2016年03月27日
【がっちりマンデー】日本最北端に、車の中・・・儲かりのヒミツは超アナログ作業にあった!? ヤフー株式会社 代表取締役社長CEO 宮坂学さん
※標題は番組HP(↓)から転載
http://www.tbs.co.jp/gacchiri/archives/2016.html
番組は、Yahoo!の儲かり(笑)、つまり、競合優位の源泉を、インターネット企業のイメージと真逆の「超アナログ作業」の徹底にある、と報じていたが、本当にそうだろうか。
成る程、非ネット企業に勤務する世の多くの人からすると、ネット企業の仕事はさぞ非アナログの作業、即ち、手足の物理性に多く依存しない、オートマチックかつクールに貫徹するそれで成り立っているように思えるのかもしれない。
しかし、ネット企業が成果物を製販する過程は、成果物がコンピューターやスマホといったデジタル端末のスクリーンに表示されるだけで、出版社が成果物を紙にして書店に陳列(促進)するのと変わらず、「脳と額の汗と根性から成る」超アナログ作業の連続だ。
然るに、Yahoo!の競合優位の源泉は「脳と額の汗と根性」だろう。
たしかに、「サービス」という成果物の製販へ向けた、老舗ネット企業とも言うべきYahoo!のアナログ作業は、潤沢なリソース(=ヒト/モノ/カネ)を背景に、他のネット企業、それも新興のそれと比べ傑出していよう。
番組は、小澤隆生執行役員ショッピングカンパニー長の戦略のもと、「セミナーの鬼」こと(微笑)白山達也ヤフーショッピングeコマース革命エバンジェリストが、北海道は稚内宗谷まで出向き、Yahoo!ショッピングの新規出店セミナーを行うさまを報じていたが、これはその好例と言えよう。
ただ、私自身、かつてサラリーマン人生の最後をネットオークション企業で全うしたのだが、当時ダントツのシェアを誇っていたYahoo!オークション(※現「ヤフオク」)も、当初はスタッフが寝ずに総出で出品し、スクリーン上のオークション会場を自ら盛り上げ続けていたと聞かされ、こうつくづく思い知らされた。
ネットビジネスの死命線も非ネットビジネスと変わらず、いかに顧客創造、及び、顧客満足の最大化に合理的な作業をデジタル、アナログの別なく、スタッフの過半が主体的にやり切るか、即ち、いかにスタッフが「脳と額の汗と根性」に長けているかだ、と。
「いかにユーザーに選ばれるサービスを創るかが第一(関門)で、それをどうビジネスにするか(→マネタイズするか)はその後考える(≒二の次)」。
宮坂学社長のこの旨の言&お考えは尤もだ。
これは、とりわけネットビジネスでは定跡であり、かのGoogleも基本そうだ。
しかし、私は両社の株をそれぞれ十年程度保有していたりするのだが、投資金額の時価総額比はYahoo!が約70%なのに対し、Googleは約500%である。
勿論、時価総額、株価が企業の利益と事業活動を全てフェアに反映しているとは言わないが、同じ定跡に基いてビジネスをしていながらこれだけ差があるとなると、スタッフの「脳と額の汗と根性」の賜物の各種サービスが「選ばれるサービス」に成っていないか、成っていてもその後ビジネスに成っていないかであり、死命線のスタッフの「脳と額の汗と根性」を決めている、経営者の「脳と額の汗と根性」に根源的な[問題]、ないし、[改善余地]があるように思える。
実際、私自身、かつてはヤフオクもソコソコ利用していたが、今はコスパで挫折し、常用のYahoo!のサービスは地元の荒川区の「ピンポイント天気」だけだったりする一方、常用のGoogleのサービスはGoogle Appsを筆頭に多々あり、もはやGoogleが倒産すると、私の会社も私自身も即窮地に陥る有様だったりする。(苦笑)
同じ通販のビジネスでも、ジャパネットたかたとアマゾンでは対象ユーザーが真逆に近く違うのと同様、同じ定跡に基づくサービスプロバイダービジネスでも、Yahoo!とGoogleでは対象ユーザーが真逆に近く違うのは分かるし、それ自体は全く否定しない。
