どうも~
2019年の年末に投稿したPSO2小説の後編を2ヶ月弱の時を経て、ようやく!
需要は一部の物好きさんかと思いますが、楽しみにしてくれているならば幸いかと思います。

2019年にPSO2人生で使い続けるはずだった至高のダブルセイバー:双蓮華を新生武器クラフトが出来るようになる拡張で双蓮華-NTへ更新の決意と実行。
更新するにあたり、テクニックを使う双蓮華使いである自キャラへ、
断片的なキャラ設定を用いて更新に沿った物語を書くと意気込んだPSO2小説みたいなものが一応の完結と。

物語を描くのも2度目ではありますが、不慣れな部分や設定に勝手に介入させたような…ややガバガバになってしまう見苦しいものにはなってしまうかもしれませんが、興味と時間のある時にでも!


忘れてしまった方や初めての方は前編のコチラを!
あの日”“あの人”に託された武器と共に。(前編)








“あの日”“あの人”に託された武器と共に。(後編)





どうしてかも分からないのに何故か目を閉じていた。
倒れているわけでもなく、ただ抜刀した武器を持ち、直立で立っていた。

体はどこにも痛みや異変はない。
目を閉じたままでも分かる肌に感じる“空気の違い”だけが異変と感じるぐらいだ。

目を開く。
真っ暗だった視野に光が差し込み、映像となって自分の頭に何が映っているか?をインプットする。

ここはどこだ??

風景は元いた龍祭壇エリアと違うのは一目瞭然。
そもそもが空気も違う。
数々の惑星を回ってきたが、初めて見る初めて感じる。
異質な空間領域。

やはりファンジに囲まれていたのは想像通り。
ファンジ越しの外はファンジの「網」でやや見にくい。

ここはどこだ??

もう一度そう思った。そして見渡す。
やや霧が蔓延していて一言でいえば灰色で無音の世界。
空に見えるのは大きな星。地球から見る月よりも遥かに大きい。直方体の石柱がちらほら。

更に見渡すと見慣れた物体がファンジの外や内側にもあった。
オラクルの技術で作られたと思しき装備の破片だ。

アークスが来たことがあって装備の破片から連想するのは武器の破損そして人の死。

ここに来て通信をする。
が、繋がらない。
ファンジであれば破壊できる目安のゲージをモニタリングしてもらうが、それも無し。
初めて来る場所で通信が繋がらないことは、自分は孤立してオフラインの状態。アークスシップからの支援も何もない状態を意味する。

アチラこちらで落ちている残骸。
このまま何も実害がないとは限らない。

「ともあれ、このファンジを壊して外に出て調べる必要があるか…」

と、さっき確認したはずの視界へ視線を元に戻すと、さっきいなかったモノがファンジ越しで見える。
モノじゃない多分生命体。

自分の背丈よりも3倍以上あって、明らかな黒衣と金色のラインの装飾。
恐らく後ろ姿なのだろう。靡く6本の細い外套。頭には青白く先端には赤い炎のようなもの。

当然ながら初めて見る。
雰囲気で分かる自分への危機的な何かが押し寄せて元々あった緊張が更に迸る。
首だけを動かしてアーテルを見ると、一気に振り向き、右手には大剣と左手はアーテルに向けて掌を展開する。
四ツ目の仮面。


どう見たって平和的な展開でもなく、そして臨戦態勢。
相手の情報が分からないまま今から戦うことになる。
自分にシフタとデバントの己に攻撃と防御活性を施そうと思った矢先…

アーテルに向けて展開した左手から、気弾のようなものがいきなり発射される。
(こっちの準備はお構いなしで速攻かよ?!)

弾速は速めだが下を潜り、接近すれば一閃できる。
踏み切ったところでファンジの存在を思い出し、相手が来ない限り接近は出来ないことを身に知ることになった。ファンジ内で回避や気弾を往なす。

ファンジ内にいて相手がファンジ外にいるとテクニックも届かない。

「アイツがファンジ内に入るのを待つしかないのか…」

すると突進を仕掛ける。黒衣の敵。
1回、2回の往復。
「こんなに大きいのにあの速さかよ…」
避ける。
ファンジ内に入る一瞬を突いて小ダメージのチャージもしないテクニックを当てつつ。

後に大きく飛び振りかぶり、上空から大剣の重量と重力と全体重を乗せるか如くのに攻撃をアーテルに振り下ろす。

その大剣に双蓮華が垂直になるように構える。
(さっきまで鍛えていた“武器の保護”で受け止める…!)
「来いッ!」


キンッ!!!!

