「アーテル君、貴方の戦闘におけるフォトンの流れのデータが欲しい。」 




そこは
虚空機関(ヴォイド)。

暴走龍を皮切りにクローン、ウォパルを実験台とした浮上施設。そして総長のルーサー。
数々の所業は知れ渡っており、【深遠なる闇】復活後の組織再編成されても人々の信頼は回復しきってはいない状態であった。

少人数でもある程度安定するようにとアークス単体でのマルチ化があげられ、オールレンジ戦えるクラス。支援も行えるクラス。
そして、
ブレイバーとバウンサーの設立。
しかし、この2つの複合クラスをもってしても、打撃か?射撃か?法撃か?何れかに偏ることが多くなる傾向で単体のマルチ化とは違う形で定着してしまう。
表向きは人一人の設立にして、研究機関に預けてみては?の上層部からの声により、本当の意味でのアークス単体でのマルチ化が虚空機関(ヴォイド)によって進められた。

そのマルチ化に伴い、虚空機関(ヴォイド)が行ったのは人によるデータ収集。
単一に秀でたアークスは多い。
フォトン適正を自由自在に変更できる第三世代のアークスでも、内心面では適正が変わるものだ。

アークスの中でも極一握り。
複合クラスを最大の適正を持つ。又は持つきっかけとなり使いこなす人々が集団が存在する。
複合故、器用貧乏。
複合故、攻撃力は劣るが1人でも抜群の安定で無茶な任務もこなせるクラス。
集団ではやや煙たがれる存在。

更に言えば更に希少。
打撃・射撃・法撃に対して均等な性質とパフォーマンスを発揮し、一度に持つ武器種の多さと3種の攻撃属性を1つのクラス構成で戦うアークスがいた。
持つ武器はダブルセイバーを主とし、ツインダガーとナックルの打撃。ガンスラッシュの射撃。ロッドとタリスの法撃。
支援力と全属性のテクニックを扱える。

そのアークスの名は「アーテル」という。

珍しく、公に目にすることは無い集団。
虚空機関(ヴォイド)の捜索により、アーテルが抜擢されたのだ。

「君たちの特性が明るみになって新たなクラスを編み出し、もっと住みよくなるかもしれないよ?」
「アーテル君、貴方の戦闘におけるフォトンの流れのデータが欲しい。」 
そんな虚空機関(ヴォイド)の謳い文句。
アーテルは最初から虚空機関(ヴォイド)を信用はしていない。

3秒ほど止まった。
そして出す答えは、「面白そうだな。その検証乗ってやる!少し興味がある。」と。

自分の為ではない。
煙たがれるような存在でも、アーテル自身は今の地位やスタンスに文句はない。
アーテルは一介のチームマスター。
そんな自分を理解し、慕うメンバーがいる。
派手なことは出来ない。でも、メンバーを助け輝かせる土台となることは出来る。
【深遠なる闇】復活に伴って突如凶悪化したエネミーによって命を落とすアークスも少なくは無い。
だが、そのチームは未だに命を落とすメンバーはいない。
アーテルの戦場における洞察力と判断力。柔軟に対応できる打撃射撃法撃のバリエーション。
その乗る力によって救われた命は多い。だからこそ、慕う。
その一見攻撃力が無いアーテルの強さをメンバーは知っている。攻撃力が全てではない。
だからこそ、アーテルはこれ以上の欲は無いのだ。

しかし、アーテル以外の大多数の複合職のはそうでもなかった。
チームは違えども、同じ仲間。
複合職の理解者。
だからこそ、3秒ほど止まって、仲間の為に、煙たがれることを払拭させる為にも…虚空機関(ヴォイド)のその依頼に乗る。



