全国のビックリマンコレクターの諸君、黒爺だっ!!
今日も元気にブログを更新していくぞ!
はじめに。
今回の記事で、当ブログ第100弾を迎えます。
拙く小さなブログがここまで続いたのも、ひとえに当ブログを閲覧下さっている皆々様のおかげです。
本当にありがとうございます。
言っておきますが、
超が3つほど付く長文です(笑)。
読み疲れる可能性大なので、自己責任でお読み下さるようお願い申し上げます(笑)。
いやぁ、これでも短くまとめたつもりなんですが、書いている内に次々と出てきちゃいましてネェ。あんまり長すぎるとうんざりされるでしょうから、どこか端折っていこうかと考えました。
しかし、腐っても第100弾。
書きたいことを書けないまま記事にすることはできヌ。
なので、
長文中の長文をそのままUPしやした(笑)。
引き返すなら今の内ですゾ!
筆者は忠告したヨ?
覚悟はいいですかナ?
了解した。
遠慮なく読み勧めて頂きたい。
ついに、ついにこの時が来た……。
目指すべきは我らがビックリマンファンのメッカ!
赴くべきはビックリマンの神々が座すヴァルハラ!
いざ往かん、神々の地、大阪へ!!
そう、これはビックリマンファン兼キモブロガー黒爺の、ジョジョもビックリな冒険の物語である。
当ブログ第100弾に相応しい記事となるか?
書き終えた筆者が決めることではない。
すべてはこの記事を閲覧下さる読者の皆様方が決めること。
正直、筆者がこのサイン会で得た素晴らしき感動のすべてを書き記せたかはわからない。書き終えた今でもそれに答えることはできない。
しかし、これだけは断言しよう。
今の筆者が書き得るすべてをここに置いてきた!(どっかで聞いたフレーズ)
それでは、皆様。
当ブログ第100弾の幕を開けよう。
話は大阪原画展サイン会の前日、9月12日の夜に遡る。
神々に謁見できる日の前日。
皆様はいかがお過ごしだっただろうか?
特に気負うことなく爆睡していた人、翌日の準備を念入りに行なっていた人、寝ようとしたが興奮して眠れなかった人、それぞれ想い想いの夜を過ごされたことだろう。
当の筆者は何をしていたかと言えば……、
会社の同僚と飲み会に興じる始末(笑)。
イヤイヤ! この記事の入りであれだけ神聖不可侵な言い回しをしていたのに、サイン会前日にやっていたことがドンチャン騒ぎかヨ!と思われるだろうが、
事実なのだから仕方ない(開き直り)。
この時点で筆者の人事異動が決まっていたからネェ……。今回の人事異動で筆者の勤務先ことデスアーミーの巣窟からようやく離れることができるという悲願が達成されたため、お祝いも兼ねて会社の同僚及び上司と週末に飲みに行く話が決定していたのだ。
朝型人間の筆者としては、さすがに神々の謁見前に夜更かしすることは躊躇われたが、今回の飲み会は話が別である。なぜなら、この飲み会に来るメンバーは概ね筆者と同じく夜更かしすると次の日に猛烈な倦怠感と眠気に襲われる連中ばかりだから(笑)。
基本オッサンの集まりなのでネ……。体への労りを考えて、早め合流の早め解散が恒例になっているのだヨ(笑)。なので、午前さんになることは絶対ないため、神々との謁見前の飲み会と言えど問題はない。
気分良く同僚及び上司とピーチクパーチク叫び合い、帰宅したのが午後11時頃。
とりあえず、翌日の準備を整えてから寝ようと思ったのだが、朝型人間の筆者はその時点で猛烈な睡魔の急襲に見舞われていたので、
神の御二人に謁見するための事前準備をすることなく就寝(爆)。
まぁ、電車の時間はしっかり確認しているし、道中の暇潰し道具はスマホと携帯型充電器があれば十分だ。一応、交換用のシールを持っていくことも考えたが、ツワモノコレクターが集結するであろう今回の原画展で対等にトレードできるシールが筆者の手元にあるとは思えヌ。
それ以外にも原画展でどれだけ買い物するかわからないし、嵩張ると色々面倒なので今回は持っていかないことに。
この時点で懸念があるとすれば、一つだけ。
筆者が考えている出発時間で整理券が取れるか否か!
これである。
何時に現地への到着を果たすか。
これが最大の命題であった。
単純に考えれば、早ければ早い方がいいのは当然だが、あまり早すぎる時間に行って待つのも迷惑になる可能性がある。確か東京の時は前日から並んで待つ行為は禁止だったはずだしネ。
そんなわけで、原画展までの日に考えて出した結論が、開館3時間前の朝8時に現地到着を果たすという方針。これなら早すぎるということもないし、遅すぎるということもない。並んで待てるというなら待つし、開館直前まで駄目というなら近くで時間を潰すまで。現地到着後の成り行きを見ながら、臨機応変に対応すればよかろう。
開館3時間前という時間は若干遅いかも?という不安はあったが、筆者以上のコアなファンは東京原画展に参加しているだろうし、大阪のサイン会枠は二日間で400人もある。若い番号は無理にしても、100番前後くらいは確保できるだろうと読んでいたので、筆者のこの勘を信じて、
さっさと寝る!
そして起床!
爽やかな朝日をこの身に浴びつつ、いざ往かん、
聖地、大阪へ!
目的地は大阪の心斎橋にある『心斎橋BIGSTEP』の地下1階だ。
正直、筆者は大阪に足を運んだ回数は人生を通じて5回もなく、大阪の心斎橋と一口に言われてもチンプンカンプンであったが、幸いにも『心斎橋BIGSTEP』は境外滅伝第2弾を買った『まんだらけグランドカオス』のすぐ近くにあることが近隣マップを見た時にわかったので、道に迷うことはなさそうである。
筆者の自宅から大阪までにかかる時間はJR新快速でおよそ1時間。新大阪に到着後、地下鉄御堂筋線に乗り換え、15分くらいかけて心斎橋に向かう。
その間の電車に揺られながら、筆者が考えていたのはたった1つ。
筆者より強い奴はいるか?(真空波動拳!)