大きな音が鳴る。
そのエリアに鳴り響くほどの。


膝を地面に付き、受け止めきることが出来なかった大剣は双蓮華を受けた影響で軌道がズレてアーテルの横に大剣の剣先が地面に深く突き刺さる。
地面に突き刺さった大剣は少しだけ遠ざかる。
引くのではなく、これから更に攻撃が来る振りかぶりの予兆。
あまりの衝撃で膝を付かされたアーテルは目で見ることがやっとで、考えもなくその振りかぶった大剣を反射で受けることでしかできなかった。
条件反射として“武器の保護”が発動できたのは練習していた成果なのか?

黒衣の敵が一回転する勢いと踏ん張れることも出来ずに剣で受けるも飛ばされるアーテル。
飛ばされた体はファンジの硬い壁に激突。

「攻撃が重すぎるんだよ…」
痛みをこらえていつ来るか分からない攻撃に備える為に直ぐに立ち上がる。
双蓮華を確認して折れていないことだけは確認。
「でも今の自分ならコイツとは一応は戦えるか…」
それは1ヶ月前の自分だったら今の二合で死んでたことを意味する。

とりあえず己を回復させるテクニックであるレスタを小出ししてからのステップ。
次に来る黒衣の敵の攻撃を避けつつファンジの壁に激突した痛みとダメージを回復させるために。

ただ漠然と戦うだけじゃダメだ。黒衣の敵と戦う上で何かしらの目的を持って戦わないと時間の経過で精神的に参る。

相手の猛攻を往なし避けつつアーテルは考えた。
・このまま上手いことリスク背負って戦い黒衣の敵を倒すか?
・このいつもと違う紫がかった脱出できるかもわからない硬いファンジを壊す方向でエリア外に出て撒くか?
・ここで時間を稼いで通信も出来ない場所で来るかも分からない助けを待つか?
1つだけ言えることは…ここで死ぬことはさらさらないという事だけ。


下した決断は…
猛攻を防ぎつつファンジを壊してこのエリアから撒くことだ。
降り立った惑星も場所も分からないが、広い世界であることを信じて。
コレが最もリスクが少ないし安牌である。

データがなく二合交わしただけでも分かる未だかつてない程の強敵と1対1、自分とその攻撃が隔離されて相手は自由に行き来できる圧倒的不利な状況。
壊れるか分からないけど、時間も稼げることにもなって来るか分からない助けを待つこともできる。

アーテルの眼差しが変った。
「方向が決まれば後はやる…!」
不安は当然あるが、先ずはハッキリした道筋が出来ただけでも心には大きく影響するものだ。
それにいくつかの窮地を乗り越えてきた自信も少なからずある。





状況が変わらないまま時間だけが経過する。
どれだけの時間が流れたか分からないが、アーテルの体感ではかなりの時間が流れたのではないが?と感じている。

1度深手を覚悟に大きな賭けに出た。
フォトンを大きく消費するが“氷の盾”で防げたことが大きく“武器の保護”以上に保護になっているからだ。
依然として自身にカマイタチと闇の球を浮遊回転で纏わせて紫がかったファンジに密着しつつ双蓮華でも攻撃を与える。
倒すことが目的としていないだけに功を奏している。

しかし、攻撃は100%防げているというわけでもなく少なからず被弾することもある。
自身が異常状態になれば即時アンティで解除するも、正常と異常が繰り返される体が徐々におかしな感覚に陥る。
急所は外れてるも斬られ血は流れて、その都度ファンジを壊す持ち場を少し離れてレスタで自分を回復させる。
それを繰り返し続けているのだ。流血は止まり痛みは引くもフォトンが続く限り無制限に回復というわけではない。

