなわぬなら、せめてあと100年生きれぬものか、、、


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February 25, 2008

雑記(16) 「ホースニュース・馬」の休刊

この1ヵ月ほどあれこれあって忙しく、競馬から遠ざかっていた。それだけでなくパソコンの前に座る時間もほとんどなかった。だから毎日メールをチェックする程度で競馬Blogはおろか、ニュースを読むヒマもなかった。昨日今日、漸く時間が取れてちょこちょこ競馬関連記事を拾い読みしていたら、「ホースニュース・馬」が休刊とか。これについてBlog界隈もあれこれと騒がしい。

「ホースニュース・馬」の経営危機は今に始まったことではなく、7、8年前にもそういう話はあった。その後、本社が池袋の一等地から江東区南砂に移転して心機一転、それなりに持ちこたえているのだろうと思っていた。それが昨夏のEI騒動の折、あと1週競馬が中止になっていたらその段階でアウトだったという話も出てビックリした。そして結局伸びた寿命も半年に過ぎなかったということか。

競馬専門紙の不況はこの10年(あるいはそれ以上か)ずっと出ている話で、松井総業(=「競馬ブック」)が「競馬研究」や「サラブレッド血統センター」を買い取ったのも10年くらい前のことだったと思う。10年前といえばWeb上に競馬に関する情報などそう多くはなかった時代で、若いファンがWebで情報を得るため専門紙を買わなくなったという説は背景要因として認めることは出来ても、今回の休刊と直接的な因果関係はない。それ以前からずっと危機は続いていたのである。

そもそも中央競馬だけで全国に10数紙ある専門紙は数が多すぎると私は思う。それぞれが個性に溢れ、明瞭なカラーとか個性を持っていればいいが、どれも同じような馬柱と予想印、厩舎コメントに調教タイムとほとんど差別化されない中でシェアを奪い合ってる、そういう状況が20年も30年も続いてきて、その結果が今であることを思うと、その保守的な業界体質はある意味驚異的ですらある。的中率や回収率を競い、予想家の人気だけが頼りになってしまっている現状では年々売上げが逓減していってしまうのも必然、しかたのないところだろう。
若いファンが専門紙を買わなくなったのは単に若いファンの需要に専門紙が応えていないからにすぎない。競馬ほど様々な楽しみ方のできる遊びも少ないと思うのだが、そういう競馬の多様性を愛する若いファンに無頓着である以上、これからも休刊あるいは廃刊に追い込まれる専門紙は出るだろう。ここから先は体力勝負、持久力勝負、余程革新的な紙面刷新がないかぎり、そういうことになる。

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丹下さん、どーするんだろう?
豪邸に招かれ花見をしながらキャッチボールまでしてしまったアタシとしては気になるところではある。見た目通り(?)の清純派、いい人だけに。。。



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February 24, 2008

雑記(15)

ご無沙汰しています。



今年の冬は寒い。東京西部では2月上旬まで連日最低気温が氷点下と言う日が続いた。ちょっと記憶にない寒さだが雪は降る日が多い割に積雪は少ない。そんな寒い日々だったが、気づいてみるとすでに梅も咲いてるし、日の出の時刻も午前6時すぎ。昨日今日と風が強いが「春一番」だろうかと思ってみたり。



「春一番」という言葉を知ったのはまだ小学生の頃で、クラスの友達と担任の先生の家に遊びに行った日曜日。西の空が不気味に赤くなり、やがて強い風が吹き出すとまるで砂嵐のように、乾燥しきった畑の土が舞い上がった。とても外を歩ける状況ではない、それくらいひどい砂塵と風だった。当時の日本家屋は今と違って気密性は高くない。いくらか風が収まった頃を見計らって家に帰ると、どの部屋も畳がざらざらとして埃がうっすらと積もるように広がっていた。掃除機など無い時代で、新聞紙をぬらして、細かくちぎって部屋に播き、それをほうきで掃き集めて部屋を綺麗にしたのを覚えている。それが「春一番」だった。昭和30年代、東京近郊がまだ開発途上、いたるところに畑が広がっていた頃の話し。

昨日、競馬中継で奇妙に赤茶けた東京競馬場の画面を見ながら、そんなことを思い出していた。

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それにしてもカジノドライヴ(京都4R)は強かった。持ったままで2着に2.3秒差というのも凄いが決してスピードにまかせた一本調子のレースをしたわけでなく、おそらく芝でも通用するだろう。楽しみ。



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February 15, 2008

<お知らせ>吉田直哉氏「鍛えて育てる」講演記録 HPにUP

去る10月18日に北海道・静内のWINSで行われた吉田直哉さんの講演会「鍛えて育てる」の全記録をFlying Stuff のHPに公開しましたのでお知らせします。

生産地を一度でも訪れたことのある者にとって、あの緑の絨毯のような放牧地とそこで走り回る当歳の姿に癒される気持ちになった人は多いだろう。更に言えばその風景は時に忘れがたいものにすらなるだろうと思う。
しかし、その美しい風景の背後、ファンからは見えない生産という生業(なりわい)の現場では実に多くの仕事が待っている。吉田直哉さんの講演を聴くとそれがよくわかる。
繁殖牝馬に種付けをして、受胎すれば後は生まれるのを待つだけ、と言うわけではないし、生まれた仔馬も、母馬と一緒に放牧して、草を食べさせておけば良いというわけでもない。生産者は配合だけ、血統だけを考えれば良いというわけではなく、1歳秋になって牧場を離れ、競走馬として馴致を受けるようになるまでのおよそ1年半の間に、それはそれで基礎体力をつけたり、四肢の異常を矯正したり、より健康に育つための工夫が凝らされる。

競馬の国際化が進む中で、日本の馬は強くなったと言われ、調教技術も育成技術も欧米に劣らないレベルになっていると言われるが、生産についてはどうなのだろう。一般の競馬ファンからはなかなか見えない世界だが、競馬は生産から競馬場に至るすべてのプロセスがひとつの世界になっているのであって、そういう意味でもご一読していただけると幸い。さらに感想でもいただければ、この上なくうれしく思います。

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January 10, 2008

雑記(14) 今年の競馬は

去年は碌でもないことが相次いで、個人的にはあまり良い一年ではなかった。ひょっとしたら人生「最悪」の1年だったかもしれない。無意識のうちに避け続けててきたというか、正面切って立ち向かっても不毛な結果しか出ないとわかりきっていることに対して、結局は立ち向かわざるを得ない事態になったり、加えてまったく不慮の信じられないような事態にも遭遇した。ただ、根が楽天的な所為か自分でもあきれるくらい明るく生きていたように思う。

楽天的でいられるのは私があまり深く考えない人だからで、深く考えるということをある時から意識的に止めてしまった私は他人から見れば「馬鹿」にみえることもあるだろう。事実そう「利口」じゃないと、自覚もしている。私が考え事をする場合、ほとんどが下手な考えなんとやらでもあるし、更に言えばいくら考えたって、考えたとおりに現実が動き、考えたとおりの結果が招来される例は全く希でしかない。考えるより体を動かす方が先、その結果が良かろうと悪かろうと私はその結果を楽しむことが出来る。人生は「楽しむ」に限るのだ。

まあ、今年は去年ほど悪くはない、ということに何となく自信を持っている。多分。昨年の「最悪」もそこそこ楽しんだのだから、今年は更に楽しめるだろう。実際、いろいろ楽しみにしていることもあるし。

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というわけで???当ブログのデザインをいじってみたり、タイトルから年号をはずしてみたり、サブタイトルもやめてみたりで”シンプルイズベスト”で今日からただの「Racing Blog」です。どっかに同名のタイトルでありそう・・・と思いつつ、ま、あったらあったで、その時はその時。よろしく。

え〜、同名のブログがあったからといって、間違っても親切に教えたりしないように・・・(笑

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毎年恒例なのだが、暮れから今日までDVDの編集をやっていた。「中央競馬GIレース年鑑'07」というタイトル。競馬場の売店なんかで売ってるのだが、おかげで昨年のGIレースをたっぷり眺めつつの正月ではあった。
で、漠然とではあるけれど、ポストSS時代のレースのレベルって少し落ちてるかなあと。ディープインパクトの強烈な印象がまだ残っているだけにそういう印象が強いのかも知れないが、いずれにせよ「圧倒的に強い馬」が出にくい状況にはなっていて、それでも全体を見渡せばレースの平均的なレベルは上がっている、そんな状況のような気がする。そういう中で、GIレースも特定のスーパーホースが勝ち続けるのではなく何頭かが好勝負名勝負を演出する、そういう時代がやってくるのではなかろうか。
2歳リーディングサイヤーを見るとわかるのだけれど、一昨年の新種牡馬だった、ジャングルポケット、タニノギムレット、アドマイヤコジーンとか、昨年の新種牡馬シンボリクリスエス、アグネスデジタルといったところが頑張ってベストテン入りしていて、SS2世種牡馬は軒並み収得賞金を減らしている。首位のアグネスタキオンもそう安閑としていられない状況で、父系としてのSS系よりも母父SSの方が猛威をふるっているのだろう。リーディングサイアー総合の部門でも、おそらく2008年はサンデーサイレンスが長年守り続けた首位の座を明け渡すと思われるが、それが果たしてアグネスタキオンかどうか、今年はアグネスタキオンでも来年もそうかというあたりで混戦は当分続くような気がする。