とかでは断じてなく(笑)、筆者と志を同じくし、かの地に集結するであろう猛獣……もとい、豪傑シールコレクターやビックリマンファンの方々のことである。
約1年前にビックリマンシールに再燃して以来、筆者は交換会や交流会というイベントに参加する機会がなかった。東京でそういったイベントが開催されている情報はキャッチできても、地元付近で開催されるという情報はなかったため(筆者が逃していただけで、実はあったかもしれないが)、リアルなコレクターの方々と知り合う機会がまったくなかったのである。
しかし、今回は違う。
当日の約一週間ほど前にCREAさんから連絡があり、師匠のCOREさんと二人で原画展に参加するので是非お会いしましょうというメッセージを頂いていたため、 最低2名のリアルコレクターの方々と知り合うことができる。もしかしたら、お二人の知り合いやTwitterでのやり取りで他の方々とも巡り会えるかもしれない。そんな期待が筆者の胸の中で膨らんでいた。
フッフッフ、実に楽しみダ。
このキモブロガー黒爺を見て、大いに幻滅するがいい!! hahahahaha!!
当ブログやTwitterで知り合った方々は、皆さん筆者如きを良く言って下さる方々ばかり。まずは会って日頃の閲覧のお礼を述べさせて頂きたいところだが、それ以上に、
筆者に会った時の幻滅ぶりを見てみたい(笑)。
なんか期待する方向性を間違えている気がするが、気にしない気にシナイ。
そうこうしている内に電車が心斎橋に到着。念のため、携帯のナビ機能で『心斎橋BIGSTEP』の場所を検索し、10分弱ほど歩けばそれらしい建物が見えてきた。
確かに見えてきた。
仁王立ちで目の前で建物を見てみたが、
入口はどこにあんのよ?
複数の建物がズラッと並んでいたので、どれが『心斎橋BIGSTEP』なのかわからん(笑)。その上、朝8時だというのに建物の前でけっこうな数の男女が屯っており、原画展の開館待ちの猛者共なのか、その辺のジオン兵なのかの区別が付かない。
そっから3分ほど迷った末に、スターバックスの横の通路で原画展の案内板を発見。置き方がさり気なかったので、見つけるのに手間取ったわ……。
そのまま奥に向かうと、数十人いると思しき蛇行列を確認。
最後尾に向かいつつ、彼らの会話の内容を盗み聞きすると、ヘッドロココだのヘラクライストだのの名前が飛び交っていたので、躊躇なくここにいる方々を第一級隔離指定生物に認定。ハンター×ハンターで言うところのキメラアントの群れである(笑)。
ひとまず、ここがNGLであることを認識した筆者は携帯で時間潰し。その間にも続々と筆者の後にキメラアント(失礼)が並ぶ並ぶ。
それから30分ほど経っただろうか。
唐突に警備員のおっちゃんが出現し、キメラアントの群れに向かって檻の中に入るように促す。
なんかビックリマンファンの方々(筆者含む)に向かって失礼な物言いになっているが、これネ、冗談抜きでネ。
檻の中に閉じ込められるからなんですヨ(笑)。
その場にいた猛者たちが建物の入口前まで案内されると、問答無用で鉄格子みたいなシャッターがガシーン。
隔離、乙!
この時点では何とも思わなかったのだが、あとから来た猛者たちがシャッターの向こうで「これ、開かないんですか?」とか「どうやって入るの?」とか言いながらこちらをじーっと眺めているのを見たら、筆者たちはまごうことなき動物園のゴリラ。思わず、
バナナくれなきゃ開けてやらん!
とか言いかけたが、筆者は今『Japanese Ninja!!』として潜伏している最中なので、目立つ行動は控えるべし。
え? 忍者って何よ?だって?
失礼。
話が急に飛んでしまったようだ。
檻の中に隔離された筆者はTwitterで自分がこの場にいることを宣言。すると、筆者のすぐ左側に座っている男女が「黒爺さん、もう来てるって」、「え? どこどこ?」みたいな会話をし始めたので、筆者にメッセージを下さったCREAさんとCOREさんのペアであることが瞬時に判明。
フ、キミたち、
そんなにあっさり正体がばれるようでは『Japanese Ninja』失格だナ!!
それに比べて筆者は完璧である。
決して悟られないよう彼らの方を見ず、聴覚と気配を頼りに彼らの動向を把握。戸惑っている彼らをあざ笑うかのように「お二方の特定完了(ニヤリ)」をつぶやく。COREさんの「全然わからない。なんか悔しいな……(笑)」の言葉を尻目に彼らの目の前で気付かれることなく潜み続ける。
パーフェクトだ。
筆者の忍者としての能力は極まっている!
ひょっとしたら、筆者の祖先は服部半蔵なんじゃないかと本気で思ってしまうくらいの完璧さ(大袈裟)。
そんな風に完全な自己陶酔に浸っていると、CREAさんからこんなつぶやきが。
「黒爺さん、わかっちゃったかも(ニヤリ)」
なにぃぃぃぃぃぃぃ!?
ば、ばかな……。筆者の潜伏は完全だったはず……。ばれることなどありえヌ……。表情から悟られないようにポーカーフェイスも保っているし、視線も合わせていない。ばれるはずがないんだ!!(フラグ)
落ち着け、ウロタエルナ、筆者!
深呼吸をして落ち着きを取り戻す。
冷静に考えろ。ばれるわけがないんだ。奴の言ってることはハッタリだ!(フラグ)
根拠のない思い込みで自分を納得させ、再び忍者ごっこに興じることに(笑)。
って、サイン会の前に何やってんねん!!
