2013年04月01日

【ご報告】



ブログというインターネット上でのご挨拶で大変恐縮ですがご報告がございます。

この度、私、中村勇矢は長年お世話になりましたミュージカルカンパニーStepsを3月末を持ちまして退団させて頂きました。

先ずは応援下さった皆々さまに心より御礼申し上げます。
そして、事後報告となってしまったことお許し下さい。

退団の意は昨年の本公演終了と共に決意し、劇団幹部には伝えておりましたが、諸々の仕事の兼ね合いからこの時期のご報告となりました。
中には、旅先の公演でお会いした長年のファンの方々に今後の事を聞かれても本当のことを申し上げられないようなこともあり、心苦しく思っておりましたが、事情を察して頂けると大変ありがたい限りです。

桐朋卒業間際に恩師、原田先生のお誘いで研究所の門を叩いてからはや10年。
まさか自分がミュージカルの道を歩くとは夢にも思わず、何にも知らない生意気なペーペーの僕でしたが、ちゃんと怒って下さり、恥をかかせて下さり、そして見捨てないで最後まで信じてくれたこのカンパニーはいつの間にか、かけがえのないホームになっておりました。
今ではお芝居と同じくらい僕にとって音楽が表現の全てですし、踊れないなりにも身体を使うことの大切さを身を以て知る事が出来ました。
また、同じ釜の
飯を食った同期、厳しくも愛情をもって接して下さった諸先輩、慕ってくれた後輩たちとの絆は言葉に出来ないほど深いものと確信しております。

何故辞めるのかと問われると、その理由は幾つかあるのですが、声に出していえるひとつとしては、これからは劇団にかけた熱意をいち俳優・いち表現者としての自分に全て注ぎたいという自分の我が儘です。
もちろん未練も寂しさもありますが、一度きりの人生。
ここで培ったものを今度は身ひとつで体現していきたいと思います。

何度も奇跡を見せて下さった作・演出の横山さん、親子ぐらいはっきりものを言って音楽を叩き込んで下さった原田先生、いつもいじっていじめて、でもほんとは心底優しく舞台で踊ることを教えて下さった酒井先生、ずっと一緒に闘って来た同期の皆、迷惑かけどうしの先輩、可愛い後輩。他にも沢山、沢山。。。
そして、いつも温かく応援下さった沢山のお客様。

本当に本当にありがとうございました。

また表現の海原で再会出来る日を夢見て日々精進致します。

当面は、ライフワークのSOLITUDEを大きくすること、そして信頼する表現者や僕を必要として下さる表現者のもと舞台を中心に活動していく所存です。

これからも誠心誠意、親がくれた名の通り、勇気を持って矢のように真っ直ぐに表現に向き合っていきたいと思います。

変わらず応援頂ければ幸いです。

今後とも何卒よろしくお願い致します!!

中村 勇矢

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2012年10月16日

忘れない



誰かと共に創る時は、やっぱり相手への敬意と信頼を忘れちゃいけない。

それがたとえどんな立場の人間であっても。

全てを備えている人間はいないわけで。
好きな色も得意なことも人それぞれで。

違って当たり前。

「出来て当たり前」は「出来なくて当たり前」なのだ。

それを忘れてはいけないなぁと強く思う今日この頃。

今日はホントに久方ぶりに自由な時間がありました。
ちゃんと眠り、家でくつろいだのなんて何時ぶりだろうか。
夕方からのキトキト稽古前に仲良くして頂いている画家、日笠隼人くんの個展にお邪魔して来ました☆
会場が中目黒のカフェだったのですが、そこまでの道すがらの何てことのないお散歩も最高に嬉しい。
こんなにも余裕がなかったのかとびっくりする。

隼人くんの絵、やはり素敵だった。
描かれた絵は日常の断片や風景だったりして、悲しいとか嬉しいとかいう直接的な情感はないのだけれど、匂いたつものがある。
そこには憂いや侘しさ、哀しみ、闇が見え隠れする。
喜びや優しさが溢れてくる。
表現がそうさせるのか、画家の息吹が吹き込まれたのか、どのような魔法がかけられているのかは素人の僕にはわからないけれど、これが画家 日笠隼人だけのまぎれもない作品なんだ。