今年の競馬は面白い。そんな予感がしているのだがどうなるか。




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January 03, 2008

謹賀新年2008

あけましておめでとうございます。

2008年といやあ、ブログのタイトル更新しなくっちゃですが、まだ何にもしてないな(苦笑。これが平成20年というと、そうか平成生まれのガキどもがもうハタチなのか、馬券なんぞ買ってやがるのだなと、妙な感慨。昭和もずいぶん遠くなった。

ところで、昨年のGIレースを振り返っていて、ふと気づいたのだけれどマイルCSと安田記念と秋・春・秋でこのGIを3連覇した馬はダイワメジャー以前にはニホンピロウイナーとタイキシャトルしかいなかったんですね。「だめじゃ〜、だめじゃ〜」といわれているうちに歴史に残る名マイラーになっていた、こりゃ凄い記録だと改めて思ってしまった。ホント、年度代表馬級の記録です、これは。種牡馬としてどうかは別として、まあ社台が売るわけないなあと。

というわけで、今年も皆様よろしくお付き合いください。



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November 17, 2007

雑記(13) 欅

Southendさんが気にしているらしい「けやき」。上は府中大國魂神社から府中駅方向を見た参道の欅並木。下は欅の枝ぶり。基本的に幹はまっすぐ伸びて、枝は大きく広がるようだ。古木というか大木に成長した欅は高さ20mくらいにはなるんじゃなかろうか。

keyaki1
keyaki2


東京競馬場の「大ケヤキ」について、どうも枝ぶりが違うなあと思って、昨夏馬場造園課を取材した折りに尋ねたら、「あれは欅じゃないんですよ、榎です」という返事があっさり返ってきて拍子抜けした記憶がある。欅はあるにはあったが切ってしまったという話だった。だから、「榎」を「欅」と勘違いしたというより、元々存在した欅を目印に「大欅を通過した」とか実況で言っていたのが残って、榎を欅と思うようになってしまったというのが正しいだろうと思う。あの場所に生えている木の名前でなく、場所の名前と考えた方が良いのだろう。

念のため古いレース映像を見て確認してみると昭和47年のダービー(優勝ロングエース)には、今の榎の右、800標識近くに欅とおぼしき木が映っている。これは上の写真ほど幹が太くはないが、とにかく映ってはいる。また、榎の左にもかなり太い木が映っている。この部分は先頭馬群がアップ気味の映像で、はっきり欅とはわからないが、ひょっとするとこれが「大ケヤキ」なのだろう。取材の折りは不覚にも何時切ったのかということを聞き損なったのだが、昭和56年の第1回JCの映像ではこの2本の木がすでに無くなっている。つまり昭和47年〜56年の間に切られてしまったもののようだ。

レースが見づらいから木を切ったなんて、けっこうせちがらい話だなあと思ったりもしたがどんなもんでしょう。




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November 03, 2007

雑記(12) 

今年はなんだか紅葉が綺麗だ。それも10月中から。寒暖の差が激しいと紅葉が美しくなるというが、今年の冬は寒いのか?

2007_autumn2


2007_autumn1



だいぶ前からこのブログのサイドバーを整理したいと思っていて、とりあえずMy Blog List、Blog People、ブログ村のバナーやらなんやら削除した。ついでにRecent Trackbackも。トラバはこれからも受け付けるけれど、リストなんていらんでしょ、記事の末尾に出てるわけだし。Recent Commentのリストはどうしようかと思ったけど残した。なんとなく、というか自分が結構繰り返し読むケースがあるので。

で、これまでブログリストに載せていたブログはすべてIEのフィードで購読することにした。フィードなら更新状況わかるし。まあ、これもMy Blog Listの広告配信が良いきっかけになった、みたいな部分はある。タダで使わせていただいてたから広告配信くらいと思う反面、私がMy Blog Listに載せていたブログの大半はすでに休眠状態または閉鎖という状況では、あまり意味もない。てなわけです。



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October 29, 2007

雑記(11) 再会

28日(日)福島7R、勝ったジャガーメイルは強かった。前にも書いたけど、心ひそかに期待している馬で、ジャングルポケット初年度産駒の中では代表産駒にもなれる器。これで3戦2勝。多分1000万条件もすぐにクリアするだろう。来年春には重賞戦線で活躍を期待。

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このレースで2着だったエーシントゥルボーは米Winchester Farmの生産馬。Winchester Farmの代表は吉田直哉さん。日本からケンタッキーに渡り牧場を開いて5年になる。その直哉さんから9月にメールを頂き、10月に静内で講演会をするので会わないかと言ってきた。取材の仕事をしていて、かっての取材対象から会わないかと誘われることほどうれしいことはない。そもそも彼がアメリカにわたってからは会ってなかったし、最後に会ったのは2001年の香港だったと思う。だから、もうこれは行かないわけにはいかない。そうでなくても今年は一度も馬産地に行ってなかったし、不義理してる人もいる。あれこれ考えずに行ってきた。

講演会は10月18日、オータムセールの真っ最中だが、その会場となっている北海道市場と通りを挟んだ向かい側にある静内WINSでおこなわれた。題して「鍛えて育てる〜ケンタッキー州の馬産・牧場経営」。生産地で行われた生産者向けの講演会ではあったが、私のような素人にも興味深聴くことの出来る内容で面白かった。というか、今その録音を聴き直しているのだが、生産者というものがこんなにも忙しく、こんなにも多くの仕事を抱えているのかというのが改めての実感。そして、そのひとつひとつは決して大変なことでも難しいことでもなく、小さな事の膨大な積み重ねであることを思う時、手を抜こうと思えばいくらでも手を抜けるであろうし、そうやってやれることをやらずに時を過ごす間に出来た彼我の「差」はどれほどの大きさなのだろうということを考えると絶望的な気持ちになってくる。

直哉さんはケンタッキーに牧場を構えるにあたって、やっていける自信はあったと私に語ってくれた。若い時におよそ4年にわたってアイルランドやアメリカで研修してきた彼はアメリカの馬産やサブレッドビジネスにも精通していて、充分にマーケッティングも出来ていたようだ。経営者としても優れた資質を持っているのだろう。かっては日本の馬産の将来を憂い、日本馬の輸出のために奔走していた彼がサラブレッド・ビジネスの堂々たる経営者として日本に戻ってきて講演をする。

そう思うと、この講演会は、「そうか、これは直哉さんから日本の生産者に送るエールなんだ、、、」と、今はそう思えてくる。

直哉さんは17日に日本に着き、18日に静内入り、講演をすますと翌日は香港へと飛び立っていった。あまりゆっくり話す時間もなかったが無理を言ってこの講演の記録(全文)を私のHPに掲載する許可を頂いた。何物にもかえがたいおみやげを頂いた気分。早ければ11月末か遅くとも12月には形にしたいと思ってる。

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その吉田直哉さんが「優駿」11月号に一文を寄せている。それによるとBCジュベナイルに出走のTale of Ekati(4着)はWinchester Farmの生産馬(母馬は預託)なのだそうだ。Tale of Ekatiは父Tale of the Cat 母Silence Beauty(その父サンデーサイレンス)という血統で、祖母はシンコーファームにいた名牝メイプルジンスキー。Silence Beautyは日本で生まれ、キーンランドのジュライセールで100万ドルで売却されたというから、日本から逆輸出された血統ということになる。父系としてのサンデーサイレンスより早く、母父サンデーサイレンスの方が世界で猛威をふるい始めているのかも知れない。

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最後に天皇賞・秋。後味の悪いレースになったので簡単に。メイショウサムソンは強かった。内枠ということもあったと思うが好スタートからすんなり4番手のイン、やはり前々での競馬になったが、最後抜け出す時も坂を上がってからも脚いろはしっかりしていた。後続のトラブルに関係なく、この馬が勝っていただろうと私は思う。

アドマイヤムーンはやや行きたがった面もあるが前半メイショウサムソンを深追いしすぎた嫌いもある。不利が無くても勝てたかどうか疑問。ダイワメジャーもいつになく行きたがっていた。コスモバルクに前をカットされたカンパニー(3着)の福永騎手は、「コスモバルクの斜行は酷かったですね。勝てるとは言いませんが、2着はあったでしょう」と語り、コスモバルクにつられて本格的に斜行してしまったエイシンデピュティで不利を受けたアグネスアーク(2着)の吉田隼人騎手は「これなら突き抜けられるかもという手応えでしたが、寄られる不利で一気に手応えがなくなりました」と。

不利がなければアドマイヤムーンだってダイワメジャーだってもっと伸びていただろう。2着以下についてはコメントしようがない。




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September 30, 2007

雑記(10) いよいよ東京秋競馬

少し息抜きをしたいと思って、スプリンターズSは東京競馬場で見た。場外発売をしている東京競馬場というのはのんびりしていて好きなのだが、あいにくの雨でのんびりというより、むしろ寂しい雰囲気。スプリンターズSのゲートが開く頃には厚い雨雲の下、薄暗くなりはじめていた。