被弾後の痛みは引くが斬られ撃たれる時の痛みはそのまま感じるし、
流れた血はレスタによって体内で瞬時に生成されることもない。

痛みは脳を反射的に拒絶させて疲れさせる。徐々に流れて減る体内の血で意識は薄れていく。



(1人である程度はこなしては来たけど、ここまでの敵との逃げれない長期戦になると無理があるか…)
「ハァ…ハァ…持ちこたえれると思ったけど…このまま続くとかなりヤバいな。」

道筋は決まり勢いがついてツライ道を走るも、視界がゴールを捉えることは未だ。
状況が変わらない時間経過と反比例して落ちていく己の士気。


何より声も発せず、四ツ目の仮面をかぶっているせいで相手の表情が一切分からないところだ。
相手の表情や声を知ることは戦闘において重要な状況の把握や相手が何を考えているかも繋がる。
そして、知ることができない分からないことは恐怖へと繋がる。

(いつまで続くんだよ…?)

それでも黒衣の敵は攻撃を辞めず。
だが、変化はあった。

良くない方向で。


靡く外套を地に沈めて蠢かせている。
地面から現れたのは2体の黒衣の敵に酷似した分身。


「・・・・。」
状況が悪化したことに息切れする吐息と絶句。

1体でやっとファンジの壁に在りつけていたのに、分身2体が来られるとどうにもならないことだけは分かる。

(先にあの2体の分身を叩く!!)
両剣:双蓮華の剣先が壁ではなく黒衣の敵に向けられる。

「行くぞッ!!」

極力戦うことはせず壁を壊す方向に専念していたが、分身を倒す方向に切り替えてリスクも承知で本気で突っ込む。

手数は3倍になるが分身の攻撃は本体と比べて弱い。
(殺れるぞ)

多少の被弾はお構いなしに一気呵成に攻める。ここで退いたら逆に不利になる。
ファンジ内で接近する3体の黒衣の敵。
接近状態でチャージするテクニックの時間もなく苛烈な剣と弾の猛襲。
攻撃を潜り、飛び、往なし、僅かな隙間に叩き込む短時間小モーションのフォトンアーツ。

「ウオオオオオアアアーーーッ!」

ここまでゴリ押しで攻めたことは未だに無いし、ここまで声を上げて体と恐怖を誤魔化して振るう剣は“あの日”以来かそれ以上か?



1体が消失。
「もう1体ッ!」

全神経がその1体に集中した。

「行ける!!」
シザーエッジ。下から上に一閃を見舞える。
分身の足は地面から離れて空中に浮き、消失しようとする。
(取った…!)

一瞬の安堵。
その隙に本体が横からの大ぶりが来る。
避けようとするも、脚が動かない。何も考えず剣を受ける方向へ構える。


キンッ!!!!


双蓮華を通り越して皮膚を大きく切り裂かれ、飛ばされた。
ファンジの壁に飛ばされる勢いが止まり地面に横たわる。

(何で双蓮華を通り越した?)

痛みよりもその疑問が先行した。
視線を握っているであろう双蓮華に。

二本一対の両剣のうち一本の刀身1/3を残して折れていたのだ…
折れた刀身は離れたところで地面に突き刺さっている。

『“あの時”に死んでいった“あの人”に託された。そして実質的な持ち主や出所を知るまで“あの武器”を共にしようと誓ったあの日あの時からずっと』がここで潰えたの…か?
いや…いつかこうなることは覚悟していた。
閃機種と戦ってからより一層そのビジョンはあった。

「状況が状況だけど、俺としたことが1体に集中しすぎて且つ安堵の隙で“武器の保護”さえも疎かにしてしまうとは、まだまだだな…」
絶望すると思えば、アーテルでも驚くほどにこの状況を受け入ることが出来てた。

