実験記録 No.02

大阪市在住プログラマ 翻訳したり、本読んだり。

【日本語訳】スポーツ精神(The Sporting Spirit)

スポーツ精神(The Sporting Spirit, 1945)
ジョージ・オーウェル 著
H.Tsubota 訳
ライセンス:クリエイティブ・コモンズ 2.1 表示 - 非営利 - 継承

ようやくディナモ・フットボールチームの短い滞在が終わりを迎え、多くの思慮ある人々がディナモ到着前に密かにささやいていたことをおおおやけに語ることができるようになった。それはスポーツは無尽蔵にわき上がる敵意の源であり、もし今回のような滞在がイギリスとソビエトの関係になんらかの影響を与えるとしたら……続きを読む

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ジョージ・オーウェルによる「The Sporting Spirit」の日本語訳。

このエッセーは1945年に行われたソビエトのサッカークラブ、FCディナモ・モスクワによるイギリス遠征の直後に書かれた。このイギリスとソビエトの間で行われた「親善試合」を例にオーウェルはスポーツによって呼び覚まされる国家の間の摩擦を懸念している。

スポーツは国々の間に友好を築く、もし世界の民衆がフットボールやクリケットで互いに顔をあわせることができれば戦場で顔をつき合わせようなどという気持ちは持たないだろう、と人々が言うのを聞くたびに私はいつも驚かされる。国際的なスポーツ競技会が憎悪の発端となる具体的な例(例えば一九三六年のオリンピック大会)を知らないとしても、一般的な原理からそれは推測できるはずなのだ。(ジョージ・オーウェル, "スポーツ精神")

オーウェルもスポーツそれ自体を否定しているわけではない。オーウェルが懸念しているのはスポーツが戦争の代替物として機能していること、ナショナリズムと結びついていることだ。

どちらのチームにつくか選べて郷土愛の感情に巻き込まれることのない、村の草原でおこなわれるようなものであれば純粋な楽しみと運動のためにプレイすることも可能だろう。しかしそれが威信をかけたものになり、もし負ければ自分とより大きな構成単位の面目が失われると感じるやいなやもっとも野蛮な闘争本能が呼び覚まされるのだ。(ジョージ・オーウェル, "スポーツ精神")

19世紀後半から高まったスポーツ人気(例えば近代オリンピックが始まったのは1896年)はナショナリズムの高まりと強く関係しているのではないかといのがオーウェルの見立てだ。

前世紀の後半になるまでスポーツ崇拝が見られることはなかった……(略)……その後、主にイギリスと合衆国でスポーツは非常に大きな経済活動へと仕立てあげられ、膨大な群衆を惹きつけて野蛮な情熱を喚起することができるようになり、その影響は国から国へと広がっていった。(ジョージ・オーウェル, "スポーツ精神")
これらすべてがナショナリズム……つまり巨大な権力単位と自身を同一視し、全ての物事を威信を競い合うという観点からのみ見るという狂った現代の傾向の高まりと密接に関係していることは疑いようもない。(ジョージ・オーウェル, "スポーツ精神")

もちろん銃撃がないだけ本物の戦争よりはましだという見方はできるかもしれないし、試合のたびに互いのチームのメンバーが入れ替わるような日常で行われるスポーツまで否定するような話ではない。

しかし日韓ワールドカップ後の動きやオリンピック招致の話を見るとオーウェルの言うことに当てはまる部分も多いように思う。

PySide使い方メモ

GUIフレームワーク「Qt」のPython向けバインディングである「PySide」の使い方メモ。

順次、内容を増やしていけたらいいかなと。

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【日本語訳】ヒキガエルにまつわるいくつかの考え(Some Thoughts on the Common Toad)

ヒキガエルにまつわるいくつかの考え(Some Thoughts on the Common Toad, 1946)
ジョージ・オーウェル 著
H.Tsubota 訳
ライセンス:クリエイティブ・コモンズ 2.1 表示 - 非営利 - 継承

ツバメやラッパズイセンが現れる前、ユキノハナが咲いてほどないころ、ヨーロッパヒキガエルは自らのやり方で春の到来に祝砲を打ち鳴らす。昨秋に潜り込んで横たわっていた地面の穴から姿を現すと、すぐさま出来るだけの速さで……続きを読む

ジョージ・オーウェルによる「Some Thoughts on the Common Toad」の日本語訳。

冬眠から目覚めたヨーロッパヒキガエル(Common Toad)の様子を描いて春の到来を描写するところからこの評論は始まる。

戦争や経済的困難とは無関係に訪れる春とそれを象徴する草花や渡り鳥(そしてヒキガエル)をオーウェルは称賛する。

しかしそれを非難する者もいる、というのがこの評論でのオーウェルが取り上げているテーマだ。自然賛美的な言葉を記事に書くとストイックに社会運動・政治活動を行っている人間から抗議の手紙を受け取ることがあるとオーウェルは嘆く。

