罪状 プレスキル折り畳み仕立て

殺傷人数 9人

攻撃性能☆3 残虐性☆4 執拗さ☆2 不死性☆5

罪人ランク C

米国・ライカーズバレー。かつて魔女狩りがあったといい、今も古い宗教観が根強く残っている町である。
このような小さな町では、権力の構図がはっきりしている。すなわち地主、医者、首長、地場の会社社長などが権力を持っている。彼らは先祖や己の才覚・努力、類まれな運によって数の限られた高い地位を手にした。
それがライカーズバレーには、もう1つ権力への裏技がある。
それは悪魔との契約である。
科学の時代に逆行する、前時代の思想と笑うかもしれない。
しかしかの町には、生贄を捧げ、見返りに権力の座に着いた者が少なからずいる。
今回紹介するのがその1人。町で大人数を雇用するブルーリボン洗濯工場のトップと、それにまつわる悪魔の話である。

【マングラー】
ブルーリボン洗濯工場には巨大なプレス機がある。銘は「Hadley Watson 6」。
機関車さながらの頭部。それに続く黒々としたボディ。側面からは内部のローラーとそれを動かすチェーンが見え、爆音と共に駆動している。
機能としてはいたってシンプル。洗濯を終えたシーツなどを、巨大なローラーで巻き込んで蒸気と圧力で皺を伸ばす。後方の出口には折り畳み用のパネルが4枚あり、順番に動くことで自動で畳んでくれる。
こういう機械をマングルというようだ。

見るからに事故が起きそうな危険なマシン。それに悪魔が憑依しているのだからたまったものじゃない。
悪魔の名前は不明だが、悪魔なマングルだからマングラー(Mangler)と呼ばれる。

処女の血が好物で、社長の姪が手を怪我した血を飲んだことで覚醒した。
構造上、殺しは酸鼻を極める。
ローラーでぺしゃんこにされつつ機械の中を通り、最後は折りたたまれてしまうからである。人体が原型を留めるわけもなく、“ありえない小ささ”で生存者の前にお目見えする。
また配管内の蒸気を暴走させ、作業者に吹きかけることで挟まれ事故を狙う。例え挟まれなくとも、重度の火傷で入院することになる。

事故の時、他に人がいれば緊急停止ボタンを押したり、電源を抜いたりするだろう。しかしそれではマングラーは止まらない。このプレス機は魔力で動いているのだ。
この魔力は青い稲妻のように見え、電化製品に転移する性質がある。
マングルに触れた冷蔵庫が、ハトと幼児を閉じ込めて窒息死させる事件もこの町では起きていた。

【悪魔の取引】
工場の社長・ガードナーも不気味な風貌をしている。
両足がないため義足と歩行器と杖が欠かせず、左目も義眼である。80前後の高齢に見えるが、欲深でギラギラしたオーラを発散している。
それもそのはず。彼は権力に執着するあまり、マングラーに両足と左目を捧げたのだから。
生贄は自らの身体だけに留まらない。彼は自分の娘が16歳の誕生日を迎えた際、これもマングラーに飲み込ませている。また16歳になろうとしている姪も生贄にすることで、契約の完全履行を成し遂げようとしていた。
その代償あって、彼は権力を手にした。
工場は昼夜問わずフル稼働する盛況ぶりで、懐に入る金も膨大になろう。
更に、マングルが人を潰したとなれば業務停止は免れない所を、杜撰な検査だけで済ませるように行政に圧力をかける。電話1本で刑事を辞めさせるなどの影響力を持つようになった。

【対策】
機械に血を与えない、ヨシ! 今日も一日、ご安全に!

ライカーズバレーにおいては、身体のどこかを欠損している人は悪魔と契約している可能性がある。欠損してから羽振りがよくなったり、方々に顔が利くようになったりしている人は要注意である。
生贄の条件に適うのは、自分の血統の者(16歳の誕生日の処女が最適)か自分自身ということなので、無関係な人が襲われることはあまりない。

悪魔憑きの機械への対処は、近づかないに限る。作業するなら集中力を切らさず、不意な異常を感じ取って離れよう。
ただしそれだけでは済まない時もある。

マングラーは、なんと動くのだ。
狙った処女のためか、雑な祓いへの反撃か、悪魔の餌になるというベラドンナの成分入りの胃薬の過剰摂取のせいか。マングラーは重い機械をパージして、動き出す。
その姿は明瞭ではないが、ローラーの頭部とチェーンの四肢で這いずる鋼鉄の獣である。ついでに何故か火を噴く。
これが重量に任せて壁をぶち破って追ってくる。勿論銃弾など効くはずもない、無痛の追跡者である。
幸いこの姿は制限があるらしく、一定時間で自壊すると思われる。

ただし、滅んだわけではない。
血肉を捧げた人間がいる限り、契約は続く。その人間がどれだけ善人でも、契約されれば強欲に堕ちる。マングルは即座に元通り、工場は再開される。新たな血肉のため、契約者へ富と権力を生み出し続けるのだ。