罪状 どこでも溺殺

殺傷人数 8人(ヨーロッパとアメリカで他多数)

攻撃性能☆3 残虐性☆2 執拗さ☆5 不死性☆4

罪人ランク B

ギリシャのほぼ中央に、メテオラという修道院群がある。恐ろしく切り立った岩場が数多くあり、世俗を離れ、修行に専念するには理想の場所である。
現在でも修道院が開かれており、他にはない景色を求めてやってくる観光客も多い。

その修道院の1つに、ヴァルラーム修道院がある。
800年前、ここで修行していた僧がドリアン湖にてある悪霊を捕まえた。彼はヴァルラームの庭園の井戸にまじないをかけ、そこへ悪霊を封じ込めることに成功する。
この修道士の腕は確かであり、呪文の効果は近年まで続いていた。それが何らかの理由により解けたことで、悪霊は再び活動を開始した。

【容姿・能力】
悪霊の名はネレウスという。
全身が水で構成された男性の姿をしている。眼だけが白く光っており、髪にあたるものはなさそうな、つるりとした頭部が確認されている。

彼は淡水にのみ存在する水魔である。執念深い性格で、一度でも接触した相手を逃すことはない。
接触は、彼の憑依した水に触れるだけで成立する。
水に入っても、退出することは可能である。初めこそ何も影響はないが、しばらくすると鼻血や吐血、腹痛といった症状が出る。そしてこの状態では、ペットボトルの水を飲む、水道水で顔を洗う、などの些細な日常行動で致命の罠が発動する。
なんと時と場所を選ばず、彼の憑依する水場に強制転移させられるのだ。
一瞬で水中にワープさせられた獲物は、パニックに陥ること必至。さらに彼の支配する場から簡単に出られるはずもなく、水で手足を拘束されて溺死する。

また彼には宿主という存在がいる。
ネレウスは人を殺す水たまりを作り出せるが、それ以外のことはほとんどできない。なので水たまりに人を呼び込む役が必要なのだった。
800年前からアルタイアーという女性がこの役を担ってきた。彼女を媒介することで、ネレウスは別の水場に移動したり、国を越えて活動をしていたようだ。
宿主にもメリットはある。宿主が生贄を捧げ続ける限り、ネレウスは不老の肉体を与えてくれる。またネレウスの宿る水を自在に操ることができるため、高い戦闘力を発揮できる。

800年の長い付き合いのためか宿主がいないと行動が大いに制限されるためか、アルタイアーが生意気な口をきいてもネレウスは咎めることはしない。単なる主従というより、共生に近い関係が二者にはある。

【対策】
ネレウスのいる水に触れただけで、未来がない。
彼の水は、血が薄まって消えるのではなく、飲み込まれるように消える。なので判別するには血を垂らしてみるのが分かりやすい。
例えばマイアミの一件ではアパートのプールに宿っていた。だからといってあなたが行く先々のプールに血を垂らすなんてことは、バイオテロ以外の何物でもない。
加えて、ネレウスは溺死させた人間の死体を跡形もなく消してしまう。
つまり事前の判別は現実的ではないだろう。

呪われたらまともに水を飲んだり、シャワーを浴びることができなくなる。呪いが発動させないようにすると、まとも日常生活を送れなくなる。
古文書が真実であれば、彼が憑依するのは淡水(塩分濃度が低い水)だけである。かといって汽水や海水を普段使いするのは無理がある。なので呪われたのが分かったら、純水製造機を買うなりして塩分のない水で過ごすことが唯一の望みとなる。

ネレウスを倒す方法は2つある。
1つ。呪われた人がヴァルラーム修道院の井戸の水に触れること。
するとまじないが再起動し、ネレウスを再び封印することができるらしい。
しかしこれはもはや不可能な手となった。修道院の井戸は既に枯れていたのだ。
そして昼間は観光地として賑わうヴァルラーム修道院だが、夜はゾンビプリーストが徘徊する魔境となっている。彼らはネレウスに復讐され、奴隷と化し、井戸を守っている。言い伝えを信じてやってきた被呪者を枯れ井戸で絶望させた後、捕まえて更なる絶望へと叩き落す役を担う。
修道院へはお昼にどうぞ。

2つ。ごくたまにいる“溺れぬ者”という性質の人間。
これはネレウスの水に落ちても脱出できる人間である。そしてこの者がネレウスの宿主の心臓を一突きすれば、ネレウスを倒すことができる。
ネレウス&宿主との戦いは必然的に水中となるだろう。“溺れぬ者”は、ネレウスの水で溺死しないだけで窒息までいく。かなり(息)苦しい戦いだが、それでも水魔に対抗できる貴重な人材である。
ただし、“溺れぬ者”はネレウスの天敵であると同時に、格好の宿主候補である。仮に現宿主を倒したとしても、ネレウスはこの“溺れぬ者”を次の宿主としてしまう。小さな逆三角形が身体に浮き出ていれば、それが宿主の証である。
最終的にネレウスを滅ぼすには、宿主自らが心臓を貫いて自害するほかないのだ。