専らジャパネットではなくアマゾン、並びに、ヨドバシを愛用する私が、Yahoo!の対象ユーザーではないのも否定しないが、では、ジャパネットを愛用している(ような)人が今本当にYahoo!の各種サービスを愛用しているか、更には、Yahoo!そのものにロイヤリティを感じているか、というと、正直肌感覚的には疑問だ。
スタッフの「脳と額の汗と根性」を一層マネタイズできる、宮坂社長以下経営者の一層の「脳と額の汗と根性」を期待したい。
2016年03月24日
【カンブリア宮殿】日本経済を運んで140年! 何でも届ける力を生む「段取り八分」精神 日本通運社長 渡邉健二さん
長さ40mの「風車の羽根」、社員数千人のオフィス用品、国宝級の美術品…。そうした「運ぶのが困難なモノ」に挑み、必要な場所に届け、日本経済を支えてきた企業がある。あの物流大手「日本通運」だ。江戸時代の飛脚にルーツを持つ日通は、日本の近代化、戦後の復興、高度成長とともに、世の中が必要とするものを運び続けてきた。その多くは「誰も運んだことがなかったもの」。それを確実に届けるため、日通に浸透した哲学が「段取り八分」だ。事前の準備に十分な時間と労力を割くことで、数々の挑戦を成功させてきたのだ。できて当たり前、失敗が許されない「運ぶ仕事」で、果敢に挑戦を続ける巨大物流企業「日本通運」、その知られざる実力に迫る!
※番組HP(↓)から転載
http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/20160324.html
番組は、日本通運の競合優位は「何でも届ける」ことで、その源泉は「『段取り八分』精神」を全社共有していることにある、と報じていたが、本当にソコなのだろうか。
勿論、ビジネスの成否は基本「現場」の前の「机上」、即ち、事前の「企画」、で決するからして、「事前の周到な準備」の意の「段取り」がとりわけ問われるのは間違いない。
しかし、日本通運にとっての「事前の周到な準備」の本質は「いかなるモノをも運び切る最善のプロセスを策定すること」であろうから、最も問われるべきは、その基盤能力であるはずの「想像力」と「経験利活用力」だろう。
「想像力」と「経験利活用力」が最も問われるのは、私がやっている企業へのコンサルティングも同じだ。
たとえば、私が過去ヤマト運輸のコンサルティングを経験していれば、物流ビジネスのキモを会得しているはずであり、日本通運のコンサルティングの着手は比較的楽に違いない。
しかし、企業も人と同様、十人十色である。
「風邪を治す」というゴールは同じでも、喉だけがとにかく痛かったり、咳が止まらなかったりするなど、ゴールに向け解決すべき具体的症状、問題は、ひいては原因、ネックは、絶対に違う。
なので、「業績を改善or向上させる」というゴールは同じでも、ヤマト運輸と日本通運のコンサルティングは完全な別物になる。
ただ、ビジネスのキモは基本不変ゆえ、私は、ヤマト運輸のコンサルティングに限らず、過去の経験で会得したビジネスの本質をフルに利活用するに違いない。
そして、日本通運の「業績を改善or向上させる」阻害要因、並びに、「業績を改善or向上させる可能性の高い」道のりを具体的に想像し、そのプロセスを役員&幹部社員と二人三脚で策定するに違いない。
よって、物流の雄の日本通運のこと、たしかに奈良の長谷寺の仏像を運ぶことは今回が初めてかもしれないが、他の寺の仏像、ないし、他の同様のモノを運んだことは今回が初めてではなく、過去誰かしらが経験していよう。
だから、冒頭で述べた通り、今回日本通運が長谷寺の仏像を運ぶことに成功した最大かつ根本の要因は、成功への最善のプロセスを策定した想像力と、それを支えた過去の経験の利活用力に違いない。
そして、これらの力をいかに向上、担保するかが、「何でも届ける」日本通運の最大かつ永久の経営課題に違いない。
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2016年03月22日
【ガイアの夜明け】シリーズ 働き方が変わる 第12弾 "安定"を棄ててでも...
