2016年04月07日
【カンブリア宮殿】日本のスゴイ工場を発掘!急成長の『工場直販』ブランド ファクトリエ代表 山田敏夫さん
急成長するアパレルブランド「ファクトリエ」。メイド・イン・ジャパンが売り物だが、代表の山田が全国各地を訪ね歩いて見つけた“スゴイ縫製工場”の直販という異色のブランドだ。今や日本の衣料品の国産比率は3%まで激減。縫製工場が次々と消える中、海外の有名ブランドが生産を委託するほどの技術を持つ工場も多い。日本の優れたモノづくりを再生させたいと山田が立ち上げたのが「ファクトリエ」なのだ。商品のタグには生産する工場の名前を入れ、しかも販売価格を工場が決めるユニークな仕組みを導入している。「モノづくり再生」に立ち上がった山田の情熱に迫る。
※番組HP(↓)から転載
http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/20160407.html
私は初めてのスーツをBEAMSで買った。
買ったのは大学四年生の春で、教育実習と就活用にネイビー、シングル2つボタンのを買った。
なぜ、たかだかリクルートスーツ(笑)をBEAMSで買ったのか。
それまでスーツのフロア(※たしか地階)はスルーしていたが、店(※たしか「渋谷店」)そのものは大学の近くに在り、普段着を比較的よく買っていたからだ。
背伸びやエエカッコシイがなかったと言えば嘘だが(笑)、店に馴染みと信頼があったのは事実だ。
結局、リクルートスーツとは言えなにぶん初めてのスーツであり、それなりに長く着たかったし、イイカゲンなスタッフから言われるまま買って後悔したくなかったのだろう。
この目論見は見事叶うのだが、ここからが本論である。(笑)
私が買ったこの初めてのスーツは、実はBEAMSの商品ではあったが、BEAMSの製品ではなかった。
ジャケットの内ポケットの上部には「International Gallery BEAMS」のタグが付けられていたが、ポケットの中には「リングヂャケット製」と付記された素材表示のタグが付けられていた。
これはどういうことか。
要するに、このスーツはBEAMSが企画し、リングヂャケットという(今では名だたるファクトリーブランド&ショップを立ち上げている)服飾工場に製造を委託してできた商品だ、ということだ。
そうなのだ。
BEAMSが顧客に真に売っているのは製品でなければ商品でもなく、企画なのだ。
突き詰めて言えば、独自企画満載の服、即ち、「BEAMSテイスト溢れる服」や「BEAMSならではの服」が確約する、今とはひと味違う、粋かつアゲアゲの(笑)心持ち、ないし、人生なのだ。
BEAMSはよく「セレクトショップ」と言われるが、それは、BEAMSが真に「選り分けている」のが商品ではなく、BEAMSのテイストや志に共感できる顧客であり、また、彼らの人生満足に連帯責任を負える工場、ないし、メーカー(ブランド)だからだ。
番組が紹介した山田敏夫代表率いるファクトリエも、インターネットに販売の主軸を置くものの、商品を自社で製造せず、顧客と工場を選り分けている点で、BEAMSと同じセレクトショップと言えよう。
代表自ら、製造工場の主体性、モラールを担保すべく、保有技術の積極活用(積極的な製品化)と積極的な値付けを提案、後押ししたり、また、良い意味での危機意識を担保すべく、初回生産量の買い取りを半分に制限する、といった取り組みには感心した。
しかし、セレクトショップのキモたる企画が「メイド・イン・ジャパン」や「モノづくり日本」の復権という[大義]、ないし、ファクトリエブランドの[物語]に偏り、最重視すべき顧客の人生満足が軽視され、二の次になっている印象を受けた。
勿論、ファクトリエに選り分けられた顧客は、そうした大義や物語に共感しているに違いなく、「モノづくり日本」の現場を応援するのは本望だろう。
しかし、彼らは、「メイド・イン・ジャパン」の応援団員になるために、身銭を切ってファクトリエで服を新調するのだろうか。
そうではないだろう。