その東京競馬場でJRAの知人にばったり会ってしまった。会ったついでに馬場のことを少し聞いた。馬場のことは昨年取材したこともあって、ちょっと気になっていたのだ。というのは昨年はバックストレッチに排水溝を設置して、今年はホームストレッチに作るという話を聞いていた。このBlogにも書いたことだし、どうなったのだろうと気になっていたのだ。結論から言うと作らなかった、ということだ。排水溝というのは各競馬場ごとにいくつかタイプの違う方式を採用しているのだが、東京コースで昨年作ったものが、当初目論んだほどの効果を上げられなかったらしい。それに年々柔らかく良い馬場になりつつあるので、変に硬くなっても困るということもあって予定は予定で終わってしまったのだそうだ。

結局、今年はバックストレッチと3〜4角の芝を張り替え、ホームストレッチの芝は昨年からのものをそのまま使用している。昨年は日照時間の関係で張り替えに使用した野芝の生育状況が悪く、加えて開催が始まる直前の週に200mm前後の大量の雨が降って馬場の傷みが早かった。その野芝が1年経って今年は極めて順調に生育している。ということは前残り?イン有利?みたいなことが繰り返されるのだろうか。それは開催が始まってみないとわからない。

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その知人が別れ際に東京競馬場の無料入場券をくれた。これが結構わさっとたくさんあるんだよなぁ(笑。せっかくだし、無駄にするのももったいない。というわけで拙ブログ読者の皆さんに告知。

来週日曜日(10/7)、よかったら東京競馬場で私と競馬三昧しませんか?ダイワメジャーの走りでもじっくり楽しみましょう。詳細は何も決めてないけど午後から終日、場合によっては飲み会までといった感じでしょうか。
参加いただける方はbirdcatcherアットlivedoor.comまで、簡単な自己紹介付きでメールをいただければ幸いです。



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September 21, 2007

雑記(9) 業務連絡とか

業務連絡(1)
多分、ウイルスチェックとの相性か何か悪かったのだろう、ずっとOutlook Expressの受信発信がうまくいかず、しびれをきらしてWindows Live Maleをダウンロードしたらメールが全く使えなくなった。プロバイダの認証PASSを再入力しないといけなかったらしいのだが、その保存しておいたはずのPASSやらなんやらが見つからず、とうとうPASS再発行を依頼。そしたら、今度は書類手続きやらなんやらと、10日くらいかかるかかると言われたので、「仕事で損害が出る、早くしてくれ」と強気で言ってみたら、「メールの認証PASSだけならすぐ手続きします」と言っていたので、復旧は早ければ今夜か明日あたりか。でも半信半疑状態。というわけで17日以降頂いたメールが読めていません。あしからず。

業務連絡(2)
なので、メールで知らせたい人々にここで連絡。10月17〜19日オータムセールの時期に合わせて日高へ行く予定。航空券も宿も手配した。会いたい人、取材したい人が沢山いる。よろしく。

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JCダートを来年から阪神でという「開催プランが浮上」というニュース。まだプランという段階だが番組編成のこの手のニュースは、毎年だいたい前触れ通りに決まってるようなイメージがある。多分これも実現するのだろう。WSJSと同時開催というのもクリーンヒットになる。ただ、この番組改革はそれだけではなく、あくまで私個人の印象としてだが別のアングルからも注目しておきたい。

JRAはこの秋(11月)から、美浦トレセンにニューポリトラックを導入する。競馬場に導入するのはまだ先だろうけれど、導入するとなったらJCダートの開催場である東京に入れたいだろうと私は考えていた。ただ、東京競馬場の場合、フェブラリーSもあって、こちらは地方競馬との関係が深い、どうするんだろうと思っていたのだが、JCダートの阪神への変更は、同時にニューポリトラック導入もまず阪神からというふうに私には読める。阪神ならば導入もしやすいだろう。少なくとも福島かどこかのローカル場で試験的に始めると言うことでないならば、最初は阪神であることは間違いないだろうと思う。サラブネットの野元賢一氏の記事「全天候馬場のインパクト」(2/19)によるとJRAの導入は早くても2010年代半ばということだが、本当にそんなにのんびりした話なのだろうか。
昨年は合田直弘氏が馬産地でニューポリトラックの講演を開いたり、この春はJRA馬場土木課の矢島輝明氏がGCに出演してニューポリトラックを懇切丁寧に説明したりと、JRAはニューポリトラック導入へしきりに地均しをしているように見受ける。今回の番組改革プランもその一環と読めるのだがどうだろうか。

私自身は馬産地への影響が甚大だろうということや公害を心配していたのだが、どうやら公害の心配はないらしい。ただ、それでもまだまだ先行き不透明な馬産地にとって、ますます先が見えなくなるおそれは充分にあるし、ファンにとっても芝、ダート、ニューポリトラックという3つのカテゴリーが出来るというのは予想が煩雑になるだけで、馬券購入へのモチベーションを著しく下げるのではないかという気がする。さらにカテゴリーごとにチャンピオンクラスの馬が出てきてもしらけるだけだろ、みたいな思いもある。このあたりのJRAの動きはこれからも注目していきたいと思っている。
 

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September 12, 2007

雑記(8)

最近、できるだけ時間を取って歩くようにしている。8月から始めた。一度歩き出すと1日1時間から2時間、最初は足が痛くなったが今はもうなんともない。学生時代は山にも登っていたし、山に行かなくなっても若い頃は平気で3時間くらい歩いていたのだから、それを思うとまだ歩き足りない。車に乗るようになってすっかり足腰が弱っていたようだ。中年太りで体重も増えていたし、それが一気に4kgくらいやせて、何年もはけなかったズボンがはけた、これは中年にならないとわからない喜び。どうだ、若者よ、ザマミロ(←なんのこっちゃ)。

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8日土曜日の中山6R。3歳未勝利でデビュー勝ちをおさめたジャガーメイルは、昨年の北海道トレーニングセールの出身馬で出色の走りっぷりを見せて、私の目を引いた馬だった。ジャングルポケット産駒でセリでいくらの値がつくかと思ったら1575万円(税込み)、落札したのはノーザンファーム。母のハヤベニコマチは社台が輸入したナイスランディングに遡る牝系で近親にイクノディクタスがいる。おそらく、この牝系はもう社台には残っていないのではあるまいか。そういう社台の古い血統だからというわけでなく、むしろ社台SS種牡馬の産駒でいいものはよその生産馬であっても吉田勝己さんは時々セリで買っているように思う。馬主登録はキンシャサノキセキと同じ吉田和美氏で厩舎も堀厩舎。

何時出てくるかとずっと心待ちにしていたのだが、3歳未勝利戦が間もなく終わろうかというこの時期になってようやく出てきた。レースは後方からまくり気味に進出して、最後坂を上がってから勝負根性を見せてぐいと出たところがゴールだった。時計も緒戦で2:00.6なら文句なし。ゴール前、死に物狂いで勝ちに行くような、あの頑張りは同じジャンポケ産駒のフサイチホウオーを彷彿とさせたが、ホウオーもジャガーメイルも母父はサンデー。あの「死に物狂い」はむしろSSなのかもしれない。さて、これからどんな馬に育っていくのだろう。

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セントウルSのサンアディユは強かった。単勝3080円はおいしいよなあと思っても後の祭り。ペースも頃合いではあったろうが、スプリント戦で5馬身差はちょっとやそっとで逆転できる差ではない。私は性懲りもなくオレハマッテルゼなんか買って見ていたのだが、本番で3着くらいはありそうだった。

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EIはともあれ終息の方向へ。
そうか、「ホースニュース馬」は倒産寸前だったのか・・・
まあ、今に始まった話ではないけれど、経営危機はまだ続いていたのかというのが実感。専門紙はどこも楽じゃないのだが、そんなところにも開催を早期に再開した事情があったのかもしれない。「動物愛護より金」が歴然とした今回の騒ぎだが、それとは別に「防疫」について改めて議論されなくてはならないことが沢山残った。マスコミは続きを報道してくれるのだろうか?



