薩摩琵琶演奏家・水島結子のまるごとビワビワブログです

こんにちは。
コロナの白黒画像が目につきすぎてうんざりなのでなんとなく新型コロナウィルス…ではなくて「新コロちゃん」と呼んで嫌な思いを紛らわしている私です。


全然コロナ問題解決しないですね…💦

街は結構な人で溢れていて、リモートワークで気分転換に家を出ているのか、春休みで単に出かけているのかわかりませんが地元は毎日土日のような混み具合です。

コンサートやイベントって実際、土日の「行く場所」だから、行く場所がなくなった今、みんな行くところがないのではないか…
そもそも外に行かないようにするためのリモートワークだったり一斉休校じゃないんかい😂

たまたま朝早くバナナとはちみつヨーグルトを切らして(最近これに麻炭パウダーとヘンププロテインを入れるのに激ハマり中です)スーパーに行ったら開店前におばあさんたちが並んでいて「こんな早くから待って買い物するのかー」となにげに列に並んだら全員生活用品コーナーに走ったではないですか。
バナナとヨーグルトを目指していた私もなぜか並んだためにマスクが買えました…。女性、子供用ですが。
そのマスクはお師匠の来週のコンサートに提供しました。
お客様でマスクをしてらっしゃらない方にお配りしようかなぁと。
私の演奏は今月は4件なくなってしまいましたが、演奏がある方に使ってもらえたらと思い。

で、おばあさんたち並んじゃダメじゃないかい😂😂抵抗力ない方は重症化しちゃうというんだからちょっとこんなおばあさんたちばっかりで変だな?と思っていたら孫に頼まれたとか、家族に送るという声が聞こえ…
うーんちょっと違うのでは…とバナナとヨーグルトを抱えて思ったわけです。


バナナとヨーグルトだけでは便秘にいいわけではなく、ヘンププロテインと麻炭がポイント。
ジムワークの前後にホエイプロテイン飲んだらしていたけど、たぶん私乳製品に弱いかも。。
と気づいて麻の実のプロテインにしています。きなこみたいで美味だけどヨーグルトに入れないとマジで粉。
ホエイは乳ですからね…時間があったので前からやりたかった遅延型アレルギー検査までしてしまいました。これには賛否ありますが、あきらかに食べると調子悪いものってあるからね…。
自己判断だと小麦粉と乳製品な気がしてます😂結果は2週間後。。


さて。コロナ問題で仕事がないよーというのはどの業界でも同じだし、こんなことはみんなにとってかつてないこと。
だからと言って急に暇ができて(仕事量も減ってるし)情報をむやみに取り入れて不安になりまくったり、デマにおどらされていてはストレスが溜まるだけだなぁと思い。

早々に春まで稽古月間‼️と決めてコツコツ日頃できない細かい稽古ができております。
見事に一日中家にいて国民のお手本かい😂😂

でも恋愛で悩んだ時に得た教訓ですが、「暇だと悩む」。
暇にしないよう、日頃できないことをやってみたら、自分の勉強が足りないところなどをやってみると良いかもしれません。
なので結構毎日忙しくしております…。


さらに自分の体とも向き合い、腸内環境を整え副腎疲労の回復強化期間にしています。
偏った味覚(甘いものほしい!しょっぱすぎるもの食べたい!)は体からのSOSよ!というのを無視しすぎてました…。自分で出した琵琶の音を聞かずに歌い続けるようなもんですなぁ。

なんでも琵琶の話になりますが、体調には気をつけてお過ごし下さい🎵


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コロナコロナで大変な世の中ですが、いかがお過ごしでしょうか。
私もいろいろと予定が変更となり、いまが稽古だからと思い、稽古三昧です。
どうぞ皆様ご自愛下さい。


去年の夏に撮影していたのであっという間だなだと思いながら、
今月、来月放送で「麒麟がくる」10.13話に芸能一座の歌い手役で少し出演させていただきました‼️
3月22日日曜日、4月12日日曜日予定‼️