彼らが服を新調するのは、根源的には今よりもイケている、自信と誇りに満ちた自分が欲しいがためであって、これはBEAMSの顧客も同じだろうし、事実自分もそうだった。(笑)
そもそも、顧客からすれば「メイド・イン・ジャパン」は、「イケている自分」を得る実現手段、並びに、オプションの一つに過ぎない。
であれば、ファクトリエが実現手段に偏った、大義や物語偏重のマーケティングをこのまま続ければ、顧客の持続的な満足を危うくするばかりか、自ら大義&物語「倒れ(だおれ)」になりかねない。
このことは、福島が依然「『がんばれ!』マーケティング」を続けるも、農産物と魚介類の販売に苦戦し、農漁業の離職者が絶えないことと通底する。
たしかに、大義や物語は今やマーケティングに有効なばかりか、マスト化しているが、最重視すべきは顧客の応援団員化ではなく、一層の幸福化である。
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2016年04月05日
【ガイアの夜明け】「ニッポンの宿」新時代
外国人旅行者の急増を受け、宿泊施設の不足が深刻化している。東京や大阪では、ビジネスホテルの稼働率は85%以上。出張や旅行などでホテルを予約しようとしても、なかなか空室が見つからない事態となっている。そんな中、ホテルや旅館といった従来の宿泊施設とは全く異なる、新たな宿が登場している。その最前線を追った。
「民泊」はじまる!そこに様々な問題が・・・
アメリカの「Airbnb」社が始めた「民泊」。「ゲストを迎えたい個人」と「個人宅に宿泊したい旅行者」をネットでマッチングするサービスだ。世界190カ国に拡大し、日本でもすでに3万件が宿泊可能な物件として登録されている。自宅の空き部屋を貸し出すホームステイ型だけでなく、賃貸物件をそのまま貸し出すケースも多い。しかし、日本には「民泊」を想定した法律がないため、現状では旅館やホテルと同じように自治体の審査や許可を受けなければならない。しかし、「設備投資が必要」「手続きが煩雑」などの理由から、無許可で旅行者を迎えているケースが多いのが実情だ。また、騒音やゴミ出しのトラブルなどの問題も起きている。こうした状況を受け、外国人旅行者の多い京都市はプロジェクトチームを立ち上げ、民泊の調査に乗り出した。すると、驚きの実態が次々と明らかに。。。一方、合法的に「民泊」を進めようという動きもある。東京・大田区では、1月末から特区を活用した「民泊」の受付を開始した。この制度を利用して民泊ビジネスに参入しようとしているのが、「とまれる株式会社」。空き家や空き部屋のオーナーに、民泊への転用を呼びかけて市場拡大を目指す。また、築年数が古く、賃貸としては借り手がつかなくなった物件などを、民泊向けにリノベーションする業者も現れた。様々な問題を抱えながらも動き出した「民泊」。宿泊施設の不足を解決する手段となるのか?
バックパッカーが殺到・・・外国人に人気の宿とは?
品川駅に近い北品川商店街。東海道最初の宿場町である旧品川宿があった通りだ。高層ビル群とは目と鼻の場所にありながら、昔ながらの雰囲気が残る。そんな商店街に、いま外国人旅行者が殺到する宿泊施設がある。「ゲストハウス品川宿」。2009年にオープンした、バックパッカー向けの宿だ。相部屋なら3300円、シングルでも3800円と格安。ただし、部屋にはベッドがあるだけ。テレビもなく、トイレやシャワーは共同。キッチンもない。「部屋に荷物を置いたら、なるべく町に繰り出してほしい」館長の渡邊崇志さんは、その狙いを語る。近所の銭湯で風呂に入り、商店街の飲食店で食事をしてもらいたいという。等身大の日本を感じてもらおうと、商店街を紹介する英語版のパンフレットを配り、花見や餅つきなど地域のイベントがあれば、ツアーを組んで宿泊客を連れて行く。そんな渡辺さんがいま手掛けているのが、空き家を再生した宿作り。品川駅周辺にある物件を探してリフォームし、1棟丸ごと1組の客に貸し出す。これまでのホテルや旅館とは一線を画す、新たな宿の形を取材する。
※番組HP(↓)から転載