冷静になったところで斬られた痛みが押し寄せて、柄と柄がフォトンで繋がっていた双蓮華は分離される。
血は流れ、痛みにこらえる声が自分の体から漏れているのが分かる。

「とりあえずレスタを…」

骨折や傷口の修復は完了。
折れていない1本だけになった双蓮華を地面に突き刺して立ち、強く握る。
意識も朦朧。剣は1本。

「……ん?」




次の瞬間、本体だけになった黒衣の敵が一気に向かってくる。

アーテルは立っている。
ダメージは黒衣の敵に。

「コレは…カウンター?」
「抜剣…?」

折れた刀身が納まっていた鞘は外し、放り投げる。
生きてる刀身は鞘に。


「これがあの“刀匠”の隠し玉ってことか?」

アーテルはこう解釈した。
苛烈な戦闘や敵に直面した時はいつか、耐えきれず折れる時がある。
何れかが折れた時にもう1本でも戦闘を維持できるように、抜剣としての性能を発揮するように施したのではないか?と。
現に適正クラスは違えどもカウンターは出来ている。
人工的に練り込まれたであろう固有フォトンアーツ「サクラエンド」。


(あの時ウォパルの素振りや空撃ちで感じた違和感はこれだったのか…!)
「流石に折れた時は死を覚悟したけど、まだ戦えってことかね?」


鞘を納めて抜刀の態勢。
殆ど使ったことは無いけど、行ける気がした。
抜剣で周囲を攻撃することはできなくて壁を壊しつつは出来ない。
あわよくば倒す方向で行くしかない。

まだ戦えるほんの少しの希望を乗せて再度対峙する。







それでも状況は変わらず、むしろ先ほどより悪い。
黒衣の敵だけを見ることになって戦いやすくもなったが、表情や声も分からないので本当にコイツは倒せるのか?さえも思えてきた。
気力で行くも、長く続くこともなく。
慣れない抜剣。
時間と血を浪費して脳の疲れだけが蓄積される。

そして再度黒衣の敵が外套を地面に突き刺し、蠢き始めた。
(また分身が来るのか…?!)
範囲処理が優秀な両剣だったが、今回はもう同じ対処はできない。
さっきの通り切り抜ける自信はない。

「…くッ!」
(どうする? 固有フォトンアーツと多方面から来る攻撃じゃカウンターでも限界がある…)
やるしかないのは分かっている。

分身の出現が完了する前にアーテルは立ち向かっていた。
今度は無言で、口から漏れるのは息継ぎのみ。


(やっぱりさっき分身を倒しきったのは奇跡だったのか…?)

どんどん押され傷つき、ろくに見えなくなってきた黒衣の敵。
さっきとは士気も武器も技術も違う。
両剣でゴリ押しが最的確だったか?と。

(もう次はない。このままだと本当にヤバい…!)




分身の死角に隠れていた本体が分身ごと一閃。
その延長線上にはアーテル。
不意討ちにも程がある味方ごと斬るその行動は常識を逸しており、まんまとアーテルに襲い掛かるその大剣。

瞬間、“武器の保護”を用いて受ける。

またしてもこれまでかと思う勢いで飛ばされ、ファンジの壁に全身を強打され地面にズルズルと落ちる。
この戦闘で初めて双蓮華はアーテルの手元を離れることになった。

意識はあまりない。
フォトンを練ってレスタを自身にかけることもできない。
ぼんやりとしか捉えることかできない視界と黒衣の敵。
どこを打ったのか分からなく耳鳴りが酷くて音も聞こえず。
衝撃で体中の酸素が吐き出されたかのような感覚で、呼吸しようにも体中の痛みがそれを阻む。

(…頑張ったけど流石にここまでなのか?)

情けと言う感情も持ち合わせていることもない黒衣の敵は今か今かとトドメを刺そうとしていることだけは分かる。
死の間際、生きてきた記憶が一瞬にしてフラッシュバックすると聞くが、それさえもなかった。

(コレは死んだな…)
(まあ、“あの日”“あの人”に共に行くと誓った双蓮華も今は死んだようなものだ。)
(これも終わりの形としては良いんじゃないかな…)


――――――目を瞑る。













ふと…まぶた越しでも光を感じるようになった。

けど体中が痛くて意識も弱いままで体は自由に動かせれない。
(俺は…まだ死んだわけじゃない?)