というツッコミが飛んできそうだが、まぁいいじゃないかネ(笑)。大人になるのは大事だが、子供心はいつまで経っても捨てちゃダメだ。いついかなる時でも楽しむことを忘れヌ。それが筆者の信条である。
その後、キッチリ11時に開館し、当初の順番通りに猛者たちがビックリマン原画集を購入していく。筆者も無事に購入することができ、サイン会の整理券をゲットした。気になるその番号は、
29番!
あら、意外と早かったのネ(笑)。
てっきり50番くらいかと思っていたが、想像以上に番号が若かった。まぁ、順番が早いに越したことはあるまい。
しかし、29番かぁ。
これって、額に『肉』って書いて神に謁見しろってことですかネ?(笑)
屁のツッパリはいらんですヨ!などと神々に向かって言わなきゃならんのか……。ハードルが高すぎて筆者には無理だ。誰か代わってくれ(笑)。
そんな世迷言はさておき。
サイン会の整理券を無事にゲットした筆者。
一通り原画展の作品を堪能した後、奥に置いてあった小さなテーブルで談笑する二人の標的(?)に向かって歩を進めた。
そして、おもむろに己が黒爺であることを明かす。
すると、
「おお、あなたが黒爺さんですか!!」
と、満面の笑みで筆者の想像以上に喜んで下さった。そして、「いつもブログ読ませてもらってます」と。
この時点で筆者は既に感無量(笑)。
筆者との対面を喜んで頂けたばかりか、改めて生の声でブログを読んで下さっていることを聞くことができた。それ以上の何を望めと筆者に言うのか。
しかし、感激ばかりしてもおられヌ。
対面を喜び合った後、CREAさんから一言。
「でも、やっぱりあなたが黒爺さんだったんですね。Twitterでも言いましたけど、気付いてましたヨ(笑)」
ぬわんだってぇぇぇぇ!!
あのツイートは本当だったのか……。しかし、なぜだ? なぜばれたのだ?
自問自答していると、さらに一言。
「周りを見渡してみたら、目の前にちょっとニヤニヤしている男性の方がいて、スマホの画面の動かし方もTwitterのそれっぽかったから、この人だなぁってすぐわかりました(笑)」
ポーカーフェイス(大爆笑)。
すみません、調子に乗りました。下忍に戻って反省しますデス、ハイ……。
CREAさんの言葉を聞いたCOREさんが「目の前にいたんなら言って下さればよかったのに」と苦笑されたので、「いやぁ、あの行列の中で言い出すのは気恥ずかしくて~」とか適当に笑ってごまかしたものの、
言えない。
絶対に言えない。
忍者ごっこしてました!だなんて、口が裂けても言えない(真剣)。
これを読んでしまったキミィ! この事実は墓場まで持っていってもらうゾ!
その後、じゅいちさんと合流し、ひとしきり談笑。入口付近でTOYさん、GULさんとも知り合うことができた。サイン会までの時間を合計6人で過ごすことになったが、この時の話は後日させて頂こう。
さぁ、運命の時がやってきた。
時間は午後2時。
神々のサイン会の幕開けである。
筆者たちが現地に戻ってきた時には既に神の御二人は着席され、係りの方々と談笑されていた。
30年以上生きてきた中で、初めて目の当たりにする神のお二方。
物腰柔らかで穏やかな表情をしていらっしゃるが、その存在感は圧倒的である。
つい数秒前までは写真やインターネット動画でしか見ることが叶わなかった尊ぶべき存在。筆者のような一シールマニアでは一生会うことが許されないと思っていた偉大なる御仁が、今筆者の目の届くところにいらっしゃる。
黒爺よ。
心の準備はできたか?
次々と整理券番号が呼ばれる中、筆者は自問する。
オッケーだ。
程よい緊張と、高揚する感情。
ガチガチに固まっていない。
心に余裕もある。
いい感じだ。
さらに筆者は自問する。
サインしてもらう名前は決まったか?
もちろん、決まっている。
昨日までは迷っていたが、それもお終いだ。
今の筆者には一つしかない。
黒爺
この原画集に我がハンドルネームを刻んで頂く。
それが筆者の希望だ。
筆者は最後の自問をする。
次はお前の番だ、いけるか?
問題ない、行こう!
ついに巡ってきた筆者の番。
先生方の隣にいる男性に希望のサイン名を書いた用紙を手渡す。
その男性が筆者に問う。
『さん』や『様』付けはいいですか?
ええ、大丈夫です。
『さん』や『様』などいらない。
誇るべきハンドルネーム『黒爺』を先生方に呼んで頂く。
それだけで満足だ。
わかりました。では、どうぞ。
男性に促され、筆者はついに米澤先生と対面した。
男性から原画集と希望サイン名の用紙が手渡される。
そして、出てきた言葉が次の一言。
出たな!
え……、『出たな』……?
衝撃の一言に筆者は思わず絶句。
それまで適度の緊張状態を保っていた肉体が、見る見るうちに鋼鉄のそれと化す。
隣の兵藤先生が名前を覗き見てニッコリ微笑む。
ま……、まさか……?
筆者は絞るような声で先生方に問うた。
ご、ご存知なんですか?
もちろん。
間髪入れずに米澤先生はそう仰った。
タワスペで使わせてもらってるよ。
それに続く形で兵藤先生。
黒爺さんのフェブリオにはお世話になってるよ。なんせ強いからね。
あまりの緊張にうまい返しが出てこない。
そうだったんですか! ありがとうございます!
そんな月並みな言葉しか出て来なかった。
あれ? 名前、『さん』とか『様』はいいの?
あ、いえ、呼び捨てで……。
今ならまだ付け加えれるよ?
あ、はい、じゃあ『さん』でお願いします。
緊張のあまり正常な思考回路が機能しておらず、呼び捨て意向をあっさり撤回。
突然のハプニングに舞い上がってしまったので仕方ないが、我ながら今思い出しても苦笑するしかない。
実際の名前は書かなくていいの?