歌うシーンでも「今様」のような歌を歌わせていただいています。

完全にオカメヘアですが、ご覧ください🎵時代的に薩摩琵琶はないので琵琶弾いていませんー。
同じ衣装の方が何人かいるので見つけてくださいませ。

それゆえ、髪の毛がまっくろなんだよーん。
地毛に鬘をつけていただきました✨
その様子はぜひテレビで🎵


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コロナウィルスはどんどん感染者が増えていくけど、政府のやり方がほんとダメだなぁとガッカリする限り。

1月半ばあたりから2月に韓国に行く予定をやめた方がいいかなと思い、早めにキャンセルしてよかったなと改めて思います。
検査してないからこの数で止まっているだけで実際はもっとたくさん感染者がいるはず…。
で、イベントや公演だけが自粛、自粛、でちょっと辟易です…。
友人で結婚式を控えている人がいて、その人にも心なく「式を開催して感染者が出たらどう責任取るんだ‼️」などと心ない言葉を投げる人がいるようで…😢
一生に一度の晴れの場になる予定が責められるだけでなく、キャンセルしたらキャンセル料を払わなくてはならないなんて…。実行するなら責められる…ってマジで地獄では❓責めるべきはその人ではない…。

音楽イベントも同じで、主催者は場所代やチラシ製作代などはもう払っていて中止にしたら単純に全被り。
行っても人はまばら、やったことを責められる…とほんとにしんどいですね。

そんな日々を過ごしながら、ちょっと思うこと。
こういうときは引きこもってテレビやネットばかり見ずによく食べ、よく寝て体力をつける‼️

私自身が万年ダイエッターだから思うのです。
いまはダイエットしてはいけない。
ダイエットすると免疫が落ちます。
風邪も引きやすい…どうしてもタンパク質摂取量が減る。
そして普段寝ていなかったりすると一発です。

よく食べ、よく寝る。
そして家でできるスクワットや軽い筋トレで体力温存。
簡単ですが、普段やれていないことだと思います。


なるべくなら運動は歩くのがベストだけどマスク不足で不要な外出は…なんで言われるならばおうちエクササイズでよいかなぁと。
ジムがそんなに得意じゃないから私はなんてことない💦

幸い私は通勤がないので、ここぞとばかり細かく稽古したり資料まとめたりして過ごしています。
全然人と喋らないし、儲からないけどね😢
でも今は備えるときであると思った方が、情報に振り回されるよりも気持ちが楽かなと思って…。

風邪くらいは大丈夫でコロナは怖い、じゃなく、風邪も感染症だし甘く見ずに自分の体と向き合う必要があるなぁと思ったのでここに記します〜
本来は風邪引いたら外出るなよ、だからね💦
無理してふだんから外行ってるからよくない。。

コロナを防ぐのはもちろんだけど、感染症に負けない体力作りも並行したいものです、ということです。

皆様、お気をつけてお過ごし下さい。

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先日、師匠が長年演奏をともにされているデーモン閣下の「邦楽維新collaboration」を観に行ってまいりました。

いわゆる切り絵の杵淵三朗さんの作品をバックに演奏。手で下絵なしで彫ってゆかれるそうで精巧な手法にびっくり。
さらに朗読劇のなかでの絵や「日本書紀」の写しまで切り絵で作られていてびっくり。「大化改新(乙巳の変)」をテーマにしたものでした。



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歴史学専攻としてはゲキアツな感じで拝見。ほんとは飛鳥、奈良時代専攻にしたかったのだけど担当の先生がいなかったので中世古文書のゼミにいた私。。
変体仮名なんて読めても人生なにも役に立たない!と実学系の人に言われ続けはや十数年。
最近やっと無駄に読めてよかった系のシーンが笑

師匠の家にあるのでいつでもいいやと思い、見ていなかった(爆 「日本書紀」の写し。ほかにも「高野切」「和漢朗詠集」「源氏物語絵巻」「平家物語絵巻」などの写しをお持ちで(子供の頃の誕生日プレゼントだったそう…でも昭和期で生産100本限定、一本20万とかなんだが…)