ようやく目を開く。
仰向けだった。
意識が弱くて見える世界もぼんやりとだが、確かに分かることがあった。

この何処かも分からない世界へ飛ばされてから初めて空を見ることが出来た。
明るさはあったが、やはり灰色で薄い霧で覆われていた。
ファンジが解けていたのだ。




自分が壊したのか?さえも分からないままさっきまで黒衣の敵がいた場所へ目線を動かす。
ハッキリ分かるのは自分ではない何者かが黒衣の敵と戦っていること。

弱い意識でも分かるその動きの俊敏さと攻撃の重さ。
自分とは比べ物にならないレベルのスゴイ人なんだろうと。
あれだけ苦戦していた黒衣の敵相手に押しているのだから。

自分の身の安全はひとまずあるとして、本来は安心しきって再び目を瞑りたいところをその戦いをずっと見てた。




程なくして黒衣の敵は後ろを向き2~3歩ほど進んだ後に姿を消したのである。
恐らく倒したのではなく撤退。

姿が完全に消えて数秒周りを警戒した後にアーテルの元へ駆けつける所在の分からないアークスと思しき人物。

生きてることだけは伝えてアーテルはようやく安堵としての目を瞑ることが出来た。













目を開く。
視界はハッキリしていて何処かの部屋。
壁や照明は白で統一されており、ここは何番艦かは分からないがオラクル内のメディカル室という認識がすぐに出来た。


「目が覚めたようだな」

部屋のどこかから聞こえる男性の声。
体は起こすことは出来て上半身を起こすと、アークスでは知らない人はいない守護輝士がいたのだった。

「あなたは…守護輝士。」
「助けに来てくれたのもまさか…?」


そこから、事の顛末を説明してくれた。





龍祭壇エリアから紫がかったファンジで飛ばされた場所はオメガだったということ。
オメガは基本的に守護輝士しか行けないのでほとんど明るみにはされず、一般のアークスには認知されていなかったこと。
黒衣の敵は「オメガ・マスカレーダ」と名付けられてダークファルス【仮面】と深く関連していること。
原因と行方不明のアークスはそのファンジに連れ去られて悲運な死になっていたこと。

通信が切れて異変に気付いたオペレータのメリッタは即座に上へ連絡をし、それでも特定できないままだった状況。
メリッタは同時進行でオラクルの艦橋へ無許可で入り込み、管轄する守護輝士のオペレータであるハイキャストのシエラとの接触。
モニターの解析でオメガものと断定。急遽、守護輝士がオメガへ向かった。

カチ割ろうとしたファンジも守護輝士の攻撃ですぐに破壊された。
壊れるまでもう一息だったとか。

(だからヤバいと感じたオメガマスカレーダは分身を召喚して一気に殺そうとしたってことか…)


そこからはアーテルが見ての通りで、守護輝士でさえも全力を出して戦い、ようやく退けさせるに至ったという流れだった。


「本当にありがとうございました。」
アーテルは深々と頭を下げた。

「お礼なら、あのオペレータとジグに言うべきじゃないかな?」
「彼らも実質的に君を助けたんだ。」
「しかもいちオペレータが艦橋に入り込むなんて、なかなかできたもんじゃない。」

「もちろん。しっかり動けるようになったらそうします。」

「それに君も良く持ちこたえていたと思う。複合職だからこそ生きながらえたかもしれない。力はないかもしれないけど、上手いこと使っているようにも感じるし私には出来ないことかもしれない。そもそも私の耳には入っているんだよ君の存在を。」
まさかお世辞でも自分が守護輝士の1人からそんなことを聞くとはね。即座に否定しようとしたが、それを分かっていてか?遮るかのように直ぐに次の話の流れになった。
「ああ、あとここはテミスで折れてしまった武器はジグに送ってある。」
「大切な武器なんだろう?この時代に旧式武器を使っているからね。」

「何から何までありがとうございます。」
相手が守護輝士なのもあるが、してもらったことに全く頭が上がらないアーテルなのであった。

守護輝士は立ち上がる。
そろそろ行くのだろう。

「最後にこれ。」

「黒い布?」

「あのオメガの戦闘で落ちてたモノだよ。多分君が戦っているときにオメガマスカレーダから切り落としたんだろう。」
「ユニットとしてのかなりの効果を期待できそうで誰にも言わずにこっそり持ってる。君が斬り落としたし渡そうと思って。」