形は違えど同じ表現者として本当に尊敬する。
僕はどうだろう?
僕が代弁する役たちは少しは魔法がかかっているだろうか?
もっともっと真摯に向き合わなければな。

そう思わせてくれる表現者が側にいることを心から嬉しく思う。

さて、会場のシェリールブルレさんは実は渋谷にあったとあるカフェの店員さんが始めたお店で、僕が隼人くんの絵と出会った最初のきっかけにもなったお店でもある。
もう4、5年も前の話だが、当時お話したスタッフの方と再会することも出来た。
笑顔の素敵な店員さんたちは相変わらずふわっふわな笑顔で迎えて下さった。
あの時もミュージカルをやってるなんて話して、公演のチラシを置かせて頂いたことを覚えていらして。

あぁ、人の縁って途方もなく凄い。

またいつか紡いだ縁がひとつになって最高に幸せなひとときを共に出来たら。
道すがらの何てことないお散歩。
どこにでも転がっている最高の幸せなひととき。


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2011年07月26日

巣立ち


最近ツバメの巣をよく見かける。
そういえば実家の車庫にもツバメがせっせと巣をつくったりえさを運んで雛にやったりしてたな。

先日、僕が企画・監修しているライブイベントのツアースタートを東京で迎えた。
バンドとしてがっちりメンバーとタッグをくんだ企画、自作の童話を絡めた新しいスタイルのライブとお披露目するまで未知の世界だった。
特に童話なんてもちろん書いたことがないし、先の記事にも記したように言葉がもつ影響力に非常に敏感になっていた僕である。
もともと緊張するほうだけれど、二日前から眠れなくなった。(その前々日から雑務に追われほとんど寝ていないにもかかわらずである。)
そして、出番前あんなに震えたのは久しぶりである。
ありがたいことにお立ち見が出るほどのお客様の前での初披露と相成った。
上演時間をおしたり、僕の尋常じゃない緊張とカミカミMCにもかかわらず、お客様は最後まで見捨てずあたたかく見守って下さった。
厳しい意見も含め、結果的にはかなりの好スタートを切れたのではと思っている。

そしてやってみてわかったことがたくさんあった。
必要のないもの、足りないもの、伝わっているもの、理解されないもの、未知の世界のルールがおぼろげに少しわかった。
それからスキルの問題。
もともと曲や文章の持っているポテンシャルを僕がまだぜんぜん引き出せていない。
これは大きい。
思えば場を創るのに精一杯で修練に思うように時間がさけなかった。
逆に言えばそこを持ち上げるだけで格段に良くなるし、すべてが有機的につながって行くはず。
そして僕はこの世界のルールの一端をつかみかけている。

やっと自信がもてそうである。あとは踏み出すのみ!!
旅しながらきっとまだまだでっかくなっていきます。
きっとすごく面白いことがこのメンバーと出来るんじゃないかな。

さぁ旅立ちです。
たくさんの人に会いに飛んでいこう。



ということで、前回予告した「be」の写真はまた今度になってしまいました。。。
すみませぬ。



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2011年07月05日

言葉


言葉って難しい。
でも今の世の中は言葉に溢れていて、ファストフードのように誰もが言葉を食べたり吐き出したり食べたり吐き出したり・・・
言葉で着飾ったり、言葉で刺したりする。

しばらくブログという場に疎遠になっていた。
ネットサーフィンをしているとたくさんの良い言葉に出会うが、それを飲み込むほどの悪い言葉にも出会う。
自分がここで発していることに疑問が生まれ、またその人となりが言葉に透けて見えるということを改めて認識したら急に怖くなった。
自分が想うことを表現として具現化することが増えたのもブログ離れの要因の一つである。
ここでしゃべらなくても歌詞や歌に託す機会が増えたから。

しかし、こういう場での言葉が人をつなぎ、豊かにするのも確かである。
現になかなかお会い出来ない大切な方々がここを覗いて下さっていること。
そんな温かなまなざしには本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。
ここ最近は舞台も続いており、たくさんの方々が訪れて下さっている。

もう一度ここで書き綴ることに挑戦しなければと思う次第である。

ただ実際問題として、実はずいぶん前から家のPCから何故かライブドアにログイン出来なくなってしまった。。。
ホントのところブログ離れの一番の要因はただでさえ文章書くのが遅いのに更新するのが一苦労だからである。
(今もネットカフェにて更新中。。。)
そして最近は忙しくて思いっきり時間が無いのである。
なのでまだまだ頻繁に更新てわけにはいかないのです。

それでも足を運んで下さる皆様本当に申し訳ないです!!!