さすがに「源氏物語絵巻」「平家物語絵巻」は見させていただきましたが、なにがいいって、墨で書いてあるからね。
古文書読むのも稽古。
「高野切」は高野山に伝わる仮名で書かれた和歌を集めたもの。
漢字のが読むの楽なんだよね。。
仮名は崩してあるし、濁点がないので
「詠み人知らず」が「よみひとしらす」となっていたり。

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琵琶奏者は原文で仮名も読まなきゃダメだ!とやたら理想が高いお師匠ですが、素晴らしい気づきをいつもくださいます。

変体仮名辞典持っててよかったよ。。

橋本治先生の作品、「雨」は途中に閣下の「傘がない」の歌が入ったり、切り絵で雨が降ったりと情緒満載☔️
閣下の演技炸裂な朗読がほんと素晴らしい。
いつも朗読は自分でやって自分で弾いているのでついつい朗読とその伴奏に注意して聞きいってしまいました^_^

去年から舞台で師匠の友吉鶴心が用している「吉岡友次郎作の太郎」はもともと薩摩琵琶錦心流の大舘派を率いられた大舘洲楓先生の所有の楽器。
鶴田錦史先生はそれで「ノベンバーステップス」を弾きたかったそう。
この楽器は通常よりも大きめなのもあり、かなりの響き。もちろん最高級の鹿児島の総桑。
いまは鹿児島で桑が取れないんですが、やはり薩摩琵琶は鹿児島の桑に限る‼️
と私は思っています。
しかも明治大正期に製作されてるということは江戸時代から自然乾燥している逸品ということ。。


「ノベンバー…」については私もいろいろ考えがあるので詳しくは述べませんが、これこそ呼吸と間の集大成というか。だからといってこれが流派の最高奥義とは思っていないんですけどね。
なんか『るろうに剣心』でいう「天翔龍閃」的な扱いされることが多いんだけどさ…。丁寧で正確な抜刀術、みたいなものよ(違

でも、古典の間ができている人同士が即興で繰り広げるから面白いので武満先生もお作りになったんだろうなぁと推測します。
だから、なかなか手を出せる曲ではないなぁと昔から思っていて私はまだやっていません。

昔、飲み会で「なんで鶴田流奏者としてこれを早くから学ばないんだー」と絡まれたときに「これを最高奥義みたいに言わないでよ!古典こそ大事なんだから!」(しらふです)

みたいな喧嘩をしたことがあります笑
若かったー。


そんなこんなな経緯もあり。
ノベンバーの一部も演奏されました。
感想省略。

デーモン閣下が昔から慣れ親しんでいる師匠の林宇助作の林月と吉岡の太郎の話をステージ出してくださったのが1番嬉しく。

林宇助は鹿児島の名匠で吉岡はその近所に住む弟子なのですよ。

ね。林宇助が長田町23番地、吉岡友次郎が長田町39番地。


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明治天皇が琵琶がお好きで、その先生(元薩摩藩士の西幸吉)が林宇助に依頼して製作した琵琶がいまも東宮御所にあります。天皇も習ってたほど琵琶ブームだったんだから😂

ちなみに「林月」とは、林宇助の作った楽器につけられている雅号のようなもの。私の楽器も林月❤️



こういう学者もしらないようなことをデーモン閣下が調べてくださり、伝えてくれることのありがたさ‼️
とか思ってたら私の資料見てくださったとか😂😂
今回のお客様はきっと林宇助と吉岡友次郎を覚えてくださったろう。。とありがたく思いながら。
いまは琵琶店はどんどんなくなり、一店舗になってしまったからね…
でも琵琶が流行っていた時代たくさんの名器が生まれ、時代を経て名人に受け継がれているのを目の当たりにして感動している私🥺


