2016年03月
2016年03月31日
【カンブリア宮殿】万物を動かすチェーンを極めて100年!世界NO.1の強さを生む挑戦&突破力! 椿本チエイン会長 長勇さん
誰もが知っている回転寿司やジェットコースター、自動車エンジンに製鉄所…世の中の様々な場所で「ものを動かす」ために、必要不可欠とも言われる「チェーン」。ダヴィンチが発明したと言われるこのチェーンを、1年間に長さ2万5000キロも製造する、産業用チェーンの世界トップメーカーが大阪に本社を置く、椿本チエインだ。実は、この椿本の強さを支えてきたものこそ、創業者・椿本説三に始まるチャレンジャースピリットにあった。世界を驚かせ続ける椿本チエインの挑戦力と突破力の真髄に迫る。
※番組HP(↓)から転載
http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/20160331.html
私は自転車を二台使っている。
一台は街乗りからちょっとした遠乗りに使う「クロスバイク」で、もう一台は遠乗りと専ら荒川サイクロードで心身鍛錬(笑)に使う「ロードバイク」だ。
そして、全くの偶然だが、つい先日、クロスバイクのチェーンを交換した。
自転車、並びに、自転車のチェーンに詳しくない方向けに補足すると、自転車にとってチェーンは、ペダルの踏力をタイヤに伝達する重要部品だ。
その重要部品のチェーンを、なぜ私は交換したのか。
伸びたからだ。
先述のように、チェーンは踏力をタイヤに伝えるのが役回りゆえ、ペダルを踏んでいる内に、すなわち、乗っている内に必ず伸びてしまうのだ。
もし、交換しなかったらどうなるか。
踏力の伝達ロスがいよいよ大きくなり、進みが悪くなるは、関係部品は痛みが激しくなるは、はたまた、最悪チェーンそのものが破断→落車するはで、心が辛いだけでなく、身が危ない。
ということで、私はつい先日、クロスバイクのチェーンを交換したわけだが、今回は前回と同様、「インテル入ってる?」ならぬ「シマノ入ってる?(笑)」のシマノの、それも、前回より上位の、最上位グレードのチェーンに交換した。
最上位グレードを選んだのはひと言「物は試し」だったが(笑)、予想以上にイイ感じである。
対象が、高位なロードバイクではなく、低位なクロスバイクの方だったにもかかわらず。(笑)
具体的にどうイイのか?
正に「言葉にできない」のだが(笑)、敢えて言えば、「ペダルが『よりしっかり』、『より気持ち良く』踏める」のである。
私は、前回交換したチェーン(CN-HG50)にも十分満足していたが、それより絶対価格で約500円、割合にして約3割高い今回のチェーンには、その価格差を補って余りある、言葉にできない「イイ感じ」があり、大満足なのは勿論、次回もこれに交換しようと固く決心したのだった。(笑)
「たかかチェーン、されどチェーン」、である。
その「されどチェーン」を、椿本チエインは、創業当初は自転車用に手がけたものの、「誰でも作れる」と、差別化(高付加価値化)と事業性(将来性)を懸念し、約10年でやめてしまった、という。
以降は、ATM、エレベーター、自動車といった産業、輸送機器用に特化し、かつ、それを組み込んだパッケージ機器、ないし、システムを個別製販している、という。
「されどチェーン」を自転車に特化し続けるだけでなく、変速機、ブレーキ、ホイールといった自転車部品のほぼ全てを手がけるシマノとは、同じチェーンメーカーと言っても事業戦略やビジネスモデルの点で全くの別物である。
結局、椿本チエインが志向しているのは「チェーンソリューションプロバイダー」で、シマノは「自転車トータルサプライヤー」なのだろう。
勿論、この違いに良否はないが、現実問題、椿本チエインの時価総額はシマノの10分の1にも満たない(※2016年4月20日時点:約140.000百万円と約1.600.000百万円)。
同じ「されどチューン」を商材としながら、こうも資本家の評価が分かれるとは、やはり、企業が資本主義社会で問われるのは、「どんな有意なモノを手がけるか?」以上に「有意なモノをどう手がけるか?」、である。
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2016年03月29日
【ガイアの夜明け】「レジャー施設」新たな戦い
レジャー業界で2強といわれる東京ディズニーリゾートとユニバーサル・スタジオ・ジャパンが集客に圧倒的な強みをみせるなか、苦戦を余儀されている中小の遊園地やテーマパーク。そんななか東京の郊外にある「よみうりランド」がここ数年、入場者数を増やしている。さらなる集客を狙って、100億円を投じてオープンさせる新たな施設とは? 一方、福井県池田町。9割が森林という池田町が、人を呼び込むため打ち出したのが、町全体を"森と木のテーマパーク"にすること。日本一と銘打ったあるアトラクションが目玉の一つだという。前代未聞のプロジェクトの全貌に密着した。
遊園地とメーカーがコラボ!