安定した企業に就職して、少しでもいい給与をもらって...。これまでの学生が目指した就職の"理想の形"だが、それが今、変わり始めている。そうした「安定」を棄ててでも、社会の役に立ちたいという考えが、若年層に広がりを見せているのだ。若い世代は仕事を通じて何を掴もうとしているのか。現場の最前線に密着し、これからの時代の働き方について考える。
※番組HP(↓)から転載
http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber3/preview_20160322.html
チョコレート専門店を運営する「Dari K(ダリ・ケー)」の事業コンセプトは、所謂「フェアトレード」なのだろう。
私はフェアトレード、及び、そのビジネスに関わったことはないが、カカオの生産国には、その成果物であるチョコレートやコーヒーを口にすることなく死んでしまう人が少なくない、と聞く。
チョコレートやコーヒーの食品的かつ経済的恩恵に日々あずかる我々消費国、及び、先進国の人間が、彼らを商取引的に支援するのは、恩恵に感謝し、その持続性を担保するためにも、また、所謂「倫理」が有名無実化している現実世界を変えるためにも、必要かつ自然なのだろう。
「自分さえよければいいのか」。
こう細君を制し、Dari Kを起こした吉野慶一社長の志と、創立5年目のバレンタインデーに果たした店舗当たり157万円もの日商は、敬意を表する以外ない。
Dari Kの今後の事業展開の一番の課題は、「同志」の増員と確保だろう。
即ち、カカオを高付加価値化する発酵技術そのものではなく、フェアトレードそのものでもなく、あくまで生産者、自分たち事業者、そして、消費者の三者のバランスの取れた持続的な笑顔に一番関心を持ち、かつ、その実現に向けた自分ならではのアプローチとその試行錯誤に全人格、全人生を賭ける腹積もりのある人、即ち、吉野社長以下社員の「同志」、をいかに増やしていくか、また、彼らが入社後絶えず対峙する、近年伸長激しい「マネー資本主義」や「格差社会」と一線を画するフェアトレードならではのハードな葛藤、並びに、よこしまな誘惑に、会社としていかに抗うか、だろう。
事業者のフェアネスが一人でも怪しくなった時、フェアトレードは偽物、或いは、偽善マーケティングと化し、瓦解するからだ。
フェアトレード、及び、フェアトレードビジネスの一番のキモは、「出口を確保すること」、つまり、「最終商品の需要を創ること」、もっとぶっちゃけて言えば、「非フェアトレード品よりも高額な最終商品を選好するお客さまを、損益分岐点以上に育むこと」だろう。
これは、こうして言葉にすると簡単だが、現実は真逆だろう。
当たり前だ。
かつて将棋棋士の森下卓九段が「駒得は裏切らない」と言い、格言化したように(笑)、そもそも「キャッシュは裏切らない」からだ。
また、「裏切らないキャッシュ」を裏切ってまで高額な商品を買う理由を、つまり、未周知かつ未権威付けの付加価値を評価する基準や方法を、お客さまに啓蒙するのは、並大抵のことではないからだ。
然るに、世の多くの会社は、フェアトレードなど意に介せず、より低額な商品の製版に日々躍起になっているわけである。
番組は、Dari KがB2C(直営店販売)に留まらずB2B(メーカー販売)も手がけ、インドネシアで啓蒙&推進中の発酵カカオの「出口」を増加、強化している様を報じていたが、商品の特性上、やはり一番に増加、強化すべきは、フランチャイズ展開&販売を含む、B2Cの出口だろう。
Dari Kはまだ所謂「ブランド品」ではない。
だから、今回こうして番組の取材にも応じたのだろうが(笑)、非ブランド品のチョコレートが確保できるB2Cの出口は限られる。
Dari Kがそれを今後いかに増やしていくのか、このまま「フェアトレード」一本足打法(笑)で行くのか、はたまた、ブランドマーケティングに挑むのか、親和性の高い商品や企業とアライアンスを試みるのか、チョコレート大好きオヤジの私は(笑)注目しきりである。
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2013年10月31日
【カンブリア宮殿】巨大プロペラが人工関節に!高齢者を幸せにする職人技術 ナカシマメディカル代表取締役社長 中島義雄さん
老化現象のひとつとして高齢者を悩ませる関節痛。特に膝の関節痛を患う人は実に1000万人にものぼる。それを解消する手だての一つが「人工関節」だ。現在、世の中で使われている「人工関節」は、その8割が欧米製。そんな中、ナカシマメディカルは、日本人やアジアの人々に向け、「欧米人に比べて小さい膝」、さらには「あぐらや正座の文化」までを考慮した「人工関節」を製造している。同社は、欧米主流の世界において、一体どのようにして「人工関節」を開発し、進化させてきたのか。また、高齢化が世界的に進行する中、今後どのような製品を生み出していくのか。その全貌に迫る。
他人事ではない!高齢化で膝の痛みを我慢しているお年寄りが急増
超高齢社会に突入した日本。今や2.5人に1人が65歳とされている。そんな中、彼らの多くが悩まされているのが膝の関節痛だ。主に膝の軟骨がすり減ることによって生じるこの痛みは日常生活にも影響を及ぼす。一方、膝の痛みを気にせず、元気に老後の生活を楽しむシルバーたちもいる。聞けば、数年前に「人工関節」の手術を受けたとのこと。ただ現在、膝に不安を抱える人が1000万人にものぼるのに対し、人工膝関節の手術数は僅か7万件(2011年度)でしかない。その背景には「体に異物を入れるのが恐い」「痛みが本当に取れるかどうか分からない」といった不安がある。果たして人工膝関節手術は一般的に思われているように大変なものなのか。それら一連の手術、そして人工膝関節そのものの最前線に迫った。
日本人のための人工関節はこうして産まれた!