後半特に嬉しかったのは「HAGAKURE」をやってくださったこと。
もーこれは死ぬほどきいた。
お師匠はいわゆる地の崩れだけやってるのにすごい閣下とあってるの…。
スリ撥は録音をかぶせてるけど、これぞ呼吸が合わないとできないよね、とかなりうら若き乙女だった私はびっくりしたのであります。

レリゴーとかを琵琶で頑張って弾くよりも何千倍も価値がある‼️

ゆあこ〜んしゃすね〜す🎵
ゆあこ〜んしゃすね〜す🎵

これぞ古典とのコラボ。
マジ原曲を聴いてほしい…‼️です。


そんな感じであっという間に終わりました〜。
とにかく歌う人、弾く人の呼吸が何より大事。それは音楽だけでなく全てのことに言えるのだなあと改めて感じました。

意味のないコラボじゃなく、意味のあるコラボをしていきたいなと思いながら、そう思われる琵琶奏者にならねば‼️とギラギラ燃えています。


楽屋仕事で琵琶の梱包などがあったのでスーツ。

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今月は着物とスーツ率高い。
男着物は着るの簡単だから私も着ようかなーとか思ってハッとした。

つ、鶴田先生の始まり!(爆
※女性です
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びわびわ〜

そんな感じで発表したわけですが、この再現演奏にいたるまで、シンガポールの陥落に関する史実や当時の琵琶界状況を振り返りまくりました。

そして、詩文をなんども口になじませ、暗記するほどに覚えるうちに変な気持ちになってきたのです。
まるでその場を見てきて、史実全体を語っているような気持ち。
これが琵琶楽なのかもしれないなと思った瞬間だったかもしれません。
全体の物語を構成し、自らの声と琵琶で語る。自らが物語に入っていく直前で止まり、演奏を聴く方にガイドしながら進めるような感じ。

なんとも表現しにくいですが。
逆に、稽古方法としてはこれでいいのだという確信が持てました。
たしかに明治、大正期に作られた古典となった琵琶歌よりは質的には落ちると思いますが、なにより琵琶歌で当時の「今」を表現したいという思いが詩文から伝わりました。


正直学術学会での再現演奏は、その演題や内容を決めて構成や資料を考え、さんざん解説で声使ったあと演奏するのだから普通の演奏会の何倍も労力がかかります。
埋もれている何百曲という琵琶歌を掘り起こすのがまず大変。

だけど、未来の琵琶楽のために当時をトレースしてさらによいもの、本物の琵琶歌を歌いたいという気持ちと本当の歴史や事実を知りたいという気持ちが合わさり続けています。

稽古だけに専念すればもっと上手くなるのだろうけど、演奏だけしてりゃいいでしょ、という時代ではまったくありません。
楽しい演目だけを集めて琵琶も明るいよ🎵なんていうつもりは毛頭なく。
だって本来の琵琶は鎮魂の楽器ですから。だから戦争で亡くなった方、遺族の方のために演奏しようとたくさんの演奏会が行われたんだと思います。
軍歌は兵隊さんを送り出す歌、琵琶歌は魂となって帰って来た人の鎮魂の歌…
そういうことが今回の発表で自分の中でふに落ちました。

吟替にあたる部分の歌詞に最も悲しいところをもっていきましたが、悲しいところをあえて陽音階で歌い上げるとなんとも言えない情緒があると、学者の先生からの感想もいただきました。

琵琶楽というものを少しでも知ってもらうためにはたくさん勉強しないとなと改めて思いました。
よい機会をありがとうございました😊



私が「琵琶新聞」に固執する理由…
もう何度読み返しているかわかりません。
令和一の愛読者と言っていい!平成の世のときも一番だったと思います笑

それは近代琵琶(薩摩・筑前琵琶)の最盛期に35年も続いた雑誌だから、の一言につきます。

社長であり編集長の椎橋松亭。彼はえらすぎる!
和強楽堂という演奏会場のブッキング担当の琵琶好きおじさんが、私財をなげうって設立した、琵琶新聞社。
そこに集まったのは当時のいろんなジャンルの琵琶好きたち。
自身が演奏しなくても陰で支えたり、時には強い意見をとおしたりそれぞれの日常に琵琶があった。
それがありありとわかる。椎橋松亭は、永田錦心に永田の「永」の字をわけて「一」「水」、一水会を設立するように勧めた人でもあります。