そして後日――――
「虚空機関(ヴォイド)の実験なんて危ないに決まってるよ」
「私は心配です」
「本当に気をつけて」

「大丈夫大丈夫!いつも通りちゃんと見て判断して動くから!ヤバイって思ったら引くし、敵意あるなら返り討ちだわー!」
「心配すんな、俺だって考えあっての行動だ。」

検証は1日だけだというのに、長い間旅に出るかのような。
心配するのもわかる。

「んじゃ、いってくわー!」
チームやフレンドとのやり取りは場の空気を指揮を乱さぬよう、泰然とし心に余裕を持ち笑顔で後にする。

チームメンバーを後ろにした時、笑顔が消え表情が変わる。
細心の警戒。身構え、精神をそのことだけに集中させる。
虚空機関(ヴォイド)職員に対しては「壁」を作り、嫌われていると言うことを植えつけさせる。


アーテル出身と本拠でもある、アークスシップ第四番艦「アンスール」
その奥の奥。
いくつもの扉があり、入り組んだ施設内。
そのまた更に奥。
マップデータ参照しても迷ってしまうその施設。
案内されるがまま進む。

そして辿り着く試験施設。実験施設とも言ったほうが良い。
だだっ広い白を基調としたガラス張りのドーム上の室内。アーテルはそこに案内されて、研究者はその外へ。

 虚空機関(ヴォイド)職員からのアナウンス。
「これよりこの室内で戦闘をしていただきます。」
「君の手腕であれば大丈夫だ。」

「はー?ここで、フォトンアーツやテクニックの素振りじゃないのか?!」

「いいえ。実際のエネミーと戦ってもらいます」

「??」

床からエレベーター方式で上がってくる中ボスエネミー。
ダーカーではないにしろ、ロックベア・トランマイザー・キャタドランサ。
(なるほどなー)
(Eトライアルの捕獲先はここに来ているのかよ…)
(ここで実験される為に殺されるのか。もう捕獲任務は無視しよう)
(科学や技術の発展は犠牲がつき物は分かってはいるけど、やっぱ協力は出来ねぇーな) と。

「戦闘開始してください。」

―――――

「ふー。終わったぜー。」
複合的な能力故に当然時間はかかる。
いつものクライアントオーダーに比べると少し骨が折れる戦い。
少し汗もかいているし、息が荒れている。

無傷で3体撃破することは出来ないにしろ、出来ないからこそレスタやメギバースを使う。
状態異常のテクニックもふんだんに。
そこも見たかったのだろう。
瞬時にフォトンの使い方を変える様をね。

あとは適当に質問に答える問診。

「以上をもって終了とします。お疲れ様でした」

正直拍子抜けだった。身構えていたのが損したぐらいに普通に終わったのだから。



帰り道。
入り組んだ施設内なので案内付だ。
その歩いている中で、アーテルと虚空機関(ヴォイド)職員と少し話すことになる。

「先ほどのデータを元に新クラスのベースを構築します」
「貴方はこの新クラスの『原初』みたいな存在です」
「もし公式に認可されたら、是非使ってみてください」

「いや、それはねーな。」
「どんなクラスであろうと、俺は変わらねぇ。」

「そうですか。残念です。」
「貴方ほど使いこなせる人はいないはずなんですけどね…」

「俺はこれを続ける確固たる理由もあるからな。」
「それに、アンタら虚空機関(ヴォイド)が加担したクラス設立なんぞ願い下げな。」
「知っているとは思うけど、打撃・射撃・法撃は可能だけど、何らかの代償はあるぞ。」
「俺は攻撃力が犠牲になっている。『全て』を手にするなんて出来ないこと。」
「技術で真理を覆すことなんて、できねーよ。」

「仰るとおり、マルチ化において攻撃力はそこまで上げる事は出来ませんよ。」
「ルーサーの一件から解散の話もあったのですが、有能で今のアークスに役立てたい前向きな技術者もいます。私もまたその内の1人です。」
「取締りを設けて、今は何ら問題はありません。」

「そうそう、今回はこの人が設立者となる人です。」
「ストラトスという名前です。」
画像データとプロフィールがアーテルに受信された。

「まだ若いな。戦闘部か。」
「まあ何かを吸収させるのは、こういう若い人材が適格か。」

「どこかで見かけるかもしれないので、気にとめて置いてください」

そんなことを話しつつ職員と別れる。
虚空機関(ヴォイド)という組織は相変わらず信用はできないが、あの職員はどこと無く大丈夫そうだな。
そんなことを思いつつ、ふと思い出したかのように、無意識に、口から独り言として言葉が出る。
「そういえば…あの職員の名前…聞き忘れていたなー。」