http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber3/preview_20160405.html
番組は、部屋の貸し手と借り手のマッチングサイトを運営するAirbnbから始まり、部屋の改築まで請け負うとまれる株式会社、更に、部屋の借り上げ&代行販売までするエイムズ等々、民泊に関する様々なプレイヤーを紹介していたが、ふとあることに気づくいた。
それは、「民泊」にまつわるこうしたプレイヤーの出現と展開が、「ネットオークション」が誕生、発展した時と酷似していることだ。
ネットオークションも、先ずはYahoo!やDeNA等マッチングサイトを運営するプレイヤーが出現し、Yahoo!の一人勝ちが確定すると、ヤフオクの出品者向けに出品を代行したり、落札物の配送を簡便に請け負うプレイヤーが出現した。
ただ、よく考えると、これは偶然ではない。
民泊もネットオークションもC2C、要するに、売り手と買い手が基本個人だからだ。
「その道のプロ」ではない個人向けに「その道のプロ」の事業者が助かる商品、サービスをアレコレ提供するのは、はたまた、そうしたプレイヤーが次々出現するのは、自由主義経済において合理的だ。
しかし、ネットオークションの歴史を振り返ってみると、民泊のこの合理的な発展は手放しで喜べない。
なぜか。
ネットオークション市場の近年の停滞ぶりは、ネットオークションが所謂「製品ライフサイクル」でいう成熟期に入ったからというより、各種の「その道のプロ」が大量参入し、落札者からすると[ビジネスライクでつまらなくなったから]、もっと言えば、[普通のネット通販と変わらなくなったから]だと思えてならないからだ。
あいにく私は民泊童貞で(笑)、民泊の根源的な価値を正確には理解できていないが、多分それは、単なるコストセーブではなく、初期のネットオークションと同様、何か惹かれる所、自分と相通じる所を直感した一個人との出会い、ないし、そんな取引ならではの面白さやワクワク感だろう。
なぜか。
民泊の希望者はそもそも旅行の希望者だが、宿泊先にホテルではなく個人宅を敢えて希望することから、その旅行は凡そプライベートであることがうかがえる。
旅行がプライベート、即ち、非ビジネスなら、宿泊先に希望する一番の価値も、非ビジネスライクな面白さやワクワク感だろう。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という言葉がある。
民泊の各種プレイヤーにおかれては、是非ネットオークションの歴史を学んでいただきたい。
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2016年04月03日
【がっちりマンデー】ごはんとモチだけで280億円!「サトウ食品」工場に大潜入!ごはんの容器のスキマにからくりが・・・!? サトウ食品工業株式会社 代表取締役社長 佐藤元さん
※標題は番組HP(↓)から転載
http://www.tbs.co.jp/gacchiri/archives/2016.html
赤塚昌一生産本部長(※現)曰く、サトウのごはんは当初鳴かず飛ばずだった、という。
赤塚本部賞は当初、「ご飯は好きだが、自炊はしない」独身の若者、並びに、単身赴任のサラリーマンをターゲットとし、コンビニで拡販を目論んだ。
しかし、そもそも彼らはインスタントラーメンを作る程度にしか料理、飯支度をせず、パックの白飯だけを買うことはなかった。
だが、発売から2年後、意外な「ターゲット外」顧客がついた。
関西の専業主婦だ。
彼女たちは、自分だけの昼食(個食)用や家族の緊急用に、サトウのごはんを便利品、有用品として利用し、専らスーパーでリピ買いするようになったのだ。
これを聞きつけた赤塚本部長はコンビニから一転、全国のスーパーにサトウのごはんを売り込み、今日その額は年間150億円に達した、という。
この「サトウのごはん」のブレーク話は考えさせられる所が多い。