まじでこの時代本当に楽しそうだ~~~😿
だけど今も結構楽しい。
そしてうちのお弟子さんをはじめ、何も琵琶に対する固定観念を持たない人たちが出てきているなか、改めて琵琶に出合ってそれぞれの生活の中に琵琶があると思うととってもジーンとしてしまうのです。
だからこそきちんとしたものをやりたい。演奏したい。呼吸、間を会得したい。
そう思いつづけ、思い切って鶴田錦史の呼吸、間、琵琶の世界観を引き継ぐ友吉鶴心先生のもとに移籍し、日々稽古に励んでいます。

今でこそ言えますが、ちょーーーー悩みました。
悩んだから琵琶デュオやって四弦を学んだし、悩んだからいろんな琵琶会に足を運び、昔ながらの琵琶楽の精神性、技術を引き継ぐ現在の師匠にたどり着きました。無事に移籍するまで半年の歳月が必要だったし、承諾してくださった前の先生にもとても感謝しています。


ひとりの力では琵琶は普及しない。人の体や声や場所、色んなものをとおしてやっと伝わるもの。
少しでも琵琶を知りたい人のお役に立てますように。
色々とふつつかものですが、カッコよい琵琶の本来の姿で演奏できるように頑張ります。

過去の情報をご存じの方はぜひ色々ご教授のほどよろしくお願いいたします!!


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げげげ。
また時間が空いてしまった。
藝能学会でやらせていただいた「戦争と琵琶」に関しての続きです。
なんだっけそれ?という方は前回の藝能学会について書いたブログをご覧ください~。


英雲外という人が書いた「新嘉坡の陥落」という作品を演奏させていただいたのですが。
この方は、昭和初期あたりから名古屋の人で琵琶新聞に投書をし続けた結果、昭和13年ごろから琵琶新聞内で連載をもつようになった人です。
このころ詩吟会で有名な湯澤天真に対していつも批判的ですごいライバル視してるなーという印象なのですが。湯澤天真は漢詩の権威者で元内務省の事務官。中央詩吟同志会というところの顧問をしていました。(本名真太郎)稽古場赤坂だしね~。
英雲外という方も負けじと漢詩を作って投稿したりして、はたまた『謡曲と仏教』という著作を書いたりと藝能に一言ありおじさんという感じ。(失礼があったらすみません...)

でもそれ以外にこの人誰状態なの…!どなたか英雲外をよく知ってる方…教えてください😿

歌詞は絶対探しても出てこないので載せます。
節付け自由。私は最後の方を吟替にして、結構崩れ⇒中干落としでつけて「あああ同じ節が出てき過ぎる!うおおお節付の神様はどこへ…」状態でお師匠に見ていただき大枠はそのままでやらせていただきました。