さらに言って下さる米澤先生。
え……、いえ、書いて頂ける名前は一つだけのはずですから……。
嬉しい申し出であったが、皆さん1つしか書いて頂いていないのに筆者だけ2つは虫が良すぎる。
ガチガチに固まっていたが、そこは冷静に判断し、丁重に遠慮させて頂こうと考えた。
しかし。
今なら特別に書いてもらえるよ。
横から兵藤先生が筆者の背中を後押しする。
ブログで筆者が悩んでいるのを見て下さったのだろうか?
御二人の笑顔を見て素直に甘えちゃえよと言われている気がした。
是非、お願いします!
後ろの方々には申し訳ないが、またとない機会である。
素直にお言葉に甘えさせて頂こう。
あ、じゃあ名前書いてもらえるかな。
恐れ多くも米澤先生からサインペンを拝借し、黒爺の下に自分のリアルネームを書き始める筆者。
そこで違和感に気付く。
サインペンを持った左手が震えている。
いや、左手だけじゃない、右手もだ。
いつもなら滑らかに書けるはずの名前が、手が震えて思うように書けない。
何年ぶりだったろう?
手が震えるほどに緊張したのは。
何とか無事に名前を書き終えた筆者は、改めてサインペンと用紙を米澤先生に手渡す。
それを見て快くサインして下さる米澤先生。
はい、オッケー。
米澤先生がサインを終え、兵藤先生が後を引き継ぐ。
これからも頑張って下さい!
月並みなセリフだが、心からの敬意と感謝を込めてそう言った。
ありがとう。
にっこり微笑み、筆者と握手して下さる米澤先生。
そして、そのまま隣に移動し、兵藤先生と対面。
よかったね~。
ありがとうございます、ほんと申し訳ないです。
二つの名前を書いてもらえたことを言っているのだろう。
筆者は素直に感謝の意を述べた。
タワスペもずっと使わせてもらってます、これからもよろしく。
そう言って握手して下さる兵藤先生。
ありがとうございます、これからも頑張って下さい!
何度も何度もお辞儀し、感謝の意を伝える筆者。
御二人とも仏のような笑顔が印象的で、サイン会を終えた今でも筆者の脳裏に鮮明に焼き付いている。
その後、COREさん、CREAさん、じゅいちさんの3人と合流した筆者。
会場の隅で談笑していると、またしても体の異変に気付く。
全身が熱い?
火照るような感覚が筆者の全身を駆け巡っている。
適度な運動で汗をかいたときの感覚だ。
興奮冷めやらぬとはこういうことを言うのだろうが、それにしてもこの感覚を味わうのも何年ぶりのことだろうか?
東京原画展のサイン会を終えた後、Twitterで米澤先生が『皆さんの子供のような笑顔が素敵だった』というような内容のツイートをされていたが、仰る通り、筆者を含む多くの方々が子供だった当時にタイムスリップしていただろう。
大人になった今を以って、全身が打ち震えるほどの喜びと感動。
それは当時子供だった時の純粋なる喜びと感動に他ならない。
数年。
いや、十数年ぶりに筆者はそれを体験した。
このサイン会で先生御二方と対面し、確かにそれを感じ取った。
齢30を超えた今尚、幼き日に得た喜びと感動を味わうことができる。
それはもう筆舌に尽くし難い。
しかし。
筆者が感じたこの感動は誰もが等しく感じ得るものではない。
当時のビックリマンを知り、当時のビックリマンを懐かしみ、当時のビックリマンを愛する、1985年のビックリマンブームを生きた我々の世代にしか感じることが許されない特権と言っていい。
言い換えるなら、
神々より与えられた黄金の果実。
1985年のビックリマン黄金期。
神々が生み出したビックリマンという名の黄金の果実を、我々は確かに食していた。無垢な子供であるが故に、ただ純粋にビックリマンで友達と繋がり、ビックリマンで共に笑い、ビックリマンで楽しんだ。
そういう時代が確かにあったのだ。
だが、時が経つにつれ、ビックリマンの隆盛は衰え、筆者を含む多くの方々がビックリマンへの興味を失い、大人に成長し世俗に塗れたことで純粋さを失い、与えられた黄金の果実をどこかに置き去りにしてきてしまった。
多くの方々はそう思っているだろう。
しかし、それは間違いだ。
筆者と同じくビックリマンに再燃した方々よ。
そして、1985年からずっとビックリマンを愛し続けている方々よ。
あなた方は忘れているだけだ。
黄金の果実は今も尚、あなた方の中に眠っているということに。
筆者はこのサイン会で神々に拝謁し、体の芯から熱くなるほどの魂の喜びと感動を体験した。それは正しく、筆者が己の内に眠らせていた黄金の果実を食し、久しく忘れていた当時の喜びと感動というの名の美味を真に取り戻した瞬間であった。
間違えてはならない。
あなた方は黄金の果実を失ってはいない。
持っているのを忘れているだけだ。
そして、思い出して欲しい。
大人になった今も、筆者のようにそれを食すことができるということを。
この記事を書き始めた時、筆者は確かにサイン会で得た感動を書き記す気でいた。
しかし、筆が進む中、己が書けることはそれだけではないことに気付いた。
皆が等しくこの感動を味わえること。
大人になった今も子供のように純粋に物事を楽しみ、感動できること。
30年の歴史を刻むビックリマンだからこそ味わえる喜びがあること。
真に伝えるべきはそれであると筆者は考え、文章を書き記した次第である。
最後になった。
今回のサイン会で先生方を始めとする皆々様から受け取った熱き想い。
全身を滾らせる喜びと感動。
30年という節目を迎えるビックリマン。
30年間ビックリマンを支え続けた先生御二方や関係者、ファンの皆々様。
それらすべての下に言わせてくれ。
はじめに。
今回の記事で、当ブログ第100弾を迎えます。
拙く小さなブログがここまで続いたのも、ひとえに当ブログを閲覧下さっている皆々様のおかげです。
本当にありがとうございます。
言っておきますが、
超が3つほど付く長文です(笑)。
読み疲れる可能性大なので、自己責任でお読み下さるようお願い申し上げます(笑)。
いやぁ、これでも短くまとめたつもりなんですが、書いている内に次々と出てきちゃいましてネェ。あんまり長すぎるとうんざりされるでしょうから、どこか端折っていこうかと考えました。
しかし、腐っても第100弾。
書きたいことを書けないまま記事にすることはできヌ。
なので、
長文中の長文をそのままUPしやした(笑)。
引き返すなら今の内ですゾ!