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August 16, 2007

トラセン界隈について思ってることなど

『傍観するは我にあり - Southendのブックマーク』に対するコメント欄でトラセン界隈のことなどやりとりしていたら「血統の森+はてな」のmomdo氏からリアクションがあった。それに対してSouthend氏も素早い反応。きっかけを作ったのが私だっただけに、というわけでもないけど私も反応しておくというか、トラセンへの期待など、つらつら思うことを書いておきたい。

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Blogを書き始めて前のも含めるとそろそろ3年になる。以前は読者が欲しくてやたらにTB飛ばしまくっていた、というかTBを無断で飛ばしまくられて、そうかそういう世界かBlogってのは・・・という認識だった。まあ、レースの予想を書いて、同じレースの予想を書いてるBlogにTBするにはそう罪の意識もなかった。
ところがTBしなくなったのは何時の頃からなのだろう、ちょっと思い出せない。時間がえらくかかって次第にバカバカしくなってやめてしまった。TBをやめてもそこそこの数の読者がついていてくれて、本当にすっかりやめてしまって、今では記事を書いてもトラセンにすらTB送らなくなった。以前はかなりお世話になったけど。いや、今もお世話になってるけれど、これはもっぱら他人様の記事を読むためで、トラセンの本来の役割を十分に利用させていただいてる。感謝。

最近は予想もほとんど書かなくなったが、それに比例してTBされることも少なくなったし、どういうわけかコメントも減った。希に予想を書いてもTBは少ない。別にスパムでない限り、あるいは競馬関係Blogでもこちらの記事とよほどズレがない限りTB全然OKなんだけど来ない。とっつきにくいBlogになってしまったのか。
そう思ってたまにアクセスログなんかみると以前のような予想系Blogからの訪問者が激減している。多いのはBrain Squallで紹介されると、これが圧倒的に多くなる、ゆたゆた氏に感謝。他でも記事の中で紹介されるとかなり増えるが、一方、どういうわけかトラセンの「注目クリップ」で紹介されても思いの外増えない。微増程度。トラセンの場合、その性格上競馬Blogという以上にはターゲットが絞れないし、必然的に予想系のブロガーの利用の方が圧倒的に多いだろう。そういう意味ではBrain Sqallのほうが読者(あるいはユーザ)のターゲットが絞れているのかもしれない。その他に、ふだん見ていて多いと感じるのは「はてなブックマーク」とか「はてなアンテナ」で、一体「はてな」ユーザーでこのBlogは何人くらいにリンクされているのだろう。

被リンク数ということで言えば私はドリコムのMy Blog Listを使っているけど、こちらは100ちょっとの被リンク数。とはいえ、このBlog Listの4~5割くらいが消滅しているか活動停止中。あれほど元気良く書いていたのに、いつの間に?というのが少なくない。Blogの寿命は短いようだ。ただ、その反面ランキングなどを見ると総量として競馬Blogの数は増えている。多いところでランキングは1600位くらいまであるから競馬ブロガーは2000人くらいはいるのだろう。
私がBlogを書き始めた頃はランキングの最後は800~900だったと記憶しているので、やめてしまう人より始める人の方が多いということになる。JRAのPAT会員が300万人近くいることを考えると、競馬ファンというのは350~400万近くは最低でもいるのだろうと推測出来る。PATはおろかそれ以前にPCにすら全く縁のない、今も昔も場外で馬券を買うという50代以上のファン層が一定数確実にいるからだが、たとえばその400万という数字を前提にした場合、この競馬Blogの書き手2000という数字は多いとみるべきか少ないとみるべきか。競馬ファンの2000人にひとりがBlogを書いてると思うと、もっと増えてもいいという見解も成立するが、「競馬Blog界隈」がなにがしかの空気を醸す可能性について考えるとするなら、問題はそのBlogがブロガー以外の一般ファンにどれくらい読まれているかだろう。それを考えると2000という数字は案外大きいと言っていいのかも知れない。

他のBlogについてはわからないが私のこのBlogの場合、Yahooあたりで検索して読みに来る人が結構多い。予想を全く書いていないこの夏の時期でも2割くらいはいるし、予想を書くGIの時期になると8割くらいには増える。多分みずから競馬をネタにBlogを書いていれば、自分で使うか使わないかは別としてトラセンの認知度は高いと思われるし、そういう競馬ファンが検索サイトから読みに来る可能性は少ないだろう。そう推定するとブロガー以外の読み手が結構いるというのはBlogで自分なりの情報発信を続けていることも、そう意味のないことではないと思えてくる。

Blogは誰でも気軽に着手できるぶん玉石混淆ではあるが、「玉」も「石」もあって「競馬Blog界隈」は成立している。「玉」だけでは成立しないだろうし、「石」だけでも成立しない。それらすべてを受け入れているトラセンの存在意義は非常に大きいと思うが、トラセンは競馬ブロガー以外の競馬ファンにどれくらいの認知度があるのだろう?
momdo氏は「トラセンの名前にご利益があるのか、というのも疑問。トラセンに対して権威付けする必要性はないと思ったりします。」というけれど、そして、その言葉を文字通りに受け取るならば、それは全く持ってその通りだとは思うけれども、「ご利益」や「権威」ではなくてユーザーの支持とか信頼を更に一歩大きくするという意味で言えばブロガー以外の一般競馬ファンに対する認知度UPということは課題としてあっても良いんじゃないか。「ブロガー以外の一般競馬ファン」が実際どのくらいトラセンユーザーとして存在しているか皆目わからないけど、外野の気まま勝手な期待をいえばそう思うところはある。トラセンはTBを受け付けるというその本来の役割からして極めて受け身な存在で、能動的な活動になじまない部分は多々あるし、それは理解出来るのだけれど、その受け身の姿勢をもっと活かす方法を考える余地はあるかも知れないと。
競馬ブログ界隈を盛り上げることができるかは、どれだけ多くの競馬ファンをブログ界隈に引き釣り込むことができるかにかかって来る」というのであればなおさら考えてみる価値はありそうだと思うがどうだろうか。

と、書いてしまった以上お手伝い出来ることはお手伝いしますよということで(笑)。



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August 09, 2007

雑記(7)

一晩中蝉が鳴いている。何が哀しゅうてああも鳴くんかね。街灯に蛾が群れるように蝉が群れているのを見た、ちょっと不気味だった。

夜、多摩川を越えて多摩ニュータウンの少し奥まった方へ行くと、時として狸を見ることがある。だからこの界隈の「動物注意」の標識には狸のイラストが描かれている。さすがにアニメ映画「平成狸合戦ポンポコ」の舞台になった土地だけのことはある。ところが先日所用で相模原の方へ行ったら、狸ではなくイタチを見た。多分イタチだと思う。自信はないが顔の形や尻尾の雰囲気は狸ではないし、狐でもない。無論犬や猫でもなかった。身近なところに意外な動物がまだ生きている。

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ウオッカが凱旋門賞回避のニュース。右後肢蹄球炎か。無事是名馬とはなかなかいかないようだ。角居調教師は「凱旋門賞には挑戦ではなく勝ちに行くので、ただ出走すればよいというものではない」というコメント。秋がどんなローテーションになるのかわからないが、一度は是非海外に行って欲しい馬だ。

ということで凱旋門賞はメイショウサムソンの健闘を期待しよう。鞍上に不安はあるが、順調ならそう不様な競馬にはならないような気がする。

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新馬戦が始まって2ヶ月。2歳リーディングサイヤーはハートオブクィーン1頭の活躍でジョリーズヘイローがトップという異変。まあ、ありがちなことではあるが、一方でこの時期活躍するのが定番となっていたサクラバクシンオー産駒が9頭出走して1頭しか勝ち上がっていない、これも異変か。現在12位。

新種牡馬では産駒2頭が3勝しているファルブラヴが4位、コロナドズクエスト(産駒3頭が3勝)が7位、ゴールドアリュ−ル(産駒3頭が3勝)が10位。この他トワイニング産駒が2勝、アグネスデジタル、エイシンプレストン、ショウナンカンプ、ワイルドラッシュ、テイエムサンデーの産駒が各1勝している。注目どころではシンボリクリスエスが出遅れてるか。

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「ホース・トレーダーズ〜アメリカ競馬を変えた男たち〜」(スティーヴン・クリスト著 草野純訳)という本がある。1988年にサラブレッド血統センターから出された本だが、多分絶版になってると思う。1974年の3冠レース前に組まれたセクレタリアトのシンジケートから84年ブリーダーズ・カップ創設あたりまでのアメリカにおけるホース・トレードの激変ぶりを紹介した本だが、なかなか面白い。私が最初に読んだのは多分10年くらい前で、久しぶりに再読しているのだが、なかにドバイのシェイク・モハメドとロバート・サングスターのシンジケート(つまり、今のクールモア)のセリ戦争についての記述がある。そうか、彼らは4半世紀にわたって戦い続けているのかと今更のように思った。彼らのセリにおけるオーバーヒートはやがてアメリカの有力オーナーも巻き込んでシアトルダンサーのような1300万ドルというとんでもない超破格な落札価格を出現させたのだが、これを思うとアドマイヤムーンの40億円もディープインパクトの100億円も、なんか「当然でしょ」「ちっとも高くないよ」という気がしてきた。

「お金持ちの競馬」を考える良いきっかけになりそうなので、近々に記事を書くつもり。お楽しみに。



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July 30, 2007

雑記(6) 独り言

参院選は自民が歴史的大敗。
投票率58.6%か、参議院であれ衆議院であれ国勢を担う国会議員を選ぶ選挙でこの投票率は低いよなあ、と思ってしまう。過去の投票率がどうとか、海外の投票率がどうとかでなく、こういうのって本来70%くらいあってしかるべきと思うんだけど、選挙のたびに釈然としない気分になる。関口フサローさん、見事落選。

以下、備忘というか何というか・・・

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「ファン」って何だろ?
と、考えようと思って10秒くらいで諦めた。
ま、社会心理学とかそっち方面に役立つ本もあるのだろうけれど、今は本を探すという、それだけのエネルギーもない(馬券疲れ・・・)。

くだんのライターさん、ま〜たまた、わけくそわからんこと書いてるね。笑ってしまった。やっぱ、かまってるヒマないよ。

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日本の競馬は「大衆の競馬」というより「お役人の競馬」と言った方が腑に落ちる所は大きいな。確かに。

で、その日本競馬のあるべき姿=グランドデザインを考える「ファン」ていうのは何なのかね?

