2008年04月10日

アメリカン・ドリーム

 子供が春休みにサンフランシスコに短期留学してきた。ホームステイをしてきたのだが、どうもそのスティ先が超高級住宅街なので、気になって少し調べてみた。
 彼のいたところはLos Altosという町で、そこで売りに出ている不動産の平均価格は、Yahoo!の不動産サイトによれば 約1億9000万円(中央値)。
 このサイトの価格リストのすぐ隣に「周辺の小学校」というタブがあって、それをクリックするとなんとその地区の小学校の全国学力テストの成績が載っている。日本でも不動産広告には近くに小学校があるとか、ショッピングセンターがあるとか言う情報は載っているが、まさかテストの成績が載っているものはないだろう。
 で、その点数を見ると、全国平均が34点のところ、この地域の小学校の平均は88点。平均が34点ということは、例えば10点とか20点とかいう小学校も少なからずあるということだ。そう考えると88点という数字はものすごーく高い。
 実際、子供が現地の小学校に行ってみると、5年生で元素の周期表を覚え、代数を習っていたという。さらに気になって、その小学校を調べてみたら、どうやらその地区でもトップクラスである(こちらは別なサイト)。このサイトにはこの登録児童数395名の小学校の人種別の成績なども載っていて、空恐ろしい。さらに驚くべきは、親の教育水準についての記載もあって、この小学校では実に親の65%が大学院以上の教育を受けているらしい。断っておくが、公立小学校である。
 不動産のページに小学校の成績が載っているということは、つまり、お勉強のできる学校を目指して人が集まり、それが不動産価格を上昇させる。結果としてお金持ちだけが「よい」教育を受けることができ、その「よい」教育を受けた人だけが再びお金持ちとなって自分の子供に「よい」教育を受けさせることができるという格差の再生産システムがそこにできあがる。
 ちなみにこの小学校の近くにあるスタンフォード大学の授業料は年間約380万円。寮費なども含めると年間500万円ほどか。でもご安心あれ。年収10万ドル(約1000万円)未満の「低所得者(!)」世帯には授業料を全額免除してくれるらしい。
 かつては機会均等、アメリカン・ドリームといわれたこの国の実相は−そりゃ、いまでもそう人もいるだろうが、また逆にもっとシニカルに言えば多くの先住民や黒人にとってそもそもアメリカン・ドリームなんてものは過去にもなかったのかもしれないが−現実にはまず起こりえないという意味でのアメリカン・ドリームでしかないのかもしれない。銃による死者数が毎年1万人を超える、まさに戦場のような国の、光と影である。
 しかし、翻ってみれば自殺者が3万人を超えつづける日本の姿もさして変わらないし、自らもその格差拡大のシステムの中に知らず知らずのうちにも一定の立ち位置を得てしまっている。成績がよくても経済的理由で大学にいけない人がいる一方で(人を街中で襲うかどうかは別にして)、小学生にして短期留学に出してもらえる子供がいる。わずかな年金からさらに保険料を取られ、まともな生活もできない人もいれば、孫にブランド品の洋服をいくらでも買ってやることのできる人もいる。日本もまた戦場のようである。

biwako_strawbale at 18:34│Comments(0)TrackBack(0)clip!

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