緊張がほぐれ、今まで通りの表情が戻る。
チームメンバーやフレンドが待っているところに行くのであった。






新クラスの為に虚空機関(ヴォイド)の検証をしたことも誰とも話さず、1年と少しが経った。

巷では『打撃・射撃・法撃が1つのクラスでまかなう上級職』が認可されると言う噂が広まっていた。
アーテルの周辺も盛り上がっていた。
しかし、当の本人は至って盛り上がりも見せず、いつも通り新クラス実装には無関心だった。
確固たる信念のもとで運用するクラスがあるから。



来る実装日。
アークス界は変わり、色めき立つ。

強い!!
速い!!
動ける!!
これなら楽だ!!

そのクラスの名はヒーロー。
打撃のソード、射撃のツインマシンガン・法撃のタリス。
文字通りのマルチ化に成功して、匹敵すべきは攻撃力と駆動力。
その魅力は瞬く間に広まり、ほぼ全員がのアークスがヒーローを試すことになり、その性能に惹かれ浸透していった。

『全て』を手にした代償は防御手段が少ないとだけ。
その代償程度であれだけの力を出すヒーローにアーテル始めとした複合職たちは不信感を募らせる。
割りに合わないのだ。
誰よりもバリエーションに飛んだ複合職。
誰よりもその代償に向き合って苦難してきたというのに、虚空機関(ヴォイド)の技術でクリアできるのといのか?
嫉妬ではない。大丈夫なのか?という危惧。



アーテルは1人で行く任務を伝え、虚空機関(ヴォイド)に押しかけることにした。
最も危惧して焦っていたのはヒーローの原初であるアーテルなのだから。
「仰るとおり、マルチ化において攻撃力はそこまで上げる事は出来ませんよ。」
あの職員が言った言葉が急に頭の中に過ぎる。
実に当たり前な発言すぎて半分聞き流していた程度の言葉が急に。
実装された新クラスとでは話が違うからだ。

入り組んだ施設内をただ1で。
案内付きで往復しているので、多少は覚えている。

「話がある。」

「来るとは思っていました。どうぞ。」

扉が開く。
検証を任していたあの職員はいない。
他の虚空機関(ヴォイド)職員だ。

「お前じゃない。1年以上前、俺を検証していたヤツはどこにいる?」

「彼は亡くなったよ。半年前にね。」
何故かその職員に隠そうとしていた笑みがこぼれている。
アーテルの不信感は確信へと変わる。戦慄した。

ここにいたらヤバイ。だから単刀直入に聞く。
「ヒーローになった第三世代のアークスに何をした?」
明らかに異常だ。
防御手段が少ない代償でそれに有り余る性能。
防御手段が少ないと言うカモフラージュに何か別の代償を設けているのでは?と見たアーテル。
それは第三世代の身体に何か施しをされたのではないか?と。

「…。」
「何もしていないよ~」
「君が言うのも分かる。『全て』を行使することの代償のことだろう?」
「我々の技術は真理をも覆すことができるのだよ。」

アーテルは誰よりも知っている。
『全て』を扱うことの理を。
何か決定的な事が犠牲になるのだ。
自分ら複合職は当たり前のように分かっていて、それを容認していたのだから。

「何を企んでいる?」

「平和さ。」
説得力の無い薄っぺらい返事だ。

「分かった。」
「もう帰る。」
当然、本当は分かっていない。
もう話にならないと判断して、この場から出たいと思ったが為に即時会話を切った。
施設内の空気、職員たちの目、亡くなったことに笑みを浮かべ、薄っぺらい返事で平和と返す様を見れば十分だった。


確かにヒーローは強い。超攻撃的だ。
熟練と安定されればその強さ故に長引く戦闘もなくなり、救える命もある。
だが、パターンが分からないイレギュラーに弱い。
そんなときは既存クラスを推奨されるが、余りの強さを前に既存クラスに戻る意識が薄くなる。
攻撃型が増えるのは変わりなく、マルチ化とは程遠い結果になってしまったのであった。
1クエストあたりの人員削減は達成されたが、いつか来る大きなイレギュラーに対応するための能力は持ち合わせていない。

それはマルチ化といえるのだろうか?
方針が変わったのか?
とにかく力を魅せつけ、要因を増やし、何か大きな事を起こすのではないか?