「いや、いいですよ。」
「コレを身に付ける?冗談やめてください。あんなのは出来れば思い出したくはないですね。」と笑いながら渡そうとしたモノを断るアーテル。

「そうか分かった。それじゃこれは研究室にでも渡しておくよ。」

「そうしたほうが良いと思います。」

「それでは、テミスから出発するので自分はこれで。」
「またどこかで会えたら今度は一緒に戦ってみたいね。」

「俺は一般のアークスですよ?」
ここまでは口には出た。
続きを言おうとしたが、止まった。
今さっき即座に否定しようとして、それを遮るかのような守護輝士からの賞賛をまた蔑ろにするかもしれないと。
少し笑みを浮かべつつ
「それでも俺で良ければ…」

「君は表向きとして咲く力ではないけど、見えない部分で大きなことを成している。自分でも気づかないぐらいにね。」
「そこは受け止めて多少の自信としてこれからを過ごすと別の何か良いものが見えてくるかもしれない。」

「……。」

「おっと、何故か君とだと饒舌になるな。」
「ではまたとこかで。」
守護輝士は笑いながらメディカル室を出て行った。

メディカル室のスライドドアが閉じる。

イメージしていた守護輝士という存在がガラリと変わったアーテル。
「ま、とりあえず言われた通りに受け止めておくか~」
起こしていた体が仰向けになってまた目が閉じる。






2日後。
ようやくメディカル室から出れて私生活可能な回復。
即座な己の高度な回復テクニックが奏して後遺症もなく、流れた血を体内で生成する時間だったのでは?と勝手にそう思っていた。


目指すはジグの工房。


オメガ・マスカレーダ戦からと言うものの、口や表情には出してはいなかったが今後の双蓮華について考えていた。
相手の強大さで生きることを第一に置いた苛烈過ぎる戦闘はそれらの思考の麻痺。
その時に“あの日”“あの人”に託された武器が本当に折れて共に戦い続けることの誓いが出来なくなりそうな事態にようやく腹に落とすこととなった。
実際は落ち込みと今後を考える冷静さが渦巻いて自分でもよく分からない。

「ジグさんあの双蓮華、どうするんだろうなぁ~?」



「待っておったぞ!」
工房のドアが開くや否や挨拶もなしに高らかと言葉を発するアーテルの命を救った“刀匠”。

「こっちは真面目に落ち込み考えているのに調子狂うな~

双蓮華の調整及び強化時のお礼の土産として渡した酒を飲んでいるようだ。


そこかは至って真面目に淡々と双蓮華についてを話した。

刃こぼれならまだしも折れで修復しても極度に脆くなってフォトン流動が悪くなるというどうあがいても劣化する状態。
もう同じ戦場へ立ち、共に戦うことは出来ないと踏んだジグ。
話を進めるとアーテル自身も今までゴリ押しで使えるように磨いてきた双蓮華は共に行けないと自覚するようであった。
本当に死まで行き着けば、気持ちも変わるだろう。

「それで、これを作ったのじゃよ。」

「見たまんま双蓮華じゃないかよ…?」

「今使われている新生武器としての双蓮華じゃ。」

「………。」

「見た目はこの通り。新生武器でも使い心地は同じに調整した。コレが難しくてのう…」
「当然閃機種も対抗できて何よりも強くなっておる。」
「今まで出来なかったことも出来る。」
「どうじゃ…?」

アーテルはそっと手に取る。
即座に気付く。
「この柄、まさか?」

「ワシが作ったのは刀身だけじゃ。」
「柄や鍔や鞘などは全部あの双蓮華から拝借した。」


「ここまでしてくれたんじゃ、文句も出ないな…」
「ここに来るまで完全に手放すかも考えてた。」
アーテルの隻眼に少しばかり光沢が出来始めたがそこまでで留まった。
「刀身が違えども、まだ遺るものがあるんだな…。」
「ありがとう。」


キャストであるその頭部、表情は分かりにくいがジグは確かに笑っていた。


「お主の過去に何があったかは聞かぬが、余程の重みのある武器だ。それを土足で入ったような形で手掛けたが感謝されるとはのう~。」
「最初は訳の分からん持ってきた武器を持ってきて何とかして欲しいとか抜かしおったが、お主の武器を手掛けることが今回が初めてじゃ。例え宇宙を救った守護輝士の武器を手掛ける以上に冥利に尽きるわ。」
「ワシは妬いていたのかもしれないな。その双蓮華の製作者と託した者に。」
「はははは!」