岡山に拠点を構えるナカシマメディカル。現在、世の中で使われている「人工関節」は、その8割が欧米製というなか、ナカシマメディカルは、日本人・アジア人に向け、「欧米人に比べて小さい膝」、さらには「あぐらや正座の文化」までを考慮した「人工関節」を製造している。テーブルと椅子が中心の生活に合わせて作られた欧米製のものは可動域が90度~110度あれば充分とされているが、ナカシマメディカルのものは畳の生活に対応できるよう可動域を150度にまで設定している。また、設計だけでなく、人工関節自体の動きが滑らかになるよう、それらの表面を10万分の1ミリメートルという精度で磨き上げる研磨技術も同社の特長だ。実はこの技術、ナカシマメディカルの母体であるナカシマプロペラという会社の船舶プロペラ製造技術の転用によるもの。浮き沈みの激しい造船業界と共に歩んできたナカシマプロペラ。船舶の需要が減ると、プロペラの需要も減る。そういった状況を打破したいと考えていた折、異業種交流会で知り合った医師に「プロペラを磨くこれだけの技術があれば人工関節も作れる」とアドバイスを受け、人工関節を産み出したのである。
人工関節の進化は止まらない!老後の豊かな生活を提供する為に
ナカシマメディカルの人工関節は日々進化している。数年前に開発されたのはなんとビタミンE入りのもの。一般的に人工関節の寿命は15年ほどとされているが、ビタミンEが酸化を防ぐことにより、それは30年にものびた。これにより、人によって2回必要だった手術が1回で済むなど、患者にとって大きなメリットを提供できたのである。こういった進化は医師との日々の密な連携によるもの。職人の技術だけでなく、日本はもとより世界中を飛び回る営業部員もナカシマメディカルを支える。
※番組HP(↓)から転載
http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/20131031.html
【1】番組から窺えたナカシマメディカルの○(マル)
〔1〕「人工関節」という、世界的課題&トレンドである「高齢化社会」にフィットする商品を製販していること(→成長商品を製販していること)。
〔2〕マーケット的には非主流で、商品選択肢に恵まれていない日本人(アジア人)の体型にフィットする人工関節を開発、製販していること。
〔3〕母体企業の既存高度技術(=ナカシマプロペラ株式会社のプロペラ研磨技術)が流用できること。
〔4〕〔3〕により、開発コストが低減できること(←開発コストがナカシマプロペラ、ないし、ナカシマグループと按分できること)。
〔5〕〔3〕と〔4〕により、あぐらや正座までも可能にする、可動域の広範な人工関節を開発、製販できること。
〔6〕〔2〕と〔5〕により、日本ないしアジアのマーケットシェアが高く取り易いこと。
〔7〕酸化に強い、長寿命、低交換頻度の人工関節を製販していること。
〔8〕〔7〕により、患者の心身と経済の負担を下げていること。
【2】番組から窺えたナカシマメディカルの?(ハテナ)
〔1〕国内メーカーのマーケットシェアは、京セラメディカルが10パーセント台で他は、日本MDM、泉工医療工業、ナカシマメディカルの全てが2パーセント台だ(※2011年矢野経済研究所調べ)が、2%台のマーケットシェアでメーカーとしての事業の継続性は担保されているのか(→経営破たんや企業合併、買収のリスクが高くないか)?
