罪状 木に吊るす殺人、強制土下座

殺傷人数 5人(総数不明)

攻撃性能☆2 残虐性☆1 執拗さ☆3 不死性☆2

罪人ランク D

北欧神話はお好きだろうか。
武具を携えた神や英雄がたくさん登場して、終末戦争ラグナロクが起きたり、中二病にはたまらないネタの宝庫である。ギリシャやエジプト、日本神話などとはまた違った雰囲気がある。
この神話のトリックスターといえば、ロキである。
神ながら敵対する巨人族の血を引く。散々悪さをしたあげく、神々の黄昏を引き起こして神代を終わらせる者である。
ロキの遺産は様々あるが、現代でも会うことができるものがある。
それはスウェーデン北部の森の中、ひっそりと息づいている。

【ロキの私生児】
その名も巨人・ヨトゥン。姿は少々形容しがたいが、以下のようである。
・体高3、4mの大きなシカである。
・シカの鼻先に当たる場所に、フードを被った人型の上半身がある。肌は黒く、眼が黄色に光っている。
・腹には穴が開いており、中に腕が収納されている。

森に踏み入った者を追い回し、攫っては木の枝に串刺しにして吊るす習性がある。
その動きは素早く、特に夜間に襲撃するため姿を見ることすら難しい。彼のテリトリーはどこまで行っても細い針葉樹が並ぶ森である。この樹は幹から大量の枝を横方向に伸ばすため、大変歩きづらい。そんな場所で追われるのだから、走って逃げるのは難しい。
そしてその森の特性を、ヨトゥンは熟知し活用してくる。
どこへ向かっても枝が邪魔するので、人間心理は歩きやすい道を探そうとする。ヨトゥンは枝を折ったり、樹を倒したりして道を作り、警戒心の薄い人間を誘導しようとする。

【集落】
ヨトゥンに誘導されるがまま移動すると、集落に辿り着く。
樹しかない、ヨトゥンが吊るすため動物もいない。そんな未開の森にある集落が、まともなはずはなかった。ここにはヨトゥンを崇める者たちが隠れ住んでいる。

この集落はかつて森に踏み入り、ヨトゥンによって選別された人間ばかりが住んでいる。その数10人ほど。
選別の条件とは、心に深い傷を負った者である。彼らは知らぬ間に、数点の銃創のような傷を胸につけられている。
彼らは迷い込んだ人を磔にしてヨトゥンに差し出す儀式を行っている。儀式の成果として、彼らはヨトゥンに守ってもらい、寿命を超えて生きるという。

ただしこの不死の肉体というのは、人間が望むようなものでは決してない。
村の小屋には、身体はとっくにミイラと化しているがそれでも生きている元人間がいる。彼らこそがヨトゥンの与える不死の結果であり、彼に祈りを捧げるだけの装置である。

【対策】
トレッキングや登山にはトラブルが付き物である。怪我したり、迷ったりしても、当初のルートを変えて知らぬ場所に向かうのはやめたほうがいい。人が入らない場所には、それなりの理由があるものだ。

ヨトゥンに追われた場合、逃げるのは困難である。フィールドが悪すぎる。ヨトゥンに見初められた者以外は、簡単に吊るされてしまうだろう。

では選ばれた者はどうか。
これはすぐには殺されない。
ヨトゥンはどうあっても崇拝者がいなければならないようだ。一応神だからだろうか。
なので選ばれし者が刃向かっても、ある程度までは蹄で押し倒されて土下座させられるに留まる。その間、ヨトゥンは二足で立ち、手を合わせて掲げる“偉大なご神体のポーズ”をとって、信仰心を煽ってくる。無視して逃げるほかない。
幸いヨトゥンは森から出ることができない。集落の傍には、樹のない開けた場所があり、そこまでいけば追ってくることはない。
そんな度胸がなければ、集落の一員となり北欧神話の片鱗に浸る生活も選べる。