モノづくり体験で客を呼ぶ:よみうりランド東京の郊外に1964年に開園した「よみうりランド」。90年代半ばから来園者数の落ち込みに歯止めがかからず、一時は閉園の噂もささやかれていた。夜のイルミネーションなどあの手この手を繰り出し現在、入場者数は持ち直している。そのよみうりランドが開園以来最大の100億円を投資して、かつてない遊戯施設をオープンするという。新施設の名は「グッジョバ」。日本のお家芸である「モノづくり」をテーマに、楽しみながら学べる15種類のアトラクションを登場させる。 この社運をかけた巨大プロジェクトを託されたのが、よみうりランドの曽原俊雄さん(49歳)。今回の新施設では、「クルマ」、「食品」、「ファッション」、「文具」の4業種のメーカーと手を組み、「学び」と「エンターテイメント」の両立など、様々な課題に立ち向かいながら開発を進めている。運命のオープンは3月18日。少子化の時代、ディズニーランドやUSJのような豊富な資金も人気キャラクターもない中小の遊園地は、どうすれば生き残れるのか。起死回生を懸けたよみうりランドの挑戦に密着する!
町が丸ごとレジャー施設に変わる!?:福井県 池田町
名古屋から車で2時間半、福井県池田町。町土の92%が森林でかつては林業の町として栄えていたが、国内林業の縮小とともに人口も年々減少し、約2600人の町民の半数が高齢者だという。そんな限界集落に人を呼び寄せようと、町長自ら呼びかけ、町を挙げた再生プランが動き出した。それは「町を丸ごとレジャー施設にしてしまおう」という前代未聞の計画。この春開業予定で、総工費は6億円を超える。最大の目玉となるのは、山の尾根の間に張られたワイヤーケーブルで森の上空を滑走する「メガジップライン」。20階建てのビルに相当する高さ60メートルから滑り降りるもので、片道500メートルの長さは日本一だという。 この施設の開業準備から運営までを任されているのが、池田町役場で働く、開業準備室長の山田高裕さん(37歳)。山田さんは、池田町の隣の越前市出身。震災をきっかけに3年前、東京からUターンした。山田さんが考えるのは、これまで全国各地で失敗を繰り返してきた箱物のレジャー施設ではない。またリピーターを獲得するための様々な仕掛けも考えているという。
※番組HP(↓)から転載
http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber3/preview_20160329.html
言葉尻を捉える訳ではないが、「レジャー施設」は昭和過ぎて、標題の「新たな戦い」はナイだろう。
バブルを経、良くも悪くも人生、価値観がイロイロになった平成の今、我々日本人の「満足」は物質的なものから精神的なものに、また、「右へならえ」的なものから「オレ様」的なものに変容した。
もはや、「余暇を潰す」だけなら、手元のモバイルでSNSやゲームでもやれば事足りてしまい、「レジャー施設」など要らないし、行かない。
勿論、近所に在って、WI-FIと、空調の効いたスペースが無料で使えるなら行くかもしれないが、敢えて入場料と交通費を払ってまで、「余暇を潰す」以上の価値が見込めない所謂「レジャー施設」には行かない。
要するに、「新たな戦い」をするには、そもそも「レジャー施設」という商品、ないし、その考え(コンセプト)が賞味期限切れで、平成の「今」に最適化する必要がある、ということだ。
だから、最適化の解として、独自の世界観とその体験価値を創出し、かつ、そのブラッシュアップとマーケティングに余念ないディズニーランドとユニバーサル・スタジオが、ポスト「レジャー施設」のダントツ2強なのは当然だ。
たしかに、私も妻も、ディズニーランドには行かないし、行きたくもないが(笑)、だから良いのだ。