いや、否定する気は毛頭無くて、それはそれで競馬の楽しみのひとつであるし、実際これを否定したら自分自身を否定することになるわけで・・・。
とは思うのだけど、一方で本来「舵取り」の主役であって不思議じゃないJRAですら容易に語ろうとしないし、あえていえば1次〜3次国際化計画はあったけど、グランドデザインというほどのスケールには至っていない。
生産者も馬主もそういう物言いはしていないように思う。

何か、どっかにねじれた構造があるような気がしてならないのだけど・・・

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6末〜7月はめずらしく馬券三昧。超珍しく+決算。函館記念(馬連)を取ったのが大きかった。後は勝ったり負けたりで、函館記念ぶんくらいがちょうどプラス。

いつも思うことだけど、考えれば考えるほど負ける。えい、やっ!と気合いだけ、直感だけで買った方が当たるようだ。下手な考え、なんとやら・・・ですね。ついでにいうとGCのパドック解説者の言葉に惑わされると、もう100%負け。最後は音消して見てた。

パドック解説者なんていらない。私はそう思う。



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July 25, 2007

雑記(5) 釣られっぱなし

今回の釣られ先:
 ムーンにまつわるエトセトラ(BrainSqall)
 ついでに釣られておこう(血統の森+はてな)

「血統の森」のmomdo氏には、だからなぐり書きだって!と言い返したいところだけど、そのなぐり書きの最もなぐり書いたところに噛みつきやがった(笑)
小犬がきゃんきゃん吠えてるところに、シェパードがわざわざ来て、尻尾に噛みつくことないよなあと、苦笑いしております。

一方、ゆたゆた氏の回答が私の言いたかったことをかなり的確に捉えて頂いてるので、これは感謝です。

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ということで、きちんとまとまらないかも知れないが、思いつくところをまとめてみたい。

「JRAの舵取りなんてファン総体が指し示す所は絶対無視できない」という私の書いた文言の「ファン総体」というのはあくまでJRAから見たマーケティングの対象として「ファン総体」というものはある、実体はともかく少なくとも概念として彼らはそういう括りで見ており、その総体=マスが持っている傾向はJRAの営業戦略としては無視できないだろうと。

で、実は私の実体験で言うとJRAの職員なんかと「Blogなんか読むとこんな事言ってるファンがいるよ」といった話題を向けると、たいてい「そうなんですよね」という答えが返ってくる。まず、「え、そうなんですか?」という返事を聞いたことがない。JRA職員というのは就職の段階で競馬ファンでもあったろうから、競馬ファンの発言をBlogや掲示板を通してかなり読んでるんじゃないか、そういう印象を持っている。

また、「競馬中継」の仕事をしていた時、レギュラー出演者の降板と新しい出演者の内定についてJRAに報告、承諾を得たその次の日くらいには2チャンネルでそれが話題になっていた。まだ根回しが残っていて「マル秘」扱いの確認をとったにもかかわらず情報が漏れていたのである。その事を知っている人間はごく限られた数しかいないはずなのに、ではどこから漏れたかというと私にはJRAしか考えられなかった。なぜなら我々番組を制作する立場は情報を漏らせば、そこに問題が発生しようとしまいとJRAから叱責される立場で、情報をネット上に漏らしても一銭の得にもならない、メリットはどこにもないのである。JRAが組織公認でやったか、職員が服務規定違反を犯して単に個人のいたずらでやったか、何を考えても証拠はないが、最終決定前にファンの反応を見ようと思えば2チャンネルあたりは情報を落とすに格好の場であったかもしれないとは思った。

そういったいくつかの経験から私が思うのは、マーケティングで得られるマスとしての競馬ファン(総体)の志向性や傾向のようなものに加えて、ネットで得られる個々の競馬ファンの意見なども案外参考にしつつ(おいしいとこ取りの可能性も充分あるが)、売上げの維持やアップの施策を練ったり、制度改革をしたりということをやっているのが今のJRAだろうと想像する。だからといって個々のBlogをひとつひとつ取り上げて分析してと組織的に何かやってるとまでは思わないけれど、「世間の空気を読まないで施策を決めるようなことはしないんじゃないかなあと思っていたりはする。」というゆたゆた氏の観測は私の実感としても正しい。

更に言えばJRAにおいて様々な企画を立案実行するのはおおむね40代以下の若い世代で、ネットにアレルギーはないし、そもそも彼らの多くが競馬ファンだったことを考えると、彼らがネットから吸い上げたファンの醸し出す「空気」を身にまとっている可能性は充分にある(というかこちらの可能性の方が遙かに大きい)。注目度が高い「Brain Squall」や「傍観罪で終身刑」やその他の良質な競馬Blogは1ファンの意見として読むにしても、ネット上の競馬ファンの空気を読む上でも、JRAという組織やそこに属する個人が意識するとしないとに関わらず貴重な情報源になっているだろうと、その可能性はあるなあと個人的には思っている次第。

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で、「各論各論をそのつど空気を醸成して調整するようにしていくことはできるんじゃないか」「空気を醸成するとなると、やっぱり三文ライターに絡むのも無駄ではないのでは」とゆたゆた氏は言うのだけれど、空気を醸成するなんて1個人の力で出来ることとは彼も思っていないという前提で、なお少しでも醸成したい、その一翼を担いたいという気概こそ、私が「もっと開き直っていいんじゃないか、ストレートに書いていいんじゃないか」と、オヤジ的老婆心ながらハッパかけてみたところに正しく答えを返してくれたなあと。

で、問題は百円ライターでもジッポでもライターはライターと言ったあたりになるのだろうけれど、ライターに噛みつくことそれ自体を否定するつもりはない。

ただ、今回の、いわゆる「攘夷論」というのは、心情として語られることはあっても、では攘夷の後に何をどうするかというような明確なビジョンを持って「鎖国競馬」が語られたことはないんじゃないか。たしかに競馬の国際化という問題は生産者を壊滅させると言われたりはしたけれど、それを具体的な経済予測やらなんやらで、何がどうなるとか、何をどうすべきというのは、あくまで「開国」前提の話であったと思う。
今回の河村氏の発言も、つまるところ「はたしてお金持ちの競馬を志向して、長く親身に応援してくれるファンを多数獲得できるのだろうか。」という心配性な心情吐露でしかないだろう。水上学氏の「外国の巨大資本が制圧する日本競馬は、果たして理想像と言えるのだろうか。・・・(中略)・・・私にとって競馬とは、もっと切実でいとおしいものである。」というのも全く同じ。「心情」にすぎないものに「理」を持って立ち向かっても議論は噛み合わないよなあという思いを持たざるを得ないし、更にいえば心情である以上、いくら否定したところでその心情が「ある」と言われれば「ある」のであって、これはライターであるとないとに関わらずではなかろうか。

ついでながら河村清明氏という「競馬ジャーナリスト」について私自身の印象(あくまで印象で、評価ではない)を書いておく。彼が注目を浴びた「馬産地ビジネス」「JRAディープインサイド」などの著作は読んではいるが、これらが発刊された当時の印象としてすでに特に新しさを感じなかったと言うことがあって、すでに様々語られてきたことを彼なりの取材を通して後追い的にまとめた本だったように思う。私の読後感はそういうものだった。そういう意味では彼の私に対する影響力は「0」に等しく、かえって彼の著作であらたに競馬産業への知識を得たファンのほうが彼への期待も大きい反面、裏切られたという思いも持っているのかも知れないし、であればこそ噛みつく理由もあるのかも知れないとは思う。それはそれで「心情」は理解できる。
ただ、政治家には政治生命があり、タレントにはタレント生命があるように、ジャーナリストにはジャーナリスト生命があるだろう。それが競馬産業内の1プレーヤーであるラフィアンから金をもらって原稿を書き、その利益を代表するとなったら自ら「ジャーナリスト生命」を放棄したと受けとられてもしかたない。実際ラフィアンとどういう契約でどんな文章を書いてるかは知らないし誤解かも知れないが、そういう誤解を招く行為だけでも批判はされるべきだろうと思う。彼の「ライター」としての影響力を無視できないとするなら、むしろそのあたりに噛みついた方が議論にはなるのかと思ったりもした次第。(ちなみに水上氏については、目玉の大きさ以外、ホント何も印象がないのでスルーと言うことで)

えー、ゆたゆたさん、受け付けてもらえませんか、「餌がマズすぎる」といったあたりで(笑)。

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momdo氏への回答も何となく兼ねて書いてきたわけだが、「2」が残ってるね。