とりわけ脊髄反射的に深く考えさせられるのは、「『計画と現実』はかい離が常(免れない)」とか、「商品の真価は作り手/売り手ではなく、使い手(ユーザー)/買い手(客)が決める」とか、「マーケットやニーズは読み違えて上等orからが勝負である」、といったことだろうが、では結局、商品の作り手はいかなる心構えで新商品を手がければ良いのか。
やはりそれは、本質的に優れた商品を作り、かつ、ともあれ世に出す、ということだろう。
サトウのごはんが関西のオバちゃんにウケた直接の理由は、確かにパッケージングという「企画」の便利さや有用性なのだろうが、根本の理由は美味しさというご飯、ないし、食べ物の「本質」が、自炊のご飯と遜色ない次元で達成されていたからだろう。
食べ物については味も値段も厳しい関西人の中の関西人である彼女たち(笑)のこと、もしサトウのごはんがこんなに便利で、こんなに有用でも、食べ物として美味しくなかったら、自炊のご飯より不味かったら、はたまた、行き付けではなくとも最初にコンビニで見かけなかったら、顧客にならなかっただろう。
この考えは、当初「メジャーではヒーロー(人気者)に成り得ない」と予想されていたイチローが、野球の本質である「走る、打つ、守る」を好バランス&高次元で達成し、野球通の中の野球通であるアメリカの野球ファンを予想外に虜にしたことに通じるし、また、当初競技者をターゲットに作られたロードバイクが、自転車の本質である「軽快に『走る、曲がる、止まる』」をコスパ良く達成し、私のような(笑)競技に無関心、ないし、体力や運動神経に自信の無いオヤジに、通勤のアシとして、週末の相棒として愛好されていることにも通じる。
商品の「本質」は、ヒット商品の「十分条件」ではないが、「必要条件」であり、新商品を手がける際は達成、披露が不可欠だ。
2016年03月31日
【カンブリア宮殿】万物を動かすチェーンを極めて100年!世界NO.1の強さを生む挑戦&突破力! 椿本チエイン会長 長勇さん
誰もが知っている回転寿司やジェットコースター、自動車エンジンに製鉄所…世の中の様々な場所で「ものを動かす」ために、必要不可欠とも言われる「チェーン」。ダヴィンチが発明したと言われるこのチェーンを、1年間に長さ2万5000キロも製造する、産業用チェーンの世界トップメーカーが大阪に本社を置く、椿本チエインだ。実は、この椿本の強さを支えてきたものこそ、創業者・椿本説三に始まるチャレンジャースピリットにあった。世界を驚かせ続ける椿本チエインの挑戦力と突破力の真髄に迫る。
※番組HP(↓)から転載
http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/20160331.html
私は自転車を二台使っている。
一台は街乗りからちょっとした遠乗りに使う「クロスバイク」で、もう一台は遠乗りと専ら荒川サイクロードで心身鍛錬(笑)に使う「ロードバイク」だ。
そして、全くの偶然だが、つい先日、クロスバイクのチェーンを交換した。
自転車、並びに、自転車のチェーンに詳しくない方向けに補足すると、自転車にとってチェーンは、ペダルの踏力をタイヤに伝達する重要部品だ。
その重要部品のチェーンを、なぜ私は交換したのか。
伸びたからだ。
先述のように、チェーンは踏力をタイヤに伝えるのが役回りゆえ、ペダルを踏んでいる内に、すなわち、乗っている内に必ず伸びてしまうのだ。
もし、交換しなかったらどうなるか。
踏力の伝達ロスがいよいよ大きくなり、進みが悪くなるは、関係部品は痛みが激しくなるは、はたまた、最悪チェーンそのものが破断→落車するはで、心が辛いだけでなく、身が危ない。
ということで、私はつい先日、クロスバイクのチェーンを交換したわけだが、今回は前回と同様、「インテル入ってる?」ならぬ「シマノ入ってる?(笑)」のシマノの、それも、前回より上位の、最上位グレードのチェーンに交換した。
最上位グレードを選んだのはひと言「物は試し」だったが(笑)、予想以上にイイ感じである。
対象が、高位なロードバイクではなく、低位なクロスバイクの方だったにもかかわらず。(笑)
具体的にどうイイのか?