ディズニー独自の世界観とその没我を価値認識できない、つまり、「ディズニーワールドの住民と化したもう一人の自分が好ましくも、欲しくもない」、私や妻のようなツマラナイ人間(笑)、かつ、アンチ(非対象顧客)が一切来ず、価値認識できる(潜在的ないし既存)対象顧客だけが来続けるからこそ、ディズニーランドは絶えずディズニーランド、及び、2強足り得るのだ。
「独自価値に満足する対象顧客が来続けるか?」
番組が紹介したよみうりランドと福井県池田町を比べると、この確率はよみうりランドの方が低いように思う。
なぜなら、いかに「グッジョバ」なる施設を新設しても、依然基本は旧来の雑多な遊園地、そう、所謂「レジャー施設」だからだ。
そもそも将来のある子どもに、「プログラミング」の面白さと意義を伝えるならまだしも、これまた昭和な(苦笑)「ものづくり」のそれらを伝えてどうするのかというのが本音だが、百歩譲ったとして(笑)、それらと他の所謂遊園地の乗り物の体験価値とどう整合性、折り合いをつけるのか、つまり、子どもたちに帰路の車中でよみうりランドで過ごした一日をどう具体的かつ特異的に反芻、総括してもらうつもりなのか、今回の報道から見えない。
これだと、子どもは「今日は色々楽しかった」としか凡そ反芻、総括できず、我々大人が「今日は色々ありがとうございました」としかお礼メールを書けない相手と高確率で懇意になれないのと同様、よみうりランドと懇意になれない、つまり、よみうりランドに「また来たい!」と思わない、だろう。
たしかに、新企画は対象顧客の気を引き、集客の目玉になり得る。
しかし、成る程なオチとそこに至る合理的なストーリーメイキングのない新企画は、二流お笑い芸人の一発芸と同義で、仮に売れても一時的でしかない。
なぜ、福井県池田町の方が、独自価値に満足する対象顧客が来続ける確率が高いと思うかというと、ひと言で言えば、コンテンツそのものの独自性、特異性が高く、「余暇を潰す」以上の明確かつ今的な価値が見込めるからだ。
しかし、コンテンツと価値は別物で、たとえば折角のゴルフもやる人、見る人、いずれも減少が止まらないように、いかにコンテンツの独自性、特異性が高くても、その価値を認識、評価する基準と方法を対象顧客に適切に喧伝、教示しなければ、「宝の持ち腐れ」ならぬ「コンテンツの持ち腐れ」になる可能性も高い。
その解決の秘密兵器(笑)、企画が、池田町からすれば長さ日本一のメガジップラインや楢の木の上のツリーハウスなのだろうが、これらは成る程なオチを設けなければ単に「田舎の変わったアトラクション」に過ぎず、よみうりランドの「グッジョバ」と同様、子どもに(大人にも)「今日は色々楽しかった」と反芻、総括されかねない(→池田町に「また来たい!」と思わないし、「移住したい!」など到底思わない)。
池田町がいかなる成る程なオチとそこに至る合理的なストーリーを仕込むのか、注目したい。
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2016年03月27日
【がっちりマンデー】日本最北端に、車の中・・・儲かりのヒミツは超アナログ作業にあった!? ヤフー株式会社 代表取締役社長CEO 宮坂学さん
※標題は番組HP(↓)から転載
http://www.tbs.co.jp/gacchiri/archives/2016.html
番組は、Yahoo!の儲かり(笑)、つまり、競合優位の源泉を、インターネット企業のイメージと真逆の「超アナログ作業」の徹底にある、と報じていたが、本当にそうだろうか。