〔2〕人工関節の開発が「プロペラのスクリューをここまで磨く技術があれば、人工関節も作れるんじゃないか」との西江寛格医師の偶然の提言に拠ることに加え、メロディベル等の非主力商品の開発も同様の第三者の偶然の提言に拠ることが多いとのことだが、かくなる母体企業(ナカシマプロペラ)の脆弱な商品企画力は断絶できているか(→独自価値溢れる成長商品を不断に世に出す強靭な商品企画力を社内に保有しているか)?
【3】コメント
中島義雄社長曰く、「欧米メーカーが人工関節のシェアの過半を取っているのは、整形医学を志す医学者の多くは欧米へ留学し、かつ、そこで欧米製の人工関節と手術道具に慣れ親しんでしまうことが大きい」とのこと。
マイクロソフトのビジネスの根本は勿論windowsやofficeだが、それは、欧米メーカーと同様、初めてマスターしたり、仕事で使っているパソコンのosや表計算ソフトがwindowsやexcelだからであり、それ以上でもそれ以下でもない。
フィリップ・コトラー教授が、過日の日立のセミナーで「ビジネスとは、プロダクトではなく、プラットフォームを作ること」だと仰っていたが、マイクロソフトや欧米メーカーのビジネスも、プロダクトではなく、プラットフォームを作っている、と言えよう。
ナカシマメディカルが人工関節のビジネスで持続的に成功を収めるには、否、生き残るには、やはり、独自のプラットフォームを作ること、即ち、自社の人工関節を買わないと病院、医師、患者のいずれかか全てのビジネスや生活が立ち行かなくなる状況を世界規模で作ること、が必要だろう。
当座は先ず、現在国内で実施中の産官学の垣根を越えた研究会をワールドワイドで展開することや、手術道具メーカーとアライアンスを組み(→状況や必要に応じては該当メーカーを買収し)、商品企画、営業をワールドワイドで、とりわけ欧米の権威ある整形医療専門病院や専門医宛に徹底推進すること、が必要だろう。
母体企業のナカシマプロペラの商品企画がこれまで第三者の偶然の提言に拠っていた根本原因は、「サプライヤー意識、風土の根強さ」に思えてならない。
ナカシマメディカルは今こそ、「受注」メーカーから「創発」メーカーに、「人工関節メーカー」から「関節痛ソリューションプロバイダー」に脱皮すべきだ。
2012年12月20日
【カンブリア宮殿】なぜこの魚屋の魚は売れるのか? 魚離れに勝つ!年商220億円を超える巨大鮮魚専門チェーン 角上魚類社長 栁下浩三さん
近年、魚離れが進み、魚介類の消費量は下落の一途。実に15年前の7割近くに減っている。そんな中、首都圏中心に22店舗を展開する鮮魚専門チェーンの角上魚類は右肩上がりの成長を続けている。鮮魚専門店をうたうだけあって売っているのは魚のみ。そしてここでは魚離れが嘘かと思うような光景が見られる。開店前から客が行列を作り、魚が飛ぶように売れていくのだ。
角上魚類が大切にしているのは鮮度、種類の豊富さ、価格だという。そして魚を売るためのもう一つの秘策が・・・。
魚離れに打ち勝つ巨大鮮魚店、角上魚類の栁下浩三社長を迎え、成功の秘密に迫る!
朝から大行列の魚屋革命!売れる秘密を大解剖!
角上魚類が出来たのは1976年(昭和51年)。創業地は新潟県長岡市寺泊。魚卸業をしていたがスーパーに対抗すべく鮮魚小売り店経営に乗り出した。関越自動車道開通を機に関東に進出。「日本海まるごとかついでやってきた!」というコンセプトの店は次々と人気店となり、現在首都圏中心に22店舗、227億円を売り上げるまでになった。
その1店、東京郊外のロードサイドにある角上魚類小平店。ここも開店前から大行列だ。広大な面積に100種以上、まるで水族館のような種類豊富な魚が丸々1匹の姿で並ぶ。そんな角上魚類のウリは抜群の鮮度と種類の豊富さ、そして対面販売だという。
魚離れに打ち勝つ角上魚類の〝売れる魚屋革命〟に迫る!