さて、もうお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、このブログの脇にツイッターなるものが出現しているのが分かるでしょうか?
ということで始めてみました。
一先ずこれなら続けられるのではと思いまして。
それに今年は方々に旅するのでその軌跡なんかをチェックしていただけたら楽しいのではないかと。

やっておられる方がいらっしゃいましたら、ぜひふぉろーして下さいませ。
ということで、次いつ更新出来るかわかりませんが、写真もたくさん撮っているので先ずはそうだなぁ、「boy be...」の写真なんかアップ出来たら良いなと思ってます。

それではまた!!





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2010年05月26日

「覗きからくり遠眼鏡」 photo 2010 新宿紀伊国屋サザンシアター 公演

2010年05月19日〜23日に出演させて頂いた、
Steps Musical「覗きからくり遠眼鏡」2010年 新宿紀伊国屋サザンシアター公演の画像を掲載。






bfb65ecf.jpg★アタリメ権太1





742f25fc.jpg★アタリメ権太2





58e644f7.jpg★松之助とツーショット!
箱崎松之助役の柳瀬 亮輔さんと。




7e4fd396.jpg★竹蔵とツーショット!〜廉Ver〜
かもめの竹蔵役(Wキャスト)の清水 廉さんと。




512560df.jpg★竹蔵とツーショット!〜龍児さんVer〜
かもめの竹蔵役(Wキャスト)の足立 龍児さんと。




78f7f62e.jpg★三次アニキとツーショット!
賽の目三次役を演じられた俳優座の川井康弘さんと。
川井さんは大学の先輩でもあり、舞台の外でもたくさん面倒みて下さって、ほんと頼れるアニキです!!




401c670b.jpg★千松とツーショット!〜佳代さんVer〜
おしめの千松役の岡村佳代子さんと。
佳代さんも大学の先輩です。そしてスタッフワークも同じ演出部☆
稽古の間ずっと一緒だったような気がします。




73a7ffdd.jpg★武家の奥方とツーショット!
武家の奥方、他色々演じていた加藤真由美さんと。
真由美ちゃんとはSteps研究生時代からの同期です☆
もう長い付き合いになるなぁ。




7c2a14ee.jpg★権太〜黒装束Ver〜
本職ドロボウさんの仕事着。
皆同じ黒装束でもそれぞれの着こなしをしています。
この写真だと分かりづらいですが、オシャレな権太の黒装束は着物の裏地に挿し色が入っていて、チョイ見せしてます。
それから扇子☆




ce630cd2.jpg★熊とツーショット!〜黒装束Ver〜
ヤモメの熊役を演じられた、田村耕一さんと。
今回一番絡みがあり、たくさんたくさん色々なことを教えて頂きました!!
一番年長で偉大な大先輩なのに、同じ目線になって一緒に創作して下さり、心から尊敬しております。
またご一緒できたらうれしいな。
その為にももっともっと頑張らなくては!です。
この写真で黒装束の着こなしの違いが分かりますね☆




780d2756.jpg★熊&千松とスリーショット〜佳代さんVer〜
一幕ラストの名乗りのシーンでは傘を使っておりました。
お気づきの方もおられるかと思いますが、この名乗りは歌舞伎の「白波五人男」の名シーンを踏襲しております。
ポーズなんかも、昔描かれた浮世絵なんかと見比べて全泥連で研究して考えましたとさ。




1604e176.jpg★熊&千松とスリーショット〜ハナちゃんVer〜
コチラはハナちゃんが千松Ver。




ca43017a.jpg★稽古後のひととき1
この写真はまだ稽古が始まったばかりの頃だったと思う。
最後まで稽古場に残って練習していた面子です。




bd9788b5.jpg★稽古後のひととき2
稽古後はごはんをご一緒することもしばしばです。
こちらは稽古場近くの横浜家系ラーメン屋さんですね。
かよさんと。




d0a135c9.jpg★楽屋にて
楽屋では大体お隣が亮さんなのです。
メイクがホント苦手だった僕が一人で何とか出来るようになったのは、入団当初から面倒見てくれた亮さんのお陰です!
さて、このヒッピーみたいな長髪はエクステ。役作りなのです。




2d1ded1a.jpg★劇場リハーサル風景1
本番前にはサウンドチェックやリハーサルが行われます。
少しだけ公開。
どのナンバーをあたっているか、かわかりますか?