新嘉坡の陥落        

作詞 英雲外   作曲 友吉鶴心
『琵琶新聞』昭和十七年三月号より「新作琵琶歌」

侵略の悪魔を(はら) レイ

一夜月落ち風すざみ 海を圧して敵前に 上陸するや第一歩 シンガポールの防衛に 

天嶮無双を頼みたる 陸地の攻略三百里 行く手を塞ぐ密林や 鉄条網を切り開き 

つづく湿地に炎熱の 機銃の雨やトーチカも 死生を超えし皇軍が

飛躍の前に何のその 一瀉千里(いっしゃせんり)電撃 かうことごと 五十日 

皇師堂々ジヨホールの 南の岸に押し寄する きさらぎ八日の朝まだき 総攻撃の令下り 

巨砲天地を震撼し 勇みに勇む精鋭は 時こそ来れと奮ひ立つ 難攻不落と聞えたる 

敵が本拠に殲滅の 天兵(てんぺい)神威(しんい) 銃砲(じゅうほう)() 水道 

推し切り渡る鐵かぶと 流す油に海燃えて 焔さか巻く波がしら ま一文字に乗り進む

鬼神も避くる鉾先に 敵が防御の堅塁を 破る肉弾手榴弾 戦車の響き鬨の声

 請ふ看よ日出(にっしゅつ)男児(だんじ)(たん)  砲丸

  (ほう)(るい)くだ堅陣(けんじん) 縦横搏撃(じゅうおうはくげき)山岳(さんがく)(ふる)

 

二千六百第二年 世紀の歴史此の日より 記録を改め地図の色 変わるアジヤの海やそら 

垂天のつばさ空を覆ひ 爆弾あめと降りそそぎ 悪戦苦闘の攻防に 海も湧き立ちあめつちも

崩れ破るるシンガポル 敵の牙営に突入の 勝鬨あがる紀元節

七日七夜の猛撃に ちから尽きたる敵の軍 屠所の羊のそれならで 白旗かかぐるパーシバル

ブキテマ高地の一角に 全軍あげて降伏の 誓紙献(せいしささ)十五日 凱歌全世界

仰げばみいづいやまさる 大日のみ旗燦(はたさん)て (しょう)(なん)の 塔上(とうじょう)

大東亜海くまも無く 照り輝くぞめでたけれ



こんな感じ。戦時中の琵琶歌はカタカナとか海外の国の名前連発なのに七五調を崩さなくてとても面白い。最後の「照り輝くぞめでたけれ」は古式にのっとって2回繰り返します。



注目すべきは、この新嘉坡が陥落するだろうなと見計らって英雲外が歌詞を作っているんですよ。元の詩は昭和17年2月号に新嘉坡が陥落して「昭南」と名前が変わったニュースの横に投稿があるのです。

図1

これを下地に次号で一挙公開なのですが。
下の琵琶演奏会もそうそうたるメンバーで「祝シンガポール陥落」とでかでか出してるしね。
「今」を琵琶歌にするという試みがなされた様子がうかがえるのでこちらを選びました。
戦争という一大事を歌うことで琵琶人としての戦争参加、お国への奉仕の意を表すこともできるし、彼のように琵琶人でなくても(本人が「私は琵琶人ではない」と記載。作詞だけする)こういう形で戦争参加するというのが時代だよなぁと思うのです。

その一方で歌詞の内容や言葉選びの質は落ちる。
それもあって戦争の終了とともに消えてなくなってしまったのでした。
時代が新しくなるにつれて琵琶歌の作られる感覚は短くなるけれども、内容や質が落ちるというのは芸能的には残念ではあるものの、古典として残ることもなく消えてしまった曲も数多くあるということを知っていただけたらと思い、今回節付けして再現しました。


もちろん私が演奏しているのは鶴田錦史先生が戦後に作った流派の五弦五柱の楽器なので「全然古典じゃないじゃないか!」という批判があるかもしれません。

でも鶴田錦史先生のベースは錦心流です。やっとわかるようになりましたが(遅、五弦を弾こうが四弦を弾こうが間や呼吸はそのまま。
楽器が五弦になろうが鶴田錦史の世界は四弦の錦心流がベース。
だから私たち五弦五柱の薩摩琵琶を演奏する者たちが錦心流ベースでやらなくてはいけないだけで、新しい楽器だから全く違うもの?いや、同じでないと古典とはいえないということなのです。
核は変わらない。ただ、今の鶴田流の技術とか考え方が当時の鶴田錦史についていってないだけだろ!という批判はほんとにごもっとも。自分も含め、鶴田錦史先生の琵琶楽とはかけ離れてしまってきていることに対しては認めざるを得ません。それについてはすみません、がんばって稽古しています。

その後に続く…

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