魚離れは売る側が悪い・・・魚こそプロのビジネスだ!
角上魚類の魚の仕入れ方法は独特だ。旬の魚や定番の魚でも、高かったり、鮮度が悪かったりすれば一切買わない。逆に安く良い魚は大量に買い付ける。スーパーなどのバイヤーが店からの発注書通りに買い付けるのとは対照的に、その日あがった魚を見て臨機応変に買い付ける。だからその日、最も良い魚が安く店に並ぶのだ。
しかし、臨機応変に買い付けられた魚を全て売るのは至難の業。魚は鮮度が重要なため廃棄ロスが出やすい。ところが角上の魚の廃棄率は驚きの0.05%。それを実現させる「アドリブ販売」と呼ばれる手法を特別公開。
※番組HP(↓)から転載
http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/20121220.html
【1】番組から窺えた角上魚類の○(マル)
〔1〕商品及び主要原材料を自社で全て仕入れられること(→原価を低く設定できる)。
〔2〕↑に加え、商品を自社で全て販売できること(→値付けを低く設定できる。粗利を多く獲得できる)
〔3〕ドミナント戦略の如く、本社兼仕入れ拠点の新潟からアクセス容易な場所に直販店舗を多数保有している(22店舗)こと(→絶えず低コスト大量仕入れ&新鮮低価格販売ができる)
〔4〕社長が現役仕入れ担当者であること(→バイヤーの業績と能力を直接評価できる。自社の仕入れ能力を直接マネージできる)
〔5〕社長が「(商品の)廃棄は会社に対する背信行為」と、廃棄率ゼロを社是にしている(※実績値は業界平均の6.6%より遥かに低い0.05%)こと(→バイヤーは絶えず廃棄しなくて済む仕入れを思案、励行し、店長は絶えず廃棄しなくて済む売り方を思案、励行する)。
〔6〕店舗での商品の売り方を店長に一任していること(→店長の主体性とモチベーションを高める。低廃棄率の達成を促進する)。
〔7〕店舗に部門別売上リアルタイム管理システムを導入していること(→例えば、鮮魚での販売が芳しくなければ、下ろして刺身や寿司で販売したり、揚げて惣菜で販売するなど、売り方の最適化をリアルタイムに支援できる)
〔8〕店舗スタッフのセールストークが長けていること(←例えば、「イカ、いかがですか!」ではなく「塩辛、いかがですか!」と、商品ではなく成果物をアピールしている)
〔9〕店舗スタッフの対面販売力が優れていること(←ブリやサンマなどの定番商品ではない非定番商品をも、顧客の用途やニーズを把握して、合理的かつ積極的に提案、販売している)
【2】番組から窺えた角上魚類の?(ハテナ)
〔1〕仕入れ対象が鮮魚であるからして、仕入れ拠点が新潟漁港の一箇所なのは、不測の折、販売に支障を来たさないか?
〔2〕社長が仕入れに従事し続けるのは、本業の経営に支障を来たさないか?
〔3〕社長が72才と高齢(→高確率で心身が頑な)なのは、経営判断や然るべき経営改革の妨げにならないか?
〔4〕社長が72才と高齢なのは、次期社長が育っていない、又は、居ない、ということか(→経営の持続性は十分担保されているか)?
〔5〕店長のマネジメントスキルにバラツキはないか?(→経営実績、店作り、店舗スタッフのモチベーション/出入りが、店舗毎にバラついていないか)?
〔6〕店舗の廃棄率と利益は店長の業績評価基準の中核に位置づけられているか(→店長の主体性とモチベーションは、個人の属人性ではなく、会社のシステムで担保されているか)?
〔7〕店長の輩出がシステム化されているか(→個人の現在能力や属人性に依存し過ぎていないか)?
〔8〕店長の昇降格が公正かつキャリアパス化されているか?(→店舗スタッフが店長職に憧れている、成りたいと強く思っている、か)?