60a7bd2c.jpg★劇場リハーサル風景2
これは、M−「俺たちの夢」ですね。
竹蔵ソロ!




142a677a.jpg★劇場リハーサル風景3
わたくし、歌ってます…




22495383.jpg★劇場リハーサル風景4
リハーサルなので稽古着でございます。




a8556e96.jpg★劇場リハーサル風景5
物語の中でもとっても重要なこのシーン。
大好きなシーンでもあります。
しかし、このシーン&歌を成立させるのは技術的にもひじょーに難しいのです。




84c09740.jpg★劇場リハーサル風景6
こちらは、M−「マイ ハネムーン」リハーサル風景。




29ca2cd1.jpg★劇場リハーサル風景7
写真ぶれていて申し訳ないのですが、着物でカンカンを踊っちゃうという斬新な振り付け。
Steps作品ではおなじみの酒井麻也子先生の振り付けです。




55ea925f.jpg★劇場リハーサル風景8
やはり、リハーサルなので稽古着に着物を羽織っています。




6821b38e.jpg★劇場リハーサル風景9
物語のラスト、船旅のシーンですね。




6d29ddf0.jpg★本番幕間〜舞台に落ちるライト〜
皆様が休憩中の幕の裏側はこんな照明になっておりました。
なんだかメルヘン。




0e7c4e98.jpg★本番幕間〜角兵衛獅子〜
それぞれ二幕に向けて集中しております。
角兵衛獅子役のジョンこと鈴木香里さんの後ろ姿。




0d2d09c2.jpg★本番幕間〜瞽女〜
瞽女役のおふたり、黒瀬千鶴子さんと宮ヶ原千絵さん。
すでに準備万端です。




74d7acbd.jpg★本番幕間〜女郎〜
カメラを向けるとポーズをとってくれました。
エリカ様、山口恵利佳さん。




d57d7f28.jpg★本番幕間〜権太 瓦版売りの扮装Ver〜
照明がなかなか良かったので、ついでに僕もポーズ。




adba8702.jpg★本番幕間〜千松 瓦版売りの扮装 佳代さんVer〜
かよさん千松もポーズ。




dc39ba8a.jpg★本番幕間〜熊&千松とスリーショット! 佳代さんVer〜
瓦版売りになりきったいつもの三人でございます。




3beb20d8.jpg★竹蔵とツーショット!〜廉Ver〜
こちらは楽屋にて。




0241bb9f.jpg★泥棒さんの表の顔「瓦版売り」〜廉&ハナちゃんVer〜
三次アニキと千松、竹蔵と一緒に。




b8accba1.jpg★権太〜ええじゃないか扮装Ver〜
女物の振袖なんかを着てます。
男が女の恰好したり、またその逆も…これは史実の通りなのです。




638254d6.jpg★銀次&遠眼鏡屋とスリーショット!





a0792107.jpg★全泥連、最後の大ヤマ〜佳代さんVer〜





1105a538.jpg★アタリメ権太3





※PCからご覧の方は画像をクリックしてみて下さい。大きなサイズでご覧頂けます☆




ご来場下さった皆様、
応援下さった皆様、
支えて下さった皆様、

みんなみんな、本当にありがとうございました。



中村 勇矢


black_panther_s_tail at 19:45|PermalinkComments(2)TrackBack(0) 「stage」photo 

2009年07月01日

始動



※文章は後程掲載致します。

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2009年06月25日

引力と重力



どうしよう。
やっぱり観なければ良かったのかな…

あの作品にひっぱられている。
何もかも手に付かない。
あの劇世界から抜け出せずにいる。

ステージの上から降ってきた感動。
あそこに自分が立っていない悔しさ。敗北感。
悪魔が耳元で囁いた。

立場
実力
境遇


全てが足りなくて足りなくて呪わしい。


!!