正に「言葉にできない」のだが(笑)、敢えて言えば、「ペダルが『よりしっかり』、『より気持ち良く』踏める」のである。
私は、前回交換したチェーン(CN-HG50)にも十分満足していたが、それより絶対価格で約500円、割合にして約3割高い今回のチェーンには、その価格差を補って余りある、言葉にできない「イイ感じ」があり、大満足なのは勿論、次回もこれに交換しようと固く決心したのだった。(笑)
「たかかチェーン、されどチェーン」、である。
その「されどチェーン」を、椿本チエインは、創業当初は自転車用に手がけたものの、「誰でも作れる」と、差別化(高付加価値化)と事業性(将来性)を懸念し、約10年でやめてしまった、という。
以降は、ATM、エレベーター、自動車といった産業、輸送機器用に特化し、かつ、それを組み込んだパッケージ機器、ないし、システムを個別製販している、という。
「されどチェーン」を自転車に特化し続けるだけでなく、変速機、ブレーキ、ホイールといった自転車部品のほぼ全てを手がけるシマノとは、同じチェーンメーカーと言っても事業戦略やビジネスモデルの点で全くの別物である。
結局、椿本チエインが志向しているのは「チェーンソリューションプロバイダー」で、シマノは「自転車トータルサプライヤー」なのだろう。
勿論、この違いに良否はないが、現実問題、椿本チエインの時価総額はシマノの10分の1にも満たない(※2016年4月20日時点:約140.000百万円と約1.600.000百万円)。
同じ「されどチューン」を商材としながら、こうも資本家の評価が分かれるとは、やはり、企業が資本主義社会で問われるのは、「どんな有意なモノを手がけるか?」以上に「有意なモノをどう手がけるか?」、である。
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2016年03月29日
【ガイアの夜明け】「レジャー施設」新たな戦い
レジャー業界で2強といわれる東京ディズニーリゾートとユニバーサル・スタジオ・ジャパンが集客に圧倒的な強みをみせるなか、苦戦を余儀されている中小の遊園地やテーマパーク。そんななか東京の郊外にある「よみうりランド」がここ数年、入場者数を増やしている。さらなる集客を狙って、100億円を投じてオープンさせる新たな施設とは? 一方、福井県池田町。9割が森林という池田町が、人を呼び込むため打ち出したのが、町全体を"森と木のテーマパーク"にすること。日本一と銘打ったあるアトラクションが目玉の一つだという。前代未聞のプロジェクトの全貌に密着した。
遊園地とメーカーがコラボ!
モノづくり体験で客を呼ぶ:よみうりランド東京の郊外に1964年に開園した「よみうりランド」。90年代半ばから来園者数の落ち込みに歯止めがかからず、一時は閉園の噂もささやかれていた。夜のイルミネーションなどあの手この手を繰り出し現在、入場者数は持ち直している。そのよみうりランドが開園以来最大の100億円を投資して、かつてない遊戯施設をオープンするという。新施設の名は「グッジョバ」。日本のお家芸である「モノづくり」をテーマに、楽しみながら学べる15種類のアトラクションを登場させる。 この社運をかけた巨大プロジェクトを託されたのが、よみうりランドの曽原俊雄さん(49歳)。今回の新施設では、「クルマ」、「食品」、「ファッション」、「文具」の4業種のメーカーと手を組み、「学び」と「エンターテイメント」の両立など、様々な課題に立ち向かいながら開発を進めている。運命のオープンは3月18日。少子化の時代、ディズニーランドやUSJのような豊富な資金も人気キャラクターもない中小の遊園地は、どうすれば生き残れるのか。起死回生を懸けたよみうりランドの挑戦に密着する!
町が丸ごとレジャー施設に変わる!?:福井県 池田町
名古屋から車で2時間半、福井県池田町。町土の92%が森林でかつては林業の町として栄えていたが、国内林業の縮小とともに人口も年々減少し、約2600人の町民の半数が高齢者だという。そんな限界集落に人を呼び寄せようと、町長自ら呼びかけ、町を挙げた再生プランが動き出した。それは「町を丸ごとレジャー施設にしてしまおう」という前代未聞の計画。この春開業予定で、総工費は6億円を超える。最大の目玉となるのは、山の尾根の間に張られたワイヤーケーブルで森の上空を滑走する「メガジップライン」。20階建てのビルに相当する高さ60メートルから滑り降りるもので、片道500メートルの長さは日本一だという。 この施設の開業準備から運営までを任されているのが、池田町役場で働く、開業準備室長の山田高裕さん(37歳)。山田さんは、池田町の隣の越前市出身。震災をきっかけに3年前、東京からUターンした。山田さんが考えるのは、これまで全国各地で失敗を繰り返してきた箱物のレジャー施設ではない。またリピーターを獲得するための様々な仕掛けも考えているという。
