ある名も無き農家がいました。畑がありました。
そこでの栽培は土の関係上、殆どが大根でした。
無名の農家であったが、味は確かでとても美味しい。

自分だけではなく他の人にも食べてほしいと農業グループの長が声をかけました。
農業グループに加入すればコミュニティや他の農家の情報等が円滑になるメリット。
そして名も無き大根農家は農業グループに入りました。

そこからはと言うものの、大根の美味しさが広まり、農家同士のコミュニティが広がり、大根農家は以前とは違う栽培する楽しさを感じつつ。美味しいと言ってくれて気に入ってくれている人たちの為に栽培する今までに感じたことのないモチベーション。
グループに入って良かったな~と長は思うのでありました。

当然売れることになり、お金も儲けることに成功します。
そこで大根農家が思ったことは、もっと良い土にしてもっと美味しい大根にしようと。
自分の持つ畑の土を儲けたお金でアップグレードしました。

いつも以上に育てやすく、美味しい大根が出来ました。

それと同時に土をアップグレードした影響で今まで大根しか栽培できなかった選択肢が大きく開かれて、色々な作物を栽培できる環境になったのです。
その環境の変化はコミュニティ内では広まり、「カボチャやってみなよ~」「ジャガイモはどう?」「手間はかかるけどスイカは…?」と声をかけられるようになりました。

そして言われた通りにカボチャやジャガイモを栽培を始め、手間もかかるスイカの栽培も始めました。
この現状を見た長は懸念が過る。

畑の面積は限られていて、広くは出来ません。
カボチャやジャガイモを栽培するのに、今まで大根を占めていた畑の面積が徐々に大根の敷地が減ってきました。
そしてスイカ。手間もかかり難しい。
でも大根農家はその難しさを楽しさに。スイカはスイカで形成されるコミュニティ。
面積と時間は限られている中で栽培する追加したカボチャとジャガイモとスイカ。
自然と大根の栽培が疎かになってしまいました。

疎かになったことが味に反映されて、且つ収穫数が減ってしまいました。
大根のファンであり消費者は「味、変わったなぁ」「昔の方が美味しかった」等の評判になりました。

大根農家はそれに気付きつつも土のアップグレードをしたことによる選択肢の多さで様々な作物を栽培することが楽しく、昔の大根に集中する栽培は戻る気はあまりなさそう。
大根のファンの心は徐々に離れていく人もいました。
本当は様々な作物の知識を身に付け、大根に集中するときの大きな糧にしようと思っているかもしれません。でも、それを伝えられていないファン・消費者はもう昔の大根には戻らないのかな?と思ってしまうことも事実。

本当にそうであれば、伝えることで心が離れず長らく待ってくれる大根のファンもきっといたでしょう。
好きなことをすれば良いが、手をあちらこちらに伸ばすこともまたリスク。心配になる人もいる。

長もまた大根農家が作る大根が好きです。
何て言ったって一番最初のファンなのだから。
今は自分がしたい栽培をさせて、いつか大根に良い影響を齎すことを信じて待ち続けるのであった。