ダメだっ。
自分に嫌気が差す。



間違ってはいけない。
ここにいられること、ここまで来れた全てに感謝するべきだよな。

全ては自分。

自分がどうするか。


重力に抗うのではなくて、負けない自分でいなければ。
訪れたときにしっかり受け止められるように。




チャンスはいつでも空から降ってくる。







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2009年06月21日

SHOW・GEKI 5 〜目覚め〜


■2009/6/21 劇団四季公演「春の目覚め」

何で書き渋っていたのだろう。
この作品についておもうことはたくさんある。
明確な理由はわからない。

確かなことは。
ダンカン・シークが紡いだこの音楽に僕は骨の髄まで魅了されていること。
ブロードウェイで産声をあげたこの作品に頭の先から指の先までしびれたこと。

たぶん、僕の中心にすっかりもぐりこんでしまっていたからだろう。
近すぎて見えなくなったみたいに。
時間を置いてようやく向かい合える気がする。
観劇から95日の今夜、あの日から随分たった今宵、静かに記憶を紐解いてみようと思う。
皆様、あぁ…随分とお待たせして…あぁ、すみません!!(2009/9/23)





雨。
久しぶりに降り立った浜松町の駅。
傘の留具が外れない。少し興奮している。
歩き出す。ぎこちない歩調。
ぱらぱらとビニールを打つ雨粒の音。

昨日、金券ショップのゲージの中に半額のチケットを見つけたときは文字通り飛び上がった。と同時に覚悟を決めた。運命をも感じた。
少し迷ったふりをして、でも数秒後には支払いを済ませていた。

「SPRING AWAKENING」

2007年度トニー賞授賞式目前の深夜に僕はこの作品と出会った。
正確に言うと作品全体を知ったのではない。
発禁になったドイツ戯曲を元にした斬新なミュージカル…作品のことはその程度しか理解していなかったように思う。
でも、この番組で流れた一曲がすべてを変えた。
おぼろげな英単語のニュアンスだけで内容なんかさっぱりのはず、なのに音を聞いたら全てが何処かでわかっていた。
涼しい夜風と熱い身体。
今まで積み上げてきた積み木が一瞬で崩れ、その横に全く新しい積み木が一瞬でつるりと積みあがっている、そんな感覚。
芸術に向き合っていると稀に訪れる奇蹟、その奇蹟が何の前触れも無く僕の前にやってきた。

翌日、当時同僚であった天野まこっちゃんに洪水のように話した。
ネットでサントラを輸入してあげようかと彼は言う。
君は神様かっ!!
お願いしますと僕。

アメリカからCDが届く間にこのミュージカルはトニー賞8部門を受賞し、僕を粉々にしてぴかぴかにさせたあの曲の名が「TOUCH ME」だと言うことを知った。

劇団四季のミュージカルを観劇するのは「ライオンキング」以来となる。
あれから何年たったのだろう。随分と劇場が増えたな。自由劇場も初めて訪れる。
観劇には随分と勇気がいった。
僕にとってこの作品はCDが全てだった。
アレンジ、グルーヴ、声、熱、言葉がわからないこそ感じられる情感…
完璧なバランスに感じられたのだ。
立体で、日本語を通して知ってしまったら僕の中で出来上がっているこのバランスが壊れてしまうのではないか、そんな怖さがあった。
もちろん舞台を観たい衝動はとってもある。気になる。
そんなジレンマを抱えながら日々の忙しさに託けて見ないふりをしていた。
山手線の車内モニターから流れる映像が気になっても観ないふり。
簡単には飛び込めないチケットの料金設定も歯止めになっていた。
その最後の砦が昨日決壊したわけだ。

程なくして劇場に到着。すごい数のお客さんに驚く。
毎日のように公演をしていてもこれだけの集客力があるのだから本当に頭が下がる。
舞台への期待もグイグイあがってきた。
広すぎず上品なロビーとは裏腹に劇場内部は現代的な印象を受ける。雰囲気の良い劇場だ。
スタイリッシュなセット。
モチーフのモニュメントや電球に年季の入った教室の椅子…
説明しすぎず、昔と今が融合した素敵なセットだ。セットだけで新しい演出の匂いを感じる。
舞台奥にむき出しのバンドスペース。ミュージシャンが手慣らししている。