※番組HP(↓)から転載
http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber3/preview_20160329.html
言葉尻を捉える訳ではないが、「レジャー施設」は昭和過ぎて、標題の「新たな戦い」はナイだろう。
バブルを経、良くも悪くも人生、価値観がイロイロになった平成の今、我々日本人の「満足」は物質的なものから精神的なものに、また、「右へならえ」的なものから「オレ様」的なものに変容した。
もはや、「余暇を潰す」だけなら、手元のモバイルでSNSやゲームでもやれば事足りてしまい、「レジャー施設」など要らないし、行かない。
勿論、近所に在って、WI-FIと、空調の効いたスペースが無料で使えるなら行くかもしれないが、敢えて入場料と交通費を払ってまで、「余暇を潰す」以上の価値が見込めない所謂「レジャー施設」には行かない。
要するに、「新たな戦い」をするには、そもそも「レジャー施設」という商品、ないし、その考え(コンセプト)が賞味期限切れで、平成の「今」に最適化する必要がある、ということだ。
だから、最適化の解として、独自の世界観とその体験価値を創出し、かつ、そのブラッシュアップとマーケティングに余念ないディズニーランドとユニバーサル・スタジオが、ポスト「レジャー施設」のダントツ2強なのは当然だ。
たしかに、私も妻も、ディズニーランドには行かないし、行きたくもないが(笑)、だから良いのだ。
ディズニー独自の世界観とその没我を価値認識できない、つまり、「ディズニーワールドの住民と化したもう一人の自分が好ましくも、欲しくもない」、私や妻のようなツマラナイ人間(笑)、かつ、アンチ(非対象顧客)が一切来ず、価値認識できる(潜在的ないし既存)対象顧客だけが来続けるからこそ、ディズニーランドは絶えずディズニーランド、及び、2強足り得るのだ。
「独自価値に満足する対象顧客が来続けるか?」
番組が紹介したよみうりランドと福井県池田町を比べると、この確率はよみうりランドの方が低いように思う。
なぜなら、いかに「グッジョバ」なる施設を新設しても、依然基本は旧来の雑多な遊園地、そう、所謂「レジャー施設」だからだ。
そもそも将来のある子どもに、「プログラミング」の面白さと意義を伝えるならまだしも、これまた昭和な(苦笑)「ものづくり」のそれらを伝えてどうするのかというのが本音だが、百歩譲ったとして(笑)、それらと他の所謂遊園地の乗り物の体験価値とどう整合性、折り合いをつけるのか、つまり、子どもたちに帰路の車中でよみうりランドで過ごした一日をどう具体的かつ特異的に反芻、総括してもらうつもりなのか、今回の報道から見えない。
これだと、子どもは「今日は色々楽しかった」としか凡そ反芻、総括できず、我々大人が「今日は色々ありがとうございました」としかお礼メールを書けない相手と高確率で懇意になれないのと同様、よみうりランドと懇意になれない、つまり、よみうりランドに「また来たい!」と思わない、だろう。
たしかに、新企画は対象顧客の気を引き、集客の目玉になり得る。
しかし、成る程なオチとそこに至る合理的なストーリーメイキングのない新企画は、二流お笑い芸人の一発芸と同義で、仮に売れても一時的でしかない。
なぜ、福井県池田町の方が、独自価値に満足する対象顧客が来続ける確率が高いと思うかというと、ひと言で言えば、コンテンツそのものの独自性、特異性が高く、「余暇を潰す」以上の明確かつ今的な価値が見込めるからだ。
しかし、コンテンツと価値は別物で、たとえば折角のゴルフもやる人、見る人、いずれも減少が止まらないように、いかにコンテンツの独自性、特異性が高くても、その価値を認識、評価する基準と方法を対象顧客に適切に喧伝、教示しなければ、「宝の持ち腐れ」ならぬ「コンテンツの持ち腐れ」になる可能性も高い。
その解決の秘密兵器(笑)、企画が、池田町からすれば長さ日本一のメガジップラインや楢の木の上のツリーハウスなのだろうが、これらは成る程なオチを設けなければ単に「田舎の変わったアトラクション」に過ぎず、よみうりランドの「グッジョバ」と同様、子どもに(大人にも)「今日は色々楽しかった」と反芻、総括されかねない(→池田町に「また来たい!」と思わないし、「移住したい!」など到底思わない)。
池田町がいかなる成る程なオチとそこに至る合理的なストーリーを仕込むのか、注目したい。
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