2008年04月20日

No Child Left Behind

堤未果さんの「ルポ 貧困大国アメリカ」を読んだ。今年の1月に上梓された本だ。その中でも詳しく述べられているが、アメリカには落ちこぼれゼロ法(No Child Left Behind Act)というのがある。要約すると「学力低下は国力の低下である。したがって全国一斉学力テストを義務化し、その結果に基づいて教師および学校を処遇する。」というもの(ん、どっかで聞いたような)。学力格差の縮小を達成した場合のへ報奨制度などを謳ってはいるものの、「学力テストの結果は州全体の成績のほか、各学校単位、(人種別などの)生徒集団単位で公表」するとある。各学校の成績がウェブでも簡単に入手できる法的根拠がここにある。こうした情報は、前のブログでも書いたように、不動産情報と結びつき、格差縮小どころか格差拡大の原動力となっている。
 恐ろしいのはココからである。この法律には、あまり知られていないが、「新兵勧誘のためにアメリカ軍の求めのあるときは、全米すべての高校はその生徒の氏名・住所・電話番号のリストを原則開示しなければならない」という条項がある。本来個人情報は原則不開示で、本人の許可のあるときのみ開示できるとするのが普通で、きわめて異常な条項である。こうして絡めとられるようにして入隊し、イラクに送られて命を落とした若者が一体どれぐらいいるのだろうか。格差社会の底で、暗闇のようにぽっかりと口をあけて待っているものがいる。No one was left behind me. それは後ろにいたはずの人々がすべてこの闇に飲まれてしまったからではないのか。
 当然日本の中教審でもしっかりとこれを参考にしている。やがて今年も、それを真似した「全国一斉学力テスト」が始まる・・・
 そもそも、落ちこぼれも吹きこぼれも、なにか枠に入れようとするからおきるのであって、枠さえなければ落ちることも吹きこぼれることもないんだけどなあ。
 堤さんの本には、このほかにも中流が下流に、下流が最下流へと落とされていく仕組みが、蟻地獄のようにアメリカ社会のいたるところに仕込まれていることをドキュメントしているので興味があればどうぞ。

biwako_strawbale at 00:25│Comments(0)TrackBack(0)clip!抱懐 

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