筆者は忠告したヨ?
覚悟はいいですかナ?
了解した。
遠慮なく読み勧めて頂きたい。
ついに、ついにこの時が来た……。
目指すべきは我らがビックリマンファンのメッカ!
赴くべきはビックリマンの神々が座すヴァルハラ!
いざ往かん、神々の地、大阪へ!!
そう、これはビックリマンファン兼キモブロガー黒爺の、ジョジョもビックリな冒険の物語である。
当ブログ第100弾に相応しい記事となるか?
書き終えた筆者が決めることではない。
すべてはこの記事を閲覧下さる読者の皆様方が決めること。
正直、筆者がこのサイン会で得た素晴らしき感動のすべてを書き記せたかはわからない。書き終えた今でもそれに答えることはできない。
しかし、これだけは断言しよう。
今の筆者が書き得るすべてをここに置いてきた!(どっかで聞いたフレーズ)
それでは、皆様。
当ブログ第100弾の幕を開けよう。
話は大阪原画展サイン会の前日、9月12日の夜に遡る。
神々に謁見できる日の前日。
皆様はいかがお過ごしだっただろうか?
特に気負うことなく爆睡していた人、翌日の準備を念入りに行なっていた人、寝ようとしたが興奮して眠れなかった人、それぞれ想い想いの夜を過ごされたことだろう。
当の筆者は何をしていたかと言えば……、
会社の同僚と飲み会に興じる始末(笑)。
イヤイヤ! この記事の入りであれだけ神聖不可侵な言い回しをしていたのに、サイン会前日にやっていたことがドンチャン騒ぎかヨ!と思われるだろうが、
事実なのだから仕方ない(開き直り)。
この時点で筆者の人事異動が決まっていたからネェ……。今回の人事異動で筆者の勤務先ことデスアーミーの巣窟からようやく離れることができるという悲願が達成されたため、お祝いも兼ねて会社の同僚及び上司と週末に飲みに行く話が決定していたのだ。
朝型人間の筆者としては、さすがに神々の謁見前に夜更かしすることは躊躇われたが、今回の飲み会は話が別である。なぜなら、この飲み会に来るメンバーは概ね筆者と同じく夜更かしすると次の日に猛烈な倦怠感と眠気に襲われる連中ばかりだから(笑)。
基本オッサンの集まりなのでネ……。体への労りを考えて、早め合流の早め解散が恒例になっているのだヨ(笑)。なので、午前さんになることは絶対ないため、神々との謁見前の飲み会と言えど問題はない。
気分良く同僚及び上司とピーチクパーチク叫び合い、帰宅したのが午後11時頃。
とりあえず、翌日の準備を整えてから寝ようと思ったのだが、朝型人間の筆者はその時点で猛烈な睡魔の急襲に見舞われていたので、
神の御二人に謁見するための事前準備をすることなく就寝(爆)。
まぁ、電車の時間はしっかり確認しているし、道中の暇潰し道具はスマホと携帯型充電器があれば十分だ。一応、交換用のシールを持っていくことも考えたが、ツワモノコレクターが集結するであろう今回の原画展で対等にトレードできるシールが筆者の手元にあるとは思えヌ。
それ以外にも原画展でどれだけ買い物するかわからないし、嵩張ると色々面倒なので今回は持っていかないことに。
この時点で懸念があるとすれば、一つだけ。
筆者が考えている出発時間で整理券が取れるか否か!
これである。
何時に現地への到着を果たすか。
これが最大の命題であった。
単純に考えれば、早ければ早い方がいいのは当然だが、あまり早すぎる時間に行って待つのも迷惑になる可能性がある。確か東京の時は前日から並んで待つ行為は禁止だったはずだしネ。
そんなわけで、原画展までの日に考えて出した結論が、開館3時間前の朝8時に現地到着を果たすという方針。これなら早すぎるということもないし、遅すぎるということもない。並んで待てるというなら待つし、開館直前まで駄目というなら近くで時間を潰すまで。現地到着後の成り行きを見ながら、臨機応変に対応すればよかろう。
開館3時間前という時間は若干遅いかも?という不安はあったが、筆者以上のコアなファンは東京原画展に参加しているだろうし、大阪のサイン会枠は二日間で400人もある。若い番号は無理にしても、100番前後くらいは確保できるだろうと読んでいたので、筆者のこの勘を信じて、
さっさと寝る!
そして起床!
爽やかな朝日をこの身に浴びつつ、いざ往かん、
聖地、大阪へ!
目的地は大阪の心斎橋にある『心斎橋BIGSTEP』の地下1階だ。
正直、筆者は大阪に足を運んだ回数は人生を通じて5回もなく、大阪の心斎橋と一口に言われてもチンプンカンプンであったが、幸いにも『心斎橋BIGSTEP』は境外滅伝第2弾を買った『まんだらけグランドカオス』のすぐ近くにあることが近隣マップを見た時にわかったので、道に迷うことはなさそうである。
筆者の自宅から大阪までにかかる時間はJR新快速でおよそ1時間。新大阪に到着後、地下鉄御堂筋線に乗り換え、15分くらいかけて心斎橋に向かう。
その間の電車に揺られながら、筆者が考えていたのはたった1つ。
筆者より強い奴はいるか?(真空波動拳!)