春や他の季節の移り変わりに感じる喜びに不道徳なところがあるだろうか? もっと正確に言えばそれは政治的な非難を受けるべきものだろうか? 資本主義体制に縛り付けられ、私たち全員がうめき声を上げるか、あるいは少なくともそうすべき時に、クロウタドリのさえずりや十月の黄色に染まったニレの木といった自然現象を理由に人生には生きるに値する瞬間が多くあると指摘することは非難されるべきだろうか?  (ジョージ・オーウェル, "ヒキガエルにまつわるいくつかの考え")

もちろんストイックに何かを突き詰めることが悪いわけではないだろうけど、その中で禁欲的であること・禁欲的に見えるよう振る舞うことそのものが目的になってしまう、というのはよくある話だ。

実生活での喜びを全て押し殺したとしてその先にはどのような未来が待っているというのだろうか? 春の再来を楽しむことができないというのなら、どうやって労働者を救うユートピアで幸福になれるというのか? 機械によってもたらされる余暇に何をして過ごすというのだろう? (ジョージ・オーウェル, "ヒキガエルにまつわるいくつかの考え")

最終的な目的が何なのかを忘れてはいけないよ、というお話。

【日本語訳】ジェームズ・バーナムと経営者革命(James Burnham and The Managerial Revolution)

ジェームズ・バーナムと経営者革命(James Burnham and The Managerial Revolution, 1946)
ジョージ・オーウェル 著
H.Tsubota 訳
ライセンス:クリエイティブ・コモンズ 2.1 表示 - 非営利 - 継承

出版された当時、ジェームズ・バーナムの著書である経営者革命は合衆国とこの国の両方で少なからぬ動揺を引き起こし、そこで扱われたテーマはその枝葉末節に至るまで多いに議論された……続きを読む

ジョージ・オーウェルによる「James Burnham and The Managerial Revolution」の日本語訳。

ジェームズ・バーナムは著書「経営者革命(The Managerial Revolution, 1941)」で知られるアメリカの思想家。

「経営者革命」と聞くとビジネス書のようだけど、意味としては「管理者革命」とした方が近い。経営者には科学者・技術者・官僚といった人間が含まれていて、この革命のモデル例としてあげられているのがナチス・ドイツとソビエト連邦だ。

評論は1946年に書かれたものだが、そこでオーウェルは1941年に書かれた「経営者革命」で評価を得ていたナチス・ドイツが敗北したことに触れて、なぜバーナムはこのような誤った評価を下したのかを分析している。

権力崇拝、権力欲求がバーナムの目を曇らせたというのがオーウェルによる結論だ。

機械が人間の間の関係を変え、その結果としてマキャベリは時代遅れになるという考えは疑う余地のないものである。バーナムがそのことを把握できていないとしたら、私が思うにそれはマキャベリ主義世界の力、欺瞞、専制が何らかの方法で終わりを迎えるという兆し全てを彼自身の権力に対する衝動が横に押しのけているためだ。 (ジョージ・オーウェル, "ジェームズ・バーナムと経営者革命")

ナチス・ドイツが敗北した1946年時点でバーナムの評価対象はソビエト連邦へと変わっていたらしく、バーナム(そして彼が象徴する知識人たち)のそうした姿勢をオーウェルは憂いている。

余談だけれど、この評論を読むと「一九八四年」の後半(特にゴールドスタインの本やオブライエンの言葉)はかなりバーナムからの影響を受けていることがわかる。

3Dプリンターでインペラ(羽根車)を印刷してみた。

テストを兼ねて3Dプリンターでインペラ(羽根車)を印刷してみた。(いつも通り)プリンターはダヴィンチ Jr. 1.0で素材はPLA。

CADデータはFreeCADチュートリアルで使っている以下の様な形状。8枚の薄い羽が滑らかに変化するような形になっている。

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印刷直後の状態。まだ底面部にサポート材がついている。印刷にかかった時間は4時間弱だった。

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サポート材を切り取った状態。CADで作った段階では直径が20cm近かったが、あまり大きくても材料消費と印刷時間が増えるだけなのでスライサーソフト上で直径7cmに縮小している。ペンは大きさ比較用。

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薄物の場合はけっこう品質がばらつくことがわかった。羽根8枚中できれいに出力されたのは半分くらい。左は品質のいい羽根、右は品質の悪い羽根でふちが欠けている。

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かなり薄いものでもそれなりの品質で出力されるけど、品質のばらつきはあるので実際に動作させるものを作るなら羽根はもう少し厚めにした方が良さそう。


基礎からのFreeCAD

3Dプリンター ダヴィンチ Jr. 1.0