照明が変化すると登場する俳優たち。
拍手の中、静かに舞台が始まる。

ここで少しだけ物語のあらすじを記しておこうと思う。

十九世紀末のドイツ。
無味乾燥な授業、理不尽な教師たち、無理解な親…。思春期の最中にある十代の少年少女たちは保守的な社会の中で息が詰まりそうな毎日を送っている。
成長していく自分の身体に戸惑うベンドラは赤ちゃんがどうしたらできるのか知らないし、母親も教えてくれない。
考えることを許されない学校の授業に疑問を抱いたメルヒオールは教師に自分の意見を述べたら鞭で体罰を受ける。
落ちこぼれのモリッツは親にも見離され、行き場を失った彼はピストルを手に森へと向かう。
虐待、退学、自殺、妊娠、…
少年少女たちは問題に直面し、闘い、悩みながら少しずつ大人になっていく。

これは概要に過ぎず、それぞれの事件が複雑に絡み合い、にも関わらず物語はシンプルな問いと答えに昇華していく。

観劇してたくさんのことがわかった。
それは物語と音楽が非常に高水準でマッチしていること。
音楽だけ抜き出しても世界観が確立されているのに物語と融合したら、さらにこんなにも広がるなんて。
言葉が線と点だとしたら、音楽は色だ。
お互いが主張しすぎず、でもどちらも個性的でやはり最高のバランスだ。
色んなカラーの楽曲があるのに全体で何色に見えるのかががしっかり計算されている。
そしてこれは構図もすばらしい。
構図は演出。なんてスタイリッシュな演出なんだろう。
無駄が一切省かれて最小で最大の効果を生み出す。
CDだけしか知らなかったらきっとわからなかった。
全ての成功の鍵は脚本・作詞の秀逸さにあるのではと思った。
これが才能あるクリエイターを呼び寄せ、最高のクリエイトを導き出したのだ。
スティーヴン・セイター、本当に凄い人である。

「春のめざめ」の何に惹かれるんだろう。
それは衝撃的な問題の中に壊れ物を扱うような不器用な温かみがあるからだ。
どんなにボロボロになっても握りつぶさないように大切にしている人間の優しさ、無垢。
だからこそ悲しいし、何処か懐かしい。
心の郷愁…言葉がわからなくても音に溢れていたのはこのおもいだ。

四季の俳優さんについても少し。
きっとブロードウェイの俳優とは全く違ったとおもう。
でも日本人だからこその表現になっていたのではないだろうか。
独特の発声や演技術ではあったが、若手俳優の皆さんはエネルギーに溢れていた。
オリジナルキャストのようなアクやハスキーさの無い声だったけれど、ムラのない声で調性のとれた溶けたハーモニーを聴くことが出来た。

胸が熱くなった。来て本当に良かった。

しかし皆さん良く訓練している。
あれこれ言う前に怠けている同業者は見習わなければならない。
環境のせいにしている暇は無い。

…けれど…

毎日舞台に立てる事実。
豊かな稽古場。
行き届いたスタッフワーク。
競争する相手と場所。

羨ましい。
ええぃ、隣の芝は青く見える、だ。精進あるのみ!!

いつか僕らも。
いつか。

いつかモリッツを演じてみたいな。
そして「TOUCH ME」を歌ってみたい。






black_panther_s_tail at 00:00|PermalinkComments(0)TrackBack(0) 観劇日誌 

2009年06月20日

夢の国



わらび座で共演させて頂いた若手女優、「でんこ」こと工藤純子ちゃんが関東公演でしばらく東京近郊にいるとの事。
先日はStepsの本公演「ヴェローナ物語」にも足を運んでくれた。
休日を利用して東京案内を仰せつかった。

とりあえず新宿で合流。
この一週間の間、どこに案内すればいいか思案するも、いざ考え出すとどこも思いつかない…
何でもあるけど、ひとつが見つからない街。トウキョウ。
ガイドブックに頼るべく本屋さんへ。案内人として全く役立たずなスタートである。
ここもいいね、あそこもいいね、と色々あるがやっぱりこれといって足を運ぶまでも無い気がする。
とりあえず疲れたので食事をすることに。
小洒落たところを探そうとしばらく歩いたが暑くて敵わない。
結局、居酒屋みたいなところのランチに落ち着く。
料理はそこそこ美味しいし冷たいお茶も用意下さって、気も使わず結果オーライ。
そうか、背伸びする必要は無いんだ。
近くの金券ショップに夢の国のチケットが安く並んでいたのでそこに行こうと落ち着く。
もう東京だろうが千葉だろうがどっちでも良い。
チケットを手に入れ、一路舞浜へ!!