検証をしたあの前向きな職員はいない。又は監禁されてると見て自然だ。
そして殆どのアークスが1度でもヒーローになっていると見て良い。
現状、ヒーローへのクラス変更は危険だ。

自分だけでなるべく隠密に。
現状の虚空機関(ヴォイド)が何を考えているか?を突き止めてなければ。
事が起こる前に何とかする。

アーテルを検証した名前を聞きそびれた職員に罪はない。
最後分かれるときの顔が脳裏に浮かぶ…。
黒幕はいる。
自分の判断の甘さで検証に加担して、結果がコレだ。
可能な限り自分で終わらせなければならない。

そして、ただ1人、動き出すのであった…










どうもEp5も双蓮華の魔法戦士。BKです。

Ep5関連の記事として開口一番、初の試みとしてありきたりなお話かもしれないけど小説みたいなことをやってみた!!
既存設定はあまり知らなく、多分ガバガバ。
矛盾点あるかもしれないけど、そこは寛容にお願いします(´・ω・`)ノ

「アーテル」と称したのはPSO2の世界観に合わせるためのカタカナ表記。
いつものBK/Aterとして見てもらっても構いません。
今回のお話はPSO2に溶け込む創作で、PSO2本編ストーリーの守護輝士としてではありません。
フィクションでありヒーローが危険だとかは一切関係ないのでご了承をお願いします。











PS感謝祭2017を突っ走り、オフライン記事がメインとなっていた「法撃と双刃剣」であったけど、ようやくオンライン関係の記事に戻れそうです。
感謝祭期間内にEp5が開始して書くことを蓄積しつつ、オフライン関連の記事を放出して参りました。


Ep5と言えば新クラスのヒーロー実装。
打撃と射撃と法撃。既存武器をそのまま、全く別のアクションで操作できる上級職。
個人的に注目していたのは武器切り替えPA。

BKの魔法戦士は扱う武器の種類が多く、武器の切り替え時にラグが発生してどうにかならないか?
JAで繋げてそのまま出したいPAとテクニック。常々言っていた気がする…
それが、可能となったのだ。
BKなら食いつく。

感謝祭で各地方で小出しされるヒーローの情報。
徐々に知るうちに、「うーん、これは俺が求めるものじゃないな。」と。

ダブセを握れるか?否か?もあるけど、本筋ではそこではない。
あまりに攻撃の方へ特化しすぎているという事だ。

近接・遠距離・補助・異常状態これら全て網羅して状況に合わせて動くのが俺の魔法戦士。
ヒーローは攻撃一点特化で攻撃することが最も合理的すぎているから、ちょっと違うなと。
それに、魔法戦士の火力は特化職・上級職を超えてはいけないという決まりがある。(これも個人的なルール) 火力は低く、低いなりの工夫が面白いのだ!



ヒーローやらない
そんな理由でHrは一切触っていないわけで。

何よりも俺の性質として、
テンプレとか、強さとか、人気とか、皆がそうしているからとかが好きじゃないから。
好きなことを環境に左右されず、決めたことは全うして好きなようにしたいだけ!

Hr触ってもいないのにこうやって語るのもやや気が引けるけど、もう1つPSO2内の設定としてHrやらない理由を設けたいなと考えた結果、小説みたいなことでもやってみようと思った次第であります。
Hrは防御手段が少ないと言われているけど、もっと恐ろしい『代償』があるかもしれませんよ??

こんな感じで平常稼動に戻りたいと思いますので、Ep5もよろしくお願いします(`・ω・´)