「これが刀身じゃ。」
白い布で丁寧に包まれていた片方折れた刀身の一対がアーテルの手に渡る。

「この茎から折れた刀身を持ち歩くよ。そうすれば共にになるしな。」



「おう!そうそう。折れてしまったが、だからこその発見もあったぞ。」

「!?」

「ハルコタンじゃ。」
「折れた破断面から解析すると大昔のハルコタンにあった鉱石によく似ておる。」
「託されたが詳細も知らず、出所をずっと探していたんじゃろ?」

「ああ…!」

「その大昔を知っている者がハルコタンにいて、いたとしても接触できるかもわからぬが、そのような機会があった時はその茎の彫刻も見せると良い。」
「何かの文字で解読も出来ないような半分紋のようなものじゃ。知っているかもしれぬ。」

アーテルには鳥肌が立っていた。
散々探していた出所の尻尾が皮肉にも破損によって気付けてようやく一歩が踏み出せるのだから。

破損させてしまった“あの日”“あの人”に託された武器の落胆よりも近づくことへの高揚が勝っていた。



「どうじゃ?飲まぬか?」

「それじゃ、一杯頂こうかな?」
アーテルは笑う。

「ほう?この酒は飲めぬのではなかったのか?ははははは!」

「確かに飲めたもんじゃないけど、一番うまい酒になりそうだと思ったからだ。」

杯が進んで異様な形をした瓶の中は空になった。



飲めたもんじゃない酒に杯が進んだが、悪酔いにはなっていない。

「そんじゃ、もう行くわ!」
「また来る。」

「ハルコタンにかのう?」

「それはまた今度だ。今すぐに行くのはもう1人にも礼をしに。」




一抹の別れを告げて1アーテルは128番艦テミスを後にする。
行き先は4番艦。
まずは守護輝士を自分の元に来させたであろう龍祭壇エリア探索でのオペレータ:メリッタの元へ。








「“あの日”“あの人”に託された武器と共に。」 -完-








ここまでの御熟読、ありがとうございました!!
16000文字ぐらいかな?
頭の中での構想はあるけれども、なかなかやるぞ!って行動に移すことが出来ない日々を過ごしていました(コラw)

やるだけはやったんで、書き上げれたことで満足を('ω')



最初はアンガと戦う路線で行きましたが、同時期にユニット更新でオメマスと戦うことがかなり多くてむしろ日課レベルでリア/マスクオブヴェインを狙っていました。
魔法戦士的な記事も書きました。
魔法戦士Fi/Teで行く異世界の残滓

もしゲーム内でリア/マスクオブヴェインをドロップして特殊能力も施して装備することになったら、守護輝士から渡そうとした「黒い布」はこのストーリー上では貰っていたルートになっていたりもします!

旧双蓮華の刀身以外の柄と鞘や鍔などをそのまま引き継いだジグの計らいは、ゲーム内で言う武器フォーム変更に繋げた感じもあります。

その他、
・フォトンアーツ(PA)はモーションアシスト兼フォトンを纏ったりその他の効果があったりで、基本的に受けるや振るは通常攻撃の部類にしたりとか。
・旧式を使い続けるからこそ自分だけが編み出した“武器の保護”やレスタの詳細設定とか。
・ゲームとは違い、持つ武器は1本のみ。
・基本的に一般のアークスは1種類の属性だけのテクニックでアーテルは攻撃力が低いものの、全属性を扱えるややある特異性。
・全属性を扱えるような描写が出来なかったのは少し悔まれるけど、ゲーム内でもダブセとして戦うオメマスはテクニックチャージしている余裕がないんです…!

自分が勝手に妄想した部分でも気にいっていただければ。



という事で、ゲーム内で双蓮華を更新したことに沿ってキャラの設定にも触れてストーリー上でも更新させるお話でした。


そういえば、“あの日”“あの人”は未だに公開も誰にも話していないかな…
次回小説書く機会があるのなら、いつだろうか??
俺にも分かりません!