とかでは断じてなく(笑)、筆者と志を同じくし、かの地に集結するであろう猛獣……もとい、豪傑シールコレクターやビックリマンファンの方々のことである。
約1年前にビックリマンシールに再燃して以来、筆者は交換会や交流会というイベントに参加する機会がなかった。東京でそういったイベントが開催されている情報はキャッチできても、地元付近で開催されるという情報はなかったため(筆者が逃していただけで、実はあったかもしれないが)、リアルなコレクターの方々と知り合う機会がまったくなかったのである。
しかし、今回は違う。
当日の約一週間ほど前にCREAさんから連絡があり、師匠のCOREさんと二人で原画展に参加するので是非お会いしましょうというメッセージを頂いていたため、 最低2名のリアルコレクターの方々と知り合うことができる。もしかしたら、お二人の知り合いやTwitterでのやり取りで他の方々とも巡り会えるかもしれない。そんな期待が筆者の胸の中で膨らんでいた。
フッフッフ、実に楽しみダ。
このキモブロガー黒爺を見て、大いに幻滅するがいい!! hahahahaha!!
当ブログやTwitterで知り合った方々は、皆さん筆者如きを良く言って下さる方々ばかり。まずは会って日頃の閲覧のお礼を述べさせて頂きたいところだが、それ以上に、
筆者に会った時の幻滅ぶりを見てみたい(笑)。
なんか期待する方向性を間違えている気がするが、気にしない気にシナイ。
そうこうしている内に電車が心斎橋に到着。念のため、携帯のナビ機能で『心斎橋BIGSTEP』の場所を検索し、10分弱ほど歩けばそれらしい建物が見えてきた。
確かに見えてきた。
仁王立ちで目の前で建物を見てみたが、
入口はどこにあんのよ?
複数の建物がズラッと並んでいたので、どれが『心斎橋BIGSTEP』なのかわからん(笑)。その上、朝8時だというのに建物の前でけっこうな数の男女が屯っており、原画展の開館待ちの猛者共なのか、その辺のジオン兵なのかの区別が付かない。
そっから3分ほど迷った末に、スターバックスの横の通路で原画展の案内板を発見。置き方がさり気なかったので、見つけるのに手間取ったわ……。
そのまま奥に向かうと、数十人いると思しき蛇行列を確認。
最後尾に向かいつつ、彼らの会話の内容を盗み聞きすると、ヘッドロココだのヘラクライストだのの名前が飛び交っていたので、躊躇なくここにいる方々を第一級隔離指定生物に認定。ハンター×ハンターで言うところのキメラアントの群れである(笑)。
ひとまず、ここがNGLであることを認識した筆者は携帯で時間潰し。その間にも続々と筆者の後にキメラアント(失礼)が並ぶ並ぶ。
それから30分ほど経っただろうか。
唐突に警備員のおっちゃんが出現し、キメラアントの群れに向かって檻の中に入るように促す。
なんかビックリマンファンの方々(筆者含む)に向かって失礼な物言いになっているが、これネ、冗談抜きでネ。
檻の中に閉じ込められるからなんですヨ(笑)。
その場にいた猛者たちが建物の入口前まで案内されると、問答無用で鉄格子みたいなシャッターがガシーン。
隔離、乙!
この時点では何とも思わなかったのだが、あとから来た猛者たちがシャッターの向こうで「これ、開かないんですか?」とか「どうやって入るの?」とか言いながらこちらをじーっと眺めているのを見たら、筆者たちはまごうことなき動物園のゴリラ。思わず、
バナナくれなきゃ開けてやらん!
とか言いかけたが、筆者は今『Japanese Ninja!!』として潜伏している最中なので、目立つ行動は控えるべし。
え? 忍者って何よ?だって?
失礼。
話が急に飛んでしまったようだ。
檻の中に隔離された筆者はTwitterで自分がこの場にいることを宣言。すると、筆者のすぐ左側に座っている男女が「黒爺さん、もう来てるって」、「え? どこどこ?」みたいな会話をし始めたので、筆者にメッセージを下さったCREAさんとCOREさんのペアであることが瞬時に判明。
フ、キミたち、
そんなにあっさり正体がばれるようでは『Japanese Ninja』失格だナ!!
それに比べて筆者は完璧である。
決して悟られないよう彼らの方を見ず、聴覚と気配を頼りに彼らの動向を把握。戸惑っている彼らをあざ笑うかのように「お二方の特定完了(ニヤリ)」をつぶやく。COREさんの「全然わからない。なんか悔しいな……(笑)」の言葉を尻目に彼らの目の前で気付かれることなく潜み続ける。
パーフェクトだ。
筆者の忍者としての能力は極まっている!
ひょっとしたら、筆者の祖先は服部半蔵なんじゃないかと本気で思ってしまうくらいの完璧さ(大袈裟)。
そんな風に完全な自己陶酔に浸っていると、CREAさんからこんなつぶやきが。
「黒爺さん、わかっちゃったかも(ニヤリ)」
なにぃぃぃぃぃぃぃ!?
ば、ばかな……。筆者の潜伏は完全だったはず……。ばれることなどありえヌ……。表情から悟られないようにポーカーフェイスも保っているし、視線も合わせていない。ばれるはずがないんだ!!(フラグ)
落ち着け、ウロタエルナ、筆者!
深呼吸をして落ち着きを取り戻す。
冷静に考えろ。ばれるわけがないんだ。奴の言ってることはハッタリだ!(フラグ)
根拠のない思い込みで自分を納得させ、再び忍者ごっこに興じることに(笑)。
って、サイン会の前に何やってんねん!!