「ファンが率先してどんどん先に行かないと競馬はどんどんおかしな事になりかねない。」 と書いたことについて、まあ言葉の「アヤ」みたいな、勢いで書いた部分が大きいのは確か。だから、「日本の競馬ファンがこの国の、しいては(大げさだけども)世界の競馬のあるべき姿を提示する」などとは無論、思ってはいない。
ただ私が思うのは、ファンの立場から見て競馬マスコミが衰弱しているというか、ファンが知りたがってることをなかなか伝えきれない状況というのは、マスコミ側がファンに対する予断を多分に持っていて、こういう記事を書いておけば新聞は売れるというような迎合、それも的のはずれた迎合が著しい状況というのがあるのだろうという気がする。
これは翻ってみると、マスコミ側から競馬主催者に対してもファンの動向を正しく伝えられていないということで、例えば「日本の競馬はどうあるべきか」と問うた時にファン、マスコミ、主催者と並べてみると、もっともずれた答えを出すのは実はマスコミなんじゃないか、それくらいおかしくなってるのだろうと思う。正式に取材もせず、単なる商取引を名指して「陰謀」というあたりの安易さは殆ど末期症状だろう。実際に陰謀論に根拠があったとしても、単に「陰謀」という言葉だけで読者を納得させようとする感性はやはりどう見てもおかしくはないか。

私が言いたかったのは、そういうマスコミ人のタワゴト相手にするなよと、どうせ発言するなら「舵取り」の当事者に向かってダイレクトに発言した方がずっと意義があると。今やファンはBlogや掲示板で発言する場所に事欠かないわけだし、私の実感している範囲でJRAの職員は思いの外ネットに目を通している。しかもJRAの場合、今やニュースリリースはHPでファンが直接読めるようにもなっているわけで、発言するネタに困ることもそうないだろう。

ファンが「先に行く」といってもせいぜいそんなところだろうが、今のマスコミの状況を見る限りファンの発言は個人が主宰するBlogであっても、その「空気を醸成」する力にはなる。私はそう信じている。momdo氏が言うように、ファンの空気を読んだ結果が逆に「おかしな方向へ行く」ということも確かにないわけではないだろうが、しかし、それはファンの責任ではなく、舵取りする側の責任だろう。何を採り何を捨てるか、それこそ一枚岩なんかではあり得ない多様なファンの空気を判断するのは我々ファンではない。要はそういう「舵取り」のあり方も含めてもっと積極的に発言してもいいんじゃないかと。

ファンのJRAへの影響力に疑問を持つ向きも多いとは思うけど、なにしろ2兆8000億も突っ込んでて、本当に影響力がないと思うなら、これはもう不買運動に走るしかないでしょ。JRAは案外そこらあたり過敏です。

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追記:
多分全く関係のないこととは思うけど、たとえばBlog界隈で散見するJRAの売上げ低下に対する心配とか、今回の河村氏の「ファンを多数獲得できるのだろうか」という文言とか、競馬ファンと言うより「JRAファン」とでも言った方が良い人が沢山いるんだよな、私もそうだけど。ファンというのは奇特な存在だなと。




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July 21, 2007

雑記(4) 釣られてみる

とりあえず、ネタ元というか釣られ先
週末の新潟競馬は通常通り開催(BrainSqall)
島国根性の陰謀論者(傍観罪で終身刑)

Brain Squallで、なんか有名ライター氏の駄文に連座させられてるみたいでケツがむずがゆい。無論ゆたゆた氏が私の記事を誤読しているとは思えず、だからなおさらむずがゆい(笑)。

というわけで釣られてみようかと思った。なぐり書き程度だけど。

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まあ、アドマイヤムーンが輸出されようと、日本に残ろうとどっちでもいいかなとは思っている。第一にアドマイヤムーンについて宝塚記念前に書いたけど私の中でそんなに高い評価をしていない、それは多分に私の見立て違いの可能性が宝塚記念の結果で明らかにはなったのだけど、だからといって’すげぇ’と唸るほどでもなかったという点がひとつ、それに輸入2代目の繁殖牝馬に輸入種牡馬を交配した馬が海外に行っても違和感は感じない。このどちらかが日本の在来血統だったら私は凄くよろこぶと思う。私が前項の記事で言いたかったのはむしろフォーティナイナーは日本に置いとくのは勿体なかったんじゃないか、ということでそれ以上でもそれ以下でもない。アドマイヤムーンに関しては野次馬根性丸出しで、で、本当はどうなるの?ということでしかない。

ということを、まずお断りしておく。

で、くだんの有名ライター氏の言い草は放っておけばいいことで、気になったのはゆたゆた氏が語る日本競馬の「グランドデザインが描かれない」状況であるとか、「傍観罪で終身刑」のSouthend氏の「”この国の競馬”を舵取りする立場のJRA」という文言に内在しているらしいJRAへの期待であるとか、ちょっとア・プリオリに言葉を信じてないかい?という問題提起。(ぶっちゃけ、信じてないとは思うけど(笑))

あるとき、全く知らぬ仲ではなかった、かのノモケン氏とじっくり話す機会があって、彼の著書「競馬よ!」にかこつけて、「以前、山野浩一が書いた『新しい競馬のビジョン』の現代版をあなたが書くべきだろう」と問いかけてみたら、「とても書けない」という返事。問題が複雑に絡み合っていてどんな答えもどこかにひずみが来る、何が正解なのかわからない、彼にしてそういう状況のようだと私は受け取った。私自身日本の競馬の未来像は描かれてしかるべしとずっと思っていたし、何とか自分なりに、それを見つけだす手がかりだけでも欲しいと思ってセリのありようや馬主経済のことなども調べて記事にもしたが、私ごときがトライしても数字の遊び、その段階で<調べすぎると、観念的になっていく、机上の空論だろ>という感覚に襲われる。グランドデザインを語るなら、おそらく競馬の各局面に立ち会うそれぞれのプレイヤーが等しく血を流す、大岡裁きの「三方一両損」みたいなかたちが望ましいとは思うけど、生産者、馬主、厩舎、ファン、それに主催者とそれぞれが地を這うようにして競馬と直面する日々の息づかいのようなものを実感として捉えないと具体的な答えはないだろう。
だけど、それって可能なの?と思う。そう思うと、むしろとことん経済原理に身を委ねて成り行きに身を任せても良いのでは無かろうか。

おそらく、これについてJRAは自ら血を流す覚悟はない、という意味では誰もが納得する(あるいはいやでも納得せざるを得ない)ビジョンを持った「舵取り」はできない、少なくとも現時点ではそうだろう。JRAにはJRAのエゴがある。売上げの維持とか内厩制の維持とか、、、、

ということでとりあえずJRAには期待せず、経済原理に身を委ねれば名馬が日本から海外へ出ていくということはこれからどんどん出てくるだろう。それは困った事態か?まあJRAは売上げが減って困るだろうが、他に誰が困る?例えばプロ野球やサッカーが国内で空洞化してるとは言えるかも知れないが滅びているわけではないし、その一方でファンは海外で活躍する選手の日々のニュースを楽しみ待っている。同じように世界のどこで日本馬が活躍しても我々ファンは楽しむすべを心得ているはずだ。日本の競馬が空洞化するならするで、「売上げが2兆になろうが1兆になろうが、知った事じゃねえや」というのもファンのあり得る姿だろうと思う。そういう時期を経ながら改めて再生の時を待っても良いのではないか。ビジョンなんて待っていれば向こうからやってくるんじゃないか、時期を待てばいいと、そんなことも考える。

再生能力があるかないかと問われれば、私はあると思う。たとえば、サンデーサイレンスの成功はその「血」の威力に負うところが最も大きいのは当然だが、同時に生産界における獣医学的進歩や育成・調教技術の進歩も相当に大きいはずで、もしサンデーサイレンスが50年代や60年代に輸入されていたらこれほどの成功があったかどうかははなはだ疑わしい。「血統レベルが上がったから日本馬が強くなった」という言い方は極めて一面的、そういう現場の技術レベルを正しく語る報道を目にしたことがないのは残念だが、おそらく空洞化しても次の充実期を迎える再生能力はある。それを信じたい。
そして、この現場の技術的進歩を評価するかしないかというのは、たとえばアドマイヤムーンのトレードに際して「その血統が評価された」という言い方に終始するかどうかという点で大きな意味を持つ。血統が持つ潜在能力を顕在化させ得たからこそ「買い」が入ったということを忘れてはならない。買い手が意識するしないにかかわらず、競走馬生産、育成、そして調教の技術が間接的にではあっても認められ評価を得ているということを見落としてはならないだろう。勝ち負けという表現は語弊があるが、敢えて言えばディープインパクトであれ、アドマイヤムーンであれ海外から「買い」が入った時点で日本競馬の「勝ち」を認められたと言っても良いだろう。(ちなみに私の「勘」でしかないが、日本競馬のグランドデザインを敢えて描くなら、最も変化の激しい生産地のグランドデザインを描くことから始めるべき、という気がしている)

競馬は資本を持った者が勝つ、この傾向は20世紀半ば過ぎから顕著になった事だが、この資本の競争原理そのものは人類始まって以来何万年も続いてきた、人間の本能に近いもので、行き過ぎたその時々にひずみを修正しながら現代に至ってると考えられる。現代にも様々なひずみはあるが総体としてはかなり健全なシステムだと私は思っている。ということで、ゆたゆた氏とSouthend氏には、もっと開き直っていいんじゃないか、ストレートに書いていいんじゃないかと、若いんだからさあと。ディープインパクトが売られたってなにするものぞと。最後はオヤジの説教でした(笑)。

実際、JRAの舵取りなんてファン総体が指し示す所は絶対無視できないし、ファンが率先してどんどん先に行かないと競馬はどんどんおかしな事になりかねない。一介のライターに構ってるヒマはないよ、君たち!


