The+Rolling+Stones

遅ればせながら"Ladies & Gentlemen"の完全版を観る事が出来た。
無論、何度となく、海賊版で目にして来た映像なわけだけど、
"Exile On Main Street"のリマスター再発と、"Stones In Exile"の公開、の大ラスを締めくくる、2010年に突如始まった、ストーンズ自身による72年回顧の決定版がこれだ!始まってから、エンドロールが流れる迄、見事な迄に、まとまっている。通常、どんな好きなバンドのライヴ映像でも、カメラのカット割りが工夫されてたりとか、楽屋風景や、インタビューが挟み込まれたりしないと、どうしたって長時間観るには、ダレてしまいがちだ。でも、これは約一時間半、びっしりと、72年のストーンズのありのままが、真空パックで記録されているし、観終わった後に、"あと数曲あれば"、という、飢餓感が残る、ところが見事だと想う。

見所は、、、って書き出したら、見所だらけ、、や、むしろ見所しかない!もう、"Dead Flowers"でミックとキースがワンマイクでサビをガナるところとか、ミックがキースのマイクを奪わんばかりに、"Happy"を半分唄うところとか、"Love In Vain"と"Sweet Virginia"で、丁寧かつ流麗なソロを弾きまくるミックテイラーとか!メンバー紹介から本編ラストの"Bye Bye Johnny"へ なだれこむ、目が覚めるような瞬間とか!そして"新曲"として披露される"Exile On Main Street"のナンバーに引きずられるように、何曲かの定番のナンバーまで、"Exile~"アルバムに収録されたとすればさもありなん、的な BPMが上がった、ロッキンブルーズに変貌してるし!それを唄うのが、もう現役感でギラギラしているミックジャガーで、って、無敵じゃん?って話だ。もう、キースの髪型も、すきっ歯も許すさ!同じ事を今、渋谷AXで披露してくれたら、何があろうと観に行きますよ。えぇ。

ミックも2010年のインタヴューで語ってたが、とにかく元の映像が照明が暗くて。カメラの台数も少なく、昨今の"SHINE A LIGHT"に比べたら、本当に限られた撮影環境なのにも関わらず、ディレクターの"観客目線"がブレてないので、さほど見所を落としている、とは感じられなかった。惜しむらくは ニッキーホプキンスや、ジムプライス、ボビーキースを擁する、ホーンセクションのバックアップが素晴らしいナンバーが、幾つもあるのに本当にチラリとしか映らないところか。

 そして、何故、ストーンズが'09年に"Get Ya-Ya-Ya's Out"のデラックスエディションを皮切りに、本作迄、突如、自分たちの過去を振り返ったのだろう?と想う訳で。それまで、いくらベスト盤が出たりしても、いわゆる、未発表音源を まとめて出すようなスタイルのリィシューは 頑に、というか、実に慎重に回避していたはずなのに。次のツアーでは、2部構成で、今迄のアルバムの人気曲を 一日毎に替えて演奏するとか、目眩がしそうな噂も飛び交う中、最近のインタビューで、"もう先の見通しが立たない年齢になった"という発言があったが、大規模に世界を廻る最後のツアーになるかもしれないからだ、と個人的には想っている。密かに、2011年からの活動に、ミックも、キースも、チャーリーも、ロンも、期するものがあるのではないか。でなければ、わざわざ、改めてオリンピックスタジオを訪問したりとか、改めて取材を受けたり、ドキュメンタリーを作成したりは、しないはずだ。当時、ジミーミラーの手を借りなければ出来なかったことを、今の力量で、2010年代に鳴らすにはどうするか、ということを見据えて、客観的に自分たちの最良の魅力というものを再検証して、次のオリジナルアルバムとツアーに、全て、ぶち込むつもりなのではないか、、、と考えてみる。奇しくも2012年はストーンズのデビュー50年目の区切りの年でもあるわけだし。月並みな表現だが、受ける側としても、次のストーンズの活動を、心して、受け止めたい!