というツッコミが飛んできそうだが、まぁいいじゃないかネ(笑)。大人になるのは大事だが、子供心はいつまで経っても捨てちゃダメだ。いついかなる時でも楽しむことを忘れヌ。それが筆者の信条である。
その後、キッチリ11時に開館し、当初の順番通りに猛者たちがビックリマン原画集を購入していく。筆者も無事に購入することができ、サイン会の整理券をゲットした。気になるその番号は、
29番!
あら、意外と早かったのネ(笑)。
てっきり50番くらいかと思っていたが、想像以上に番号が若かった。まぁ、順番が早いに越したことはあるまい。
しかし、29番かぁ。
これって、額に『肉』って書いて神に謁見しろってことですかネ?(笑)
屁のツッパリはいらんですヨ!などと神々に向かって言わなきゃならんのか……。ハードルが高すぎて筆者には無理だ。誰か代わってくれ(笑)。
そんな世迷言はさておき。
サイン会の整理券を無事にゲットした筆者。
一通り原画展の作品を堪能した後、奥に置いてあった小さなテーブルで談笑する二人の標的(?)に向かって歩を進めた。
そして、おもむろに己が黒爺であることを明かす。
すると、
「おお、あなたが黒爺さんですか!!」
と、満面の笑みで筆者の想像以上に喜んで下さった。そして、「いつもブログ読ませてもらってます」と。
この時点で筆者は既に感無量(笑)。
筆者との対面を喜んで頂けたばかりか、改めて生の声でブログを読んで下さっていることを聞くことができた。それ以上の何を望めと筆者に言うのか。
しかし、感激ばかりしてもおられヌ。
対面を喜び合った後、CREAさんから一言。
「でも、やっぱりあなたが黒爺さんだったんですね。Twitterでも言いましたけど、気付いてましたヨ(笑)」
ぬわんだってぇぇぇぇ!!
あのツイートは本当だったのか……。しかし、なぜだ? なぜばれたのだ?
自問自答していると、さらに一言。
「周りを見渡してみたら、目の前にちょっとニヤニヤしている男性の方がいて、スマホの画面の動かし方もTwitterのそれっぽかったから、この人だなぁってすぐわかりました(笑)」
ポーカーフェイス(大爆笑)。
すみません、調子に乗りました。下忍に戻って反省しますデス、ハイ……。
CREAさんの言葉を聞いたCOREさんが「目の前にいたんなら言って下さればよかったのに」と苦笑されたので、「いやぁ、あの行列の中で言い出すのは気恥ずかしくて~」とか適当に笑ってごまかしたものの、
言えない。
絶対に言えない。
忍者ごっこしてました!だなんて、口が裂けても言えない(真剣)。
これを読んでしまったキミィ! この事実は墓場まで持っていってもらうゾ!
その後、じゅいちさんと合流し、ひとしきり談笑。入口付近でTOYさん、GULさんとも知り合うことができた。サイン会までの時間を合計6人で過ごすことになったが、この時の話は後日させて頂こう。
さぁ、運命の時がやってきた。
時間は午後2時。
神々のサイン会の幕開けである。
筆者たちが現地に戻ってきた時には既に神の御二人は着席され、係りの方々と談笑されていた。
30年以上生きてきた中で、初めて目の当たりにする神のお二方。
物腰柔らかで穏やかな表情をしていらっしゃるが、その存在感は圧倒的である。
つい数秒前までは写真やインターネット動画でしか見ることが叶わなかった尊ぶべき存在。筆者のような一シールマニアでは一生会うことが許されないと思っていた偉大なる御仁が、今筆者の目の届くところにいらっしゃる。
黒爺よ。
心の準備はできたか?
次々と整理券番号が呼ばれる中、筆者は自問する。
オッケーだ。
程よい緊張と、高揚する感情。
ガチガチに固まっていない。
心に余裕もある。
いい感じだ。
さらに筆者は自問する。
サインしてもらう名前は決まったか?
もちろん、決まっている。
昨日までは迷っていたが、それもお終いだ。
今の筆者には一つしかない。
黒爺
この原画集に我がハンドルネームを刻んで頂く。
それが筆者の希望だ。
筆者は最後の自問をする。
次はお前の番だ、いけるか?
問題ない、行こう!
ついに巡ってきた筆者の番。
先生方の隣にいる男性に希望のサイン名を書いた用紙を手渡す。
その男性が筆者に問う。
『さん』や『様』付けはいいですか?
ええ、大丈夫です。
『さん』や『様』などいらない。
誇るべきハンドルネーム『黒爺』を先生方に呼んで頂く。
それだけで満足だ。
わかりました。では、どうぞ。
男性に促され、筆者はついに米澤先生と対面した。
男性から原画集と希望サイン名の用紙が手渡される。
そして、出てきた言葉が次の一言。
出たな!
え……、『出たな』……?
衝撃の一言に筆者は思わず絶句。
それまで適度の緊張状態を保っていた肉体が、見る見るうちに鋼鉄のそれと化す。
隣の兵藤先生が名前を覗き見てニッコリ微笑む。
ま……、まさか……?
筆者は絞るような声で先生方に問うた。
ご、ご存知なんですか?
もちろん。
間髪入れずに米澤先生はそう仰った。
タワスペで使わせてもらってるよ。
それに続く形で兵藤先生。
黒爺さんのフェブリオにはお世話になってるよ。なんせ強いからね。
あまりの緊張にうまい返しが出てこない。
そうだったんですか! ありがとうございます!
そんな月並みな言葉しか出て来なかった。
あれ? 名前、『さん』とか『様』はいいの?
あ、いえ、呼び捨てで……。
今ならまだ付け加えれるよ?
あ、はい、じゃあ『さん』でお願いします。
緊張のあまり正常な思考回路が機能しておらず、呼び捨て意向をあっさり撤回。
突然のハプニングに舞い上がってしまったので仕方ないが、我ながら今思い出しても苦笑するしかない。
実際の名前は書かなくていいの?