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July 18, 2007

雑記(3) フォーティナイナーとか

今日は少し気楽に・・・ ついでに簡単に。

ゴドルフィンがアドマイヤムーン獲得に乗り出したというニュース。ちょっとした驚き。そうか、だから宝塚記念は死にもの狂いで勝ちに行ったか、というのはゲスのかんぐりか(笑)

ユートピアといい、アドマイヤムーンといい、フォーティナイナーの血に大いなる魅力を感じているのかという気がする。フォーティナイナーは今年22歳、まだ現役の種牡馬生活を送っているのだからたいしたものだ。フォーティナイナーがアメリカで種牡馬だった頃の産駒にエンドスウィープやディストーテッドヒューモアがいて、この2頭は競走馬としての現役時代にG1を勝つに至らなかったが種牡馬として成功した。にもかかわらず、そのフォーティーナイナーの後継らしい後継は日本ではまだ出ていない。おそらくフォーティナイナー自身の日本の競馬に対する適性という意味では息子のエンドスウィープほどではなかったのだろう。そう思うとアメリカにいつづければ、もっと活躍した産駒も出たのではないか、もったいない気がする。

フォーティナイナーの産駒で今年の新種牡馬コロナドズクエストは早世したが、すでに産駒は勝ち上がっているし、トワイニングも再輸入されて産駒が今年再デビューということになるが、前回日本で供用された時の成績は良かった。こう並べてみると素晴らしい遺伝力を持っているとしか思えないのだが、ユートピアが海を渡った今、内国産の後継種牡馬はマイネルセレクトくらいになる。これも一応GI馬ではあるし、種牡馬として期待してもいいのかも、、、とちょっと空想してみた。

で、アドマイヤムーンなのだけど、03年のセレクトセールで1600万円で近藤利一氏が落札しているのだがマル市がついてない。吉田勝巳氏あたりが共有の形になっているのだろうが、果たして「うん」というのだろうか。ユートピアの時は勝巳氏が「激怒した」という話をどっかのBlogで読んだ記憶がある、単なる与太話かも知れないが気になるところではある。

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フォーティナイナーつながりで書くと、去年も今年もセレクションセール(1歳)の最高価格馬はフォーティナイナー産駒だった。今年の最高価格馬サニーアスランを購買した(株)FDOって何者?と思ったらセレクトに姿を現さなかったらしい関口房朗さんだったようだ。選挙に出るんで馬主名義を法人にしたんだろうか?
馬主活動を地味にしても人前に「2億円ファッション」で出ていくようじゃあんまり変わらんなあ、、、と思うけど。

その関口氏が馬市ドットコムのSYU氏と名刺交換するところが「ハッピーコンサイナーの熱き戦い」というBlogにスクープ(笑)されていた。このBlogはハッピーネモファームのBlogで、昨年のフォーティナイナー産駒の最高価格馬はこのハッピーネモファームがコンサイニングしていた。セレクションセールでは目立たなかったが、私がHPでインタビューを掲載している藤沢澄雄さんのエバグリーンセールスコンサインメントもセレクトセールでは1億円を売り上げている。そう思うと馬市ドットコムが提携するこのコンサイナーたちは、つくづく強力軍団ではある。

で、名士と名刺交換したSYU氏から私の所に連絡があって、昨日の拙記事にあった「ハッピーネモファームは13頭中12頭売却」は間違いで、1頭は欠場、12頭上場して12頭完売だったそうだ。記事を訂正しておいた。ハピネモさん、スミマセンでした。

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セレクションセールの当歳部門はどうやら平年並みという結果。購買者の多い主力の1歳部門とやや弱い当歳部門の開催日を逆にして、1歳を先にしたのはできるだけ多くの購買者を翌日に残したいという意図があったと聞いたが思惑通りには行かなかった。詳しい内容はまだ見ていないので、いずれそのうちに。



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June 10, 2007

雑記(2)

外は雨が降っている。そろそろ梅雨か・・・

天気が良ければ3週連続で東京競馬場へ、と思ったがやめにした。雨降り馬場では予想が当たる気がしない。ただでさえ当たらないのが更にひどくなるから、金を捨てに行くようなものだ。やめたやめた。

宝塚記念までGI(JpnI)がとぎれてエアポケットみたいになっている。
ひさしぶりに自宅で映画(DVD)を見た。CSで映画を見て「あ、また見たい」と思うと録画する。余程気にいるとDVDを買ってしまったりもする。それやこれやでたまった映画が100本近くあるが最近は見なくなっていた。ひさびさにみたのだが、やっぱりキム・ベイジンガーはいい。年をとるほどに演技にキレが出てきている。「女」の凄味。この女優は好きだ。そんなことを考えていたら、競馬が遠くなって、いつでもやめられるような気がしてきた。

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それはさておき、競馬Blog界隈で気になった話題など。

1)海外レースの放映権について。

 『「競馬栞」の補足』 http://d.hatena.ne.jp/umatoneko2/20070531 あたりで話題にしていた海外のレースの放映権について。

私がかって仕事としていた関東UHFの「中央競馬ワイド中継」の場合、JCなどの参考レースもニュース素材としても海外のレース映像はすべてJRA広報室から配布されていた。フジテレビやテレビ東京も同じだった。その時々でPRセンターで受け取ってくれとか、グリーンチャンネルで受け取ってくれというケースもあったが、放映権とその映像の取得はJRA広報がやっていたとおもう。たまにグリーン・チャンネルが独自に取得した映像を使う場合には「映像提供グリーンチャンネル」といったクレジットを入れたこともある。

で、当時(4年以上前)は毎年エミレーツ・ワールド・シリーズが行われていて、これはNHKが国内での放映権を独占的に持っており、BSで放送していたため、JRAはNHKから放映権を孫請け的に買っていたと思う。今はどうなっているか知らない。それ以外の主要なレース(米英のクラシックなど)は海外の放映権を持っている局または管理会社から直接買って、全国の「競馬中継」制作局に配布していたと思う。そして、これらのレース映像は「30秒以内」とか使用する時間に制限がついているのが普通だった。

グリーン・チャンネルの場合は独自に海外のレース情報を合田直弘氏が紹介しているので、JRA広報室だけでなく独自に入手しているはずであるが、それを局が自前でやっているかどうか、ちょっとわからない。案外合田氏に依頼している可能性もある。

上記『「競馬栞」の補足』によるとK・ダービーが放映されなかったということらしいが、TrackNet Media Groupについては私は知らない。ただ、最近は主催者や主催者と契約した映像管理会社が放映権料をかなり高く設定する傾向があるような気がする。私が知っているのは凱旋門賞で、これは「IMG」という会社がやっている。サッカーのワールド・カップやオリンピックの映像管理もやっている会社で、元々はプロスポーツ選手のマネージメントをやっている会社のようだが私は会社そのものには詳しくない。

99年にエルコンドルパサーが凱旋門賞に挑戦したときまでは凱旋門賞の取材はかなり自由に出来たし、ゴール近くのラチ際に日本人プレスのためというわけではなかろうがカメラマン席が仮設され、かなりいい映像が撮れたし、帰国後自由に使えた。それが02年のマンハッタンカフェが遠征した時はIMG社と取材交渉をしなければならなかった。取材カメラ1台を入れるのにかなり高い金額を言われた記憶がある。しかも、高い金を払って自前で撮影した映像でも、再使用する際には秒単位でいくらかかりますと言った料金設定で話にならなかった。
結局取材は断念したのだが、マンハッタンカフェは13着と良いところ無く敗れたことは、関係者には申し訳ないが、多少の慰めにはなった。ただ、べらぼうに高い金額を設定して、結果映像素材が持つ宣伝効果を全く殺してしまっている。そう思うと腹が立った。
昨年のディープインパクトの凱旋門賞もNHKでなければ放送できなかっただろうし、あのレース映像を今後TVで見る機会というのはまず無いだろうと思う。

放映権料というものが何を根拠に金額設定されているのか知らないが、当然マーケティングもしているのだろうとは思う。ただ、平均的な競馬ファン(日本の)が海外で行われているレースに対して持っている興味とか認知度を思うと、まずタダでもいいから放送して認知度UPをはかった方が得策だと思うのだけど、どうなんだろう。

ちなみに、私が知る範囲で最も自由に取材が出来て、映像も使わせてくれたのがHKJCで、こちらの取材した映像にレース映像を加えたい場合にテロップの入ってない映像が欲しいというとすぐに用意してくれたり、広報担当者(に限らないと思う)のフットワークは実に軽かった。日本語の出来るスタッフも3人はいた。こういう経験をすると、また取材に行きたいと思うもので、そう思わせてしまうあたりがHKJCのうまいところだなあと感心したのだが、映像の管理は主催者によってピンからキリまで、JRAは海外に対してどういう扱い方をしているのだろう?