成る程、非ネット企業に勤務する世の多くの人からすると、ネット企業の仕事はさぞ非アナログの作業、即ち、手足の物理性に多く依存しない、オートマチックかつクールに貫徹するそれで成り立っているように思えるのかもしれない。
しかし、ネット企業が成果物を製販する過程は、成果物がコンピューターやスマホといったデジタル端末のスクリーンに表示されるだけで、出版社が成果物を紙にして書店に陳列(促進)するのと変わらず、「脳と額の汗と根性から成る」超アナログ作業の連続だ。
然るに、Yahoo!の競合優位の源泉は「脳と額の汗と根性」だろう。
たしかに、「サービス」という成果物の製販へ向けた、老舗ネット企業とも言うべきYahoo!のアナログ作業は、潤沢なリソース(=ヒト/モノ/カネ)を背景に、他のネット企業、それも新興のそれと比べ傑出していよう。
番組は、小澤隆生執行役員ショッピングカンパニー長の戦略のもと、「セミナーの鬼」こと(微笑)白山達也ヤフーショッピングeコマース革命エバンジェリストが、北海道は稚内宗谷まで出向き、Yahoo!ショッピングの新規出店セミナーを行うさまを報じていたが、これはその好例と言えよう。
ただ、私自身、かつてサラリーマン人生の最後をネットオークション企業で全うしたのだが、当時ダントツのシェアを誇っていたYahoo!オークション(※現「ヤフオク」)も、当初はスタッフが寝ずに総出で出品し、スクリーン上のオークション会場を自ら盛り上げ続けていたと聞かされ、こうつくづく思い知らされた。
ネットビジネスの死命線も非ネットビジネスと変わらず、いかに顧客創造、及び、顧客満足の最大化に合理的な作業をデジタル、アナログの別なく、スタッフの過半が主体的にやり切るか、即ち、いかにスタッフが「脳と額の汗と根性」に長けているかだ、と。
「いかにユーザーに選ばれるサービスを創るかが第一(関門)で、それをどうビジネスにするか(→マネタイズするか)はその後考える(≒二の次)」。
宮坂学社長のこの旨の言&お考えは尤もだ。
これは、とりわけネットビジネスでは定跡であり、かのGoogleも基本そうだ。
しかし、私は両社の株をそれぞれ十年程度保有していたりするのだが、投資金額の時価総額比はYahoo!が約70%なのに対し、Googleは約500%である。
勿論、時価総額、株価が企業の利益と事業活動を全てフェアに反映しているとは言わないが、同じ定跡に基いてビジネスをしていながらこれだけ差があるとなると、スタッフの「脳と額の汗と根性」の賜物の各種サービスが「選ばれるサービス」に成っていないか、成っていてもその後ビジネスに成っていないかであり、死命線のスタッフの「脳と額の汗と根性」を決めている、経営者の「脳と額の汗と根性」に根源的な[問題]、ないし、[改善余地]があるように思える。
実際、私自身、かつてはヤフオクもソコソコ利用していたが、今はコスパで挫折し、常用のYahoo!のサービスは地元の荒川区の「ピンポイント天気」だけだったりする一方、常用のGoogleのサービスはGoogle Appsを筆頭に多々あり、もはやGoogleが倒産すると、私の会社も私自身も即窮地に陥る有様だったりする。(苦笑)
同じ通販のビジネスでも、ジャパネットたかたとアマゾンでは対象ユーザーが真逆に近く違うのと同様、同じ定跡に基づくサービスプロバイダービジネスでも、Yahoo!とGoogleでは対象ユーザーが真逆に近く違うのは分かるし、それ自体は全く否定しない。
専らジャパネットではなくアマゾン、並びに、ヨドバシを愛用する私が、Yahoo!の対象ユーザーではないのも否定しないが、では、ジャパネットを愛用している(ような)人が今本当にYahoo!の各種サービスを愛用しているか、更には、Yahoo!そのものにロイヤリティを感じているか、というと、正直肌感覚的には疑問だ。