さらに言って下さる米澤先生。
え……、いえ、書いて頂ける名前は一つだけのはずですから……。
嬉しい申し出であったが、皆さん1つしか書いて頂いていないのに筆者だけ2つは虫が良すぎる。
ガチガチに固まっていたが、そこは冷静に判断し、丁重に遠慮させて頂こうと考えた。
しかし。
今なら特別に書いてもらえるよ。
横から兵藤先生が筆者の背中を後押しする。
ブログで筆者が悩んでいるのを見て下さったのだろうか?
御二人の笑顔を見て素直に甘えちゃえよと言われている気がした。
是非、お願いします!
後ろの方々には申し訳ないが、またとない機会である。
素直にお言葉に甘えさせて頂こう。
あ、じゃあ名前書いてもらえるかな。
恐れ多くも米澤先生からサインペンを拝借し、黒爺の下に自分のリアルネームを書き始める筆者。
そこで違和感に気付く。
サインペンを持った左手が震えている。
いや、左手だけじゃない、右手もだ。
いつもなら滑らかに書けるはずの名前が、手が震えて思うように書けない。
何年ぶりだったろう?
手が震えるほどに緊張したのは。
何とか無事に名前を書き終えた筆者は、改めてサインペンと用紙を米澤先生に手渡す。
それを見て快くサインして下さる米澤先生。
はい、オッケー。
米澤先生がサインを終え、兵藤先生が後を引き継ぐ。
これからも頑張って下さい!
月並みなセリフだが、心からの敬意と感謝を込めてそう言った。
ありがとう。
にっこり微笑み、筆者と握手して下さる米澤先生。
そして、そのまま隣に移動し、兵藤先生と対面。
よかったね~。
ありがとうございます、ほんと申し訳ないです。
二つの名前を書いてもらえたことを言っているのだろう。
筆者は素直に感謝の意を述べた。
タワスペもずっと使わせてもらってます、これからもよろしく。
そう言って握手して下さる兵藤先生。
ありがとうございます、これからも頑張って下さい!
何度も何度もお辞儀し、感謝の意を伝える筆者。
御二人とも仏のような笑顔が印象的で、サイン会を終えた今でも筆者の脳裏に鮮明に焼き付いている。
その後、COREさん、CREAさん、じゅいちさんの3人と合流した筆者。
会場の隅で談笑していると、またしても体の異変に気付く。
全身が熱い?
火照るような感覚が筆者の全身を駆け巡っている。
適度な運動で汗をかいたときの感覚だ。
興奮冷めやらぬとはこういうことを言うのだろうが、それにしてもこの感覚を味わうのも何年ぶりのことだろうか?
東京原画展のサイン会を終えた後、Twitterで米澤先生が『皆さんの子供のような笑顔が素敵だった』というような内容のツイートをされていたが、仰る通り、筆者を含む多くの方々が子供だった当時にタイムスリップしていただろう。
大人になった今を以って、全身が打ち震えるほどの喜びと感動。
それは当時子供だった時の純粋なる喜びと感動に他ならない。
数年。
いや、十数年ぶりに筆者はそれを体験した。
このサイン会で先生御二方と対面し、確かにそれを感じ取った。
齢30を超えた今尚、幼き日に得た喜びと感動を味わうことができる。
それはもう筆舌に尽くし難い。
しかし。
筆者が感じたこの感動は誰もが等しく感じ得るものではない。
当時のビックリマンを知り、当時のビックリマンを懐かしみ、当時のビックリマンを愛する、1985年のビックリマンブームを生きた我々の世代にしか感じることが許されない特権と言っていい。
言い換えるなら、
神々より与えられた黄金の果実。
1985年のビックリマン黄金期。
神々が生み出したビックリマンという名の黄金の果実を、我々は確かに食していた。無垢な子供であるが故に、ただ純粋にビックリマンで友達と繋がり、ビックリマンで共に笑い、ビックリマンで楽しんだ。
そういう時代が確かにあったのだ。
だが、時が経つにつれ、ビックリマンの隆盛は衰え、筆者を含む多くの方々がビックリマンへの興味を失い、大人に成長し世俗に塗れたことで純粋さを失い、与えられた黄金の果実をどこかに置き去りにしてきてしまった。
多くの方々はそう思っているだろう。
しかし、それは間違いだ。
筆者と同じくビックリマンに再燃した方々よ。
そして、1985年からずっとビックリマンを愛し続けている方々よ。
あなた方は忘れているだけだ。
黄金の果実は今も尚、あなた方の中に眠っているということに。
筆者はこのサイン会で神々に拝謁し、体の芯から熱くなるほどの魂の喜びと感動を体験した。それは正しく、筆者が己の内に眠らせていた黄金の果実を食し、久しく忘れていた当時の喜びと感動というの名の美味を真に取り戻した瞬間であった。
間違えてはならない。
あなた方は黄金の果実を失ってはいない。
持っているのを忘れているだけだ。
そして、思い出して欲しい。
大人になった今も、筆者のようにそれを食すことができるということを。
この記事を書き始めた時、筆者は確かにサイン会で得た感動を書き記す気でいた。
しかし、筆が進む中、己が書けることはそれだけではないことに気付いた。
皆が等しくこの感動を味わえること。
大人になった今も子供のように純粋に物事を楽しみ、感動できること。
30年の歴史を刻むビックリマンだからこそ味わえる喜びがあること。
真に伝えるべきはそれであると筆者は考え、文章を書き記した次第である。
最後になった。
今回のサイン会で先生方を始めとする皆々様から受け取った熱き想い。
全身を滾らせる喜びと感動。
30年という節目を迎えるビックリマン。
30年間ビックリマンを支え続けた先生御二方や関係者、ファンの皆々様。
それらすべての下に言わせてくれ。
この言葉を述べるにあたり、筆者は『筆者』という第一人称を初めて捨てよう。
さぁ、皆さんもご一緒に。