2012年11月19日

佐久間新さんWS@たんぽぽの家

Ken Robinsonも語っているが、学校教育の中でいつのまにか階層性が生まれ、数学ができる子が一番で,次に英語、国語、理科、社会.音楽や美術は下位にみられ、体育は最下層に見られる。さらに、ご丁寧なことに、音楽、美術、体育の中にまで階層性があって、クラシックは上位でヒップポップは下位、油絵は上位だけれどアニメは下位、バレエは上位でブレークダンスは下位などとなる.

入学試験で計られるのもー美術系、音楽系の学校でもない限りー「主要5科目」あるいは場合によっては英数2科目だけだったりする.必定、身体性のない「脳みそ」だけが大学を闊歩する.

で、たんぽぽの家にいってきた(この「で」の間に長いストーリーがあるのだがそれは端折るとして).主たる目的は,佐久間新さん(+本間直樹さん)のワークショップに参加すること.S先生のプロジェクト科目に参加している学生7名と教員3名で参加.バスの中での学生たちのテンションは異常に高かったが、彼らは佐久間さんなる人物がどのような人かはよくわかっていなかったので、おそらくそれは修学旅行のような気持ちの高ぶり.一方、私の方は前日からワクワクしすぎて、いつの間にやら首をイワシて少し意気消沈.おいしいスープをあわてて飲んで、ひと口めでやけどをしたような後悔感を抱いたが、こうした制約条件も受け入れてありのまま動くのがいいのだ、と妙に納得して張り切って現地に乗り込んだ.

到着後、佐久間さんのご高配で、施設見学もさせていただくことができたので、まずはレポート第一部は施設について.

一言でいうと鳥肌が立つほどすごかった.僕らが着いたのが夜の7時頃だったために既に作業者は一人もいなかったが,アトリエ内に設けられた個別のブースなどのを拝見させてもらった.一人一人が最大限に尊重されていて,日本にもこういうところがあるんだな、という感じ.一般の学校教育の中では下位 あるいは枠外とされてしまうような人々が,自分のための創作活動を通じて、自分にもそして他人にも「価値」のあるものを生み出している....

とここまで書いて、その先が書けなくなった。僕らは「価値」を生み出さなければ生きていけないのだろうか.「価値」となにか.あるがままでは生きていく「価値」すらないのか.

それは説明にあたってくれた施設のOさんの話とも関連する.絵はがきのようなものは、収入の数パーセントが作者にわたる.絵画のように作品そ のものが売れた場合にはもっと収入になる.そのこと自体は,施設の運営にも作業者の生活にもプラスであることは間違いないが,一方,課題もあると。それは創作活動に従事しない障がい者の方の関わりをどうするかということ。売れっ子アーティストは収入もそれなりに上がっていくが,それはそう ではない人たちとの格差を招く。そこで、施設としてみんなで売っていくものの開発につとめているとのこと.階層性はこんなところにも忍び込んでいる.

先日のゼミである学生が「お金を使うのって人間だけですよね」といった.いつから我々は貨幣を使わなければ生きていけなくなったのか.いつから私たちは路傍の草木や動物たちのようにお金を介在させずに生きていくことができなくなったのか.

もちろん貨幣の機能は知っている.価値尺度、交換手段、富の蓄積手段.でも貨幣の機能はそれだけではない.例えば交換機能の裏側には分断機能がある.Aさんの流した汗は、貨幣に交換され、Bさんに渡るとき意味を持たない.腐りやすい魚が、貨幣に交換され、山の幸となるときに、その魚が結局腐ってしまったのか、それとも誰かのおなかを満たすことが来たのかは分からない.

実は貨幣の正体を知る経済学者はいない.

フラットなシステムを作ることは難しいことだな、とぼんやり考えているとワークショップの時間になった.

やる気満々の我々を前にして、佐久間さんは、お茶をすすりながらゆっくりと場をほぐしてゆく.そりゃ、こういうワークショップって、ある意味、皆で素っ裸になって、口の中に手を突っ込んで腸を引っ張りだして洗うようなものだから、恥ずかしいし、おいそれと始められるものではない.

それでも、徐々に佐久間さんのリードで皆が動き出す.飛んだりはねたり、ぐるぐる回ったり.あるいは、寝転がって声で遊んだり.そのうち、本間さんが楽器を引っ張りだす.実はこの楽器がすごい。ガムランのフルが2セットもあるのである.その深い音色に魅了されながら、ますます心地よく体が動く.

こういうときのリーダーの役割ってすごいと思う.オーケストラの指揮者のように全体を動かしていく.動かされるほうは、まねをしながら、調和しながら、でも一方でその調和をどう裏切ってやろうかということを考えて動いていたりする.皆が同じ動きをしていたらつまらないからだ.

そんな中、ふと中央の空間があいて佐久間さんと二人になった.既に「鳥」だった僕たちは、絡み始める.僕の心の中では、琵琶湖に舞うトンビたちの姿を思い浮かべてのイーグル・ファイトだったのだが、佐久間さんは何を思っていたのか.

やがて音楽は鎮静へと向かい、僕らは「あちらの世界」から静かに戻る.解放された悦びを持って戻る.

初めての体験だったけれども本当に楽しかった.首のこともすっかり忘れていた.佐久間さんからは「滋賀大でもやりましょう」といってもらえた.僕の妄想は、これでまた一歩、実現へと近づいた.

biwako_strawbale at 09:57│Comments(3)TrackBack(0)clip!

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この記事へのコメント

1. Posted by きがん   2012年11月20日 22:52
いいね!!

2. Posted by しん平   2012年12月01日 21:01
ねねねねね!たんぽぽの家いいでしょ!
佐久間さん、いいでしょ!!
3. Posted by 藁の家の住人   2012年12月01日 22:16
ほんまに、よかったです。
23日も楽しみです。

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