スタッフの「脳と額の汗と根性」を一層マネタイズできる、宮坂社長以下経営者の一層の「脳と額の汗と根性」を期待したい。
2016年03月24日
【カンブリア宮殿】日本経済を運んで140年! 何でも届ける力を生む「段取り八分」精神 日本通運社長 渡邉健二さん
長さ40mの「風車の羽根」、社員数千人のオフィス用品、国宝級の美術品…。そうした「運ぶのが困難なモノ」に挑み、必要な場所に届け、日本経済を支えてきた企業がある。あの物流大手「日本通運」だ。江戸時代の飛脚にルーツを持つ日通は、日本の近代化、戦後の復興、高度成長とともに、世の中が必要とするものを運び続けてきた。その多くは「誰も運んだことがなかったもの」。それを確実に届けるため、日通に浸透した哲学が「段取り八分」だ。事前の準備に十分な時間と労力を割くことで、数々の挑戦を成功させてきたのだ。できて当たり前、失敗が許されない「運ぶ仕事」で、果敢に挑戦を続ける巨大物流企業「日本通運」、その知られざる実力に迫る!
※番組HP(↓)から転載
http://www.tv-tokyo.co.jp/cambria/backnumber/20160324.html
番組は、日本通運の競合優位は「何でも届ける」ことで、その源泉は「『段取り八分』精神」を全社共有していることにある、と報じていたが、本当にソコなのだろうか。
勿論、ビジネスの成否は基本「現場」の前の「机上」、即ち、事前の「企画」、で決するからして、「事前の周到な準備」の意の「段取り」がとりわけ問われるのは間違いない。
しかし、日本通運にとっての「事前の周到な準備」の本質は「いかなるモノをも運び切る最善のプロセスを策定すること」であろうから、最も問われるべきは、その基盤能力であるはずの「想像力」と「経験利活用力」だろう。
「想像力」と「経験利活用力」が最も問われるのは、私がやっている企業へのコンサルティングも同じだ。
たとえば、私が過去ヤマト運輸のコンサルティングを経験していれば、物流ビジネスのキモを会得しているはずであり、日本通運のコンサルティングの着手は比較的楽に違いない。
しかし、企業も人と同様、十人十色である。
「風邪を治す」というゴールは同じでも、喉だけがとにかく痛かったり、咳が止まらなかったりするなど、ゴールに向け解決すべき具体的症状、問題は、ひいては原因、ネックは、絶対に違う。
なので、「業績を改善or向上させる」というゴールは同じでも、ヤマト運輸と日本通運のコンサルティングは完全な別物になる。
ただ、ビジネスのキモは基本不変ゆえ、私は、ヤマト運輸のコンサルティングに限らず、過去の経験で会得したビジネスの本質をフルに利活用するに違いない。
そして、日本通運の「業績を改善or向上させる」阻害要因、並びに、「業績を改善or向上させる可能性の高い」道のりを具体的に想像し、そのプロセスを役員&幹部社員と二人三脚で策定するに違いない。
よって、物流の雄の日本通運のこと、たしかに奈良の長谷寺の仏像を運ぶことは今回が初めてかもしれないが、他の寺の仏像、ないし、他の同様のモノを運んだことは今回が初めてではなく、過去誰かしらが経験していよう。
だから、冒頭で述べた通り、今回日本通運が長谷寺の仏像を運ぶことに成功した最大かつ根本の要因は、成功への最善のプロセスを策定した想像力と、それを支えた過去の経験の利活用力に違いない。
そして、これらの力をいかに向上、担保するかが、「何でも届ける」日本通運の最大かつ永久の経営課題に違いない。
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2016年03月22日
【ガイアの夜明け】シリーズ 働き方が変わる 第12弾 "安定"を棄ててでも...