【3】コメント
角上魚類のビジネスの本質は、ファーストリテイリング(ユニクロ)やニトリと同様、SPA(製造小売業)だ。
原材料の調達から始まり、商品の企画、製造、販売まで全て自社で行なうからして、商品を売り切れば巨利に与れるが、売り切れなければ赤字にさえ成る。
正にハイリスク・ハイリターンなビジネスだが、顧客ニーズや外部環境の変化が激しい今、意思決定の速度と浸透を頼りに、積極的にリスクを取り、巨利を狙うのは、一つの賢明な経営判断であり、また、生き残り策だ。
なぜなら、「攻撃は最大の防御」であり、利益はそのガソリンだからだ。
リスクを嫌い、薄利に甘んじ、手元のキャッシュが絶えずカツカツでは、大きな変化に抗えないのは勿論、優れた社員に見限られる他ない。
ただ、角上魚類のSPAは、ファストリやニトリと比べれば、絶対的なリスクは低いかもしれない。
なぜなら、角上魚類の直販店舗に訪れる顧客の多くは、ファストリやニトリとは真逆の「非目的買い」客に見受けられるからだ。
例えば、ユニクロの店舗に訪れる顧客は、お目当て(=来店動機)のフリースが店頭に無ければ、多分に「はい、それまで」だ(→販売機会の損失)。
つまり、ファストリのSPAの肝は「商品の需要予測とその対応の正確性」で、これはいかにSPAとはいえ、外部環境や物理的制約の影響を完全には免れず、リスクが極めて高い。
対する、角上魚類の店舗に訪れる顧客は、お目当てのサンマが店頭に無くても、「はい、それまで」にはならないのではないか。
彼らは、たしかに「サンマを焼いて食べたい」と思って店舗に訪れるのだが、彼らのニーズは「脂がのった美味い焼き魚を食べること」であり、「サンマでなければ駄目!」とまでは思っていないのではないか。
むしろ彼らは、サンマと同等かそれ以上に安くて美味い魚があれば、喜んで買うのではないか。
ゆえに、栁下社長以下角上魚類のバイヤーは、安くて美味い非定番魚の仕入れに積極的になるのではないか。
しかし、だからこそその分、角上魚類の店舗は、ユニクロの店舗よりも遥かに対面販売力が優れていなくてはいけない。
なぜなら、顧客は、「油がのった美味い焼き魚を食べること」という自分のニーズを自覚していない上、そもそもサンマの代替品に成り得る非定番魚を知らないからだ。
まとめると、角上魚類のSPAは、外部環境や物理的制約の影響を受け難く、顧客の来店動機がファストリやニトリほどストレートでない(=曖昧、無自覚)点でリスクは低めだが、顧客の来店動機がストレートでないが為に「対面販売力の優秀性」が肝となる。
そして、これは、同社が鮮魚という、需要予測の対応の正確性がそもそも限られる商品のSPAであることの利点であり、また、宿命でもある(→とりわけ、絶えず優秀な店長を輩出、配置し、彼らのマネジメントスキルを担保する必要がある)、ということだ。
角上魚類が現行のビジネスを発展させる機能的な問題の最たるは、?(ハテナ)の〔1〕で言及した、仕入れ拠点が新潟漁港の一箇所であることではないか。
なぜなら、直販店舗を増やすなら、商品及び原材料を今よりも質量共に確保しなければいけないからだ。
その折、社長は、「第2の」新潟漁港を見い出すか、もしくは、仕入れ拠点を新たに開拓し、そこからアクセス容易な場所へ新たに直販店舗をドミナント出店するか、いずれかを決断する必要に迫られるのではないか。
角上魚類のビジネスから改めて気づかされたことが二つある。
一つは、「顧客インターフェースが優れている売り場、会社は強い」ということだ。
これは今サンマの例示で述べたことでもあり解説しないが、要するに「やはり、デキる女将の居る料理屋は、食材の調達にバラツキこそあれ、いつも繁盛している」(笑)ということだ。
もう一つは、「『陳列』と『販売』は全然違う」ということだ。
私も妻とよく鮮魚店に出かけるが、多くは名称と価格を付して魚を「陳列」しているだけで、どのように調理したら良いか、どのような味わいが満喫できるか、全く情報提供していない。
これは、鮮魚店に限らず、大抵の小売店に当てはまる。
「お客さまが望むのは、新鮮なイカではなく、美味い塩辛である」。
小売店は、本事項を再認識すると共に、速やかに商品を「陳列」ではなく「販売」する必要がある。