担当者より:ライターの雨宮まみさんが2007年に人気ドラマ『華麗なる一族』について書いた原稿です。また、雨宮さんのお仕事でウェブでも読めるものとしては、『mens Now(メンズナウ)』の連載「AV監督への33の質問」や、ポット出版で連載をされていたコラム「セックスをこじらせて」があります。そちらもぜひ!

配信日:2007/03/07


皆さんは『華麗なる一族』(TBS・日曜夜9時)というドラマをご存知だろうか。TBS開局55周年特別企画ということでどの場面を見ても札束に羽が生えて軽やかに飛び去っていくのが見えそうな豪華ロケ、木村拓哉主演で、その父にして敵役の北大路欣也を配し、登場シーンがさほど多くないチョイ役にすら成宮寛貴や山田優が出てくる豪華キャストで日曜の夜を華麗に彩っているドラマである。

あまりの豪華さに一瞬「これは『本格派ドラマ』だ」とカン違いしそうになるが、だまされてはいけない。豪華は豪華だが、『華麗なる一族』の本質は『真珠夫人』『牡丹と薔薇』といったドロドロ系の昼ドラに限りなく近い。権力争いに愛憎劇、出生の秘密、親子の対立といった昼ドラのドロドロをゴージャスでコーティングした『華麗なる昼ドラ』が『華麗なる一族』なのである。ドラマ自体はもう終盤にさしかかっているが、今日はこの『華麗なる一族』のラブシーンに注目してみたい。

このドラマ最大の濡れ場は、なんと3P未遂である。第一話で衝撃的に登場する万俵大介(北大路欣也)の寝室にはベッドが三つ並んでおり、中央に大介、左右にそれぞれ妻と愛人が日替わりでやすむことになっているのだが、大介は日替わりセックスに飽き足らず、妻と愛人を同衾させて3Pに持ち込もうとするのだ。過去には3Pがショックで妻が自殺を図ったこともあるというのに、それでも3Pをやめない大介。そんなに3Pが好きですか? 人命よりも3Pが大事ですか? と問いかけたくなる絶倫ぶりだ。夜9時代ということもあり、深夜ドラマ『特命係長 只野仁』のような露出度はないものの、3Pあり、義父による息子の嫁へのレイプ疑惑ありと描かれる性生活の内容のエグさはかなりのものだ。

女優の肌の露出としては、愛人役の鈴木京香が下着姿を披露し、熟したエロスを振りまく程度だが、一方で北大路欣也に至っては乳首まで出しての熱演ぶりだ。正直、北大路の乳首はありがたいというよりはハラハラする感じだが、その乳首の「タブーを冒している感」の強さはすごい。「見ちゃいけないものを見てる感」の強さでは、鈴木京香の下着姿より断然上である。嬉しくはないけどインパクトはある。嬉しくはないけど「北大路に乳首まで出させるほど、このドラマはすごいドラマなんだ」ということを、北大路の体当たりの演技によって否応なしに感じさせられてしまうのである。

というわけで、ビジュアル的には「北大路欣也の乳首」が最大の「豪華」と言っていい『華麗なる一族』だが、実は最もセクシャルな見所はラブシーン以外にある。毎回襟もとの詰まった服で登場し、はからずも巨乳が強調されてしまっている長谷川京子が隠れた見所なのだ。長谷川京子はこのドラマで白を着用することが多いのだが、第8回の放送では白いブラウスから白いキャミソールが完全に透けており、北大路の乳首からは得られない純粋な喜びをお茶の間にもたらした。

ストーリーが法廷劇に移り、今後濡れ場は減少するのではないかと思われるが、長谷川京子の白いブラウス姿はまだまだ期待できる。今まで見逃していた人もまだ手遅れではない。ピッタリと身体の曲線にフィットする長谷川京子のブラウス姿、一度、ご覧になってはいかがでしょうか。


●雨宮まみ(あまみや・まみ)
ライター。エロ・AV業界などに関する批評やコラムを中心に執筆活動を展開している。共著に『エロの敵』(翔泳社)、『リビドー・ガールズ』(パルコ出版)がある。
ブログ:雨宮まみの「弟よ!」