さすが夢の国。
細部までこだわった世界観が僕らの日常を忘れさせてくれる。
これぞエンターテイメント!
ショーに乗り物に終いはゆっくりディナーバイキング。
随分と混んでいてうまい具合にまわれなかったけれど、お互い話すことには事欠かない。
待ち時間も楽しかった。
でんちゃんも楽しんでくれてたら良いな。


eaf4bd5a.jpg★船出





43fc243e.jpg★黄昏





e9c79a74.jpg★アラビアンナイト





fa087bff.jpg★ジャングル





5ad827a6.jpg★電灯





e732f9ff.jpg★きらめく船





6c0b77a2.jpg★夜景





bae67ad6.jpg★橋の上から





0445c7da.jpg★SEA







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2009年06月19日

集結

8d0148f9.jpg★歴代「重三郎」役 集結

左から…初代:伊藤力君
     二代目:僕
     三代目:久保田敬博さん
     四代目:和泉沢信孝さん




僕にとってわらび座との出会いと秋田での生活は舞台人としての一つの転機だとおもう。
いや、舞台人としてだけではなく人としてたくさんのものを頂いた。
昨年の梅雨から初夏、夏、秋の入り口までのかけがえのない三ヶ月。

一年間続く秋田の本拠地公演を初代から受け継ぎ、そして次へ渡した。
立ち位置や段取り、知恵なんかをまとめたノートと一緒に役は受け継がれ千秋楽を迎えた。
僕達にはいつの間にか不思議な絆が生まれていた。
受け継ぐ責任、受け渡す痛み、この役を生きた者にしかわからない感慨。

いつか再会しよう。

秋田を離れる前に決まって交した約束。


あれから役一年が過ぎた。
不慣れな僕らを温かくサポート下さったわらび座生まれわらび座育ちの先輩俳優、黒木友宣さんから一通のメールが届いた。
わらび座のとある作品で東京公演があるとの事。
それには四代目の和泉沢さんが出演し、どうも初代、三代目も駆けつけるとの事。
生憎その日に限って予定が入ってる。でも心のこもったプレゼントを贈られているみたいな気がしたから時間をやり繰りして足を運ぶことにした。
滑り込みセーフで席に着く。そして観劇。
芝居の内容を上回って押し寄せる懐かしい匂い。
涙で味がわからなくなったラーメンを啜ってるみたいだ。
でも一生残るこの日にしか味わえない食事のよう。

終演後、皆と再会を果たす。
歴代の橘重三郎たち、出演中の和泉沢さんと友宣さん、音響でお世話になったガッチャンさん、作曲家のすぐるさんに、時には意見を戦わせて作品を創った演出助手のまりさんにまでお会いすることが出来た。
ここにはまるで地面が無くなったみたいに足がふわふわした。
舞い上がるってこういうことかと頭のどっかで冷静に考えてる…ってことさえも笑っちゃうくらいふわふわふわふわしてる。
別れてからそれぞれ過ごした空白の時間に最初の言葉を戸惑い、でもいつの間にか堰を切ったように思い出が溢れて、自分達でも何を言っているのかわからない言葉の連なり。
そう、しゃべってる内容なんて問題じゃない。別の何かで繋がってる。
もっとしゃべっていたかったからなかなか別れが切り出せなかった。
本当は皆で呑みにでも繰り出したっかったけれど、この後打ち合わせが入ってる。

落ち着いたら集まって呑もう。

また再会を約束して皆と別れた。



ひとり電車に揺られ東中野に向かう。
僕はこれから新しいことに挑戦する。
その為に今から新しい出会いをする。
今日の日のように時が流れても再会を喜べる出会いになればいいな。
真摯に関係を育んでいきたいと思う。



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