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2)競馬マスコミのレベルは低い?

という議論をしばしば見かける。まあ、低いね。そう思う。無論、競馬に限った話ではなく、日本のマスコミはレベルが低いと個人的には思っている。じゃ、海外はそうではないのかというと、これはよくわからない、というのが正直なところ。海外でも国によって高低色々あって、相対的に日本のレベルは低そうだと、漠然と思っているといったところ。

もろもろあちこちのBlogに書かれている取材現場の事情はそれはそのとおりだと思うのだが、それ以前に、痛切に思うのは、マスコミが世論をリードする、あるいはすべきという考えは幻想だろうということで、マスコミは「売れる」記事をつくって売っているにすぎない。太平洋戦争前「反戦」を主張した新聞はどんどん発行部数を減らしたといわれている。これは大政翼賛会などが組織されて不買運動が行われたという話もあって例として不適切かも知れないが、開戦を謳わないと新聞が売れなかったというのは事実としてある。国策的な圧力はあったにせよ読者側がマスコミをリードしたひとつの例である。

季節柄POG本が出回っている。そこに紹介された馬たちにどれだけ裏切られてもPOGファンは青本や赤本の記事を頼りにするだろう。毎日毎日馬と向き合い、それを何年も続けているホースマンですら容易に馬を見ることが出来ないのに、ファンはたかだか予想家の記事でPOG馬を選んだりしてしまう。この情報の送り手と受け手のバランスはまあ微妙に釣り合っている、という気はする。

また、読者側がリードするという点で結構敏感なのは専門紙で、本紙予想が当たるか当たらないかは売上げにかなり影響があるという話も聞いたことがある。だから、本紙を担当する人間は相当に神経をすり減らすらしい。他人の予想をアテにするファンが多いのである。そうなると厩舎のコメントだって大事と言うことになるだろう。ぶら下がり取材を必要としている読者は多いのだ。
あるとき海外競馬通の老人に「アメリカの新聞に厩舎コメントなんて無いぜ、だって厩舎の人間がホントの事言うわけねえだろ、そんなもん誰も信じねえよ」と一喝されたことがある。なるほどそうだ、そのとおりと思ったけれど、でもやっぱり私は今でも読んでいる、絶対必要というわけではないけれど・・・

競馬の世界で事実を報道し、公平かつ適切に論評を加えるといった「ジャーナリズム」を少なくとも専門紙や予想家に求めるのは無理がある。TVやラジオはJRAがスポンサーで、やっぱり無理。メディアでこれが出来るのはやはり新聞か雑誌、それにこれからありうるという意味ではネットだろうと思う。ただ、そういった「ジャーナリズム」にどれだけの需要があるのか、不要とは思わないし、むしろ絶対必要だと私は思う。が、需要は極めて微少だというのが現実だろう。



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May 12, 2007

雑記(1) 

このBlogにかなり前から「雑記」というカテゴリをつくっていたのだけど、結局何も書かずじまいできた。競馬以外のこともあれこれ書きたいと思ったのだが、結局最初は競馬のこと、最近のニュースからあれこれ思うことを。

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NHKマイルCで某騎手が勝っても共同記者会見も含め取材は受けないと「ほのめかしていた」という、須田鷹雄氏が発信源となっているニュースについて競馬Blog界隈が騒がしい。

その件で私が思うのは、やはり内厩制の弊害じゃないかということで、騎手も調教師もJRAの制度の中に囲い込まれることでファンと直面する必要をほとんど感じ無くなっているのではないかという気がする。言い替えると競馬学校を出れば就職は本人が拒否しない限りほぼ100%がJRA騎手になれるわけだし、本人がやめると言わない限りまず解雇されることもない。
免許の更新にしても基本的には一定の騎乗回数をこなしていれば更新できるわけで、不祥事を起こした人間の免許を剥奪すると言っても八百長に荷担するか、その他では禁固刑以上という縛りがあるに過ぎない。
ついでにいえば、中央の騎手には騎乗手当(平地の一般のレースで騎乗1回につき26,000円)や騎乗奨励手当(騎乗1回につき17,000円)というのがあって、毎週土日1回ずつ乗れば、フツーのサラリーマンくらいの暮らしが出来る。これに馬主からの進上金やトレセンで調教をつけたときの手当などが加算されてくるから競馬学校の騎手課程さえ出てしまえば、これほど「プロ」として食いっぱぐれの少ない「プロ」もいないだろうと思う。これは調教師も同じで、調教師出走手当(出走1回について88,000円)が支払われている。ビンボー人のひがみかもしれないが、ちょっとこの数字には驚いてしまう。

本来あるべき姿を考えるなら、騎手や調教師の免許交付は(ついでにいえば裁決とかハンディキャッパーとか審判部に類する仕事も)第三者機関が地方も中央も一括してやるべきで、海外のジョッキークラブのような組織があってもいいと思う。そしてJRAや地方の主催者はそういう調教師や騎手の免許を持った者と期間を区切って別途契約を結ぶ形で調教なり騎乗なりの仕事を許可するほうが健全ではないか。そうすれば実力のある者は自然と賞金の高いJRAを目指すし、実力の劣る者は地方で修行することになり、実力主義が一貫されるし、契約であれば、記者会見やファンサービスへの参加を義務づけることだって可能だろう。さらに不祥事を起こした場合、その状況によっては契約を打ち切ることも可能になる。騎手や調教師と個別契約を基礎にした形で「内厩制」をどう維持するか、困難も多々考えられるが模索する価値はあると思う。

おおざっぱな感想で、深くあれこれ検討したわけでもなく、ほとんど思いついたままを書いてみたがいかがなものだろう。

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拙Blogに吉田直哉氏からコメントを頂いた。私のとんでもない記憶違いを指摘されて、恥ずかしいことこの上ないのだが、とりあえずその記憶違いについて謝罪のメールを送ったら、近況報告と題した返事を頂いた。

その一部を抜粋すると

  生産馬の質も徐々に上がり今では日本はもちろん、米国や欧州に生産馬を送っていま
  す。先月ニューマーケットで生産馬4頭が黙々と坂路で調教されているのを見て生産者
  としての幸福感が体中に満ちてくることを感じました。シャンティー在厩馬の1頭が新馬
  を圧勝して重賞クラスに上がりました。別の市場購入馬も先週ドイツの準重賞を勝ち
  いよいよ世界に挑戦する準備が整ってきたように思います。

とのこと。

前にも書いたが直哉さんはテンポイントで知られる吉田牧場の長男、夫人のマリさんはフランス人で、ヨーロッパ生産者連盟の事務局長を務めたこともあるホースマンならぬホースウーマンとして知られている。夫妻は現在米ケンタッキー州に開いたWinchester Farmの経営者として腕をふるっているのだが、安田記念で香港のフェアリーキングプローンが優勝したときに、この馬をオーナーの代理人としてオーストラリアのセリで落札したのも、安田記念にと進言したのも吉田さん夫妻と知って取材させていただいたのが私がお付き合いさせていただく最初のきっかけだった。その後、日本を離れアメリカで牧場を始めたときにお手紙を頂いたり、香港でお会いしたりしたものの、私が会社を辞めた後は音信は途絶えたが久々の復活で、うれしい事この上ない。
いずれ、ロングインタビューをお願いしたいと思っているが、まだまだ私の方が力不足。どうなるか。とりあえず今年のセレクトセールには来ると言うし、是非行ってお会いしたいが・・・

          ****

で、吉田さん夫妻を知るきっかけになったフェアリーキングプローンの記事を書いたのがライターの小栗康之で、吉田さんがきっかけになって彼と知り合い、今や仲のいい友達。彼とは14日の千葉サラブレッドセールに一緒に行く約束をしている。その報告はまた後日。

で、先日の境共同TCのセールにも今度の千葉のセールにも大作ステーブルの育成馬が上場されている。大作ステーブルの村田大作さんの名前を教えてくれたのも小栗康之で、昨夏GCの番組で取材させていただいた。大作ステーブルの育成馬はただいま快進撃を続けており、昨年の北海道トレーニングセールで売却した13頭中4頭が勝ち上がっている。その筆頭が京都新聞杯で人気になったフェザーケープ。セリで売却された馬ではないが、今日の葵Sに出ているマセラティスタも、伏竜Sに勝ったメイショウエグルも大作ステーブルの育成馬。設立5年目(昨年)の実績としては立派なものだろう。

村田さんやHPにインタビューをUPさせていただいた藤沢澄雄さん、ハッピーネモファームの根本さんなどは馬産地で組織された「コンサイナー連絡協議会」の仲間で、そういえば今日の京王杯SCには藤沢さんの生産馬グランリーオが出ている。ということで、予想も何もなく単複買って応援するつもり。以前のように先行すれば持ち時計はある、なんとかならないか。

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う〜ん、雑感程度に書くとなると、書きたいことが山のようにあるなあ、、、。
本日これまで(笑)


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