安定した企業に就職して、少しでもいい給与をもらって...。これまでの学生が目指した就職の"理想の形"だが、それが今、変わり始めている。そうした「安定」を棄ててでも、社会の役に立ちたいという考えが、若年層に広がりを見せているのだ。若い世代は仕事を通じて何を掴もうとしているのか。現場の最前線に密着し、これからの時代の働き方について考える。
※番組HP(↓)から転載
http://www.tv-tokyo.co.jp/gaia/backnumber3/preview_20160322.html
チョコレート専門店を運営する「Dari K(ダリ・ケー)」の事業コンセプトは、所謂「フェアトレード」なのだろう。
私はフェアトレード、及び、そのビジネスに関わったことはないが、カカオの生産国には、その成果物であるチョコレートやコーヒーを口にすることなく死んでしまう人が少なくない、と聞く。
チョコレートやコーヒーの食品的かつ経済的恩恵に日々あずかる我々消費国、及び、先進国の人間が、彼らを商取引的に支援するのは、恩恵に感謝し、その持続性を担保するためにも、また、所謂「倫理」が有名無実化している現実世界を変えるためにも、必要かつ自然なのだろう。
「自分さえよければいいのか」。
こう細君を制し、Dari Kを起こした吉野慶一社長の志と、創立5年目のバレンタインデーに果たした店舗当たり157万円もの日商は、敬意を表する以外ない。
Dari Kの今後の事業展開の一番の課題は、「同志」の増員と確保だろう。
即ち、カカオを高付加価値化する発酵技術そのものではなく、フェアトレードそのものでもなく、あくまで生産者、自分たち事業者、そして、消費者の三者のバランスの取れた持続的な笑顔に一番関心を持ち、かつ、その実現に向けた自分ならではのアプローチとその試行錯誤に全人格、全人生を賭ける腹積もりのある人、即ち、吉野社長以下社員の「同志」、をいかに増やしていくか、また、彼らが入社後絶えず対峙する、近年伸長激しい「マネー資本主義」や「格差社会」と一線を画するフェアトレードならではのハードな葛藤、並びに、よこしまな誘惑に、会社としていかに抗うか、だろう。
事業者のフェアネスが一人でも怪しくなった時、フェアトレードは偽物、或いは、偽善マーケティングと化し、瓦解するからだ。
フェアトレード、及び、フェアトレードビジネスの一番のキモは、「出口を確保すること」、つまり、「最終商品の需要を創ること」、もっとぶっちゃけて言えば、「非フェアトレード品よりも高額な最終商品を選好するお客さまを、損益分岐点以上に育むこと」だろう。
これは、こうして言葉にすると簡単だが、現実は真逆だろう。
当たり前だ。
かつて将棋棋士の森下卓九段が「駒得は裏切らない」と言い、格言化したように(笑)、そもそも「キャッシュは裏切らない」からだ。
また、「裏切らないキャッシュ」を裏切ってまで高額な商品を買う理由を、つまり、未周知かつ未権威付けの付加価値を評価する基準や方法を、お客さまに啓蒙するのは、並大抵のことではないからだ。
然るに、世の多くの会社は、フェアトレードなど意に介せず、より低額な商品の製版に日々躍起になっているわけである。
番組は、Dari KがB2C(直営店販売)に留まらずB2B(メーカー販売)も手がけ、インドネシアで啓蒙&推進中の発酵カカオの「出口」を増加、強化している様を報じていたが、商品の特性上、やはり一番に増加、強化すべきは、フランチャイズ展開&販売を含む、B2Cの出口だろう。
Dari Kはまだ所謂「ブランド品」ではない。
だから、今回こうして番組の取材にも応じたのだろうが(笑)、非ブランド品のチョコレートが確保できるB2Cの出口は限られる。
Dari Kがそれを今後いかに増やしていくのか、このまま「フェアトレード」一本足打法(笑)で行くのか、はたまた、ブランドマーケティングに挑むのか、親和性の高い商品や企業とアライアンスを試みるのか、チョコレート大好きオヤジの私は(笑)注目しきりである。
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